2017年8月発売
文壇のマエストロによる、戦慄の最新短篇集!迷宮殺人の現場にいた謎の小人、人工臓器を体内に入れた科学探偵、窃盗団に身をやつした貴公子、ツツイヤスタカを思わせる俳優兼作家…。メタフィクションとノスタルジー、奇想に満ちた妖しげな世界に、どこまでも誘われてください。ツツイワールド大爆発!
榎本武揚が隕石から作ったという流星刀だが、刀身の成分を調べた結果、偽物と断定。しかし神永の舌は甘みを感じていた(「流星刀、五稜郭にあり」)。佐々木の教え子・琴乃が結婚。婚家の家宝、支倉常長が持ち帰ったローマ法王の肖像画は本物なのか?(「B級偉人」)。味覚で美術品の真贋を見分ける美術探偵が大活躍!
母が殺されたー葬儀の席で逮捕されたのは、僕の弟だった。エリートサラリーマンの父、良妻賢母の母、両親に溺愛され育てられた弟。「理想の家庭」の中で、一人除け者のような存在の主人公・葉山和弘は、真相を求めて父と衝突を繰り返す。家族とは何か、なぜ犯罪が起こったのか。胸を打つ渾身の「魂のミステリ」。
久蔵や和馬が、袴姿の若い侍に尾行された。過去に遺恨のある者なのかと男の探索を進めると、5年前に久蔵に斬り棄てられた浪人の弟らしい。だがなぜ5年前ではなく、いま姿を現したのか。誰にでも噛みつく“野良犬”のようなその男を前に、身重の香織がいる秋山屋敷は警戒を強める。大人気シリーズ、30巻にして第1部完結!
越後四条藩で影武者を務めていた与多寅右衛門は、一橋家の元家老、飯田能登守易信の推挙で武蔵滝山藩主にして若年寄の座に就いた。江戸と甲州をつなぎ、“桃源郷”と呼ばれる美しいこの地だが、石高は貧しい。そんな小藩に金鉱が発見され、寅右衛門の首を狙う賊が現れた。そして、謎の女の姿もー。好評痛快シリーズ、怒涛の第四弾!
東京・原宿の地元っ子の自慢といえば、原宿駅舎、欅並木に明治神宮。それに加えて、蕎麦屋「大正庵」のおかみ、という声も少なくない。大正五三子は心も身体も太っ腹、世話好きで、涙もろい、人呼んで“肝っ玉かあさん”。長男の嫁、孫育てに適齢期の娘…家族の悩みと喜びを、鋭くも軽妙に描く、これぞホームドラマの原点。
新婚の同心・木村忠吾の惚けぶりは延々綿々、平蔵の皮肉も通じない(「白根の万左衛門」)。一方、妻子を失って以来、独り身の同心・小柳安五郎は、平蔵の指示で、女賊と乱行を続ける同僚の監視を続けていた(「網虫のお吉」)。部下たちの思惑に平蔵の決断が冴える。ほかに「影法師」「火つけ船頭」「見張りの糸」「霜夜」の全六篇を収録。
「丹波守様が亡くなられたぞ。知っているか?」…従兄の話に興味をそそられた平蔵は、駒込の「権兵衛酒屋」に立ち寄った。酒と一品のみの肴がうまいと評判だが、平蔵はそこに曲者の気配を感じる。ほどなく、この店の女房が斬られ、亭主は姿を消す。これを発端に、平蔵暗殺から大身旗本の醜聞へと、謎が謎を呼ぶ長篇「鬼火」登場!
人生は走ることに似て、走ることは人生に似ているー。芥川・直木賞作家から青春エンタメ小説の名手まで、類を見ない豪華メンバーが“走る”をテーマに競作した短編14作、ここに集合!人が次の一歩を踏みだそうとする時、その背中をそっと押してくれる、バラエティー豊かな作品が目白押し。異色のアンソロジーをご堪能あれ。
妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。
劇症肝炎で死の淵をさまよう藤城の生体肝移植を、かつての上司、久野の制止を振り切って敢行する当麻鉄彦。一方、医科大学新設を目指す鉄心会の理事長、徳岡は病魔に侵されながらも、鉄心会を追われたリベンジを図る荒井の対抗馬として、衆院選で当麻の亡妻の父、大川松男を擁立するー。医学界の現実を鋭くえぐる医療ドラマの最高峰、完結。
新宿のキャバクラで、不動産会社の社長が射殺された。捜査本部に駆り出された新宿署の佐江が組まされたのは、警視庁捜査一課の谷神。短髪を七三に分け、どこか人を寄せつけない雰囲気をもつ細身の谷神との捜査は、やがて事件の背後に日本最大の暴力団・高河連合が潜むことを突き止める。高河連合の狙いとは何か?人気シリーズ、待望の第四弾!
佐江と谷神は高河連合が推し進める驚くべき開発事業の存在を暴き出した。だが、ヒットマンらしき男に命を狙われる佐江。死をも覚悟したその時、ライダースーツ姿の謎の人物が殺し屋の前に立ちはだかった…。高河連合の「Kプロジェクト」とは何か?佐江の「守護神」とは誰なのか?白熱のエンターテインメント巨編、圧巻の大団円!
江夏七海は小五の夏休みに、落ちぶれた冒険家の父に連れられ、宝探しの仕事に向かう。だが、「危ないことが大好物」の父が、“宝”の正体を聞いて顔色を変えた!一方の七海は、依頼主の豪邸で見た写真の少女にひと目惚れ。もはや父は邪魔なだけ。友人と宝探しを始めるが、裏切り、襲撃、誘拐と、手に負えない困難ばかり…。ドキドキ青春サスペンス。
友達に本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住む。国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。疾走感溢れる現代サバイバル小説。
南の島で知子ばあさんと暮らす十七歳の鷹野一彦。体育祭に興じ、初恋に胸を高鳴らせるような普通の高校生活だが、その裏では某諜報機関の過酷な訓練を受けている。ある日、同じ境遇の親友・柳が一通の手紙を残して姿を消した。逃亡、裏切り、それともー!?その行方を案じながらも、鷹野は訓練の最終テストとなる初ミッションに挑むが…。
バリで精霊の存在を感じながら育ち、物の記憶を読み取る能力を持つさやかのもとに、ある日奇妙な手紙が届いた。「庭を掘らせていただけないでしょうか」。それは左手が動かなくなった悲惨な記憶をよみがえらせ…。愛娘の世話や義母との交流、バリ再訪により、さやかの心と体は次第に癒えていく。自然の力とバリの魅力に満ちた心あたたまる物語。
極道あいてにさぎをはたらくなんぞ、きいたこともないでー。謎の男「アンポさん」と家出少年・太一が繰りひろげる奇想天外な詐欺事件。通天閣界隈の仲間たちの夢をかき立てながら、きわどい芝居を打つさぎ師たちに明日はあるか?伝説のピカレスクロマン、ついに文庫化!
夫が突然仕事を辞め、北大阪の義実家へ引っ越した珠希。そこには超マイペースでくせ者の姑、夫と前妻の間のヤンキー娘、その彼氏で気弱なバンドマンとの珍妙な同居生活が待っていた。おまけに謎の家財道具が家から溢れんばかり。平穏に暮らしたい珠希は整理に乗り出すがー。