2016年発売
「俺は、俺を殴ってやろうと思ったけれど、どう殴っていいのかがわからない。」 スーパーでアルバイトをしながら、いつの日かスポットライトを浴びる夢を見る売れないバンドマン。ライブをしても客は数名、メンバーの結束もバラバラ。恋をした相手はピンサロ嬢。 どうでもいいセックスや些細な暴力。逆走の果てにみつけた物は……。 人気ロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観による、「祐介」が「世界観」になるまでを描いた渾身の初小説。 たったひとりのあなたを救う物語。 著者プロフィール・尾崎世界観(おざき・せかいかん) 一九八四年、東京生まれ。二〇〇一年結成のロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル、ギター。多くの人から言われる「世界観が」という曖昧な評価に疑問を感じ、自ら尾崎世界観と名乗るようになる。一二年、アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビューし、日本武道館公演を行うなど、シーンを牽引する存在に。男女それぞれの視点で描かれる日常と恋愛、押韻などの言葉遊び、そして比喩表現を用いた文学的な歌詞は、高く評価され、独自の輝きを放っている。
今晩和(Bonsoir)、親愛なる地平線の旅人よ。これは愛を汚され、失って、彷徨いながらも抗い続ける女性の為の物語(Roman)だ。 報われずとも己が信じるものに生涯を捧げ、後の世に神の手を持つ者と称される男の物語(Roman)だ。美しきものを心に刻みつけて 目を閉じる者の物語(Roman)だ。君が迷う時は賢者の声に耳を傾けるがいい。だが、決めるのはあくまで君自身だ。 君が去るのならば、伝言だけは残してくれ給え。それもまた物語(Roman)だ。全てがどこにでもある特別な物語(Roman)だ。 さあ、詩を灯そう。詠い続けよう。聖夜(ノエル)に生まれいづる彼と共に。 <収録楽曲> 07.歓びと哀しみの葡萄酒 a piece of Noel number"06" 08.天使の彫像 a piece of Noel number"07" 09.美しきもの a piece of Noel number"08" 10.黄昏の賢者 a piece of Noel number"09" 11.11文字の伝言 a piece of Noel number"10" 時を超え紡がれる幻想物語は今、新たな展開と終着点を迎える! 二つの冬の物語の結末はーー!?
霧の山道で背後からついてくる操り人形のような女性、登山中になぜか豹変した友人の態度、「死ぬ人の顔が見える」という三枚鏡……。登山者や山に関わる人々から聞き集めた怪異と恐怖を厳しい自然とともに活写する。
泉鏡花、岡本綺堂、江戸川乱歩ら怪異の文豪を深く魅了し、怪談実話の分野においても、『日本霊異記』の昔から稲川淳二の「生き人形」に至るまで、読む者の心胆を寒からしめる逸話を数多生み出してきた「人形/ヒトカタ」。 なぜ人は、みずからの似姿に、かくも惹かれてやまないのか。ときに苛烈に呪詛や祈願を込め、ときに諸共に舞い踊るのか──。 古今の怪談文芸において、変わることなく重要なモチーフとなってきた「人形/ヒトカタ」の恐怖と魅惑に、『幽』ではさまざまな角度から肉迫いたします。特集内では、山岸凉子氏のインタビューをはじめ、グラビアでは中川多里の人形写真と皆川博子の書き下ろし掌編による豪華コラボ企画や、人形作家の百鬼ゆめひな氏のインタビューも掲載。 他、有栖川有栖、山白朝子、恒川光太郎、福澤徹三、安曇潤平、諸星大二郎、高橋葉介、柴門ふみ、押切蓮介など、小説、実話、漫画人気連載、インタビュー多数。
東京オリンピック開幕前後、六十六歳の松坂熊吾は金策に窮していた。大阪中古車センターをオープンさせるも、別れたはずの愛人・博美との関係を復活させ、それが妻・房江に知られ、高校生になった息子・伸仁にも責められ、熊吾は家を出ざるを得なくなる。糖尿病は悪化し、大怪我を負い、さらに会社の不振が続く。熊吾の運は尽きたのか。そして、心を痛めた房江はついに…。執筆三十五年、ついに次作・第九部で完結。
親愛なるどうぶつたちへ。きみたちみんなをぼくの家に招待します。……でも、誰も来なくてもだいじょうぶです。ある日、自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたつ。さっそく招待状を書き始めるが、手紙を送る勇気が出ない。もしクマがきたら? カエルがきたら? フクロウがきたら? --臆病で気難しいハリネズミに友だちはできるのか? オランダで最も敬愛される作家による大人のための物語。
大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。
「タスケテ」って思っても味方なんてダレもいないんだ。「クルシイ」って思っても逃げ場なんてドコにもないんだ。誰もかも蔑んだ、アタシをどうしてやりたいの…?ココロがコワレルんだ、アタシはどこへと消えるの…?かにみそPのダークサイドとDeinoワールドの暗黒コラボが満を持してノベル化!
アリッサ・ガードナーにはふたつの悩みがあった。ひとつは、あの『不思議の国のアリス』のモデルだったアリス・リデルの子孫だということ。それをクラスメイトに毎日からかわれてうんざりしていた。もうひとつは、突然虫や花の声が聞こえるようになったこと。自分はおかしいのかもしれないとひとりで悩み続けていた。だがある日、アリッサは入院中の母親から虫たちの声が聞こえるのはアリスにかけられた呪いのせいだと教えられる。呪いを解くために不思議の国へ旅立ったアリッサ。だがそこはキャロルの本とは違い、耳のような骨がある小人の白ウサギ、彼女を食べようとする花のゾンビなど、不気味な生き物だらけの悪夢のような世界だったー!
不思議の国へやってきたアリッサが出逢ったのは、不気味な生き物たちだけではなかった。幼い頃から知っていたはずなのになぜか存在を忘れていた、翼を持つ青年モーフィアスと再会したのだ。アリス・リデルの呪いを解くには、彼女が不思議の国で巻きこした混乱を元に戻さなくてはいけないとモーフィアスから教えられたアリッサはいくつもの試練に挑む。眠りについたお茶会の出席者たちを目覚めさせ、チェシャ猫の魂を探し…。そして、最後にアリッサを待ち受けていたものはー。奇妙な世界観で紡がれた、ダークで美しい、もうひとつの『不思議の国のアリス』。
将軍家と縁続きである“葵の若”こと勝田慎之助は、直心影流小太刀の遣い手ながら、父の死により寺の住職となっていた。が、突然、「上様をお守りせよ」との予期せぬ命を拝する事態にー。諸藩をも巻き込み、将軍の座を狙う御三卿の田安宗武と一橋宗尹。“公人朝夕人”の後見人となった慎之助は御側御用取次の大岡忠光、九代家重を陰で警固する葛西衆らとともに天下の大乱を防げるのか!?
名同心の父をもつ植草平助は、もらい泣きをするほど人が良いが、立身出世に興味なく、とにかく厄介事は御免蒙りたい、一風変わった定町廻りの見習い同心。なんとしても手柄を立てさせ、ゆるい主人を小馬鹿にする同僚どもを見返したいと機をうかがう小者の佐吉におだてられつつ、今日も市中見廻りならぬ、寄席廻りに精を出す。そんなふたりに、ある日とうとう不思議な殺しが降りかかり…。
将軍家綱は家光十三回忌のため日光に向かう。次期将軍をめぐる暗闘が激化する最中、危険な道中になるのは必至。老中阿部忠秋は大勢の警固に加え、剣術指南役の小野忠常とその息子織江緋之介に供奉を命じた。死を賭して凶刃を向ける死兵たちとの死闘のゆくえは。そして御免色里・吉原と徳川将軍家の驚愕の因縁が明らかになったとき、緋之介もまた数奇な運命をたどる。シリーズ堂々完結!
「と、鞆の浦へ行きな…」妙な電話を受けた「軽井沢のセンセ」こと作家の内田。それはホテルで知り合った、広島出身の間宮という老人の声に似ていた。ところが間宮が翌朝から行方不明に!知り合いの浅見光彦に助けを求め、駆けつけてもらう。しかし間宮は戻ってきたのだ。内田の知らない別人の姿で!四日後、殺人事件が鞆の浦で起こり、浅見は現場へ向かう。著者登場の旅情ミステリ。
音無黙兵衛は初美を護るために中山道を往く。しかし敵に囲まれてしまい、僧兵と共に籠城戦を決意した。復讐の火を灯す横山佐十郎、伊賀者の忍ら難敵が次々と黙兵衛に襲いかかる!謎に包まれた初美の過去が明らかとなる中、それでも黙兵衛は初美を護りきることができるのか。因縁の相手・横山佐十郎との対決の刻、迫るー。大人気「無言殺剣」シリーズ第五弾!
上杉景勝の大軍の前に佐々成政は苦吟していた。堅城として名高い富山城に籠もって上杉家の家老・直江兼続の攻城に対抗するも、わずか四日を以て落ちる。一方、諏訪の真田砦を足がかりとした幸村のもとには、当代一流の武芸者たちが続々集結していた。周囲の徳川領を切り取り勢力を伸ばした真田の去就が、天下の情勢に少なからぬ影響をもつようになった。幸村は甲府に向かって進発した。
北陸新幹線・上越妙高駅の完成記念式典に出席した十津川警部。新幹線開業の功労者である吉岡浩一郎の捜査が目的だった。吉岡は戦時中、航空機の開発に携わり、戦後は国鉄に勤務していたが、十年前東京・青梅の山中で殺されたのだ!故郷の柏崎では、吉岡を悪くいう者は皆無。そんな折り、吉岡の孫娘が、遺品の中から見つけた一枚の写真を持ってきたことから事件は予想外の展開を…。