2016年9月発売
東京の郊外で暮らす、しがないサラリーマン久保田輝之は、ある晩、人を殺めてしまう。自首するべきか?自殺するべきか?いや、しかし、でも…。結局はどちらも選べないまま、逃亡生活を送ることに。北は稚内から南は沖縄まで全国をさまよい歩く。はたして、輝之は彷徨の果てに何を見るのか?そして、最後に下した決断はー。
いい儲け話があるから助けてほしい、と電話で懇願された凄腕ギャンブラーの半崎。声の主は裏切り行為の常習犯・千野だ。渋々向かった先はヤクザが主宰する高額賭けポーカーの現場。半崎は、絶対的自信のある持ち手を根拠に千野から金を無心される。負ければ異国に売り飛ばすと脅されている千野は必死だ。誰も千野の言う“いい手”を信じていないが、半崎には勝算があったー千野の手に百万円を上乗せし、命を賭けたゲームに挑む!「この手500万」ほか短編七編とショートショート六編を収録。
美術を専攻していた学生時代、教授の嫌忌を受けて不遇の人生を送らざるを得なくなった俺は、知り合いの骨董屋が持ってきた贋作を見てある“事業”を思い立つ。それは学界を支配する教授一派に対する強烈な一撃となるものだった(「真贋の森」)。ジャンル別作品集第3巻は、全集未収録の2作品を含む全4編の「美術ミステリ」。著者独壇場の“黒い仕掛け”を読み逃すな。
亡き祖父・万のアンティーク堂を継ぐために神戸に移り住んで5カ月。寒さも厳しくなるころ、寛人は店で使い込まれたいくつもの携帯灰皿を見つけた。店に間借りをしている修理職人の茉莉に聞いても、万が煙草を吸っていた記憶はないという。やがてその灰皿は売れたが、数日後、お客から「蓋が開かないものがある」と言われるー古いモノに込められた“想い”を解き明かす、大人気キャラクター小説、第二弾。
ひとつきに二度、満月が見られるブルームーンの8月。17歳の僕は京都の嵐山にある祖母の家に帰省した。一度目の満月の夜、僕は森の中で、傘で泉の水をすくう少女と出会う。「ブルームーンが終わるまで、ここで初恋の人を待っている」と言う彼女。同い年なのにどこか不思議な彼女や、彼女と歩いた夜の京都に違和感を覚えながらも、僕は彼女に惹かれていくがー「ずっと君を、未来で待っている」運命の糸で結ばれた2人を描く、時空を超えた恋愛小説。
満島結奈はお菓子メーカーに勤める、ちょっとエッチな二十六歳のOL。新商品の宣伝会議で素晴らしくエロいネーミングを提案し、社長賞をゲットした結奈は、ご褒美として、会社と提携する禅寺・満願寺へ長期出向することになった。しかし、禅寺に着いた結奈を待ち構えていたのは、古希を迎えるのにまだまだ精力絶倫の和尚、煩悩まみれの小坊主といった、想像を超える助平な連中だった。書き下ろし長編ライトエロス決定版!
火の見櫓で飛び降り騒ぎを起こした女を間一髪で救った桜井慎之介は、その女お高から“仕事”を頼まれる。雪駄問屋の出戻り娘であるお高は摺り師藤十郎への片恋に身を焦がしており、藤十郎を誑かしている酌婦千鶴との仲を裂いてくれたら三十両払うという。孤児の養護所設立を目指す慎之介は張り切って請け負い、早速、藤十郎のもとを訪ねるが、眼前には無残な屍体が転がっていた。痛快シリーズ第五弾!
丁子屋宗主、宗十郎が京から江戸に現れた。亡き父仙三郎をよく知っていると話す宗十郎に警戒感を抱くおりん。一方、同心見習いの源吾は、おりん襲撃に丁子屋が絡んでいるのを突き止めた矢先、曲者に斬られてしまう。おりんは怒りと不安のなか、吉原で丁子屋との香競べに挑む。同席した宗十郎と水戸徳川家の家老、武常重道は、おりんが庭から掘り出した伽羅を見て目の色を変える。江戸が香る話題の書き下ろし第三弾。
美貌に加え、謎解きの才までもが江戸中に広まり、“室町小町”お雪を訪ねてくる者は引きも切らず、呉服屋・三浦屋は連日、押すな押すなの大混雑。主の善右衛門は騒ぎに疲れ切り、お雪もますます自室に引きこもってしまう。そんな折、お雪が愛読する戯作者の山東京伝本人が三浦屋にやってきた。京伝はお雪に、ある人物の正体を突き止めて欲しいと依頼してくる。人気シリーズ第三弾!
「緊張しているのですか?きっと大丈夫ですよ、コルク・ランツクネヒト教授なら」名門デンバー魔法大学の新任魔法教授、コルクに声をかけた少女の名はレイチェル・S・ギーゼキング。その正体はデンバー魔法大学の学長であり、十代の姿のまま250年の刻が止まっている「不老少女」。レイチェルに見守られながら、コルクは最強の防壁魔法と謳われる『結界魔法』の都市結界試験を行っていたが…「炎魔法なら慣れているがーまさか、この感覚は?」「よう、コルク」突如、幼馴染の魔法騎士・アレンが乱入し試験は中止になりかけてしまう。アレンとの再会をきっかけに、もう一人の幼馴染でレイチェルの秘書官・カリナとの関係にも変化が。レイチェルもその恋模様に興味津津。そんな中、デンバー市長・デルモゾールが徐々に不穏な動きを見せ始める。それはレイチェルの「不老」の秘密にも関係するようで…?これは、魔法を巡る人々を描いた、すこし不思議な物語。
豊かな花場を持つ村・カガミノ。蜂蜜の専門家であり術師である利き蜜師・仙道の平穏な日々は、村に迷い込んだ一匹の銀蜂に気づいたことで一変する。東の地で悪しき風が吹き始めている…。仙道は幼い弟子・まゆを連れてカガミノを出るが…。迫力のスケールで描かれる、利き蜜師の物語。第三回「暮らしの小説大賞」出版社特別賞受賞作。
平安・江戸・明治、そして現代の琵琶湖畔に生きる男女の愛の形。江戸時代の近江追分を舞台に、大津絵と豊臣残党狩りを題材にとった表題作「鬼の念仏」(滋賀県文学祭芸術文化祭賞受賞)ほか、平安時代の秘めた逢瀬を映し出す「笛の音」、明治の琵琶湖・淀川改修工事にまつわる「洗堰物語」、現代の大学ボート部での青春群像を描く「明日に架ける橋」の4篇を収録。
成瀬家は、代々“禁断の絵”を守ってきた旧家だ。その絵が盗まれた。当主の美津に絵をさがしてほしいと頼まれた千景と透磨だが、件の絵は異人館画廊に置き去りにされていた。同時期、失踪中の次期当主候補・雪江が遺体で見つかるが、容疑者に浮上した男が千景の誘拐事件の関係者だと判明し!?深まる謎の中、記憶の封印が次第に解けてゆく。緊迫の美術ミステリー!!
ソフトテニス強豪中学校から、体育会系の部活動がほとんど顧みられない進学校の利根南高校に進んだ夏希と花綾。「女子テニス部ないね」「うん。でも予備校通うし、恋愛だってしたいし?」と話しながらも、テニスコートのほうに足が向いてしまう二人。そこにはヤンキー風な先輩がいて、お下げの地味な先輩と二人だけで女子ソフトテニス部をやっているらしいのだが…!?
菜乃香は奇妙なボタン専門店を見つけた。接客してくれたのは、ライと名乗る長身の男性だった。服飾の勉強をしたいと思っていた菜乃香は、数々のボタンに興奮し連日店に通っていたが、ある日、亡くなったはずの友人が店を訪れた。そして菜乃香は、自分が親とケンカをした後、交通事故にあっていたことを思い出した。ボタン屋は、さまよう魂の「探しもの」を置く店で?
少年が解き明かそうとする姉の秘密、曼珠沙華が物語る夫の過去、製鏡所の娘が願う亡き人との再会…。「大切なものが喪われた、もう一つの世界」を生きる人々。それぞれの世界がやがて繋がり合い、強く美しい光で、彼らと読者を包み込む。生きることの真実を鮮やかに描き出すことに成功した、今までにない物語の形。ベストセラー『光媒の花』に連なり、著者の新しい挑戦が輝く連作小説。
この不幸は、いつまで続くのだろうかー。平凡な結婚生活の先に待っていたのは、思いもよらぬ夫からの暴力だった。シェルターからステップハウス、DVの被害女性だけで運営される自然農園…。離婚を経て、居場所を変えながら少しずつ自立を果たそうとあがく可穂子に、元夫・雄二の執拗な追跡の手が迫ってくる…。現代の闇に恋愛小説の女王が切り込む、衝撃のノンストップサスペンス!
新米探偵・愛香は、親友の別荘で発生した殺人事件の現場で「貴族探偵」と遭遇。地道に捜査をする愛香などどこ吹く風で、貴族探偵は執事やメイドら使用人たちに推理を披露させる。愛香は探偵としての誇りをかけて、全てにおいて型破りの貴族探偵に果敢に挑む!事件を解決できるのは、果たしてどちらか。精緻なトリックとどんでん返しに満ちた5編を収録したディテクティブ・ミステリの傑作。
毎度おなじみ「長靴の戦士」ピノとピピが迷い込んだのはホラーゲームのボツ世界!そこは、なぜか三角錐の頭をした人々が支配するなんだか怖いような怖くないような村。どうにかこうにか村を脱出して二人が辿り着いたのは、住民がすべて偽者になっている街だった。おいおい、今度はSFか!?ゆる系RPGファンタジー第4巻はホラーからSFまで、禁断と掟破りてんこ盛り。負けるなピノピ!