2016年9月発売
成績不振の写真部員・設楽洋輔は、眉目秀麗で天才で変態の岡江和馬の勉強指導と引換えに『フェティシズムの捕獲』を請け負うことに。高校一の美少女で生物部員の愛香の依頼で一緒に野鳥の撮影をしつつチャンスを狙う中、様々な「消失」事件に出会い…。天真瀾漫で運動神経抜群の愛香の突飛な行動、冷静かつ的確な岡江の推理を参考にしながら、設楽は意外な事件の真相に迫る。青春ミステリー!
寺での騒動で人が殺される現場を目撃してしまい、鬱々とした気持ちを抱える中将宣能。大好きなばけもの探訪にも興味を示さず、ふさぎ込む日々を過ごしていた。事情を知らぬまま宣能を案じる宗孝は、彼を元気づけるために本物の怪を探すことに。怪異を追ううち、宣能は様々な話をしはじめ…。一方、東宮の恋する相手が誰なのかを知った弘徽殿の女御は!?大人気平安冒険譚、第5弾!
大宝石商・玉村家周辺に次々と届く殺人予告。第一の犠牲者は玉村善太郎の弟。そして令嬢・妙子と長男・一郎も狙われるが間一髪で助かった。しかし、次男・二郎の恋人は公衆の面前で猟奇的に惨殺されてしまう。一方、湖畔のホテルで休暇を楽しんでいた明智は、波越警部に呼ばれ戻った東京駅で誘拐されたが、文代の機転により、なんとか脱出。玉村家への復讐に燃える殺人鬼を追うー。屈指の傑作長編。
時は禁酒法下のアメリカ。舞台は密造酒の闇取引で賑わう街・ローレス。マフィアは日々抗争を繰り広げ、警察もその力を失い汚職にまみれ、秩序は失われてしまっている。その街に、7年の時を経て降り立つ一人の青年の姿が。男の名はアヴィリオ。かつて、この地でマフィアの抗争により家族を皆殺しにされた。絶望の日々を送るなかで届いた差出人不明の一通の手紙が、彼の心に復讐の黒い炎を灯し、ローレスに舞い戻らせたのだ。アヴィリオは、仇であるヴァネッティファミリーに潜入。復讐を果たすためにドン・ヴァネッティの息子ネロに接近するが、やがて…。
交通事故で死んだ早川涼子はグレイシス王国第七王子ハーシェリクとして転生した。五歳になり、王国は夏を迎えようとしていた。そんな折、ハーシェリクのもとに筆頭騎士の話が舞い込む。多くの候補者の中から選ばれたのは、学院をギリギリで卒業できた王家を嫌う不良騎士だった。時を同じくして、王都では不審な薬が流通し始め…。
異世界へと渡った楠木ひなみは、いなくなってしまった女神レティスリール様を見つけるための手掛かりを探していた。仲良くなったスライムのロロに近くの洞窟にレティスリール様の壁画があると教えてもらう。それを見に行ったひなみは、壁画の横に『レティスリール、“アグディス”の大地で引きこもり中』という日本語を見つける。そして、呪奴隷のイクルたちとアグディスへ向かったー。
森村あゆみ、19歳。“ちょっとした事情”で地球を捨て、火星へ家出中。無事に宇宙船が出航と思いきや、手違いで怪しげな男たちと同室に。男たちが関わるやっかいな事件に巻き込まれーあゆみと太一郎の物語の出発点。表題作ほか短編「雨降る星 遠い夢」、書き下ろし「水沢良行の決断」、新あとがきを収録。
火星にある水沢総合事務所ー「通称・やっかいごとよろず引き受け業事務所」に就職したあゆみ。“やっかいごと”解決のプロとなるべく修行中!ある女の子のボディガードをせよという依頼がくるがそれはあゆみ本人のことで…!?表題作ほか書き下ろし「中谷広明の決意」、新あとがきを併録。
女性なら誰もが羨むハンサムな富豪の夫を持つアダラは、度重なる流産を経験し、さらに夫の不倫疑惑が持ちあがったことですっかり自信を失い、とうとう離婚を申し出た。もともと双方のビジネスのための結婚ではあったが、アダラはいつの間にか、夫を愛し始めていたのだった。だがギデオンのほうは名ばかりの妻を手放すつもりはないようで、アダラは愛も子も得られぬ結婚のつらさに絶望する。そんな折、妊娠が判明ー。今度こそ、と希望が芽生えかけたとき、アダラが知りもしなかった夫の過去と正体が明らかになる。
家庭的に恵まれないナオミは、幼い頃に離別した父との絆を取り戻そうと、父の住むニューヨークで暮らすことにした。IT長者のセヴのもとで個人秘書の職を得るが、あまりにセクシーな彼を見て危険な予感を覚える。案の定、出社初日から猛烈な誘惑が始まった。セヴのような男性とかかわったらひどい目にあうだけだわ。ところが退職届を提出すると、最後の仕事としてドバイへの出張に同行を強要された。彼と2人だけで親密な空間を共有するなんて、無理だわ。けれど、彼女にはその命令を拒否できない理由があったのだ。
背の高い、全身黒ずくめの男性が振り返るより早く、メイジーには誰が現れたのかがわかり、はっと息をのんだ。5年前、旅行先で一夜をともにしたイタリア人富豪のロメオは、私の名前以外、なにも知らないはず…。どうして彼は、私がダブリンにいるとわかったの?まさか、あの夜で妊娠したのを知った?突然現れたロメオの要求は、息子との面会だけではなかった。なんと、すべてを捨てて僕と結婚しろとメイジーに迫ったのだ。「その子は命を狙われている。僕にしか守れない」と言って。
21歳のシャーロットは幼いころに母を亡くし、宝石店を営む父とふたり、仲よく暮らしてきた。だがある日、めずらしく父と激しく口論してしまい、気持ちが高ぶるあまり彼女は愛馬に乗って家を飛び出し、すんでのところで高級車と衝突しそうになった。車を運転していた漆黒の瞳の男性から頭ごなしに叱りつけられ、心に衝撃を受けるとともに、相手への反感がわいた。その晩、彼女は父の命に従い、ホステス役としてディナーの席につくが、現れた招待客を見て愕然としたー客は例の高級車の男性だったうえに、経営難に陥った父の宝石店を買収した大富豪ソールだとわかったのだ!
やむにやまれぬ事情から生活苦にあえぐアリーは、姉の遺児を引き取って育てながら、毎日病院で懸命に働いている。ある日、気晴らしに登った山で魅力的な男性ショーンと出会い、二人で協力して、遭難していた少年たちを救った。緊迫した状況で的確な判断をくだすショーンの姿を見て、アリーは胸のときめきを抑えることができなかった。だが一方の彼は、悪天候のなか一人で山歩きをしていたアリーを責め、いかにも男性至上主義者といった傲慢な言葉で彼女を戸惑わせる。良くも悪くもアリーの心を独り占めにしたショーンが、なんと翌日、彼女の勤める病院の新任医師としてやってきて…。
1歳7カ月の息子が家のどこにもいないことに気づき、クリスタの心臓は止まりそうになった。ちょうど別居中のブラジル人大富豪の夫ジェフが訪ねてきて、息子は飛びあがらんばかりに興奮し、大喜びしていた矢先だった。ほどなくして居場所がわかった。ジェフから電話が来たのだ。「いま空港にいる。このままこの子を連れてリオへ発つ」クリスタの心臓が今度こそ止まった。お願い、私から奪わないで!「息子に会いたければ、君がこっちへ来ればいいだろう」怒りと悲しみに震えるクリスタはすぐさまリオへ飛ぶが、待っていたジェフから予想だにしない事実を聞かされて…。
すべては5年前の夜に起きた、あの忌まわしい出来事のせいだ。18歳の大学生モーガンはその日、二人組の男に襲われかけた。すんでのところで助かったのは、彼女が恋い焦がれていた大学講師スティーブが偶然通りかかったおかげだった。だがどういうわけか自宅へ送り届けてくれた彼の目は冷ややかで、さらに追い打ちをかけるように父親から侮蔑的な罵倒を受けて、彼女の心は粉々に砕かれてしまった。以来、モーガンは男性を遠ざけて暮らしてきたー今日までは。「また会えてうれしいよ。もっとも君は気分が悪そうに見えるが」スティーブ!二度と会いたくなかったのに。なぜ突然現れたの?
“定められた期限までに、結婚しなければならない”養父を亡くし悲しみに暮れるエヴァに、奇妙な遺言が突きつけられた。10代の頃に判明した疾患で出産も結婚もあきらめていたが、身寄りのない彼女を救ってくれた養父の望みなら、従うほかない。だが、花婿探しは養父の血縁で初恋の大富豪カイルにことごとく邪魔される。そして期日が目前に迫ると彼は言った。「仕方ない。僕が結婚してやろう」ただし、子供は作らないのが条件。本気なの?かつて私を捨てた彼が?でも、彼の逞しい身体も透き通る青い瞳も、初めて恋を知った時のままーエヴァはカイルへの想いに抗えず、結婚を承諾し純潔を捧げた。まさか妊娠が現実となるとは考えもせずに…。
秘書のリタは、妹を故郷に呼び戻すため、偽りの結婚式を仕組んだ。憧れのボス、サキールには秘密で、彼が花婿ということにして。式にかかる費用も、招待客に嘘を謝罪するのも、愛する妹のためを思えばたいしたことではない。しかし、バージンロードへ向かったリタは、目の前の光景に頭が真っ白になった。砂漠の国の王のようなカフタンをまとったサキールが祭壇に立ち、余裕の表情で彼女を待っていたのだ。顔面蒼白のリタを見据え、彼は驚くべき言葉を口にした。「妻として我が祖国エマンドに来てもらおうービジネスのために」