2017年12月発売
泥酔すると豹変して寺の鈴緒にぶら下がる男、露天で買った亀の甲羅に息子が閉じ込められ半狂乱となる父、自らの水子の霊に祟られて大好物の饅頭を絶ち供養する飯盛女、小塚原刑場に曝される生首女の口を吸う男…そこはかとない怖気と滑稽さが背筋を摩る大凶評江戸寄譚、努涛の33連発。
次々と教団幹部が逮捕され、自白を始めた。そしてついに教祖・阿佐川公照がーーカルマ真仙教と公安警察の戦いを描いた全三作、完結! 第一章 幹部の供述 第二章 Xデー 第三章 捜査情報漏洩 最終章 最後の逃亡犯──再び、あの公園へ
九州の秘境にある集落を、大手テレビ局のドキュメンタリー番組で取材することになった森カオル。なぜか伊集院大介は同行を申し出る。鬼の子孫を自称し伝説と因習に生きる住民と、やらせ体質の強いテレビスタッフが対立するうち次々と犠牲者が。不可解な連続殺人の謎に伊集院大介が挑む、探偵小説の傑作!
児童誘拐殺害事件で大誤報を打ち、中央新聞社会部を追われ、支局に飛ばされた関口豪太郎。あれから7年。埼玉東部で、小学生の女児を狙った連れ去り未遂事件が発生。犯人は二人いたとの証言から、豪太郎の脳裏に”あのとき”の疑念がよぎる。終わったはずの事件が再び動き出す。<第38回吉川英治文学新人賞受賞作> 児童誘拐殺害事件で大誤報を打ち、中 央新聞社会部を追われ、支局に飛ば された関口豪太郎。あれから7年。埼玉 東部で、小学生の女児を狙った連れ去り未 遂事件が発生。犯人は二人いたとの証言 から、豪太郎の脳裏に”あのとき”の疑念が よぎる。終わったはずの事件が再び動き出 す。<第38回吉川英治文学新人賞受賞作>
「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶーーという手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。著者の転機となった記念碑的作品。長く心に残る傑作! 第一部 西村悠史の手記 第二部 余波 第三部 再調査I 第四部 再調査II 第五部 真相 文庫版あとがき 新装版への付記
元治2年(1865)、清太郎の師匠・三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた花形絵師だった。歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。弔問客たちの関心はそのことに集中した。清太郎には八十八という弟弟子がいる。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。己が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがないのに。──時代のうねりに、絵師たちはどう抗ったのか! 元治2年(1865)如月、清太郎の師匠で、義父でもある三代豊国の七七日法要が営まれる。三代は当代きっての花形絵師。歌川広重、歌川国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた。すでに広重、国芳を亡くし、歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。版元や絵師、公演者たちなど集まった弔問客たちの関心はそのことに集中した。清太郎には義弟の久太郎と、弟弟子の八十八がいた。久太郎は清太郎と同じく、門人から婿養子なった弟弟子。そして八十八は、清太郎より歳が一回りも下の弟弟子。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。八十八が弟子入りしてすぐに三代はその才能を認め、挿絵を大抜擢で任せたりしたものだ。かたや清太郎が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがない。その上、版元たちからは、三代の通り名「大坊主」を文字って、「小坊主」と呼ばれる始末。いったい、誰が「豊国」を継げようものか。清太郎は、苦い振る舞い酒を口へ運んだ──黒船騒ぎから12年が経ち、京の都には尊王攘夷の嵐。将軍さまは京に行ったきりと、徳川の世は翳りはじめていた。時代のうねりの中で、絵師たちは何を見、何を描き、何を残そうとしたのか! 一、梅が香の章 二、梅襲の章 三、裏梅の章 四、梅が枝の章 終 章
神君家康の次男秀康の血を引く越前松平家は、幕府にとって格別な藩となる。外様第一の加賀藩にとっては監視される隣藩でもある。藩主前田綱紀のお国入りの際に襲撃しようとしたのは、はたして越前の者なのか? 藩主綱紀と数馬の舅となった宿老本多政長は、数馬を越前福井に向かわせる。わが藩のためにと先走る敵方は、数馬たちの目的を察知し、襲いかかる。使者として登城した数馬は、敵陣包囲の中、血路を開けるか!? 第一章 藩主の不在 第二章 格別な家柄 第三章 長年の確執 第四章 殿中争闘 第五章 獅子身中の虫
定年間近の無気力巡査部長・浦安圭吾に、若き異色のキャリア警視・箱崎ひかりとコンビを組む特命が下る。被害者は全員身元不明、さらに身体の一部が取り除かれていた。真逆の二人が噛み合い始める時、オリンピックで激変した東京湾岸に潜む、国を覆す陰謀の蓋が開く。元警察官僚が喝破するリアル警察小説。
東京都西多摩で、男性のバラバラ死体が発見される。岩楯警部補は、山岳救助隊員・牛久とペアを組み捜査に加わった。捜査会議で、司法解剖医が出した死亡推定月日に、法医昆虫学者の赤堀が異を唱えるが否定される。他方、岩楯と牛久は仙谷村での聞き込みを始め、村で孤立する二つの世帯があることがわかる。息子に犯罪歴があるという中丸家と、父子家庭の一之瀬家だ。──死後経過の謎と、村の怪しい住人たち。残りの遺体はどこに! 東京都西多摩で、男性のバラバラ死体が発見される。岩楯警部補は、山岳救助隊員の牛久とペアを組み捜査に加わった。捜査会議で、司法解剖医が出した死亡推定月日に、法医昆虫学者の赤堀が異を唱えるが否定される。他方、岩楯と牛久は仙谷村での聞き込みを始め、村で孤立する二つの世帯があることがわかる。息子に犯罪歴があるという中丸家と、父子家庭の一之瀬家だ。──死後経過の謎と、村の怪しい住人たち。残りの遺体はどこに! 第一章 水気の多い村 第二章 芳香の巫女 第三章 雨降る音は真実の声 第四章 オニヤンマの復讐 第五章 メビウスの曲面 解説 香山二三郎
亡霊も涙すると評判の琵琶法師・芳一。足利義詮の前で弾き語りを始めるや、尼の霊が出現、義詮が姿を消す。親友を人質に取られた芳一は、義詮を探すよう命じられるが、事件の裏には日の本を揺るがす“北条文書”の存在があった。いつしか芳一は文書をめぐる陰謀にまきこまれることに。痛快歴史ファンタジー!
三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。 表題作他四作を収録。芥川賞受賞作。 三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのようにのたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。 九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。 表題作「九年前の祈り」他、四作を収録。芥川賞受賞作文庫化。 九年前の祈り ウミガメの夜 お見舞い 悪の花
外交官から首相秘書に抜擢された新一は、七つの別人格に苦しむスパイでもあった。その新一が仕える世襲総理・松平定男は、凡庸な極右との前評判を覆し、米大統領も黙らせる名演説で世間の度肝を抜く。しかし、彼の内部にも奇妙な変化が現れて…。二重スパイと暴走総理は、日本の破壊を食い止められるのか?第70回毎日出版文化賞受賞作品。
青春を謳歌していた十六歳のレベッカ・ウィンターが失踪した。十一年後、「行方不明になっていたレベッカは、この私だ」と名乗り出る女が現われた。生還を喜び「私」を迎える家族。しかし、一度たりとも過去を問わない彼らの態度が、逆に「私」を不安に陥れる…。豪州で話題の、背筋も凍るサイコスリラー。
あの「小さな家」の物語は、ここから始まったー。アメリカ開拓時代の少女ローラとその家族を描いた、児童文学傑作シリーズのオリジナル版が、ついに日本語で登場!物語との比較が楽しめるエピソード満載の解説・注釈つき。
ジグ村から王都に帰ってきたネフェルティマたち一行。森鬼も無事家族の一員として迎え入れられた。問題のシアナ計画も、大工組合と宿屋組合の協力が決まったり、魔術研究所の調査が入ったりと、ついに本格的に動き始め、周囲のみんなはとっても忙しそう。ひとり時間を持て余していたネフェルティマは、王宮の竜舎へ赤ちゃん竜を見に繰り出すことに!もふもふなでなでが止まらない、大人気異世界もふもふファンタジー第四弾!
悪役公爵令嬢に転生したエーリカ・アウレリアは、悪霊にとりつかれた公爵令嬢・アンに殺されてしまうという第一の死亡フラグを無事に叩き折った。次に待ち受ける死亡フラグは、王子オーギュストの幻獣に喰われてしまうというもの。次のフラグを回避するために降臨祭でにぎわう王都を訪れたエーリカは、天使と見まごうばかりの美少年と遭遇しー
かつてその世界で“賢者”とまで称されながらも、『魔法戦闘に最適な紋章』を求め未来へと転生したマティアス。マティアスは幸運にも一度目の転生で最強の紋章を手に入れるが、なぜか未来でその紋章は「失格紋」と呼ばれ、蔑みの対象になっていた。魔法戦闘に最適な紋章が「失格紋」扱いされ、魔法理論さえ退化させられていた陰に魔族の陰謀を感じ取ったマティアス。選び抜かれた生徒の集う学園や、王国で魔族対策を司る魔法師団にまで魔族が潜入していたことが露見して、事態は急変する!!マティアスは国王まで巻き込みながら、栄光紋を持つ少女・ルリイや、常魔紋の持ち主アルマ、ドラゴンの少女イリスたちとともに、襲来する魔族を打ち倒していくー!!
小さな大学でマキァヴェリを教える新任の助教が、腐敗した学内政治の闇に直面する『助教横田弘道』と、若きミケランジェロによるダヴィデ像の彫刻で、フィレンツェの新時代を拓こうとするマキァヴェリの奮闘を描く『ダヴィデ像』、二編の書き下ろし短編小説を収録。