2017年10月12日発売
破天荒に生きた父に捧ぐ! 「金スマ」2時間スペシャルで大反響を呼んだ父と娘の感涙の物語 野沢直子さんの父親ほど破天荒で魅力溢れる人物がほかにいるでしょうか。 まったく奇抜なアイディアで事業を成功させたり、完全に失敗したりを繰り返し、愛人 をあちらこちらに持つ父。しかし家族のことは大切にしていました。その父が死に、通帳 には千円の残高しかなかったのでした。 父には一生背負わなければならなかったある経験がありました。それらの秘密や、家族 の大切な記憶が徐々にひもとかれていきます。野沢さんの祖父は、直木賞候補と目された 作家、陸直次郎。一家を支える三味線の師匠である祖母と、夫を信じ、愛人との駆け落ち も受け入れる母。叔父に声優の野沢那智氏。 事業を手掛けては失敗する父と、成功を信じて疑わない母。その間で、野沢さんは懸 命に「お笑いの道」を目指します。ところが母親の死後、韓国人の隠し子が現れ、最後の 章では、誰もが仰天するあらたな出会いが待っています。 「文藝芸人」(文春ムック)掲載時に、読者から「リリー・フランキー『東京タワー』 に匹敵する親子愛の名作」と絶賛された作品に、格闘家デビューした長女、野沢・真珠オ ークライヤーと激しく争った子育ての日々などを、大幅に加筆しました。懸命に生きる野 沢家の人々の姿は、可笑しくてせつなくていとおしい。全編笑いに包まれながら、涙をな くして読むことができない本書は、小説を越えた小説と言えるでしょう。野沢直子さんは やはり並の人間ではなかった!
東京青梅で発見された会社役員の他殺体は、奇妙なことに虚無僧姿だった。事件に遭遇した浅見光彦は、尺八名人の被害者が名曲「滝落之曲」だけは一度も吹かなかったことに疑問を抱く。かつて暮らしていた修善寺由縁の曲をなぜ?現地へ向かった浅見は、事件当日修善寺でも虚無僧が目撃されていたことを知る。青梅の殺人との関連は?やがて被害者の残した謎の言葉が浮上する!
ピアノ調律師の一藤麻衣子には、秘密があった。愛媛の山奥にある七富利村で過ごした少女時代、村がダムに沈む直前の村長であった伯父日出夫の無惨な死体を、麻衣子は目撃したのだ。その肩には、くっきりと十字の印が焼きついていた…。それは村人が噂する隠れキリシタンの祟りなのか?深い水底に沈んだ村から二転三転して真実が浮かび上がる、戦慄のミステリ。
土地取引に絡んで辣腕を揮う弁護士西城昌一は、廃園と土地売却を目論む幼稚園長の代理人として、存続運動を行なう教師や父母と対することに。だが、相手側弁護士となったのは、かつての恋人藤枝みずえだった。立ちはだかるみずえの前に廃園計画は暗礁に。そんな折、過去に西城が担当し無罪を勝ち取った事件を追う刑事が姿を消すー。西城がひた隠す真相とは?
“アイドルを嫁にしたい”役場の杉井は、村の権力者巴山を丸め込み、自ら育てたアイドルをデビューさせるため、のど自慢大会を開催した。だが大会中、巴山が死体で発見された!事故か殺人か。捜査が進む中、別件で巴山を訪ねてきた東京の刑事は“殺し屋”の犯行を疑う。なぜ殺し屋が村に!?そこには村が隠し続けた禁忌が…雪深き山村で起こる前代未聞の大事件!
「雪の形をどうしても確かめたくー」下総古河藩の物書見習・小松尚七は、学問への情熱を買われ御目見以下の身分から藩主の若君の御学問相手となった。尚七を取り立てた重臣・鷹見忠常とともに嬉々として蘭学者たちと交流し、様々な雪の結晶を記録していく尚七。だが、やがて忠常が蘭学を政に利用していることに気付き…。蘭学を通して尚七が見た世界とはー。
須崎槇之輔は、元は信州須崎藩の世継ぎだったが、父の起こした刃傷沙汰の咎により、大和鴻上藩に「預」となってしまった。不遇をかこつこと五年。槇之輔は冷水を買う銭も惜しみ、趣味の狩猟と料理で無聊を慰めていた。そんな折、父の仇・城島家に再興の目が出ると、須崎家旧臣の一部が「城島、討つべし」と息巻き始めた!悩める若様に、御家再興の途はあるのか?
お園が、江戸に帰ってきた。だがその矢先、お園を待っていたのは、店の危機だった。近所にできた京料理屋“山源”に、留守にしている間に客を根こそぎとられてしまったのだ。しかも“山源”の板長・勘市は、「お客の心を癒すための料理」というお園の考えを強く否定した。だが、信念を曲げないお園は、お客と自らをも救う一品を作り出す。優しさ溢れる人情料理帖。
島原の乱の生き残りで、天草四郎の力を継いだ“聖騎士”寅太郎たち。切支丹の世を目指す中、弾圧の首魁天海を打ち倒したが、それでも幕府の磐石な体制は揺るがなかった。そんな中で出会った、軍学者由井正雪。正雪は世の中から零れた浪人を纏め、新しい世を作るというのだがー。力なき弱者は、強者に消されゆくしかないのか。あくなき希望を繋ぐ、大河歴史伝奇。
秋から春の間、近在より江戸に出稼ぎにくるものを“椋鳥”と呼ぶ。そんな出稼ぎ人足喜助の娘ふみが口入屋『萬屋』を訪ねてきた。父親が郷里の常陸に帰ってこないのだという。素浪人矢吹平八郎は、健気なふみに胸を打たれ、父親捜しを引き受ける。道中を尋ね歩くと、馬に頭を蹴られ傷を負った男の噂を聞く。やっと見つけた喜助は記憶を失い、別の所帯を持っていたー(「冬椋鳥」)
神紅大学ミステリ愛好会に所属する葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究会の夏合宿に興味を抱き、同じ大学に在席する美貌の探偵、剣崎比留子と共に紫静荘を訪ねた。“曰く”など気にする風もない部員たちは、肝試しと称し神社に赴くが、想像を絶する異常事態に遭遇し紫静荘に立て籠もることを余儀なくされる。緊張と混乱が続くなか一夜明けると、部員の一人が惨殺死体となって発見される。それは連続殺人の序章に過ぎなかったーー。究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?! 奇想と本格が見事に融合する選考員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!
絵画誘拐を成功させた老人犯罪一味の面々。ほとぼりが冷めるまでと。ラスベガスでカジノ三昧の日々を送っていたが、さすがに故郷が恋しくなってきた。国の福祉の皺寄せを受けている老人たちのための資金は、まだまだ足りない。メッタをリーダーとする五人の団員は新たな犯罪に着手すべく、再びスウェーデンに。だが新たに入手したアジトの隣は、バイク族の巣窟だった。五人で合計四百歳、老人たちの痛快な活躍を描くシリーズ第二弾。
みさき書房の編集者として新潮社を訪ねた《私》は新潮文庫の復刻を手に取り、巻末の刊行案内に「ピエルロチ」の名を見つけた。たちまち連想が連想を呼ぶ。卒論のテーマだった芥川と菊池寛、芥川の「舞踏会」を評する江藤淳と三島由紀夫……本から本へ、《私》の探求はとどまるところを知らない。太宰が愛用した辞書は何だったのかと遠方にも足を延ばす。そのゆくたてに耳を傾けてくれる噺家。そう、やはり「円紫さんのおかげで、本の旅が続けられる」のだ……。《円紫さんと私》シリーズ最新刊、文庫化。
公園で見つかった70年代のディスコ全盛期の服装をした老人の死体。現場を調べていた刑事マイケルは、側に妖精がいることに気づく。その妖精によると、新しい女王の命を受けた部下たちが、人間と、女王に忠誠を誓うことを拒んだ妖精を追放しているのだという。だが、新たな女王ソフィーがそんなことをするはずはない。妖精界で何が起きているのか?マイケルはソフィーと共に妖精界に乗りこむ。〈(株)魔法製作所〉の著者の新シリーズ。
川上弘美さんの最新刊は、長らく待ち望まれていた恋愛と結婚を描いた長編小説。500ページ超えも一気読み必至の傑作です。 主人公は1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。このパラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。それは読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれませんし、留津とルツの恋人や夫も読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれません。 主人公の2人のように「いつかは通る道」を見失った世代の女性たちのゆくてには無数の岐路があり、選択がなされます。選ぶ。判断する。突き進む。後悔する。また選ぶ。進学、就職、仕事か結婚か、子供を生むか……そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、留津とルツの人生にもたらしたものとは、はたしてーー 道は何本にも分かれて、つながっていて、いつの間にか迷って、帰れなくなって……だからこそ「人生という森は深く、愉悦に満ちている」。 装画と挿画はファッションブランド「ミナ ペルホネン」の皆川明さんが手がけています。 たくらみに満ちた造本にもご注目ください。 一九六六年 〜 二〇二七年
澤田三智子は高潮物産の契約社員。現在はシャンパンのキャンペーン企画チームに所属しているが、会議が停滞してうまくいかない。そこに現れたのが黒川敦子女史、懐かしのアッコさんだった。会議に出すアフタヌーンティーを用意して三智子の会社に五日間通うと言い出した。不安に思う三智子だったが…!?表題作はじめ、全4編を収録。読めば元気になるビタミン小説、シリーズ第二弾!
就職活動の傍ら、スポーツクラブに入会した知章。会員の女性たちから、近隣で起きている猫の虐待について調べてほしいと頼まれる。現場を探ってみると、思いもよらぬ事件が。真相究明に一役買ったのは、四元さんという会員の女性だった。その後、猫がらみで騒動を引き起こす彼女に振り回される知章。四元さんが猫に強くこだわる理由は何なのか?知章は無事に就職できるのか?かつてない新たな味わいの巻き込まれ型ミステリー!