2017年1月発売
拓海と啓、雪丸と国実は新潟の田舎町に住むお騒がせ4人組。小学校最後の夏、花火大会の夜に、僕たちは想像を絶するほどの後悔を知ったー。それから20年余り。惨めな遺体が発見され、あの悲劇の夜に封印された謎に、決着をつける時がきた。
「何故、選りにも選って自分が。何故、選りにも選って足を」陸上200m走でオリンピックを狙うアスリート・市ノ瀬沙良を悲劇が襲った。交通事故に巻きこまれ、左足を切断したのだ。加害者である相楽泰輔は幼馴染みであり、沙良は憎悪とやりきれなさでもがき苦しむ。ところが、泰輔は何者かに殺害され、5000万円もの保険金が支払われた。動機を持つ沙良には犯行が不可能であり、捜査にあたる警視庁の犬養刑事は頭を抱える。事件の陰には悪名高い御子柴弁護士の姿がちらつくがー。左足を奪われた女性アスリートはふたたび羽ばたけるのか!?どんでん返しの先に涙のラストが待つ切なさあふれる傑作長編ミステリー。
春風と名乗る花魁の幽霊に取り憑かれた書道一筋の内気な大学生・多摩子。二人で結成した「最強の恋愛アドバイザー」の噂は大学内でますます有名になっていた。そんなある日、思いがけず親友の林檎から「好きなひとが、できました」と打ち明けられる。親友の恋の悩みに、自分自身の恋。そして書道家としての進路に揺れ動く多摩子が最後に選ぶ道は?!恋に迷うすべての人に贈る物語。
最愛の姉の水着が盗まれた事件に、怒りのあまり首を突っ込んだおれ。残された上履きから割り出した容疑者には完璧なアリバイがあった。困ったおれは、昼休みには屋上にいるという、名探偵の誉れ高い蜜柑花子を頼ることに。東京から来た黒縁眼鏡におさげ髪の転校生。無口な彼女が見事な推理で瞬く間に犯人の名を挙げる!鮎川賞作家が爽やかに描く連作ミステリ。文庫オリジナル。
1970年代カンボジア、クメール・ルージュによる不条理な殺戮の地を論理で生き抜いた少年ー第3回SFコンテスト受賞者・小川哲「ゲームの王国」300枚、電子書籍版が話題の草野原々「最後にして最初のアイドル」ほか、黒石邇守、柴田勝家、伏見完、ぼくのりりっくのぼうよみの、20代以下6作家による不世出の作家に捧げるアンソロジー第2弾。
蒸気と狂気と暗雲に包まれた、一九二〇年の帝都東京!怪人二十面相の挑戦を受けた資本主義の獅子・羽柴壮太郎は、かのアルセーヌ・ルパンにすら勝利した伝説の名探偵・明智小五郎を呼び寄せた。しかし彼のもとに現れたのは明智ではなく、恐るべき美貌と眩しいばかりの知性を輝かせる妖しき天才美少年・小林芳雄であった。「僕の知能指数は平常時の明智先生の2倍です。ご存じないかもしれませんが、探偵の能力とは、カラテ段位ではなく知能指数で測るものなのです」猟奇!闇の近代日本を舞台に、爆発寸前のアドレナリンと知能指数が火花を散らし、七つ道具が飛び交う!狂気に次ぐ狂気!変装に次ぐ変装!カラテに次ぐカラテ、帝都の蒸気と闇の中に垣間見る、暗き知性と復讐の炎!嗚呼!誰もがその名を知りながら真実の直視を避けてきた暗黒少年探偵奇譚、今ここに開幕!
焼け跡を生きる、博物学的精神とエロス。中井英夫・吉行淳之介の盟友であり、稲垣足穂・三島由紀夫・澁澤龍彦らの激賞を受けた幻の天才が、『椿實全作品』以降編んだ未収録の秀作群に、未発表の遺稿他を増補した中短篇作品集。没15年記念出版、初版1000部限定ナンバー入。
検事5年目に突入した凛々子が担当するのは女性を狙った凶悪事件。女性として絶対に許せない案件に気合十分で取り調べに挑む。一方で同期・順子の恋愛スキャンダルや父の浮気疑惑、はたまた神蔵守からの突然のプロポーズなどプライベートでは恋の波乱続き!被害者や被疑者と向き合った末に自信を持って決断を下した凛々子だが、大トラブルに発展してしまい!?下町育ちの女検事の成長物語、第2弾!
白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人で博覧強記の男・鑓水と3人で、暗殺者に追われながら事件の真相を追う。
修司と相馬、鑓水の3人は通り魔事件の裏に、巨大企業・タイタスと与党の重鎮政治家の存在を掴む。そこに浮かび上がる乳幼児の奇病。暗殺者の手が迫る中、3人は幾重にも絡んだ謎を解き、ついに事件の核心を握る人物「佐々木邦夫」にたどり着く。乳幼児たちの人生を破壊し、通り魔事件を起こした真の犯罪者は誰なのか。佐々木邦夫が企てた周到な犯罪と、その驚くべき目的を知った時、3人は一発逆転の賭けに打って出る。
藩財政改革の立役者と筆頭家老の対立が続く芸州藩の御家騒動に風神一族が関与しているとの報を受けた佐原市松。唯一の手掛かりとなる「才蔵」とは風神一族の暗号か?謎を追うべく国元に潜入した上役の松原源四郎は長らく音信不通。芸州浅見家の家臣だと明かされた長屋の隣人・成瀬三之助とともに疑惑の住人の追跡を進めるうち、事態は予想外の展開を迎え…。隠密同心・市松の活躍を描く、手に汗握るシリーズ第三弾!
二年前に死んだ相麻董が、能力により再生した。ケイは彼女が平穏な生活を送るため、咲良田の外に移り住むべきだと考える。だが、能力が存在しない世界は、相麻にどんな影響を与えるだろう?それを調べる実験をするため、ケイは九年間眠り続ける女性の「夢の世界」を訪れる。しかし、現実が忠実に再現されているはずのその世界には、いくつかの相違点があり…チルチル、ミチル、そして幸福の青い鳥を巡る、シリーズ第5弾。
ついにキマイラ化した久鬼麗一。玄造と九十九は血肉を求めて飛翔してきた麗一と南アルプス山麓で対峙する。それを見守る宇名月典善、菊地良二ー。敗戦を経て以前より凄みを増した龍王院弘の姿もそこにはあった。一方、大鳳を手中におびきよせようと暗躍するフリードリッヒ・ボック。その企みを阻止しようと立ち上がったのは、あの男だった!?そして、悩める九十九の前に姿を現わしたのは…。風雲急を告げる18巻!
「今夜、九時の列車よー」組織の金を盗んで命を狙われている逃走中の宮部は、自宅で彼を待ち続けている妻の亜紀子と、夜行列車で落ち合う約束をしていた。しかしその列車には、宮部を逮捕しようとする刑事たち、地方へ講演に出かける元大臣とその秘書、自殺しそうな元サラリーマンと駆け落ちしようとしている元部下など、各々の幸せを掴むための人たちが、乗り込もうとしていた。彼らを待ち受ける衝撃の結末とはー。
警視庁の日下刑事は、身分を明かさず書道教室に通っていた。しかし、日下が現職の刑事だと知り、突然態度を変えた美人書道家が気になり、彼女の過去を調べ始める。本籍地は青森で、高校を卒業してから31歳の今日まで、実に8回も引っ越していたー。好奇心と行動力を武器に、日下刑事が真実を暴く!(「青森わが愛」)殺害された女性が飼っていた猫が事件解明の鍵となる。(「北の空に殺意が走る」)他、十津川警部が謎に挑む3編収録。
鳥羽の山田奉行を務める大岡忠相は密貿易に頭を悩ませていた。伝説の海賊・先生金右衛門が多くの手下を従え、親船・巽丸を操り傍若無人に海を駆けていたのだ。忠相は信頼厚い部下を使い、密貿易の実態を探らせる。一方、金右衛門の手下である鯨太郎は、幼馴染みで庄屋の娘・八重と駆け落ちを約束していたが、忠相の罠により、逃亡を余儀なくされてしまった…。やがて徳川吉宗の将軍就任と共に江戸へ導かれた彼らの運命は?
右手首のない遺体が発見された。現場に残されたのは、レシート裏のメモと不可解なアルファベットカード。「捜査一課文書解読班」班長で極度の文字マニア、鳴海理沙警部補に、出動要請が下る。遺留品のメモから身許を特定した理沙は、被害者宅にあった文章から第二の殺人現場を発見。そこには、またもアルファベットカードが残されていた。共に見つかった手描きの地図が示す所を探すとー。理沙の推理と閃きが、事件を解決に導く!
「赤落ちを始める。みんなドンドン賭けてくれ」有罪判決を受けた被告人が控訴するか否かを賭けの対象にするギャンブル“赤落ち”。腐敗した刑務官たちの姿に戸惑う新米刑務官の良太だったが、賭けに勝つために解き明かされた予想を裏切る真実に心動かされー(「赤落ち」)。受刑者との結婚を望む女性、刑務官を挑発するような脱獄計画。不可思議な出来事を解き明かすうち、良太は刑務所の闇に迫っていく。傑作社会派ミステリ。
高校生シゲルの町には、自分の体の「取られたくない」部分を工作して、神様に捧げる奇妙な祭がある。父親は不倫中、弟は不登校、母親とも不仲の閉塞した日常のなか、彼が神様に託したものとはー(「サイガサマのウィッカーマン」)。大切な誰かのために心を込めて祈ることは、こんなにも愛おしい。芥川賞作家が紡ぐ、不器用な私たちのための物語。地球の裏側に思いを馳せる「バイアブランカの地層と少女」を併録。