2017年発売
江戸での訴訟に勝ち、国友村に戻った一貫斎は、江戸滞在中に請け負った反射望遠鏡の制作に夢中になった。レンズの制作で、失敗を重ねる最中に、墨をすらないですむ「懐中筆」や油を足さない「玉燈」等を発明し、潜水艦も模索する。後年日本のダ・ヴィンチと呼ばれる鉄炮鍛冶の生涯を描いた傑作時代職人小説。
生と死とエロスーー。著者の真骨頂! 刹那の欲望、嫉妬、別離、性の目覚め…。著者がこれまで一貫して描き続けてきた人間存在のエロス、生と死の根幹に迫る圧巻の短篇集。 「鍵」「木陰の家」「終の伴侶」「ソナチネ」「千年萬年」「交感」「美代や」の7編収録。 解説・千早茜
B県海塚市は、過去の災厄から蘇りつつある復興の町。皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいくー。集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、少女の回想でつづり、読む者を震撼させたディストピア小説の傑作。
江戸を去った蓮次の帰りを待つおりんは、さびしさから針仕事ができなくなってしまう。そんなある日、大奥入りした煕姫と再会。喜びもつかの間、大奥の派閥争いに巻き込まれそうになっていることを打ち明けられ、将軍綱吉主催の衣裳対決にのぞむことになる。一方、大老・堀田正俊が城中で刺殺され幕閣にも暗雲が…。
日本のミステリー界の旗手として世界的にも名を馳せた著者は、常に完成度の高い作品を世に送り出し続けた。本書は、作家生活25周年を迎えた時、記念として全短篇の中から選りすぐったベスト12篇。作品は著者、文芸評論家の権田萬治氏、実兄で作家の五十嵐均氏によって選ばれた。選考の過程は巻末に鼎談として収録。文庫新装版。
「おなつかしゅうござります」二十余年ぶりに平蔵の前に現われ、「密偵になりたい」と申し出たおまさには、平蔵への淡い恋心と語りたがらぬ過去があった(「血闘」)。鬼平の凄絶な剣技に息を呑む本作ほか、「霧の七郎」「五年目の客」「密通」「あばたの新助」「おみね徳次郎」「敵」「夜鷹殺し」の全八篇を収録。
妻を亡くし、隠居の身であった平蔵の従兄・三沢仙右衛門が突如、茶屋女を「嫁にもらいたい」と言い出した。老父の情熱をもてあました長男に頼まれ、平蔵はその女に会いに行く(「山吹屋お勝」)。後年、著者自身が鬼平ベスト5に選んだ本作ほか、「深川・千鳥橋」「乞食坊主」「女賊」「おしゃべり源八」「兇賊」「鈍牛」の全七篇を収録。
魔族に召喚され、チートアイテム「淫魔の腕輪」を竜姫フィーネから渡された統夜は、人間界の村を攻略。魔力を集めることに成功する。村人とも友好な関係を築き、やがて攻めてきた天使軍も返り討ちにした。淫魔術を駆使してエルフや魔天族をも解放し、力をつけ始める統夜。それを恐れた竜姫フィーネは、統夜の拠点である人間界の村を急襲する!天使・人間・魔族が三つ巴で入り乱れるハードな異世界で、三種族が手を取り合える国造りを目指す統夜。ネットで大人気のダーク・ファンタジー第三幕では、竜姫フィーネの攻略に挑む!
相棒の玉妖くろがねが眠りについて以来、半人前の驅妖師彩音は十分な仕事ができずにいた。そんな折難波コレクションの玉妖で唯一会ったことのない蒼秀に会えるとの知らせが。異界に詳しい蒼秀ならばくろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれないと、期待を胸に蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねる。心の傷を隠して事件に挑む彩音は過去を清算し、相棒を取り戻すことができるのか。
「霧のせいだと思います」依頼人の加奈江は、美貌の人捜し屋秋せつらに告げた。恋人で、将来を嘱望される人工知能開発者の神台省吾が失踪。霧が好きだったという。妖物ら異形の溢れる“魔界都市“新宿””は今、“霧の時”を迎えていた。霧に魅せられてその奥へ消える者、帰還する人々。やがて、神台を執拗に追う“区外”の男たちを、霧の向こうに巣食うものたちが呑み込んだ!前代未聞の霧の侵略から“新宿”を救うべく、せつらはドクター・メフィストを訪ねるがー。(「霧ふかき街」より)超人気シリーズ、最新作!
“第一次世界サイバー戦争”を回避させた功労者のはずの二人ー元防衛省サイバー防衛隊の出原しのぶと元警視庁サイバー捜査員のスモモこと東條桃花は、起訴こそ免れたものの、違法性を問われ、職場を去るしかなかった。その二人が転職したのはなんとIT探偵。超一流のハッカーとの自負があったものの、持ち込まれるのは浮気調査や迷い犬捜しなど非ITのものばかり。二人の愛称から「S&S IT探偵事務所」と名付けた事務所名も“エス・アンド・シット”と呼ばれる始末。それでもコツコツ、厄介な案件と格闘するうちに、闇に葬られかけていた二十年前のある重大事件が再び動き出し…。
上さまをもっともお慕いしているのは、この光秀であるー天正十年(一五八二)六月一日。織田信長は茶会を催すため、わずか三十人の警護を伴って京の本能寺に入った。そこに集まったのは信長に恨みを持つ公家や豪商ばかり。警護の増員を求める森蘭丸の進言を、「防備は城塞のごとくで、寝所は密室。誰も入れぬ」と聞き入れない信長。一方、明智光秀は、此度の京入りは状況を過信したしくじりと憂えていた。そして、信長が誰かに殺されるのをみすみす許すくらいならばわが手で、と挙兵を決意する。だが翌日、本能寺を取り囲んだ光秀は、信長がすでに殺害されたことを知る。いったい誰が?どうやって?恋敵ではあるが、切れ者の蘭丸は何をしていた?憤怒に包まれた光秀の犯人捜しが始まった!
一筋縄ではいかない探偵ばかりが集う『昭和探偵事務所』。そこで働き始めた早乙女桃色はひょんなことからある殺人事件に巻き込まれてしまう。「私、第一発見者ですよ!?ミステリーだったら一番怪しい奴がなんと私ですよ!?」桃色に助けを求められた所長の手配でやってきたのは、風変わりな格好の男。探偵ナンバー03『最悪探偵』の南陽。彼はどこまでも最悪な探偵だったー。
『世界征服を目指す悪の組織です!明るく元気な職場が、あなたのヤル気を待ってます!』時は二十二世紀。“大多数”の人々が幸福な暮らしを送る、今より少しだけ未来。ニート青年・小森寧人はある日、不可思議なWEBサイトを発見する。それは、世界的な大企業である、悪の組織『メタリカ』の求人広告だった。難関と言われる面接を奇跡的に突破した彼だったが、配属されたのは庶務課ーつまり、ザコキャラ。戦闘員となってしまうのであった。そして、彼はこの世界の正義そのもの、白銀の騎士・ディランと対峙する。理不尽に統率された世界で、寧人は組織で出会った上司や同期の女の子、ライバルと共に世界を変える戦いに挑み始める。これは自らの信念と理想に従った、普通の青年の叛逆の物語である。
レーヴァテインと並ぶ大国デュランダル。悠久の歴史を持つ古の国家は老王の死を機に東西に分裂していた。時同じく東西二体の霊獣が空中戦を勃発。アイザックは繰り返される激戦下で瓦礫の重なる中間都市に辿り着いて早々、強大な霊獣たちと渡り合う姿から“霊獣使い”と誤解されてしまうー。縷縷変転する神話、第三章。
映像証拠が残るという絶望的な状況すらも裁判の場で覆した“悪魔の弁護人”こと阿武隈。そんな彼と自らの力不足ゆえ、事件解決のためにコンビを組まざるを得なかった。本多は、親戚の伯父・酒井から妙齢の美女・榊原からの相談を持ちかけられる。ストーカーに悩まされている彼女を救うために、警察への被害届提出を手伝うなどして、一件落着かと思われた矢先、事態は急転。伯父からまったく予想だにしない連絡が入る。事態解決のため、再び阿武隈と手を組んだ本多を待っていたのは、次々と明らかになっていく予期せぬ真実。複雑にこじれた事件の被告人を、無罪へと導くことはできるのか?究極の法廷劇、第3弾!