2018年10月31日発売
都立浅川高校吹奏楽部の顧問三田村、通称ミタセン。教師らしくない言動で部をかきまわすが、類まれな音楽センスを発揮し、赴任してすぐに部を東京都大会金賞に導いた。新学期を迎え、さらなる飛躍を目指す浅高吹部だったが、突如マーチングに挑戦することに。青天の霹靂だった部員たちは戸惑い、ミタセンはやりたくないと駄々をこねる。マーチングを積極的にやろうとしているのはどうやら新副顧問、嘉門先生らしい。次第に座奏組VSマーチング組の構図が生まれ…。
身を挺して少女を救おうとした元警察官の過去、親の認知症に悩むサラリーマンの決意、子を亡くした親と死者を「忘れる」ということ…。いつだって、人は誰かを思いながら、この世からあの世に渡っていく。車の姿になって久しい速人も、現世に妻と娘を残してきている。しかし、その存在を咄嗟に思い出せないことが増えてきていた。そんな自分にとまどいを隠せない速人。一方、「この世」に残された妻・美里のもとへは、なぜか夫の名が「新郎」欄に書かれた結婚式の招待状が届いていたー。面白うてやがて涙ホロリの魂救済ストーリー。
ニッポンに巣くう底知れぬ差別。良識をきどった悪意。“浄化”と排除の欲動ー「にんげん」現象の今日的破綻と狂気を正視し、この世に蠢く殺意と愛の相克を活写。かつてだれも試みたことのない、“語られたくない事実”への小説の挑戦!“存在と無”の究極を照らしぬく560枚!
「黒いピラミッドが見える…あのアンクは呪われているんだ…」聖東大学で起きた殺人事件。犬のマスクを被り古代エジプト研究室に乱入、教授を撲殺した男の最後の言葉を耳にした専任講師の日下美羽は、「呪われたアンク」に導かれるようにエジプトの地へ降り立つ。辿り着いた砂漠の果ての呪われた遺跡で美羽が目にしたのはー。
新作VRMMO『イマジネーションファンタジアオンライン』。オープンβ開始と同時にゲームを始めた主人公・彰人は、魔法をぶっ放して華麗に活躍する後衛花形火力職を目論むも、現実でのノーコンがゲームにも影響を及ぼして魔法がまったく当たらない。しかし、めげない彰人は「当たらないなら、当たる距離まで近づけばいい!」という発想の転換で、ゼロ距離から魔法を放つという離れ業を身につける。だが、それを見た周りのプレイヤーからは『殴りマジ』と呼ばれるように…。異色のプレイスタイルに加え、ナビAIの趣味により超絶イケメンな外見のダークエルフにされてしまったものだから、ゲーム内では常に注目の的に!?天然美少女ハーフエルフ・セシリアや頼りになるけどちょっぴり残念なエルフ美女・夢乃、ノリの良いドワーフ・ドドンなど、愉快な仲間たちとの出会いと冒険の物語が今始まる!!Gzブレインゲーム小説コンテスト金賞。
現実では平凡で目立たない男子高校生・四埜宮悠木は、仮想現実型ネットゲーム『銀剣』こと『グラディウスアルジェンティウス』の中では名を知られたプレイヤーだった。手練れの大剣使いユキとして。そして煽り屋の問題児ユキとして…。しかし、ある日『銀剣』内で倒して背中を踏みつけた相手が実は同じクラスの文学少女・栂坂佳奈で、しかも彼女に悠木がユキだとばれてしまい…。最悪の出会いで始まった二人のリアル&ゲームライフは思わぬ方向へー!?Gzブレインゲーム小説コンテスト金賞。
自らの父をモデルにした松坂熊吾の波瀾の人生を、戦後日本を背景に描く自伝的大河小説「流転の海」。昭和四十二年、熊吾が五十歳で授かった息子・伸仁は二十歳の誕生日を迎える。「俺はこの子が二十歳になるまでは絶対に死なん」そう誓った熊吾の、大願成就の日を家族三人で祝うが…。熊吾の人生の最期には、何が待ち受けていたのか。妻の房江は、伸仁はどう生きていくのか。そして、幸せとは、宿命とは何だろうか。時代を超えて読み継がれる大河巨篇、完結。
人が死ぬ瞬間に遺す、いくらのような赤い珠。口にしたものは、死者の最期の願いが見えるというー。十数年前の雑誌に一度だけ載った幻の漫画『ぎょらん』。作者の正体も不明ながら、ネット上では「ぎょらんは本当に存在する」という噂がまことしやかに囁かれていた。三十路のニート、御舟朱鷺は、大学一年のときに口した友人の「ぎょらん」に今も苦しんでいると語るが…。とある地方の葬儀会社で偶然に交錯する、「ぎょらん」を知る者たちの生。果たして「ぎょらん」とは一体何なのか。そして死者の願いは、遺された者に何をもたらすのかー。「R-18文学賞」大賞受賞作家が描く、妖しくも切ない連作奇譚。
満州国建国後、イングリッシュ・ネームをもち、華やかな天津租界で暮らした日々に、清朝最後の皇帝・溥儀と妻・婉容が交錯する、天野初音97歳。出征し帰らぬ人となった3人の兄、兄弟のように育った馬たちに再会する、土倉牛枝88歳。戦時中、郵便配達婦をして、六男二女を育て、出産の痛みに包まれた時間に回帰する、宇美乙女95歳。認知症の老女たちのなかに宝石のように眠る、輝かしい記憶たち。そのゆたかな世界を描く長篇小説。
日本の最新巡視船“うおつり”が尖閣奪取を目論む中国人武装集団“愛国義勇軍”に占拠された。犯行声明が世界中を駆け巡り、米国からの支援も断たれるなか、船内に一人残された市川・二等保安士は仲間を解放し、無事に帰還することができるのか。一方、官邸は自衛隊の極秘部隊「デルタ」に出動命令を下す。「兵士シリーズ」で国防の最前線を描き続けてきた著者が、圧倒的なリアリティで描く、究極のシミュレーションノベル!
「完璧に美しい小説」があった。もう一度見せて欲しい、あの不敵な美しさを。南洋パラオの出会い、書評家と円熟期の作家、傍らにカクテルグラス。文芸の極みと女の旅。成熟の世界を描く記念碑的長篇。
人間は忘れる生き物だ。だからこそ、残っている記憶には意味がある。記憶翻訳者とは、依頼人の心から抽出した記憶データに潜行し、他者に理解可能な映像として再構築する技能者である。珊瑚はトップ・インタープリタとして期待され、さまざまな背景を持つ依頼人の記憶翻訳を手がけていた。しかし彼女にとって人の記憶と深く関わることは、自分自身のなかにある埋められない欠落と向き合うことでもあったー第五回創元SF短編賞を受賞した表題作にはじまる連作短編集。
逆光を浴びながらステージに登場したボーカルは、突如悲痛な叫び声をあげるとその場に頽れた。彼の胸には千枚通しが突き刺さっていた。衆人環視の中でのボーカルの不可解な変死により、ロックバンド“赤い青”は活動休止に追い込まれる。事件直前、カリスマ的なギタリストが演奏中に冒した、彼に似つかわしくないミスは事件と何か関係があるのか?ライブハウスのスタッフである梨佳は、あの日なにが起こったのかを考え始める。やがて起きた第二の悲劇ーロックは、果たして人を殺すのか?無冠の大型新人が満を持して贈る、感動の第一長編。
川で少女の死体が発見された。長期間にわたって虐待された痕があり、死因は溺死だと判明する。だが不可解なことに、少女は川の水ではなく塩素水で溺れていた。おぞましい犯罪に、刑事オリヴァーとピアたちは必死の捜査をはじめるが、二週間たっても少女の身元が判明しない。さらに殺人未遂事件も発生。警察関係者の想像を絶する凶悪犯罪の全貌とは。欧州席捲の大人気警察小説!「刑事オリヴァー&ピア」最新作!
その学校に入学するのは、異世界へ行った、不思議の国のアリスのような子どもばかり。つまり“向こう”に帰りたいと切望する彼らに、現実と折り合うすべを教える学校なのだ。新しい生徒のナンシーもそんなひとり。ところが死者の世界に行った彼女に触発されたかのように、不気味な事件が…。アリスたちの“その後”を描いたファンタジー3部作開幕。ヒューゴー、ネビュラ、ローカス三賞受賞!世界幻想文学大賞候補作。