2017年発売
主人公の真知子は海外企業に職を得た夫と共に南半球へ移住。娘を出産し、新生活が始まった。美しく小さな異国の街に暮らす日本人達のコミュニティには、夫の職業や住む場所によって暗黙のヒエラルキーが築かれていた。その中で真知子は、投資銀行に勤める夫を持つ郁子、商社マンの妻の宏美、現地の日本人シェフと再婚した弓子らと親しくなる。しかし、日本人会のバザーで起こった事件をきっかけに、彼女たちの関係は一気にあやういものになっていく…。孤独と自立、家族と友情…。今、女性が「生きる」ことに正面から向き合った傑作長篇。
二〇二二年仏大統領選。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと、穏健イスラーム政党党首が決選に挑む。しかし各地の投票所でテロが発生。国全体に報道管制が敷かれ、パリ第三大学教員のぼくは、若く美しい恋人と別れてパリを後にする。テロと移民にあえぐ国家を舞台に個人と自由の果てを描き、世界の激動を予言する傑作長篇。
密偵として潜り込んだ城で、父を殺した仇のジョンへの復讐を目論むアーサー。一方、ジョンの娘アナは父の命でアーサーを見張ることに。行動を共にする二人の間にいつしか恋心が燃え上がり……。
「鑑定スキル」と「アイテム創造」で異世界コレクション生活、継続中! 秘密の薬で一日女子体験? 殺人料理大会で悪夢のクッキングバトル!? 異世界でのコレクター生活も順調なコーマ。 だが、作ったばかりの性別反転薬を飲んでしまい、なんと美少女に大変身!? 思いがけず一日だけの女子体験をすることになるがーー。 美食の町ではルシルが出場した「殺人料理大会」で三途の川を渡りかけ、 ドラゴンとガーゴイルに襲われる町で絶体絶命の危機に立ち向かう!! 波乱の日々を描く、小説家になろう発「ネット小説大賞」受賞作、第3弾!
双子の姉を交通事故で喪った、十六歳の少女。自らの半身というべき存在をなくした彼女は、家族や友人らの助けを得て、悲しみのなかでアイデンティティを立て直し、新たな歩みを始める。全米が注目するハイチ系気鋭女性作家による、愛と抒情に満ちた物語。 「わたしは、本書の日本語版をみなさまに読んでいただけることをとても光栄に思っています。(…)この本が世に出てから一年あまりのあいだに、わたしは何百人もの読者に会いました。十二歳から九十二歳までの年齢層の人びとです。彼らはそれぞれに、この物語にどんなに心を打たれたかをわたしに伝えてくれました。(…)主人公はまだ少女といえる年齢で、その若さは物語のひとつの大事な側面ではありますが、彼女をめぐる物語の全体は、老若男女の別なく誰にも共感できるものと信じます。読者の方々はまた、この本が愛のーーロマンチックな愛と家族の間の愛の両方のーー不思議とともに、生と死について語っていることを喜んでくれています。それに、ボワイエ家の人びととマイアミのハイチ人コミュニティの人びととのつながりや、ボワイエ家の人びとの目に映る生まれ故郷のハイチの姿も楽しんでくれています」--「日本の読者への手紙」より
《主な登場人物》 ナツキ・ナシーム・トオミネ 15年前の内戦で両親を失い、後宮で育てられた日系孤児。植物工場の技術者だった父にならい、技術コースを専攻している。いつかアラルスタンに雨を降らせ、アラル海を復活させるのが夢。また密かに遊牧民への憧れも抱いている。頭脳明晰だが空気を読む能力は低め。だが真っ直ぐな性格で、皆から呆れられつつ愛されている。臨時政府ではなし崩し的に国防相を担当することに。亡き父の口癖「俺が現場にいなくてどうする」を実践し、口癖は「やることはやった。あとは野となれ」。 アイシャ・ファイシャル 人望篤い後宮のエリートにして若い衆のリーダー。“睡蓮(ニルフィヤ)の笑み”と呼ばれる微笑みが印象的なクールビューティ。政治コースを修了し外務省入りが決まっていたが、大統領暗殺を受け、アラルスタン臨時政府を立ち上げ、大統領代行に就任する。チェチェン難民の子女であり、この国を第二のチェチェンにすまいと奮闘。しっかり者だが、時にボケる一面も。 ジャミラ・クンディ・サドザイ ケニア出身。ナツキを妹のように思っており、最初に仲よくなった人物。明るく勝ち気で面倒見が良いが、ノリに弱い面がある。いずれかは中央アジアの伝統文化を守る側になりたいと願っており、臨時政府では文化相を担当。銀のアクセサリーで鎧のように固めたファッションをしている。 ウズマ・ハリーファ 建国時よりアラルスタンの女社会に君臨する、枢密院の議長にして後宮のボス。アイシャたちを雛鳥扱いし、折に触れ妨害する老女。後宮内の保守派を取り仕切り、無学だが誰よりも政治の肝を心得ている。 イーゴリ・フェルツマン 後宮に出入りする神出鬼没の吟遊詩人。西欧の道化を思わせる服装で、どこからか二胡片手に現れる。 武器商人という一面も持っており、その真の顔は計り知れない。 ナジャフ・アリ・ラシード イスラム原理主義系組織「アラルスタン・イスラム運動(AIM)」の幹部。大統領暗殺に乗じ、政権奪取をもくろみナツキと相見える。過激派組織に属してはいるが、その考えは本当は穏健な保守派。優男風の容姿で、後宮に隠れファンも? 1.塩の都 2.水上の後宮 3.マグリスラード攻防戦 4.三人のミカエル 5.二人のドミートリィ 6.船の墓場 7.あまねく生者のために 8.レインメーカー
会社の愛し方、教えますーーダメ社員の奮闘を描く、共感度120%の熱血青春小説! 全国紙の採用試験に落ち、北海道の地方紙に入社した記者志望の野々村。破格の低賃金、驚異の長時間労働、超個性的な同僚たち……しかし、新たな世界での出会いが彼を変えていく。『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』『七帝柔道記』の著者が、休刊した伝説の新聞社を舞台に仕事人たちの魂のぶつかり合いを描く、お仕事小説の新たなる金字塔。
木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていくーー。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。
女の胸をかき乱す、淋しさ、愛欲、諦め、悦びー。安野モヨコが愛した、女心のひだを味わう傑作群。孤独な男を残酷なまでに誘惑する「耳瓔珞」、愛している男を自分の親友と結婚させる「むすめごころ」などー繊細な挿絵とともに、円地文子、川端康成、白洲正子、岡本かの子、有吉佐和子、芥川龍之介、織田作之助らの奥深い魅力に出会える、好評シリーズ第二弾。
捜査一課への異動から一年。一之瀬は、新たに強行班へ加わった後輩の春山と共に福島へ出張していた。新橋で発生した強盗殺人事件の指名手配犯が県内で確保され、その身柄を引き取るためだ。楽な任務と思われたが、被疑者を乗せ福島駅に向かう途中、護送車が襲撃されー。若手刑事たちの奮闘を描く、書き下ろし警察小説シリーズ。
浪人が殺され、二百両はするという名刀が奪われた。同心の河上惣三郎は、刀剣道楽の数寄者の線を洗い始める。一方、重兵衛の頭の中は、ある男のことで一杯だった。親友と弟の仇・遠藤恒之助。妖剣を使うこの強敵を倒すため、新たな師のもとで“人斬りの剣”の稽古に励む重兵衛だったが…。男たちの友情に胸が熱くなる、人気シリーズ第四弾。
「オール讀物新人賞」受賞作家、出色のデビュー作! この力量は本物だ! 歴史小説の明日を担う才能のデビュー作を その目で確かめてもらいたい。--石田衣良 綿密な取材が紡ぎ出す史実と創作の融合。 「新人離れした」とは、本書のことだ。--山本一力 四百年の長きにわたり会津を治めてきた芦名家。 しかし十八代目当主が家臣の手にかかって殺されたことから 男系の嫡流が断たれ、常陸の佐竹義重の二男、義広が 婿養子として芦名家を継ぐことにに決まった。 血脈の正当性なき家督相続に動揺する、芦名家譜代の家臣たち。 義広が引き連れてきた佐竹の家臣団との間に、激しい軋轢が生じる。 揺れ動く芦名家に戦を仕掛けるのが、奥州統一を企てる伊達家の新当主、伊達政宗。 身中に矛盾を抱えたまま、芦名氏は伊達氏との最終決戦、摺上原の戦いに至る。 「夢幻の扉」でオール讀物新人賞を受賞した佐藤巖太郎が 滅亡に向かう名家と、戦国武将の意地を克明に描き切った傑作。
「価値のないもの、誰も盗もうとはしないもの」を専門に独占状態で商売してきた怪盗ニックに、まさかのライバルが登場。〈不可能を朝食前に〉をモットーに、早朝にだけ仕事する美貌の女怪盗サンドラ・パリスと、ニックは仕事先で何度も出会い、ときには競い、ときには協力しあう奇妙な間柄になる……。文庫版全集第四弾は本邦初訳6編、単著初収録5編を含む全15編を収録。この本はお値打ちすぎるため、ニックには決して盗めない!?
日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうかーー昭和九年の大晦日、バーの片隅で交わされる噂話を端緒に、帝都・東京を震撼せしめる一大事件の幕が開く。安南国皇帝の失踪と愛人の墜死に巻き込まれた新聞記者・古市加十と捜査に臨む眞名古明警視、二人を待つ運命や如何に。「小説の魔術師」久生十蘭の代表長編にして、探偵小説史に燦然と屹立する金字塔的作品。新改訂版で、創元推理文庫に遂に登場。
女優を夢見てNYにきたエミリー。念願かなって舞台で脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精界を訪れたことがあったから。妹を救い出さなくては。とはいえ、警察は信じてはもらえまい。妹の友人の刑事の追求をかわしつつ、ソフィーは妹を探し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、現代のフェアリーテイル開幕。
火星全土に吹き荒れる独立の嵐により、地球の治安部隊は撤退し、軌道エレヴェーターの上端に追いやられる。一滴の血も流すことなく、革命は成功するかに思われた。だが、交渉中、過激な一分派が宇宙エレヴェーターへの攻撃を開始した……。『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』に続き、壮大な火星入植計画をリアルに描きつくしてSF史に金字塔を打ち立てた火星三部作の完結編、ついに邦訳! ヒューゴー賞、ローカス賞受賞作。
憲法を制定し、ついに政府を持った火星。人びとは自由を謳歌し,独自の社会システムと新たな文明を発展させていく。だが環境破壊や経済格差などの問題が山積する地球は、広大な火星をいまだ諦めてはいなかった……。荒涼とした赤い原野から緑の大地へ、そして水をたたえた青い惑星へと変わっていく火星の姿を、さまざまな人間ドラマとともに壮大なスケールで描き上げ、シリーズ累計11冠を達成した大河三部作、堂々完結。
1920年代の国際都市、上海。様々な勢力が暗躍する魔都で起こる連続不可能犯罪事件。現場に残されたカード、密室状況……。しかしそれが解かれても、真犯人・上海デスドールの姿はとらえきれないでいた。エキゾチックな不可能興味満載の連作集。