2018年1月発売
本能寺の変、伊賀越え、小牧・長久手の戦い、小田原攻め、関東移封、朝鮮出兵、関ヶ原、大坂の陣。遂に戦無き世を実現させた家康だが、天下を落ち着かせるにはまだ果たさねばならないことがある。戦国乱世を終わらせた武将にして現代日本の礎を築いた男の一生を渾身の筆で世に問うた遺作、遂に文庫化。
昭和4年。著者の父・宮本演彦は慶應の予科に通い、さらに本科に進む。教壇に立つのは西脇順三郎や折口信夫。またたびたび訪れた歌舞伎座の舞台には、十五代目羽左衛門、五代目福助が…。父が遺した日記は、時代の波の中に浮かんでは消えていく伝説の人々の姿を捉えていた。“本の達人”が描く小さな昭和史。著者のライフワーク3部作第2巻。
毎夜、午前一時にバーに現われる男。投函されなかった手紙をたったひとり受け留め続ける郵便局員。植物になって生き直したいと願う青年ー狂おしいほどに愛を求めながら、満たされず生きてきた彼らの人生に、ふいに奇跡が訪れる。抗えないはずの運命に光が射すその一瞬を捉えた、著者史上もっともやさしい作品集。魔性の50 Stories。
秋雨が十日も続き、仕事にあぶれた住民たちが食べ物にも事欠くようになった新兵衛長屋で、炊き出しが行われることになった。その会場の空き部屋で、勝五郎が金無垢の根付を見つけた。元の住人は夜鷹の女、しかも部屋には家探しした跡がある。小藤次は根付の持ち主探しにかかわるが、はたして根付は誰のもとに落ち着くのか!?
冬季閉鎖中のホテルで起きた惨劇から30年。超能力“かがやき”をもつかつての少年ダンは、大人になった今も過去に苦しみながら、ホスピスで働いていた。ある日、彼の元に奇妙なメッセージが届く。差出人は同じ“かがやき”をもつ少女。その出会いが新たな惨劇の扉を開いた。ホラーの金字塔『シャイニング』の続編、堂々登場!
「あの人たちが野球少年を殺してる!」少女アブラは超能力を介し、陰惨な殺人事件を「目撃」する。それは、子どもの“かがやき”を食らって生きる“真結族”による犯行の現場だった。その魔の手はやがてアブラへと迫る。助けを求められたダンは、彼らとの闘いを決意。そして次なる悪夢へと導かれる…。
名門・東京中央大学ラグビー部でEチームからのし上がりAチームのリザーブ入りまで果たしたが、公式試合には5分しか出場できなかった酒田公男は、就職が決まらず、恩師の伝手で私立櫻木学院高校の臨任体育講師の枠にもぐりこむ。そこで若い新理事長から、ラグビー部の立ち上げと花園出場を命じられ、背水の陣で挑むことに。なんとか集めた部員は、もちろん素人ばかり…。
1968年10月11日、東京プリンスホテルでガードマンが頭部を撃ち抜かれた。次いで京都、函館、名古屋と飛び火してゆく射殺事件。日本中を震撼させた連続射殺魔・永山則夫の、“人間”と事件の全貌を鮮烈に描いたノンフィクション・ノベル。21年間にわたり刑事被告人だった主人公が獄中で執筆した『無知の涙』『木橋』、獄中結婚、そして死刑確定と「犯罪を主題とする文学」を追究し続けた作家・佐木隆三の意欲作。
第二次大戦に翻弄された若者を描く秀作二編 第二次大戦に人生を翻弄された“日本版・失われた世代”ともいうべき、ある男の混沌とした青春記「舌出し天使」は、愛のない同棲や不義理と借金など、破滅へとひた走る若者を描いた作品。 他方、「遁走」は、著者自身の軍隊体験と周辺の人物群像を描いた初の長編小説。軍隊の愚劣な日常の中で堕ちていく主人公の意識と、弱者のしたたかな抵抗を描いた、戦争文学の中でも特異な位置を占める作品。 若き日の安岡章太郎“野心作”2作をカップリング。
淡々と湘南暮らしの日々を綴った自伝的作品 母の死や息子の受験など煩雑な現実に振りまわされながらも、“もっと単純に生きられたら”と、心ひそかに願う中年の男。 心臓を患った彼は、年寄りの医者にもっと海でも眺めていろと通告され、そんな偏屈さに妙なシンパシーを抱く。「単純」とははたして何かーー。 期間にして2年半の日々を、静かに、淡々と綴った阿部昭の自伝的作品であり、妻への思い、3人の息子それぞれに対する複雑な思いなどがユーモアと深いペーソスで綴られている。
江戸では狐面の一味による付け火が横行していた。狐面の正体は美濃の郡上一揆のあぶれ者との噂が広がる。将軍家重に仕える公人朝夕人後見人の慎之助が、火の用心の見廻りに出たところ、美濃の庄屋の娘、澪と出会う。澪もまた狐面の一味を追っていた。一方、御側御用人の大岡忠光は、尾張藩主徳川宗勝が吉宗から託されたという遺言状の存在を知るー。書下し人気シリーズ第五弾!
母親・雪江のお伴で城崎温泉を訪れたルポライターの浅見光彦は、かつて金の先物取引の詐欺事件で悪名高い保全投資協会の幽霊ビルで死体が発見された現場に行きあたる。しかも、この一年で三人目の犠牲者だという。警察は、はじめの二人は自殺と断定。今回もその可能性が高いというのだ!?城崎、出石、豊岡…不審を抱いた浅見は調査に乗り出した。会心の長篇旅情ミステリー。
大坂に新幕府創設!?密かに準備されているという情報を得た銀次郎は、そのための莫大な資金の出所に疑問を抱いた。しかも、その会合の場所が、仇敵・床滑七四郎の屋敷であったことから、巨大な陰謀のなかに身をおいたことを知る…。老舗呉服商の隠居斬殺事件に端を発し、大奥内の権力争い、江戸城御金蔵の破壊等々、銀次郎の周辺で起きる謎の怪事件。そして遂に最大の悲劇が!?
肥後椿が咲き乱れる「百椿庵」と呼ばれる江戸時代からある屋敷には、若い女性の幽霊が出ると噂があった。その家で独り暮らすことになった新進小説家の青年井納惇は、ある日、突然出現した着物姿の美少女に魅せられる。「つばき」と名乗る娘は、なんと江戸時代から来たらしい…。熊本を舞台に百四十年という時間を超えて、惹かれあう二人の未来は?(タイムトラベル・ロマンス)
ナリタブライアンがよもやの敗戦を喫した。怪物ハイセイコー、皇帝シンボリルドルフ…。勝ち続けることの困難さを痛感する競馬記者の松崎達也。賭け事なら何でもござれで、競馬はもとより、麻雀ホンビキその他、高額レートでヒリヒリするような勝負に身を焦がす、人呼んで極道記者。ツキに見放されて真っ逆さまの奈落の底で、一世一代の大勝負に出るが…。伝説的賭博小説『極道記者』の続篇!巻末付録:わかりやすい手本引き。
枝蓮のメル友女子が河越高校に留学!?東御家にホームステイして、紫古流華道の師範免状取得を目指しながら、学校へ通うらしい。「温泉も、仲間とのバイクツーリングも、日本に行ったら自分もぜひ体験してみたい」と言ってるそうだ。そんなある日、俺は校長室に呼ばれた。バイク仲間みんな、県教育委員会フクズミ氏、国際留学生支援協会のホンジョーさんがいて、なにやら妙な緊張感が…。書下し温泉ツーリング学園小説。
東京・杉並区で起こった連続愛犬殺害事件。殺された犬はすべてシェパード。空手の全国大会に出場するため上京していた山梨県警南アルプス署の神崎静奈と後輩の曾我野は、愛犬のバロンを迎えに行く途中、偶然、一匹のシェパードと飼い主の少年が車で連れ去られる現場に遭遇する。カーチェイスの末、犬と少年を無事救出した静奈たち。だが今度はバロンが攫われる……。事件の裏に隠されたもうひとつの事件とは? 大藪春彦賞作家の書下しサスペンス。
凍える風が止むことのない冰心山。魔女が棲むと恐れられている山の頂には、伝説の名刀「月家刀」があるという。そこを目指す少年蓬己は、刀を手に入れて、両親の仇を討とうとしていた。しかし、あと少しのところで、謎の黒装束の男に奪われてしまう。窮地に陥った彼の前に永い眠りから目覚めた柳紫鳳が現れた。腐敗した王政と混迷する世情、彼女は再び騒乱の渦中に…。武侠小説。