2017年9月発売
吉祥寺のガーデンショップに居候中の大学生・保。兄のような存在である庭師の啓介が、実はすご腕の陰陽師でもあると最近知ったが、それ以上詳しいことを教えてもらえないのが不満の種だ。そんなある日、保と啓介は庭の手入れを依頼され、練馬の一軒家を訪れる。だが突然井戸から黒い煙のようなものが噴き出し『うそ…つき…』という女の声が。そしてさらに災いは連鎖していきー!?現代の陰陽師ものがたり、第2弾!
杜の都、仙台で暮らす村田カエデ27歳。ぽっちゃり体型の優しい彼氏あり。地元の信金勤務の平凡な人生を送っていたーお鈴さんに出会うまでは。彼女は超がつくわがままお嬢さま。さらに問題なのは幽霊であること!?でもお人好しで憎めない、変わった幽霊なのだ。困った人を放っておけず騒動ばかり引き起こす。今日もカエデたちを巻き込み大騒ぎに!?楽しく笑い、ほろりとさせられる。読んだ後に優しい気持ちになれる物語。
凡庸を嫌い「上品」を好むデザイナーの僕。何もかも自分と正反対な婚約者には、さらに強烈な父親がいてー。(「アメリカ人の王様」)サークルで憧れの先輩と部屋で2人きり。「やりたいなら面白い話をして」と言われた俺は、祖父直伝のホラ話の数々を必死で始めるが…。(「魚のヒレ」)不器用でままならない人生の瞬間を、肉の部位とそれぞれの料理で彩った、妙味あふれる傑作短篇集。
2008年12月、スウェーデンのストックホルム近郊の森で暮らす老人のもとを、2人の男が訪ねた。そして、のちに「史上もっとも華麗で大胆な銀行強盗」と称されることになる犯罪計画が動き出した。標的は、世界最大の警備会社“G4S”の現金保管庫。年齢も国籍もバラバラの男4人は、ビルの屋上に降りたつという、奇想天外な計画を実行に移す。だが、計画は思わぬ方向へー!2009年に起こった強盗事件の真相を暴く問題作。
フリーライターの森田は、奥松島の墓地で、一基だけ離れたところに建つ大きな墓石に目を留める。元々彫られていた文字が削られ、小さく「立川家之墓」と刻まれていた。調べていくと、太平洋戦争中、特攻隊員として戦地へ赴いた青年のものだと分かる。一方、東京都内で老人の遺体が発見された。十津川警部は、捜査線上に浮かんできた森田と会う。世間から身を隠して生きていた元特攻隊員の老人は、何のために殺されたのか。
男女だけど「親友」の夏樹と冬子。高校時代、日常の謎解きという共通の趣味で、2人は誰よりもわかり合えていた。ただ、夏樹が密かに、冬子に片想いしていたことを除いて…。そして今、社会人になった夏樹は、冬子に会いに神戸を訪れる。今度こそ、想いを伝えると決めて。けれど冬子は、なぜかかたくなにチャンスをくれなくて…。ウィットに富んだ日常の謎から、誰もが目を瞠る驚きのラストへ。切なさ最大級の青春片恋ミステリ。
本人の知らぬ間に企画された浅見光彦34歳の誕生日会。初恋のひとである稲田佐和との再会に心躍る浅見は、美貌のヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハからボディガードを頼まれる。一度は断ったものの、陽一郎からの要請でアリシアのコンサートが行われる丹波篠山に赴くことに。彼の地で彼女の祖母の遺譜を捜索するが、手がかりの「インヴェ」につながる男が殺され浅見に嫌疑がかかり!?国民的名探偵“最後”の事件!
美貌のヴァイオリニスト、アリシアから「遺譜」捜索の依頼を受けた浅見光彦は、依頼の裏に戦前日本とドイツまで遡る陰謀があることに気づく。浅見家にも繋がる「遺譜」に隠された盟約と、陽一郎の暗躍。真相を確かめるため赴いたドイツで、アリシアの祖母から明かされた哀しい事実は浅見の大義と正義を揺るがす。70年の時を経て甦る陰謀に、浅見家の人間として下す究極の決断とはー。国民的名探偵が迎える衝撃のラスト!
浅草の裏長屋に仕事場を構えた指物師の弦次。ところが長屋は空き部屋ばかり。住人たちが次々と引っ越したのは、木戸口から数えて4つ目の閉じられた部屋と関わりがあるらしい。入居日の夜、弦次はその部屋でこの世の者とは思えない女を見てしまう。怖がりだが根が真面目な弦次は、不真面目な先輩住人の三五郎、幽霊画を描くのにどうしても本物を見たい町絵師の朔天とともに、原因究明という名のおばけ退治に乗り出すが…!?
転勤で尼崎にやってきた検事・凛々子のもとに汚職事件の告発状が届いた。したたかな相手に取り調べは進まず、凛々子は証拠集めに奔走する。豪快な110番担当の虎子や、こてこての関西弁の青井刑事と協力して捜査を進め、上司にガサ入れの許可を求めるが、理不尽な理由で却下されてしまう。一方プライベートでは、幼馴染みの紹介で知り合った俳優と恋の予感が!?下町育ちの女検事、関西でも『正義』に向かって全力投球!
30歳過ぎのひきこもりの兄を抱える妹の苦悩の日常と、世界の命運を握る“悪因”を探索する特殊能力者たちの大闘争が見事に融合する、空前のスケールのスペクタクル・ホラー!二階の自室にひきこもる兄に悩む朋子。その頃、元警察官と6人の男女たちは、変死した考古学者の予言を元に“悪因研”を作り調査を続けていた。ある日、メンバーの一人が急死して…。第22回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。文庫書き下ろし「屋根裏」も併録。
霊の見える新人ホラー作家の熊野惣介は、怪奇小説雑誌『奇奇奇譚』の編集者・善知鳥とともに、新作のネタを探していた。心霊スポットを取材するなかで、姿はさまざまだが、同じ不気味な音を発する霊と立て続けに遭遇する。共通点を調べるうち、ふたりはある人物にたどり着く。霊たちはいったい何を伝えようとしているのか?怖がり作家と最恐編集者のコンビが怪音声の謎に挑む、第24回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作!
内閣総理大臣の肝いりで立ち上がった、凶悪がん治療国家プロジェクト・G4。外科、内科、放射線科、免疫療法科は互いに協力し、がん治療開発に挑むはずが、四派は利権にこだわり、プロジェクトは覇権争いの場と化してしまう。功績を焦る消化器外科の黒木准教授は、手術支援ロボットHALによる手術で外科を優位に導こうとするが、術後に患者が急変、死亡してしまう。同席した講師・雪野は、ことを荒立てるなと言い含められるが。
外科医・雪野は手術支援ロボットHALの医療訴訟で真実を明らかにしようとし、窮地に立つ。その最中、凶悪がん治療国家プロジェクト・G4の主軸となるがん治療の権威が、次々がんに罹患。患者となった途端、自らの提唱する治療法に逆行する言動を見せ始める。一方、雪野の同級生で内科医の赤崎は、凶悪がんの原因を電磁波とする論文を発表し、大波乱を呼び起こすー。国家プロジェクトの行方は?息詰まる医療サスペンス!
昭和初期ーオカルト、猟奇事件、ナショナリズムが吹き荒れる東京。民俗学者の折口信夫は古書店「八坂堂」に迷い込み、その棚にあるはずのない、未だ構想中の自分の小説『死者の書』を見つける。「何が書いてあるか読んでごらんなさい」。奇怪な仮面を被った店の主人、木島平八郎に促され、その奇妙な書の頁をめくった時から、折口のまわりで奇怪な出来事が起こり始める…。「あってはならない物語」へ誘う傑作怪奇ミステリ!
仮面の男、木島平八郎。古書店「八坂堂」の店主にして「この世にあってはならぬもの」の仕分け屋。だがその素性は未だ知れない。一方、木島につきまとわれる学者・折口信夫。女嫌いのはずが、霊的能力をもつ少女・美蘭を側に置く羽目に。彼らが行く先々で常に事件が待ち受ける。『八つ墓村』のモデルとなった津山三十人殺し事件、心中ブーム、人間避雷針…。正史と偽史の狭間に葬られし物語を暴く、怪奇ミステリ事件簿・第二弾!