2018年10月発売
子供もなく定職にもつかず、ただ安楽な結婚生活を送る主婦の私はある日、いつの間にか互いの輪郭が混じりあって、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く…。夫婦という形式への強烈な違和を軽妙洒脱に描いた表題作で第154回芥川賞受賞!自由奔放な想像力で日常を異化する中短編4作を収録。
信平の領地、岩神村に非常事態が連続する。青々とした稲が枯れ、代官は毒を盛られ、米盗みの疑いで村民が捕らえられる。隣村を預かる旗本が詫びの印として求めたのは、信平の隠居か鷹司家秘蔵の陶器だった。やむを得ず公儀に内密で領地へ赴く信平を更なる試練が襲う。「公家武者シリーズ」面白さ倍増の第四弾。
名もなき者の物語を生涯書き続けた山本周五郎。戦国の覇者、織田信長と徳川家康、その家臣たちの物語を通し、見える天下人の姿とは。信長に勧められた縁談を断った家臣の一途な生き様を描く名作「曾我平九郎」、武田の駿河侵攻に家康の先手組として砦を死守した男たちと悲恋を描く「御馬印拝借」など名作八編。
県、肝入りの第三セクターが引き起こした欠陥住宅詐欺問題で、混乱の渦中にある秋田政界。浅見光彦は、県政刷新のため副知事に抜擢された才媛・望月世津子の秘書として、現地に赴く。相次ぐ事件関係者の不審死と、世津子に届いた告発状の関連を探る浅見の前に、警察幹部や政治家の重圧の壁が立ちはだかる。
水嶋亜希、三十二歳独身。文芸編集者としてトラブル処理に飛び回る日々。仕事を頑張ったご褒美のように、ある日高スペックのエリート官僚と偶然出会い恋が始まる予感が。だが新幹線爆破テロ事件が発生すると、明らかに彼の態度が怪しくなっていくー私、騙されてる?痛快でドラマティックな反撃が始まる!
野望と陰謀が交錯する満州の人工都市新京。この映画の都は「幻影城市」と呼ばれた。若き脚本家志望の英一は日本を追われ、満州映画協会の扉を叩く。理事長甘粕正彦、七三一部隊長の石井四郎、無政府主義者、抗日スパイら怪人が闊歩する中、不可思議な事件が続発するー。『楽園の蝶』を改題、改稿した決定版。
今回の舞台は、中学校。時間割に見立てた7編の短編で、鮮やかに現代人の苦悩、笑い、絆、友情、想いを描写。現役中学生の目を通して「生きる」ことについて大いに考えさせられます。笑って笑って、ホロッと泣かせる、胸に迫る青春群像小説です。
“早く、早く死ななきゃならない”。海兵隊員の夫が、ナイフで自らの首を掻き切る前に書き遺した言葉。それは、FBI捜査官ジェーンの悪夢の始まりだった。調べを進めるうち明らかになる、全米の自殺率の異常な増加。夫同様、才気に溢れ幸せに見えた人々はなぜ発作的に死を選んだのか?やがてある研究所と会員制秘密クラブの存在が浮上し、ジェーンは想像を超えた戦慄の真実を知ることになるー。
イギリスを逃れ、ドイツ軍最高司令官となったドラキュラ。その策謀を暴くため若き英諜報部員は空から敵地に迫る。迎え討つはレッド・バロンこと、撃墜王フォン・リヒトホーフェン男爵!一方、エドガー・ポオも撃墜王の拠点、マランボワ城を訪れる。祖国アメリカを捨てた彼は、なぜ独軍要人に呼び出されたのか。そして、空の戦士たちが集う城で起きていることはー?本編に本邦初収録の一章を追加!さらに、書下ろし「ヴァンパイア・ロマンス」や初公開の映画資料を収録した完全版第二弾!
スポーツ紙で働く記者・笠間に、販売部への辞令が下った。記者職への断ち切れない思いを抱えながらも、それまでの人脈を活かし、販売部でも存在感を発揮し始める。だが会社の根幹を揺るがす事件を解決した矢先、悲劇が彼を襲うー。一方、新聞社で忙しく働く父との関係に悩む長男の翔馬と次男の翼。彼らの人生もまた、大きな岐路に立たされる。
“ちぐさ台団地の星”と呼ばれたかつての甲子園球児、要介護の親を田舎に抱えるキャプテン、謎多き老人・カントク、そして夫に“捨てられた”洋子と娘の香織ー草野球チームを通して交錯する「ふつうの人々」の人生を鮮やかに描ききった傑作長編小説。
専門を持たない「何でも屋」エンジニアの文椎の武器は、ささやかなITテクニックと仕事仲間と正義感。郭瀬と汪の3人でチーム開発した、広告ブロッカーアプリ“ブランケン”が、突然インドネシア方面で爆発的に売れ出した。“ブランケン”だけが消せる広告は政府広報だ。東南アジアの島国で何が起こっているのかー。果たして彼らはとんでもない情報を掴んでしまった。文椎は、第二のエドワード・スノーデンなるか?
未解決事件を取り上げるため『継続捜査ゼミ』と呼ばれる小早川ゼミの5人の女子大生は、冤罪をテーマにしようとする。小早川は、授業で学内ミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶に会うが、後日高樹は小早川と話をした直後、何者かに襲われ救急車で運ばれた。その後、高樹に対する傷害容疑で小早川が任意同行させられることにー警察に疑われ続ける教授に代わり、ゼミ生たちが協力して事件の真相を明らかにしていく。
遠い昔、オルドバンの一方的強制に反発するアルマダ種族のメンバーが集まり、アルマダ反乱軍を結成した。それをひきいるのは赤いひとつ目を持つローランドレのナコール、通称“アルマダ王子”である。オルドバンが沈黙しているいま、アルマダ反乱軍の敵は銀色人すなわちアルマダ工兵だ。ナコールと反乱軍メンバーは銀色人の本拠地であるアルマダ工廠“モゴドン”に侵入し、攻撃を開始。そこへ“バジス”も近づいてきた!
ブル、シド、スーらはファンタン星人の宇宙船内に軟禁されるが、シドはテレポートで脱出を試み、宇宙船のエネルギー・シールドに阻まれ意識を失ってしまった。地球では、金星のアルコン基地から来た謎のロボットのリコが、海中にある何かに自分は呼ばれていると確信し探索を続けている。ヴェガ星系では、フェロルでトプシダーに捕まりフェロリアの捕虜収容所へ移管されたタコ、アンネらに過酷な試練が待ち受けていた…。
準惑星天涯でガイナスに辛勝した人類。しかしその勝利は、出雲と壱岐の政治・軍事各所に微妙な軋轢を生みだした。コンソーシアム艦隊の作戦行動が政治主導で制限されることを危惧する左近健一大将は、腹心の香椎士郎中将を司令長官とする壱岐方面艦隊を編組。一方、壱岐の軍需工場を巡り、タオ迫水筆頭執政官と火伏礼二兵站監は攻防を繰り広げる。さらに天涯の探査システムが正体不明の小惑星を発見しーシリーズ第2弾。