2016年9月20日発売
女性なら誰もが羨むハンサムな富豪の夫を持つアダラは、度重なる流産を経験し、さらに夫の不倫疑惑が持ちあがったことですっかり自信を失い、とうとう離婚を申し出た。もともと双方のビジネスのための結婚ではあったが、アダラはいつの間にか、夫を愛し始めていたのだった。だがギデオンのほうは名ばかりの妻を手放すつもりはないようで、アダラは愛も子も得られぬ結婚のつらさに絶望する。そんな折、妊娠が判明ー。今度こそ、と希望が芽生えかけたとき、アダラが知りもしなかった夫の過去と正体が明らかになる。
家庭的に恵まれないナオミは、幼い頃に離別した父との絆を取り戻そうと、父の住むニューヨークで暮らすことにした。IT長者のセヴのもとで個人秘書の職を得るが、あまりにセクシーな彼を見て危険な予感を覚える。案の定、出社初日から猛烈な誘惑が始まった。セヴのような男性とかかわったらひどい目にあうだけだわ。ところが退職届を提出すると、最後の仕事としてドバイへの出張に同行を強要された。彼と2人だけで親密な空間を共有するなんて、無理だわ。けれど、彼女にはその命令を拒否できない理由があったのだ。
背の高い、全身黒ずくめの男性が振り返るより早く、メイジーには誰が現れたのかがわかり、はっと息をのんだ。5年前、旅行先で一夜をともにしたイタリア人富豪のロメオは、私の名前以外、なにも知らないはず…。どうして彼は、私がダブリンにいるとわかったの?まさか、あの夜で妊娠したのを知った?突然現れたロメオの要求は、息子との面会だけではなかった。なんと、すべてを捨てて僕と結婚しろとメイジーに迫ったのだ。「その子は命を狙われている。僕にしか守れない」と言って。
21歳のシャーロットは幼いころに母を亡くし、宝石店を営む父とふたり、仲よく暮らしてきた。だがある日、めずらしく父と激しく口論してしまい、気持ちが高ぶるあまり彼女は愛馬に乗って家を飛び出し、すんでのところで高級車と衝突しそうになった。車を運転していた漆黒の瞳の男性から頭ごなしに叱りつけられ、心に衝撃を受けるとともに、相手への反感がわいた。その晩、彼女は父の命に従い、ホステス役としてディナーの席につくが、現れた招待客を見て愕然としたー客は例の高級車の男性だったうえに、経営難に陥った父の宝石店を買収した大富豪ソールだとわかったのだ!
やむにやまれぬ事情から生活苦にあえぐアリーは、姉の遺児を引き取って育てながら、毎日病院で懸命に働いている。ある日、気晴らしに登った山で魅力的な男性ショーンと出会い、二人で協力して、遭難していた少年たちを救った。緊迫した状況で的確な判断をくだすショーンの姿を見て、アリーは胸のときめきを抑えることができなかった。だが一方の彼は、悪天候のなか一人で山歩きをしていたアリーを責め、いかにも男性至上主義者といった傲慢な言葉で彼女を戸惑わせる。良くも悪くもアリーの心を独り占めにしたショーンが、なんと翌日、彼女の勤める病院の新任医師としてやってきて…。
1歳7カ月の息子が家のどこにもいないことに気づき、クリスタの心臓は止まりそうになった。ちょうど別居中のブラジル人大富豪の夫ジェフが訪ねてきて、息子は飛びあがらんばかりに興奮し、大喜びしていた矢先だった。ほどなくして居場所がわかった。ジェフから電話が来たのだ。「いま空港にいる。このままこの子を連れてリオへ発つ」クリスタの心臓が今度こそ止まった。お願い、私から奪わないで!「息子に会いたければ、君がこっちへ来ればいいだろう」怒りと悲しみに震えるクリスタはすぐさまリオへ飛ぶが、待っていたジェフから予想だにしない事実を聞かされて…。
すべては5年前の夜に起きた、あの忌まわしい出来事のせいだ。18歳の大学生モーガンはその日、二人組の男に襲われかけた。すんでのところで助かったのは、彼女が恋い焦がれていた大学講師スティーブが偶然通りかかったおかげだった。だがどういうわけか自宅へ送り届けてくれた彼の目は冷ややかで、さらに追い打ちをかけるように父親から侮蔑的な罵倒を受けて、彼女の心は粉々に砕かれてしまった。以来、モーガンは男性を遠ざけて暮らしてきたー今日までは。「また会えてうれしいよ。もっとも君は気分が悪そうに見えるが」スティーブ!二度と会いたくなかったのに。なぜ突然現れたの?
“定められた期限までに、結婚しなければならない”養父を亡くし悲しみに暮れるエヴァに、奇妙な遺言が突きつけられた。10代の頃に判明した疾患で出産も結婚もあきらめていたが、身寄りのない彼女を救ってくれた養父の望みなら、従うほかない。だが、花婿探しは養父の血縁で初恋の大富豪カイルにことごとく邪魔される。そして期日が目前に迫ると彼は言った。「仕方ない。僕が結婚してやろう」ただし、子供は作らないのが条件。本気なの?かつて私を捨てた彼が?でも、彼の逞しい身体も透き通る青い瞳も、初めて恋を知った時のままーエヴァはカイルへの想いに抗えず、結婚を承諾し純潔を捧げた。まさか妊娠が現実となるとは考えもせずに…。
秘書のリタは、妹を故郷に呼び戻すため、偽りの結婚式を仕組んだ。憧れのボス、サキールには秘密で、彼が花婿ということにして。式にかかる費用も、招待客に嘘を謝罪するのも、愛する妹のためを思えばたいしたことではない。しかし、バージンロードへ向かったリタは、目の前の光景に頭が真っ白になった。砂漠の国の王のようなカフタンをまとったサキールが祭壇に立ち、余裕の表情で彼女を待っていたのだ。顔面蒼白のリタを見据え、彼は驚くべき言葉を口にした。「妻として我が祖国エマンドに来てもらおうービジネスのために」
パートタイムでケーキを焼いて生計を立てているエマは、まだ若い身空で山ほどの家事や家族の世話を背負っている。ほとんど無私に働きつづけ、忙しさに少し疲れを感じていたある日、彼女の飼い犬が脱走した事件をきっかけに、年上の大人な雰囲気漂う男性ジェイと出会った。ハンサムで穏やかな彼と話しているとなぜか心が安まったが、エマはあわてて胸の高鳴りを打ち消すのだったーだって、わたしには恋なんかしている時間はないのだから。そのうえジェイとの間に噂が立つと、エマの親が反対しはじめ…。
彼に呼びかけられた瞬間、ナタリーは思い出した。自分の名前も、彼の名前も。トラヴィス・ウィーランは、有能な検察官であり、億万長者でもある。そして、かつて私が心から愛し、濃密な時を過ごした男性ー彼が本名と職業を偽っていたことがわかるまでは。二度と会わないつもりだった彼女はとっさに逃げ出そうとした。すると彼女の身体を抱きとめ、トラヴィスが言った。「ナタリー、もう離さない」いやよ、だめ。嘘つきの恋人には決して知られてはいけないわ。幼い娘のことを。そして、なぜ私が記憶を失うはめになったかを。
エミリーは名門モンテイロ家の屋敷の家政婦だった。秘かに憧れていた当主のデュアルテから突然求婚されたとき、彼女は天にも昇る心地でイエスと言った。だがじきにエミリーは、夫には前妻がいたことを知る。さらに、ポルトガルの本邸に移った彼女を待っていたのは、屋敷中に飾られた前妻の肖像画と、前妻の母親の憎悪ー。孤独と惨めさに打ちのめされていたある日、エミリーは夫からあらぬ不貞の疑いをかけられてしまう。もう耐えられない。エミリーはイギリスに逃げ帰った。夫に妊娠したことも告げず、その子と二人で生きていくつもりで。
ソフィーが実業家ドミニク・ウィンターと出会ったのは、ウェクスラー家の屋敷で造園の仕事を始めた日だった。ドミニクはソフィーに目を留めると、よそよそしく頷いた。そのとき、なぜかソフィーの胸はどきんと鳴った。彼はウェクスラー家のひとり娘バーバラの婚約者なのに。そのバーバラに同行して海へ行ったある日、事件は起きた。バーバラがヨットで沖合に出たまま行方不明になったのだ。駆けつけたドミニクに君の責任だといわんばかりに責められ、慰めたい一心のソフィーは、激情の赴くまま彼に抱かれてしまった。結果、ドミニクの子を身ごもってしまうとも知らずに。