2018年1月発売
放課後の教室でナオトが落とした一冊のノートを拾ったのは、同級生の天才映画監督・ハル。彼女はそこに書かれたマンガのネームを見て、言った。これをわたしに撮らせてほしい。創作者としてぶつかり合いつつ、ナオトは徐々にハルに惹かれていく。しかしー涙とサプライズのせつない青春小説。
恋の悩みを抱えたまま、被災地の寺に入った新米僧侶の懊悩と逡巡。ブッダの弟子になった気弱で明るい青年は、仲間と共にフクシマでどう生きるのか。福島県に住む僧侶作家が7年を経て放つ書き下ろし長篇。
彼/彼女らの人生は重なり、つながる。隠された“因果律”の鍵を握るのは、一体誰なのかー章を追うごとに出来事の“意味”が反転しながら結ばれていく。数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化した長編小説。
限られた時の中で、彼らは互いを思い遣り、慈しみ、精一杯自分たちの命を生きたーもうこの世に存在しない祖父と、ぼくはかつて不思議な旅をした。そこで語られた少年と少女の切ない純愛の物語。なぜふたりは引き離されなければいけなかったんだろう?
病の宣告、就職内定後の不安、子どもの反発…様々な悩みを抱え、彼らは北海道へひとり旅をする。その旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。そして本当の結末とは。あなたの「今」を動かす、力強い物語。
ボストンに住む神経美学者ヘレンは、ある日、見知らぬ男からの電話を取った。その男パトリック・ワイズは、自分の父親が失踪し、それにヘレンの娘が関与している可能性があるという。離れて暮らす娘が行方不明だと知ったヘレンは、ワルシャワのワイズ邸へ向かう。一方、アカプルコでは全米のビューティークィーンが消息を絶ち、FBI捜査官ミルナーが現地へ飛ぶ。同じ頃、ブラジルや中国ではミツバチの大量死が発生、拡大の兆しを見せていた。世界各地で同時多発的に起きる事件には関連が?ドイツ・ミステリーの新機軸となる傑作エンタテインメント!
ライプツィヒでは市庁舎が爆破され、ミラノでは「最後の晩餐」が破壊された。インターネット上では「黄金比」をもつ画像を歪めるウイルスが拡散され続けていた。ミルナーはFBI長官の指示で急遽ロンドンへ向かい、コンピューターウイルスの調査を始める。一方、ヘレンは娘を探しにプラド美術館へ向かったが、そこで犯人の罠にはめられる。ルーヴルの修復センターに招かれるほど著名な研究者だったヘレンは、犯人から娘を救う条件として悪夢のような要求を突きつけられる。双子の「モナ・リザ」にまつわる衝撃の秘密が明かされる、圧巻の下巻!
十一代将軍家斉の正室寔子の行列が愛宕下に差しかかった時、異変は起きた。真夏の炎天下、白刃を振りかざして襲いかかる三人の刺客。狼狽する警護陣。その刹那、一人の武士が馳せ参じるや、抜く手も見せず、三人を斬り伏せた。武士の名は白野弁蔵、表御殿の灯火全般を差配する提灯奉行にして、御目付神保中務から陰扶持を頂戴する直心影流の達人だった。この日から、徳川家八百万石の御台所と八十俵取り、御目見得以下の初老の武士の秘めたる恋が始まる。それはまた、織田信長を“安土様”と崇める闇の一族から想い人を守らんとする弁蔵の死闘の幕開けでもあった。
岩瀬修は文具会社の重役である。少年時代に夢中になった任侠映画の記憶は、やがて忘れ得ぬ人たちの思い出へとつながった。高倉健のファンだった修は、映画を観たいがために家業の立ち飲みコーナーを手伝うようになり、ヤクザと煙たがられていたおっちゃんと知り合う。同じ頃、従姉妹の弥生が越してきたのだが、心臓が弱く入院生活を送り始めた。その弥生に学校のプリントを届けに行くようにもなった。弥生は頭がよく本好きで、絵も抜群に上手かった。二人との出会いは、修の人生にかけがえのないものを刻んでいく。読み終えて、きっと温かな涙をもよおす傑作。
かつては直木賞も受賞した作家・津田伸一は、「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして小さな街でその日暮らしを続けていた。そんな元作家のもとに三千万円を超える現金が転がりこんだが、喜びも束の間、思わぬ事実が判明する。-昨日あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ。偽札の出所を追っているのは警察だけではない。一年前に家族三人が失踪した事件をはじめ、街で起きた物騒な事件に必ず関わっている裏社会の“あのひと”も、その動向に目を光らせているという。小説名人・佐藤正午の名作中の名作。圧倒的評価を得た第六回山田風太郎賞受賞作。
ーこのままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。だけど厳密にやばいのはあんただ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ。身を潜めて小説の下書きを進める津田伸一は、退職金をいきなり手渡された。ついに“あのひと”が現れたのか?忽然と姿を消した家族、郵便局員の失踪、うごめく裏社会、疑惑の大金…多くのひとの運命を狂わせた、たった一日の物語が浮かびあがる。数多の作家をも魅了した、ユーモアとスリル、そして飛び立った“鳩”のあまりにも鮮烈な軌跡。現代小説の名手佐藤正午渾身の最高到達点。
妹・千春の買い物につきあって出かけた銀座で、神林麻太郎は奇妙な出来事に巻き込まれる(「宇治川屋の姉妹」)。嬉しさと心細さを抱えて、千春は嫁入りの日を迎えた(「千春の婚礼」)。ほかに「とりかえばや診療所」「殿様は色好み」「新しい旅立ち」の全五篇。「かわせみ」の若者たちに訪れる転機と事件を描く、(明治のかわせみ)第五弾!
「満洲国の人間」を名乗る老人からのNHK爆破予告電話をきっかけに、元週刊誌記者セキグチは巨大なテロ計画へと巻き込まれていく。暴走を始めたオールド・テロリストたちを食い止める使命を与えられたセキグチを待つものは!?横溢する破壊衝動と清々しさ。これぞ村上龍と唸るほかない、唯一無比の長篇。
幼いころに父を失い、織田、今川両家の人質となり、苦労を重ねる家康。桶狭間の戦いで、今川から自由となったが、織田と同盟を結んだことにより戦はまだまだ続く。越前朝倉攻め、姉川の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠の戦い、甲州討入り、上田合戦。この時代に生きる事とは戦う事であった。戦無き世を夢見て、家康は戦い続ける。