2017年発売
地球からの文明疎開船が高次元跳躍に失敗、生存のため銀河帝国を建国してから700年余。帝国の護衛艦“ブルーベル”は、隣国のヘレネス統一体が領有権を主張する星系に侵入したとして攻撃を受ける。艦長の戦死により、先任将校の天城真守大尉は的確な判断で艦を無事に帰投させた。予備役編入を希望する天城だったが、各国の複雑な思惑は彼を紛争の最前線へと導いていく。架空戦史の雄による新シリーズ、初巻にして最終巻。
疎開する少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。生き残った少年たちは、リーダーを選び、助けを待つことに決める。大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられた。しかし、なかなか来ない救援やのろしの管理をめぐり、次第に苛立ちが広がっていく。そして暗闇に潜むという“獣”に対する恐怖がつのるなか、ついに彼らは互いに牙をむいたー。ノーベル文学賞作家の代表作が新訳で登場。
不治の病を宣告された母は、誰より愛するひとり娘を見守り続けるためにある選択をする。それはとてつもなく残酷で、愛に満ちた決断だった…母と娘のかけがえのない絆を描いた表題作、帝国陸軍の命で恐るべき巨大熊を捕らえるため機械馬を駆り、満州に赴いた探検隊が目にしたこの世ならざる悪夢を描いた「烏蘇里羆」、脳卒中に倒れ、入院した母を、遠隔存在装置を使用して異国から介護する息子の悲しみと諦念を描く「存在」など、今アメリカSF界でもっとも注目される作家が贈る、優しくも深い苦みをのこす物語16篇を収録した、待望の日本オリジナル第二短篇集。
主人公の真知子は海外企業に職を得た夫と共に南半球へ移住。娘を出産し、新生活が始まった。美しく小さな異国の街に暮らす日本人達のコミュニティには、夫の職業や住む場所によって暗黙のヒエラルキーが築かれていた。その中で真知子は、投資銀行に勤める夫を持つ郁子、商社マンの妻の宏美、現地の日本人シェフと再婚した弓子らと親しくなる。しかし、日本人会のバザーで起こった事件をきっかけに、彼女たちの関係は一気にあやういものになっていく…。孤独と自立、家族と友情…。今、女性が「生きる」ことに正面から向き合った傑作長篇。
二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後にする。テロと移民にあえぐ国家を舞台に個人と自由の果てを描き、世界の激動を予言する傑作長篇。
城でアーサーを目にした瞬間、アナの心と体にときめきが押し寄せた。父からこの騎士の見張りをするよう命じられたアナの、彼への想いは募るばかり。一方のアーサーは、彼女の父親こそ、アーサーの父を惨殺した犯人だと知る。しかもアーサーはスコットランドの密偵という使命を帯び、城に潜入していたー激化する戦時下で燃えさかる、切ない恋の炎!屈強な戦士たちを描く「ハイランド・ガード」シリーズ、待望の第3弾!!
魔王の娘によって異世界に召喚され、人間が住む町ラビスシティーと迷宮内の魔王城とを行き来しながら、アイテムの創造とコレクションに励むコーマ。思いがけない1日女子体験をしたり、殺人料理大会を目撃したり、町を襲う危機に立ち向かったり…コーマの日常は騒がしすぎる!?「小説家になろう」発、「ネット小説大賞」受賞作第3弾!
双子の姉を交通事故で喪った、十六歳の少女。自らの半身というべき存在をなくした彼女は、家族や友人らの助けを得て、悲しみのなかでアイデンティティを立て直し、新たな歩みを始める。全米が注目するハイチ系気鋭女性作家による、愛と抒情に満ちた物語。
中央アジアのアラルスタン。ソビエト時代の末期に建てられた沙漠の小国だ。この国では、初代大統領が側室を囲っていた後宮を将来有望な女性たちの高等教育の場に変え、様々な理由で居場所を無くした少女たちが、政治家や外交官を目指して日夜勉学に励んでいた。日本人少女ナツキは両親を紛争で失い、ここに身を寄せる者の一人。後宮の若い衆のリーダーであるアイシャ、姉と慕う面倒見の良いジャミラとともに気楽な日々を送っていたが、現大統領が暗殺され、事態は一変する。国の危機にもかかわらず中枢を担っていた男たちは逃亡し、残されたのは後宮の少女のみ。彼女たちはこの国をー自分たちの居場所を守るため、自ら臨時政府を立ち上げ、「国家をやってみる」べく奮闘するが…!?内紛、外交、宗教対立、テロに陰謀、環境破壊と問題は山積み。それでも、つらい今日を笑い飛ばして明日へ進み続ける彼女たちが最後に掴み取るものとはー?
平成2年。全国紙の採用試験にすべて落ち、北海道の名門紙・北海タイムスに入社した野々村巡洋。縁もゆかりもない土地、地味な仕事、同業他社の6分の1の給料に4倍の就労時間という衝撃の労働環境に打ちのめされるが…会社存続の危機に、ヤル気ゼロだった野々村が立ち上がる!休刊した実在の新聞社を舞台に、新入社員の成長を描く熱血お仕事小説。『七帝柔道記』の“その後”を描く感動作。
結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていくー。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説。
女の胸をかき乱す、淋しさ、愛欲、諦め、悦びー。安野モヨコが愛した、女心のひだを味わう傑作群。孤独な男を残酷なまでに誘惑する「耳瓔珞」、愛している男を自分の親友と結婚させる「むすめごころ」などー繊細な挿絵とともに、円地文子、川端康成、白洲正子、岡本かの子、有吉佐和子、芥川龍之介、織田作之助らの奥深い魅力に出会える、好評シリーズ第二弾。
捜査一課への異動から一年。一之瀬は、新たに強行班へ加わった後輩の春山と共に福島へ出張していた。新橋で発生した強盗殺人事件の指名手配犯が県内で確保され、その身柄を引き取るためだ。楽な任務と思われたが、被疑者を乗せ福島駅に向かう途中、護送車が襲撃されー。若手刑事たちの奮闘を描く、書き下ろし警察小説シリーズ。
浪人が殺され、二百両はするという名刀が奪われた。同心の河上惣三郎は、刀剣道楽の数寄者の線を洗い始める。一方、重兵衛の頭の中は、ある男のことで一杯だった。親友と弟の仇・遠藤恒之助。妖剣を使うこの強敵を倒すため、新たな師のもとで“人斬りの剣”の稽古に励む重兵衛だったが…。男たちの友情に胸が熱くなる、人気シリーズ第四弾。
相次ぐ当主の早世により、男系の嫡流が途絶えた会津守護、芦名家。近隣の大名から婿養子として当主を迎えることになったが、それをきっかけに家中に軋轢が生じる。一触即発の家臣たちをなんとかまとめていたのは家臣筆頭であり「会津の執権」の異名を持つ金上盛備。しかし彼も老齢にさしかかり、領土の外からは伊達政宗の脅威が迫っていた。
価値のないもの専門の怪盗ニックに、まさかのライバル登場!?“白の女王”ことサンドラ・パリスは、“不可能を朝食前に”をモットーに、早朝にだけ仕事をする美女だ。二人はときに競い、ときに協力しながら盗みに挑む。サンドラ初登場短編「白の女王のメニューを盗め」を巻頭に、「ハロウィーンのかぼちゃを盗め」「枯れた鉢植えを盗め」など、本邦初訳の6編を含む全15編を収録。
『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』-昭和九年の大晦日、銀座のバーで交わされた奇妙な噂話が端緒となって、帝都・東京を震撼せしめる一大事件の幕が開く。絢爛と狂騒に彩られた帝都の三十時間を闊達自在な筆致で活写した、小説の魔術師・久生十蘭の長篇探偵小説。初出誌“新青年”の連載を書籍化、新たに校訂を施して贈る決定版。
俳優を夢見てNYにきたエミリー。念願かなって舞台で脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妖精たちが、かつてソフィーに踊りを教えた対価に妹をさらったのだ。とはいえ、警察には信じてもらえまい。親切な刑事の追及をかわしつつ、ソフィーは妹を捜し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、現代のフェアリーテイル。