2017年9月22日発売
毎夜、同じような悪夢を見る。それはさまざまな女をいたぶり殺すことで性的興奮を覚えるという夢だ。その夢はまるで自分がやったかのような錯覚に陥るほど、リアルなのだ。ある日、自分が見た夢を同じ殺人事件が起こったというニュースをテレビで見た。犯人がつかまったという。そこには、自分と同じ顔の違う名前の男が映っていたーー。運命の残酷さ、悲劇を描いた「悪魔の帽子」(幽12号)ほか、植物に取りつかれた男を描いた「花うつけ」、主人公が犬嫌いになった理由があかされる衝撃のラスト「犬嫌い」ほか、松山が舞台の正統派ゴーストストーリーの「城山界隈奇譚」など、雑誌や文庫掲載原稿に加え、4篇を書き下した全9篇。日本推理作家協会賞受賞者(長編および連作短編集部門)が放つ、謎と恐怖の物語。 悪魔の帽子 城山界隈奇譚 夏休みのケイカク 花うつけ みどりの吐息 犬嫌い あなたの望み通りのものを 左利きの鬼 湿原の女神
京都・宇治。古田織部の覚えめでたい朝比奈家の一人娘・綸は、病に倒れた父の跡を継ぎ、極上茶を作る御茶師の修業に励んでいた。そこへ徳川・豊臣決戦近しの報が。大名と縁の深い御茶師たちも出陣を迫られる。茶薗を守り、生き抜くにはどちら方につくべきか。さらに家康に疎まれた織部の身を案じる綸のもとへ、悪夢のような知らせがー。乱世に凛として立ち向かう女御茶師のひたむきな半生。宇治・茶薗主の知られざる闘いを描く本格時代長篇。
出版社に勤務する松原とマッサージ師のさくら、二人は、付き合いはじめ、やがて別れる。それで終わりのはずだった。婚約までした男と女の関係は、はじめから狂っていたのかもしれない。加害者と被害者、ふたつの視点から「ストーカー」に斬り込んだ、残酷にして無垢な衝撃作!!
たけしがたどりついた“究極の愛”。狂暴なまでに純粋な、書下ろし恋愛小説。「お互いに会いたいという気持ちがあれば、絶対に会えますよ」すべてがデジタル化する世界で悟とみゆきが交わした、たったひとつの不器用な約束。素性も連絡先も知らないまま、なぜか強烈に惹かれあう二人の、「アナログ」な関係が始まった。いまや成立しがたい男女のあり方を描き、“誰かを大切にする”とは何かを問いかける渾身の長編。
楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていくーー。「白兎事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ! 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。
夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。胸を突くような彼の問いに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世界へも引き寄せられていく。上手くいかないのは、セックスだけだったのにー。島清恋愛文学賞受賞作。
母の仇を討ち、横浜に戻った朝丘剛は、マリアが消えたことに大きなショックを受ける。無為な日々を送る剛に声をかけたのは、またしても松任組の組員だった…。異形の強者が集まる「闇試合」。松任組が仕切る秘密の格闘技興行への誘いに乗った剛は、賭け金の舞う流血の真剣勝負に挑む。勝つために非情に徹し、邪拳の様相を帯びる剛の拳。その前に立ちふさがった男とは!
英国でこの世を去った大伯母・玉青から、高級住宅街にある屋敷「十六夜荘」を遺された雄哉。思わぬ遺産に飛びつくが、大伯母は面識のない自分に、なぜこの屋敷を託したのか?遺産を受け取るため、親族の中で異端視されていた大伯母について調べるうちに、「十六夜荘」にこめられた大伯母の想いと、そして「遺産」の真の姿を知ることになりー。
いつ何処ともしれぬ森の中のペンションー。オーナーなる人物に監禁された父と子は、双子が驢馬に乗って助けにくるのを信じて待ち続けていた。双子が辿るであろう道のりを地図に描き物語を紡ぎあげ、時に囲碁を打ちながら、父子はこの不条理の中、辛うじて精神の均衡を保っていた。いっぽう生まれつき旅と救済を宿命づけられた双子の少年少女は、驢馬ナカタニを得て旅立つが、行く先々で寄り道ばかり。畜獣の如く蹂躙されている人々がいるという噂を聞きつけ、二人は意気揚々と救出に向かうがー一通の手紙が二つの世界を繋ぐ時、眩い真実が顕れる。
戦場カメラマンの大城は、海外取材中に妻子を惨殺されて生きる気力を失い熱海に隠棲した。ある日、助けを求めてきた少女、千種を保護した縁で、大城は金沢に本部のある救命組織ライフリンクまで彼女を送り届けることになる。ライフリンクの活動に共感した大城はしばらく金沢に滞在するが、台風一過の翌朝、能登金剛ヤセの断崖下の海に自殺防止ボランティアの樽井が死体で浮いているのが発見される。一方、警視庁捜査一課の棟居は、捜査本部が縮小した後も大城の妻子が殺害された事件が気になっていた…。
警視庁保安課の上月は、中国人売春組織の摘発から“赤い虎”を知る。中国語の通訳捜査官・城は、池袋で起きた殺人事件から“赤い虎”に迫る。そして、ある男は、“赤い虎”に接触する…。警察小説の進化系!
応募総数4898 作品! 第1回「モーニングスター大賞」受賞作! 天使にもらった猶予は六ヶ月! 後悔なんてしたくないから…… 残りの人生、好きにやらせてもらいます! It’s a wonderful magical life! 期間限定で“生き直し” 『魔法』と呼ばれる特殊な力を持つ者だけが入れる高校で、憂鬱な毎日を送っていた落ちこぼれの野花三葉は、ある日の放課後、何者かに階段から突き落とされ、命を落としてしまう。「もっと好きに生きればよかった」──後悔する三葉の前に白猫の姿をした天使が現れ、あと六ヶ月だけ時間をくれるという。かくして、三葉は六ヶ月の“余命”を手に入れるのだが!? 第1回「モーニングスター大賞」受賞作!
応募総数4898 作品! 第1回「モーニングスター大賞」受賞作! 私を突き落したのは誰!? 犯人捜しに、学校行事に、大忙し! 残りの命、思う存分使います! みんな大好き、ありがとう ……さようなら! 階段から落ちて死んでしまったものの、猫の姿をした天使シラタマに余命六ヶ月を与えられた三葉は、悔いのないよう充実した毎日を送っていた。気がかりなのは、自分を階段から突き落とした犯人は誰なのかということ。文化祭の準備に奔走するなか、とうとう三葉は犯人の手掛かりを掴むが、三葉の“時間”も残り僅かで……。ついに涙と感動のクライマックス! 第1回「モーニングスター大賞」受賞作。
異世界アザワルドに転移した無職の青年、楠一之丞(イチノジョウ)。白狼族の少女ハルワタートと元誘惑士のキャロルのふたりに加え、もとは日本人の仮面少女マリーナという新たな仲間も得て、イチノジョウの旅は続いている。次に向かった町で、イチノジョウたちは魔物の群れと対峙することに。その背後にはある存在がー?「小説家になろう」開催「ネット小説大賞」金賞受賞作、シリーズ第4巻!
「あの時代、私たちは誰もが恐ろしい力を持っていたーー」 名士である実父による著書への激越な批判、その父の病と交通事故での死、愛人の告発、昔馴染みの女性の証言、そして彼が密告した家族の生き残りとの時を越えた対話……。父親の隠された真の姿への探求の果てに、第二次大戦下の歴史の闇が浮かび上がる。 マリオ・バルガス=リョサが激賞するコロンビアの気鋭による、あまりにも壮大な大長篇小説! 私、どうしてもガブリエルの顔を見る気になれなかったの。ガブリエルのことを軽蔑していたの。だって、そんなことができる人だなんて考えたこともなかったから。ただいっぽうでは、ガブリエルがああしたことをやったのは当然だ、とも思っていた。当時はおそらく、どんな人でも、ガブリエルがやったことを知ったとしても別に驚かなかったと思う。ガブリエルを軽蔑する気持ちと肯定する気持ち、その両方が私の中で綯い交ぜになって、自分でももうどうしていいかわからなくなっていたの。恐ろしくてたまらなかった。なにがどう恐ろしかったのかと言われるとわからないのだけれど。(…)けっきょくのところ、密告する人なんてどこにでもいるということなのよね。戦争中であろうがなかろうが、人はいつだって、自分の置かれた状況次第では、平気で誰かを密告してしまうものなのよ。(本書より)