2016年発売
裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用された望月大地。 だが、採用されてから任官するまでの二年間ーー養成課程研修のあいだ、修習生は家庭調査官補・通称“カンポちゃん”と呼ばれる。 試験に合格した二人の同期とともに、九州の県庁所在地にある福森家裁に配属された大地は、当初は関係書類の記載や整理を主に行っていたが、今回、はじめて実際の少年事件を扱うことになっていた。 窃盗を犯した少女。ストーカー事案で逮捕された高校生。一見幸せそうに見えた夫婦。親権を争う父と母のどちらに着いていっていいのかわからない少年。 心を開かない相談者たちを相手に、彼は真実に辿り着き、手を差し伸べることができるのかーー 彼らの未来のため、悩み、成長する「カンポちゃん」の物語。
王都からクリモニアに戻ったユナは、パンとプリンのレストラン「くまさんの憩いの店」をオープン。順調なお店に暇をもてあましたユナは海に行こうと一念発起。だけどそこは、トラブルメーカーのユナ。行き着いた港町は、海の魔物クラーケンによる被害が。米、味噌、醤油を手に入れるため、ユナは今日も戦う!!
死の伝染病に侵された村を救ったことで聖女とあがめられるようになったエリカは、魔法石をめぐる争いに巻き込まれていく。困難を乗りこえる内に初恋のギデオンへの思いを断ち切り、新しい恋に気づいて…。恋と魔法のロマンチックストーリーついに完結。結婚式とその後の日常も描かれた特別書き下ろし収録!感動のフィナーレ!!!
遺稿から発見された初期の重要作 ウド・ベルガーはウォーゲーム(戦争ゲーム)のドイツ・チャンピオン。恋人のインゲボルクと初めてのバカンスを共に過ごすため、カタルーニャの海岸地方を訪れた。ここで第二次世界大戦をモデルにしたゲーム〈第三帝国〉の新たな戦法についての記事を書こうとしている。 二人は近くのホテルに滞在中のドイツ人カップル、チャーリー(カール)とハンナと出会い、〈狼〉、〈子羊〉、〈火傷〉という地元の若者と知り合う。記事が捗らないまま日々が過ぎ、ある日、サーフィンの最中にチャーリーが行方不明になる。夏が終わりに近づくがチャーリーはいっこうに見つからず、ハンナ、そしてインゲボルクはドイツに帰国する。ウドはなおもホテルに留まり、ホテルのオーナー夫人、フラウ・エルゼに言い寄りながら、〈火傷〉を相手に〈第三帝国〉をプレイし続ける。ウド率いるドイツ軍の敗色が濃厚になるなか、現実を侵食しつつあるゲームの勝敗の行方は……。 1989年に書かれた本書は、作家の遺稿の中から発見され、2010年に刊行された。日記風の体裁や、現実と虚構の中で得体の知れない暴力や恐怖に追い詰められていく点で、後年の『野生の探偵たち』や『2666』の要素を先取りする初期の重要作。
本書は、ノーベル賞作家マリオ・バルガス・リョサが高く評価する日系ペルー人作家、フェルナンド・イワサキの本邦初訳作品である。中世南米ペルー副王領の首都リマで、異端審問沙汰となった性にまつわる数々の珍事件を、一七の短編に再構成した異色の作品集だ。 異端審問といえば、一般には拷問・迫害・蒙昧主義のイメージが色濃く、芸術性やユーモアと結びつけた作品はほとんど見当たらない。しかし著者は、人間性に対する鋭い洞察とみごとな筆致で、凄惨な歴史を極上の文学作品に精錬した。好色な聴罪司祭、悪魔に憑かれた修道女、男色司教に淫らな女性信者たち……?のような本当の話を裁判記録から精選し、軽妙な読み物に仕立て、読者を抱腹絶倒させることに成功している。罪を逃れようと屁理屈を並べる被告人、困惑した異端審問官たちが下す牽強付会の判決、書記が性的要素を隠そうとするあまり、かえってその淫靡さが際立たってしまった調書の文言……読みながら思わず笑いが漏れるとともに、一抹の物悲しさがよぎる。被告の多くは結局重い罰を科され、不遇のうちに人生を終えるからだ。果たして彼ら彼女らの罪は?神なのか、それとも人として自然な肉欲を隠さなかったことで俗世の権威と秩序を侵したことなのか。諧謔に満ちた物語が、いまなお温存されるカトリック社会の欺瞞を鋭く照らしだす。 バルガス・リョサは、本書に寄せた「序文」で次のように述べる。「本書の魅力あふれる(ときに残酷な)物語は、リマ社会の裏に息づく官能と肉欲の炎を示してくれる。その炎は偏見や禁忌、迫害に抑えつけられたがために、かえって燦然と燃えあがったとも言える」。 著者フェルナンド・イワサキは、二〇一五年にスペイン王室も主催に名を連ねるドン・キホーテ・ジャーナリズム賞を受賞したこともあって、近年世界的に評価が高まりつつある。またこれまでに数回来日、作家逢坂剛氏との対談や東京大学での講演を行っている。ラテンアメリカ文学の次なる名手をお探しの読書家に、自信をもってお薦めする。(やえがし・かつひこ やえがし・ゆきこ/翻訳家) 序文:マリオ・バルガス・リョサ ★巻頭推薦文:筒井康隆
「ぼくはきみが憎い」マットの緑色の瞳がぎらりと光った。「きみに、ぼくが味わったのと同じ苦しみを味わわせてやる」憎しみに満ちた義兄の言葉に、フランセスカは震えあがった。ロンドンからはるばるカリブ海までやってきたのに、8年ぶりの邂逅はぞっとするほど残酷で、禍々しい。フランセスカは、静かに悲しみにうち沈んだ。8年前のあの夜、たしかに義兄と義妹は過ちを犯した。だがあれはもう、過去の記憶に埋めたのではなかったのか。フランセスの脳裏に、15歳の禁断の夜がありありと甦った。
世界的に名だたるトレジャーハンター、ファーゴ夫妻。二人は地球温暖化の氷河への影響を調べるため、北極圏へ調査に訪れた。作業は順調に進んでいたが、ある地点で磁気探知機が激しい反応を示した。氷の下に、自然ではありえない巨大な人工物があるのだ。氷の層を掘り進むうち、木造の物体が見えてくる。やがて目の前に全貌を現わしたものは、中世の北欧ヴァイキングが使っていたロングシップと呼ばれる木造船だった。しかも長いあいだ氷の中にあったため、船はほぼ完全な状態で保存されていた!
北極圏の氷の下から姿を現わしたヴァイキング船。その船内からは、驚くべき積み荷が発見される。それはヨーロッパのものではなく、アメリカ大陸のものと思われる遺物ーアステカやマヤなど、中米の滅び去った文明の品々だった。ヴァイキングは、アメリカ大陸と交流があったのか?調査を進めるファーゴ夫妻は、メキシコで栄えた都市国家トルテカの存在にたどり着く。だがそこには、二人への復讐に燃える仇敵の罠が迫っていた!葬られた歴史の謎を解き明かす、巨匠の歴史冒険ミステリー。
ふたつ目の星を求めて仲間たちとカプリ島へ向かったアニカ。人魚である自分が陸に留まることのできる時間はあと僅かだと悟った彼女は、ソーヤーへの恋心に身を焦がしていた。一方ソーヤーは、お転婆で純真なアニカを眩しく思いながらも、心を動かされないよう自分を戒めてしまう。宿敵の女神ネレイザが新たな武器を解き放ち、星探しをめぐる戦いが苛烈さを増していく中、ふたりの距離は急速に近づいていくのだが…。“幸運の星”を守る使命を負った勇者たちの愛と闘いの物語、待望の第二弾!
〈問題の多い料理店、本日開店いたします!〉 唯我独尊の変人カメラマンと、巻き込まれ体質の元編集者、男二人の無謀な挑戦の行方は!? 笑いと感動で心を満たす、最高の料理&成長小説!! 出版社勤務の柳楽尚登(27)は、社命で足を運んだ吉祥寺の家族経営の立ち飲み屋が、自分の新しい職場だと知り愕然とする。料理上手で調理師免許も持っているし、という理由で料理人として斡旋されたのだ。しかも長男で“ぐるぐる”モチーフを偏愛する写真家・雨野秋彦(28)は、店の無謀なリニューアルを推し進め、前代未聞のエスカルゴ料理店〈スパイラル〉を立ち上げようとしていた。 彼の妹・梓の「上手く行くわけないじゃん」という嘲笑、看板娘・剛さんの「来ないで」という請願、そして三重の養殖場で味わう“本物のエスカルゴ”……。嵐のような出来事の連続に、律儀な尚登の思考はぐるぐるの螺旋形を描く。 心の支えは伊勢で出逢った、フランス女優ソフィー・マルソー似のうどん屋の娘・桜だが、尚登の実家は“宿敵”、讃岐のうどん屋でーー。 「いざという時は必ず訪れる。その時には踊れ」 真剣すぎて滑稽で、心配でつい目が離せない。凸凹義兄弟、ちっぽけで壮大な“食”の軌跡。 一気読み間違いなしの、痛快エンタメ作!! ★太鼓判! 津原泰水の料理を描く筆致は3D。味を伝える技巧は活字世界の美味しんぼなのである。 ーー豊崎由美氏(書評家)/「本の旅人」2016年8月号より 帯イラスト/松苗あけみ プロローグ 壱 1 フレンチトーストの夜 2 モツ煮込みの匂い 3 シビレに痺れ 4 冷蔵庫の名はグレー 5 油雑巾とは 6 ヘリックス・ポマティア 7 伊勢うどんに転ぶ 弐 1 エスコフィエのレシピ 2 八角とキツネ 3 おつまみ三種盛り 4 なにかグラタンのような 5 エスカルゴうどん 6 ウドネスカルゴへ 7 チーズに蜂蜜 参 1 美しきアーモンド形の 2 酒豪に捧げる天津飯 3 葱ぬたと日本酒 4 チキンラーメン三昧 5 稲庭の威力 6 磊磊なる料理たち 7 エスカルゴ尽くし エピローグ
京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われたテープとまったく同じものだった。「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは。渾身の長編小説。 「週刊文春」ミステリーベスト10 2016国内部門第1位! 第7回山田風太郎賞受賞作。 朝日新聞「天声人語」など各種メディアで紹介。 逃げ続けることが、人生だった。 家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。 「これは、自分の声だ」 京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだったーー。 未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。 圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読! 本年度最高の長編小説。 昭和最大の未解決事件ー「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとはーー。 気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。 プロローグ 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 第七章 エピローグ
最愛の父、祖父、許婚が殺された。幸せな家庭を築くという少女時代の淡い夢を無惨に叩き壊された女が選んだ道。それは男(直虎)となって愛する男達が作った「井伊家」を守り、繁栄させることだった!そして、直虎に見守られ小牧・長久手の戦い、関ヶ原大戦で活躍し、家康の天下取りを支えた名将・井伊直政。二人の奮闘の軌跡を描く長編小説。
過酷な労働を強いられ、辞めることもできない。若者を使い潰すブラック経営者に、Gボーイズが怒りの声をあげる!多くの飲食店を経営するOKグループが若者を使い潰す方法は、“憲兵”が脅し、“腐った五人”が痛めつけること。池袋にはびこるブラック企業に、マコトとタカシが立ち向かう。
リアルすぎる公安警察vs巨悪 シリーズ第8弾! パナマ文書と闇社会、日本の「聖地」で発生した事件。からまる糸が一筋になったとき青山望ら公安警察は「国家の敵」とどう対峙する。