2017年8月22日発売
「三分間だけ、付き合って?」。目の前に置かれたのは、砂時計。怪しいナンパ師・スナオと私は、公園の植え込みから生えた自転車の謎を追ううちに、闇金業者と対決することに。ところが、悪党は不可解な事故死を遂げ、その現場で目撃された謎の男はーって、これ、脅迫屋の千川さんだ!殺しはしないはずの悪人・脅迫屋の凶行を止めようとする私の前で、彼はさらなる殺人を!?
大学を留年し、ブログで小銭を稼ぎ引きこもり生活を送る葉山理久央。天才作曲家・蓮見律子の前に引きずり出された葉山は作詞を依頼される。彼女に紡げない「詩情」を彼の文章から読み取ったという。迷いながら引き受けるもある日、若き演奏家の本城湊人と知り合い、名門音楽一家を巡る奇妙な事件に遭遇する。謎は聞こえるが真実は見えないと豪語する律子の調査に巻き込まれるが。
歌人の家に生まれ、和歌のことにしか興味が持てない貴公子・希家は、武士が台頭してきた動乱の世でもお構いなし。詩作のためなら、と物騒な平安京でも怯まず吟行していた夜、花に囲まれた月下の死美女を発見する。そして連続する不可解な事件ー御所での変死。都を揺るがす〓(ぬえ)の呪い。怪異譚を探し集める宮仕えの少女・陽羽と出会った希家は、凸凹コンビで幽玄な謎を解く。
私の瞳は、なにも映さない。お母さんのタルトは美味しいし、家の裏にある森はいい匂い。ひだまりは暖かい。でもいつか、皆が夢見るように語る、美しいものを見てみたかった…。草原で出会った魔法使い・ヒトが私にくれたのは、「綺麗なものだけが見える」不思議な目だった。これは、あなたが見失ってしまった綺麗なものをもう一度見つけられる、やさしさと友情のお話ー。
イギリスから帰国した正義とリチャード。正義は大学三年生となり、周囲ではそろそろ就職活動が本格化し始めていた。そんなある日、銀座の「エトランジェ」を常連客の乙村が訪れた。乙村は、片想いしていた女性からもらったという桜色のカメオをリチャードと正義に見せる。そして、そのカメオの謎を解いてみないか、と言い出して…?ジュエル・ミステリー第5弾!
金曜深夜に始まるニュース番組「イブニング・スクープ」を心待ちにする女性たちの目当ては、キャスターの愛優一郎。甘いマスクの裏に鋭い推理力を秘めたこの男、ただのキャスターではない。彼は世に蔓延る悪を熱く華麗に斬る「キャスター探偵」なのだ。そんなある日、5年ぶりに新作を出すことになったベストセラー作家・陽向ゆきなが愛の番組に出演するのだが!?
短大卒業後、母の遺言で蔵元・和泉家の家政婦として働くことになったみやび。それには、父を捜す目的もあった。天涯孤独となったみやびは父を知らない。母の形見である“鳳”の一升瓶が、父を知る唯一の手がかり。そして、“鳳”の蔵元は和泉酒造であり、母もかつて和泉家で働いていたのだー。初出勤の日、みやびを迎えたのは、クセモノばかりの四兄弟で…?
従兄弟の戒成と探偵をしていた兄が遺した“探偵日誌”。大学生の皓紀は兄の代わりに西新宿にある探偵事務所の手伝いを始める。ある日、皓紀は事務所に舞い込んできた依頼が遺された“探偵日誌”に書かれている内容と酷似していることに気づく。断片的に書かれた日誌を手掛かりに、舞い込む依頼を次々に解決していく皓紀。しかし“探偵日誌”には隠された重大な秘密が…!?
梁山泊が南宋と金、それぞれと戦争状態に入った。呼延凌と兀朮が一進一退の攻防をしている最中、丞相・撻懶が病死した。金国内の混乱に乗じ、轟交賈の蕭〓(げん)材が監禁されるも、梁山泊の致死軍が救出した。水上では梁山泊の狄成らが、南宋の造船所を奇襲し、すべて焼失させた。一方、南では南宋の辛晃の動きを警戒する岳飛と秦容が互いに手を組むことを決めるー。譎詐百端、風雲急を告げる第十巻。
草花の知識を活かし、人々の悩みを解決してきた草介。剣術道場に通うお転婆娘千歳に持ち上がった縁談を聞き、今度は自分が悩みの当事者に!? 優しく温かな人気時代連作第2弾。(解説/中江有里)
お地蔵さんの帽子と前垂れを縫い続ける老婆、深夜になると引き出しに排尿する男性、異食症で五百円硬貨が腹に入ったままの女性、気をつけの姿勢で寝る元近衛兵、自分を二十三歳の独身だと思い込む腰の曲がった八十四歳。様々な症状の老人が暮らす痴呆病棟で起きた相次ぐ患者の急死。理想の介護を模索する新任看護婦が気づいた衝撃の事実とは!?終末期医療の現状を鮮やかに描く傑作ミステリー。
日常の裏側に死者たちは佇む。生きていた時に抱いていた想念が幻となってこの世に残っている者たちを誘う。闇の中で死者たちが開く異界への扉。恐怖と官能を湛えた極上の幻想奇譚集。(解説/東雅夫)
ジョバンニのお父さんは宇宙飛行士だ。「宇宙の果て」に関する秘密を明かした直後、いくつもの謎を残したまま、宇宙船から通信を絶って失踪してしまう。ある日、ジョバンニは目を覚ますと、なぜか古い鉄道の車中だった。そして父を追い求め、時空を超えて旅に出るー。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を大胆に換骨奪胎した傑作、待望の文庫化!時代のオピニオンリーダー高橋源一郎の新たな代表作。
応仁の大乱の余燼消えやらぬ室町期。弱冠21歳で駿河・今川家の家督争い仲裁に乗り込んだ伊勢新九郎盛時。彼こそがのちの伊勢早雲庵宗瑞その人である。管領職・細川政元の助力を得て内紛を収めた盛時は、公方の側近にまで登りつめる。だが政争に敗れ、駿河に下向。これにより波瀾の宿命は、彼を小田原城奪取、伊豆平定へと導いてゆくー「乱世の梟雄」と呼ばれた早雲像を覆す超絶怒涛の歴史巨編。
「めぐりあい」をキーワードに編まれた短編アンソロジー。人と人とが出会うときに生まれる、ときに感動的な、ときに意外な、ときに不思議なドラマを、作品の数だけ味わえます。これまで触れたことのなかった作家や、好きな作家のまだ見ぬ名品との「めぐりあい」が、この本にあるはず。ふだん本をあまり読まない方は日本の文学の底力を感じ、読書好きはきっと納得。自信を持ってお届けする13編。
入社式当日に会社が倒産し、路頭に迷った朝霧夕霞。失意の中立ち寄った公園の掲示板で、国土交通省の臨時職員募集の貼紙を見つけ、藁をも掴む気持ちで応募する。不可思議な試験を経て採用が決まったが、そこは「幽冥推進課」。国土開発の妨げになる地縛霊などを立ち退かせる不思議な部署で、同僚は全員妖怪。しかし好待遇に心惹かれた夕霞は、働くことを決意し…。あやかしお仕事小説、開幕!
歳を取るのが怖い、15歳の小春。家が隣どうし、同い年の歩くんは誇り高きバレエダンサーなのに、私はまだ、何者でもない。誰もが違う顔を見せ始める、高校一年生の一年間。少し不思議な世界で起こる、王道の青春小説。