2017年6月19日発売
私はね…お仲間の按摩を一人殺しているんだ。-寒月冴えわたる桑名の夜、流しの若き旅芸人が酒をあおり語り始めたのは、芸へのおごりが招いたある悲劇。同刻、近くの旅宿では、二人の老客が薄幸な芸妓の身の上話に耳を傾ける。揺らめく町の行燈。交錯する二つの場の語り。それらが混然と融合した時、新たな世界が立ち現れる。
芥川の作風の転換期とされる中期から後期の作品十九篇を収録した。「年末の一日」は、漱石の墓を訪ねた年末の或る日の出来事と、それに感応する微妙な作者の心情を描き出す。シナリオ形式の作品「浅草公園」など、従来の形式や文体とは異なる作品を模索している芥川の苦闘する姿が窺える、多彩な小説を選んだ。
凡 例 主な登場人物 地 図 第一章 大法官裁判所 第二章 上流社交界 第三章 来(こ)しかた 第四章 望遠鏡的人類愛 第五章 早朝の冒険 第六章 すっかりくつろいで 第七章 幽霊の小道 第八章 慈愛は多くの罪を覆う 第九章 印と兆(きざ)し 第十章 法文書代書人 第十一章 我らが親愛なる兄弟 第十二章 監 視 第十三章 エスターの物語 第十四章 立ち居振る舞い 第十五章 ベル・ヤード 第十六章 トム・オール・アローンズ 裁判所関係についての訳注 【全巻構成】 (一)第一〜十六章 (二)第十七〜三十二章 (三)第三十三〜四十九章 (四)第五十〜六十七章
高校生・朝戸雄一は、天才的な推理力を持つ先輩・後光院凛々花の助手として、警察も手を焼くような事件の解決に当たっていた。二人の関係は、先輩が殺害され、白骨化したあとも変わらなかった……。
究極の愛。ひとつになること。それはー食べてもらうこと。料理人の厨圭は、異世界に迷いこんでしまった。現地人の少女・アイサに救われたクリヤは、調理の技術を活かし、少しづつ異世界に馴染んでいく。しかしある日、彼はアイサの恐るべき真実を知ってしまう。彼女は「サカラ」という、至上の美味を宿した人間で、いずれその身を調理される運命にあったのだ…。ジャンプホラー小説大賞の最終選考を、その猟奇的な内容と感動のストーリーで紛糾させた問題作!!