2017年10月発売
中国軍が南沙に建設した滑走路が一晩で消滅した。怒る中国はフィリピン軍、その背後に米軍の関与を疑うが、偶然見つかった当時の映像には驚くべきものが映し出されていた。それは、滑走路を攻撃するある戦艦の姿ーしかも日本人なら誰もが知る、だが絶対に“存在しない”戦艦だ。調査を命じられた特殊部隊“サイレント・コア”が見たものは?
南沙に現れ、次々と中国軍を襲撃していた敵戦艦に乗り込んだ“サイレント・コア”司馬三佐たちは、その正体を知る。彼らは、並行世界に存在するーそれも、太平洋戦争を回避したことで、経済力と科学技術を数倍発達させた日本からやってきた者たちだったのだ。なぜ、こちらの世界に干渉してきたのか?歴史を変えかねないこの戦いの行方はー。
中学生の重光ゆかりは、元暴力団組長の九鬼直正からアドバイスを受け、いじめっ子らに立ち向かう。数日後、そのうちの一人が丹沢山中で死体となって見つかった。いじめの報復を疑われたゆかりのため、九鬼は真犯人を探す。一方、政財界の黒幕が殺された事件の真相を追う棟居刑事。二つの事件は、次第にひとつに繋がってー。
テレビの経済コメンテーターとしても活躍する大学教授の三崎皓子は、「昔の男」矢木沢からの20年ぶりの電話をきっかけに、政界へ入ることになる。民間人として金融担当大臣を務めた後、故郷・京都で選挙を戦って参議院議員にトップ当選。山城総理から官房長官に抜擢される。しかし、この活躍を快く思わない古老たちが裏で結託し、皓子を陥れようとして……。選挙活動中に死去した父との因縁、矢木沢の奇怪な行動、そしてある日、山城総理が倒れるーー。権力、欲望、嫉妬が渦巻く永田町。皓子は“生贄”となってしまうのか、それとも“ジャンヌ・ダルク”になれるのか?
偶然出会った出張料理人・仁さんの才能と見た目に魅了された山田澄香、三十二歳。思い切って派遣を辞め、助手として働きだすがーー。恋愛できない女子と寡黙なイケメン料理人、二人三脚のゆくえとは? カバーイラスト 八つ森佳 『出張料理おりおり堂』を加筆修正のうえ、文庫化
無気力に生きるケータリング業者の水島健一。先輩の忠告も、派遣先で問われる不可解な薬の存在も軽く受け流してきたのだが、ある少年と出会い、それらと真面目にかかわらざるを得なくなるーー。少年が最後に下した決断に、水島はどう向き合うのか! 傑作感動長篇。
侯爵との婚約を破棄してひとりで生きる決心をしたクリオは、侯爵の弟レイフから同意を得ようとする。だがレイフは彼女を思いとどまらせようと、豪華な結婚式のプランを立て始め……禁断の恋の行方は!?
榎本佐和子は、平凡な専業主婦だったがパート感覚でフードコーディネーターの友人を手伝ううちに、料理研究家としてレシピ本を出版する。本は大ヒットし、佐和子は周りに祭り上げられるまま憧れの女性の地位をものにした。変わっていく金銭感覚、ふるまい、人柄に昔から佐和子を知っている人たちは、戸惑い始める。彼女を見ていると心がざわつくのだ。その理由は、単なる妬みなのか何なのか。きっと誰しも抱いたことのある微妙な感情を描き出す連作短編集。
現代ーー。あやかし達だって、悩みながらも一生懸命、生きています。 ■あらすじ 配置薬販売のニワトコ薬局No.1販売員の河野遥河(かわのはるか)は、容姿端麗、物腰柔らかで女性社員から大人気。 だが大きな秘密がある。それは真の姿が「河童」だということ。 河野の顧客はクーラーで冷え症になった雪女や、ゲームにハマりドライアイになった山神など、現代病に悩む「物の怪」。 河野は彼らに薬を届ける傍ら、悩みを聞いているのだが、口々に語られるのは人間との切なく悲しい過去でーー。 くすっと笑えて、じーんと考えさせられる、現代を生きるあやかし達の物語。 ※懸場帖……かけばちょう。配置薬の販売員が持つ台帳のこと。薬を置いてもらっている顧客情報が書かれている。
潴水地の底に消えた谷中村。その地で育ったチヨとユウ、部落の総代から土地買収員となった男の妻トシ、田中正造の妻・勝子。そして正造の死後もひとり旧谷中村への援助を続けた婦人解放運動の先駆者・福田英子。足尾銅山鉱毒事件にかかわり、人生を変えられた女たちを描く、書き下ろし長篇小説。 第一章 チヨ 第二章 ユウ 第三章 トシ 第四章 勝子 参考文献 あとがき
「群像」編集長を務めたのち作家に転身、泉鏡花賞を受賞、芥川賞の候補となり、2015年に逝去した辻章の著作集全6巻、刊行開始!第一作品集『逆羽』、第二作品集『この世のこと』、芥川賞候補作「青山」所収。
天才画家の祖母と、生活力皆無な女優の母と暮らす女子高生、天本有里。母の所属する演劇に出演中、目の前で母の代役の女優が殺された。次いで劇団の別の女優が狙われ、有里は次第に一連の事件に巻き込まれることに。さらに、有里の通う高校では、事務長に何やら秘密がありそうで…。皆が皆、怪しすぎ!信じられるのは三人だけ。かしまし女三世代が“絆”を武器に真犯人を追う!?
二〇六〇年、三度目のオリンピック開催が迫る東京で、人型ロボットを使った国家的極秘プロジェクトが進んでいた。プロジェクトメンバーの健は、幼なじみで同僚の陽一郎、そして彼の妹の咲に助けられながら奮闘する。ところが、咲の勤務先にテロ予告が届き事態は急変した。目的を達するために、はてしなく暴走する研究者の狂気。はたして健は、テロを防ぎ、想いを寄せる咲を守れるのか?そしてラストに待ち受ける衝撃と、涙の結末は?男の打った最後の一手が、開けてはいけない扉を開ける!
高名な博物学者で牧師のサンダース師による世紀の大発見。だがそれが捏造だという噂が流れ、一家は世間の目を逃れるようにヴェイン島へ移住する。だが噂は島にも追いかけてきた。そんななかサンダース師が謎の死を遂げる。自殺ならば大罪だ。密かに博物学者を志す娘のフェイスは、父の死因に疑問を抱く。奇妙な父の手記。嘘を養分に育ち、真実を見せる実をつける不思議な木。フェイスは真相を暴くことができるのか? コスタ賞受賞。
三軒茶屋から世田谷線で数駅、裏路地にひっそりと佇む『藤屋質店』の特徴は、今どきの高級ブランド品だけでなく、骨董の類いが持ち込まれる機会の多いことだ。店主の健三郎がかつて骨董店にいたことがその理由である。そのため、涼子が美術館の学芸員の仕事を辞め見習いで入った時から、質屋の商いで持ち込まれる宝飾品やブランド品に加え、骨董類についても対応できるようにと、様々な品物について勉強させられている。ひとりで接客する際は、その成果をいやでも試されるのだが、それは涼子の前職での経験と似ていた。目利きの元学芸員が織りなす優美な連作ミステリ。
風力発電施設建設会社のビルの中で、夜警の死体が見つかった。ビルには何者かが不法侵入した形跡が。奇妙なことに、社長室の机の上になぜかハムスターの死骸が残されていた。一体何を意味しているのか? 風力発電の利権にからむ容疑者が次々と浮かびあがり、さらに第二の殺人が。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか。人々の欲望と巨大な陰謀に?み込まれる刑事オリヴァーとピア。ドイツNO.1警察小説シリーズ最新作!
内気な性格に悩む中学生の千鶴は、自身を変えるための新しい挑戦として、“憧れの国”と呼ばれる四谷のカルチャーセンターに通い始める。そこで出会ったのは、性格も学校もばらばらだけれど、似たような悩みを抱える桃、真紀、公子。なぜかいつも講座でささやかな謎に遭遇する彼女たちは、時にぶつかり合い、時に支え合いながら、事件を通して内面を見つめ直していく……。芸術講座で聞いた、死の間際に骨董コレクターが取った不可解な行動。創作講座で絶賛された作者不明の原稿。不思議な謎を解き明かしていくたびに、少女たちは成長する。温かく優しい筆致で描いた青春ミステリ第2弾。
飛行船が行き交い、甲冑型の蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。ゴールドラッシュに沸くこの街で、カレンは高級娼館で働いている。そこへある晩、町の悪辣な有力者の元から少女プリヤが逃げ込んでくる。プリヤに一目ぼれしたカレンは彼女を守ろうとするが、町には娼婦を狙う連続殺人鬼も現われ、さらに隣国の侵攻の噂も。カレンは蒸気駆動の甲冑型ミシンを身にまとって立ち向かうーーヒューゴー賞作家が放つ傑作冒険SF!