2017年8月発売
ワーカホリックな29歳、れんげ。会社からの唐突な退職勧告を受け帰宅すると、結婚予定の彼氏と見知らぬ女!?「俺がいなくても、れんげは生きていけるだろ?」。そんなことあるか、ボケ!!傷心のれんげは旅立つ、超メジャーだが未踏の地、京都へと。そこで出会ったのは、おっとり系大学生男子とおしゃべりな黒狐。黒狐曰く「れんげの願いを叶えて、徳を積むのです!」。スルーしたものの、次々と怪異に巻き込まれ…。あやかしと老舗甘味を巡る、不思議な物語、開幕です!
強制疎開で母親の実家がある地方の町に移り、時代は旧制中学から新制高校にかわる。一身に家族を支える母に交際を知られ泣く泣く別れた彼女との三十年後の邂逅、苦しい時代を支え続けた思い出の品を通して戦後の昭和を描く表題作はじめ、全四作。
目をこらすと今も見える鬱蒼とした原宿の館に出没する女の子、二〇世紀を生き抜いたミシン、おじいちゃんの繰り返す謎の言葉、廃墟と化した台湾人留学生寮。温かいユーモアに包まれ、思わず涙があふれる7つの幽霊連作集。
女性事務員ネゴロ、塾通いの小学生ヒロシ、若手サラリーマンのフカボリ。ビルの物置き場で、3人は物々交換から繋がりができる。そんなある日豪雨警報が流れー。古ぼけた雑居ビルに集う見知らぬ者同士のささやかな交わりを温かな手触りで描いた長編小説。
孫娘の婚約騒ぎ、娘婿の浮気、演劇に傾倒する末息子。隠居中でもおばあさんの悩みはつきないが、人生の荒波をくぐりぬけた、明治生まれの女性の知恵と気骨としたたかさで家族の厄介事の解決に奔走する。昭和初頭の家族をユーモア満点に描いた痛快小説。
大分から上京し大都女学校に赴任した新米教師の信子。初めての東京生活に戸惑い、学校を二分する校長と教頭の勢力争いに巻き込まれ、一筋縄ではない寮の女生徒たちに手を焼きながら、信子は持ち前の度胸と真っ直ぐさで奮闘する。爽快な女版『坊っちゃん』。
アストラギウス歴7215年。2年の停戦の後、ギルガメス、バララント両星域軍は、再び戦火を交えようとしていた。ギルガメスの首星メルキアでは再徴兵が開始され、これに反対する勢力の鎮圧には、実戦テストを兼ねて新型A・Tが投入された。そのひとつ、桁外れのパワーと、青の騎士に対する異常な反応とで周囲を驚かせたW-1には、人類の運命を左右する恐るべき秘密が隠されていた。名作アニメ『装甲騎兵ボトムズ』のインサイド・ストーリーが復活!幡池裕行氏の挿画も完全収録!!
大戦再開を機に両陣営の人類を根絶やしにし、一型装甲兵士が生み出す新人類にアストラギウス銀河を支配させるーロリンザーの手で進められている、この恐るべき『メルキア騎士団計画』を阻止するために、ケインは軍基地を次々と爆破していった。だが、孤独な戦いを続けるケインの前に、究極兵器レグジオネータに搭乗するK’が立ち塞がる…。名作アニメ『装甲騎兵ボトムズ』のインサイド・ストーリーが復活!幡池裕行氏の挿画も完全収録!!
日本がバブル景気に沸いていた1990年1月31日、新聞が伝える「事件」に国民は仰天した。昭和天皇在位60年を記念した10万円金貨(通称『ヒロヒト金貨』)の「偽造品」がスイスから日本国内に大量流入、と警視庁が発表。その総額は100億円を超えていた。この事件では日本人コイン商が取調べを受け、渦中の人となったが、作家の「私」は疑問を持つ。そして事件の背景に、日米欧、中東、中米を股にかけた巨大な陰謀が浮上するー
急逝した父の遺志を継ぎ、山岳写真家として生きることを誓う風間健介。父の愛した厳冬の大雪山で撮影中、絶滅したはずのオオカミに命を救われたという田沢保と出会う。風間は、田沢が亡き父と交流のあったこと、殺人罪で服役していたことを知るが、極寒の中、田沢と共にオオカミを探すにつれ、彼の人間性に惹かれていく。やがて、二人の真摯な魂が奇跡を呼ぶー。
宮城県緑原町に老人定住型施設「プラチナタウン」が開設され四年。町は活気を取り戻し居住者は増えた。だが、町長の山崎は不安を覚えていた。いずれ高齢者人口も減り、町は廃れてしまうー。山崎は、役場の工藤とともに緑原の食材を海外に広め、農畜産業の活性化を図ろうとする。だが、日本の味を浸透させる案が浮かばず…。新たな視点で日本の未来を考える注目作!
深川で干鰯〆粕問屋の大店・下総屋の主が刺殺された。玄人の仕業を疑った北町奉行所同心・渋井鬼三次は、聞き込みから賊は銚子湊の者と睨み急行する。同じ頃、唐木市兵衛は返弥陀ノ介の供で下総八日市場を目指していた。三年半前に失踪した弥陀ノ介の友が目撃されたのだ。当時、銚子湊では幕領米の抜け荷が噂され、役人だった友は忽然と姿を消していた…。
唐木市兵衛を相模の廻船問屋が言伝を持って訪ねてきた。相手は返弥陀ノ介の許から姿を消した女・青だった。伊豆沖で海賊に捕えられるも逃げだしたらしい。弥陀ノ介には内密にと請われ、市兵衛はひとり平塚に向かう。一方、弥陀ノ介は“東雲お国”と名乗る女海賊の討伐のため浦賀奉行所に派遣される。だが、お国は、弟を殺された哀しみで、復讐の鬼と化していた…。
お金持ちの台湾華僑の息子、龍馬は車が欲しい大学生、そのガールフレンド、サキ子はシャンソン歌手としてデビューしたいが、青果仲買人の父の許しが得られない。そんな二人の夢を叶えるのはバナナ?ひょんなことからバナナの輸入で金儲けをすることになったのだが、そこへ周囲の思惑が絡み、物語は意外な方向へ!テンポの良い展開に目が離せないドタバタ青春物語。
奈々子は恋人はいないが、喫茶店「南十字星」のウエイトレスとして皆に愛されている。ある日、何か訳がありそうな美女が店を訪ねてきた。話を聞くと新婚旅行先のドイツではぐれた夫の行方をずっと捜しているらしい。同情していた奈々子だったが、なぜか彼女らと一緒にドイツへ行くことになりー。異国で待ち受けていたのは、奈々子たちを襲うあやしい影と衝撃の事実!さらには恋の気配も!?青春サスペンス。
癌で入院している会社の後輩。上司から容態がよくないことを知らされ、伝えてほしいことがあると言われた私は、激しい抵抗を感じながら病院に行く。そして病室を前に、逡巡した。-このまま帰ったほうがいいのかもしれない。なぜなら…(「みつばち心中」)。みつばちのほか、金魚、蜥蜴、猿、孔雀が短編の題名になった作品集。そのどれもが重く、切なく、登場人物たちの「その後」が気になる恋愛小説。
幼い頃から共にボールを蹴ってきた修平、文雄、靖春の3人の人生は、高校3年のインターハイでのひとつのプレイをきっかけに一転する。-22年後、現役のプロサッカー選手として未だ戦い続ける修平の前に文雄が姿を現し、警察官となった靖春は警戒を強める。文雄はサッカー賭博をシノギにしており、中国の黒社会との付き合いも噂される捜査対象者だった。修平のキャリアを守るため、文雄を調べ始めた靖春は、やがて、22年前に端を発する殺人事件に辿り着く。逃れられない過去に苦しみながらも、人生に立ち向かう男たちを描く激情と働哭のクライムノベル。
警視庁保安課の上月は、中国語の通訳捜査官・城とともに違法賭博の摘発に向かう。上月は、拳銃所持などにより逮捕した李の供述から、梁という男を追う。一方の城は、同じく李から「竜生九子」なる中国人組織の存在を聞かされ、独自のネットワークを駆使して組織を探る。捜査は有機的に広がるが、それと歩調を合わせるように事件の闇も深くなっていく。-日本に生きる中国人の諸相を鋭く活写。事件はもちろん、上月と城の私生活も巧みに織り込んだ、これまでにない警察小説。