2018年10月発売
将軍綱吉の世で鍼灸道を確立し御典医に名を連ねた検校・杉山和一。彼にはしかし、安眠を許さぬ三つの悪夢があった。仇敵と狙われての東海道。逃れても逃れても追手は迫る。そして辿りついたのは江の島弁天。この地が、ゆくりなくも鍼灸道の原点となった…。和一の夢に繰り返し現われる亡魂。その予言が一つまた一つと的中するたびに、和一は自らに問いかけた。お前はいったい何者なのだ、とー。
都内で発生した連続殺人事件。凶器が一致したものの被害者同士に接点がなく、捜査は難航する。警察への批判が高まる中、「ひまわり」と名乗る犯人がネットメディアに犯行声明を出したことにより、あらゆる人間を巻き込んで事件の熱狂は加速していくー。世界同時配信の「殺人リポート」に隠された犯人の真の目的とは。地道な捜査を続ける刑事たちの執念と、ネット社会に踏みにじられた人々の痛みが胸に迫る、傑作犯罪ミステリ。
死を覚悟した瞬間から“青春の繰り返し”が始まった。私は二十歳の女子大生で、SNS中毒で、アリアナ・グランデになりたくて。でも、いま目の前にあるのは、倒れたバイク。潰れたヘルメット。つまり、交通事故で死の瀬戸際。絶対、最強の恋愛小説。
空母三隻を撃沈された米国は、豪州領ビスマルク諸島に進出。ここを拠点とし、B17によるトラック諸島爆撃作戦を展開する。長距離爆撃が可能な機材を持たない日本軍は、水上砲戦部隊を投入。艦砲射撃でビスマルク諸島の米航空基地を破壊する策に出るが、米軍の基地設営能力は想像を上回る。幾度破壊しても再建される姿は、「不沈空母」と呼ぶべきものだった。一方、欧州ではドイツが英本土への上陸作戦に失敗。背後を窺うソ連にも不穏な動きがー。風雲急を告げる世界情勢の中、連合艦隊は「金剛」「榛名」を中心とした戦力を集結。夜陰に紛れ、要塞と化したビスマルク諸島を急襲する!
二度と、戻ること叶わぬはずの異世界デルフィニア。だがこの国の未曾有の危機が、リィを再びこの大地に呼び寄せた。待ちわびた王妃の降臨。熱狂する人々。覆る劣勢。大勝利の後、凱旋した王妃は首都コーラルに五日間だけ滞在するー。『紅蓮の夢』で語られなかった短くも濃密な日々が綴られた短篇連作集。
不幸なボタンの掛け違いからはじまった米中の戦争は、ホノルルを占拠した中国への報復として、米国側が海南島への上陸を果たす。その後、ホノルルの平和を回復し、香港での独立運動を画策しながら和平交渉を進めていた米国に対し、中国はここで思わぬカードを切ってきた。それは、韓国の裏切りだ。韓国の玄武ミサイルが九州へと向けられる中、日本はどう舵を取るのか?突然の韓国の離反、そのハレーションが同盟国に与える影響はー?緊迫する「第三次世界大戦」の行方を描く大石英司の新シリーズが開幕!
このところエナはフィンの夢の中に毎晩のように現れ、手製のバウローンを叩き続ける。そのためフィンは熟睡できないのだ。エナはフィンの怒りを買うことを承知していてもこうしなければならない気持ちに駆られている。しかしフィンが復讐しようと思い立った時事態は思わぬ方向に動き始め、エナの回りのものたちを危険に巻き込み、エナの手におえない状況になってしまった。一体どうしたら収集できるのか、ことの行く末は?アイルランドの伝承の英雄フィンとお馴染みの妖精たちが織りなすアイルランドと日本をまたにかけた、そして古代から現代という時空を超えたファンタジー『巨人の夢』はファイ・フォーク(妖精たち)シリーズの最初の一作で、著者アラン・フィッシャーの日本での事業展開の一環としてまた日本にアイルランドの文化を広めたいと言う切なる願いから生まれたものです。奇想天外な想像力を持ち、語りの伝統を大切にするアイルランドの現代の語り部の物語をお楽しみください。
馴染めない会社を退職し、地元・金沢に帰還した玉緒は、小説家だった亡き祖母の書斎で、古い万年筆を見つける。それに憑いていたのは、尻尾がペン先みたいな黒猫姿のつくも神・マネだった。マネは玉緒に、祖母の書き残した小説を完成してほしいと頼む。その小説は工芸品に関わる、つくも神たちを巡るお話だった。金沢の街を舞台に、様々なつくも神と人々の想いを、相棒の万年筆猫と共に紡いでいく。
ワケアリ品ばかりを好んで買い取る『質屋からす』。店主の烏島廉士はいわくつきの物ばかり好んで買い取り、コレクションをする傍ら、情報の売買もしている。従業員の千里は、ある能力を買われて働いている。ある日、千里の元同級生・舞が訪店。壺の焼印の入った“球体関節人形”を買い取ってほしいと依頼するがー人気シリーズ最新作!書き下ろし。
時は昭和五十年代、八代目林家正蔵(のちの彦六)の住む長屋には、密かに難事件の相談が持ち込まれていた…。「やかん」「中村仲蔵」「伽羅の下駄」など、正蔵十八番の名作落語の数々が現実の事件と複雑に絡み合う。『高座のホームズ』に続く、痛快無比の異色落語ミステリー第二弾!
時は幕末。倒幕だ佐幕だ攘夷だ開国だ、と意識の高い周囲の連中のなかで逼塞していた浪人・松浦佐太郎は、とある縁で助けた男に「勤皇の志士」という言葉を吹き込まれ、覚醒する。だが、高杉晋作、坂本龍馬ら名だたる英雄から思いを託され維新を最後まで見届けようとした佐太郎は、革命の渦中で大きな矛盾に気づいてゆく…。
自分の裸体の写し絵を取り戻してくれと泣く娘の話「恨の蠑螺」、美しい娘に化けた狐にとりつかれる若い歌舞伎役者の話「岩井紫妻の恋」など、動物や道具を媒介に、異界と交わるものを描いた綺堂自選の妖異譚集最終巻。全十二篇に、附録として単行本未収載の短篇一篇を添える。
北の小さな田舎町。中学校の生徒会長・一村が遺体で見つかった。警察の捜査が難航する中、同級生の徹也は友人の古館の様子がおかしいことに気づく。やがて異常な事件が続発。徹也と仲間たちは隠された真実を探す。喪失と絶望、疑心と対立、目眩と希望ー。激しい雨に襲われた十五歳の夏。少年少女はただ一度の季節を走り抜ける。
尾張国守護代の重臣で、富と力を蓄え織田弾正忠家の名を高めた織田信秀の番頭格・柴田権六勝家は、困惑していた。信秀の後継者である信長が、型破りな男だからだ。このままでは、先代がせっかく大きくした“家”を守ることはできないー。織田家の軍団長たちの連帯と反目を描き、働く男たち共感必至の戦国絵巻、ここに開幕!
徹底した取材と綿密な調査に基づく重厚な歴史小説で知られる作家・吉村昭。その文学的出発点を示す自選短篇集(全二巻)。第1巻には表題作のほか、三島由紀夫が激賞した「死体」、初の芥川賞候補作「鉄橋」など、一九五二年から六〇年までの七編を収める。巻末にエッセイ「遠い道程」を付す。
『戦艦武蔵』以前の吉村文学の中核をなす自選短篇集(全二巻)。第2巻には、集団自殺へと傾斜する少年たちを描く太宰治賞受賞作「星への旅」のほか、死と隣接する独特の世界を垣間見せる表題作など、一九六一年から六六年までの七編を収める。
『人形遣いのダンジョン』で破壊されてしまったニーナさんを救うべく、行動を開始するサブロウ。錬金術師の言によると、お金と素材さえあれば蘇生は可能とのこと。どんな手段を使ってでもニーナさんを取り戻してみせる!チートなし勇者の真なる戦いが今始まるー!!
邪神により異世界召喚され、ダンジョンを運営する少年魔王となった黒井幸助。彼は悪辣なトラップと嫌がらせにより、冒険者から見事に負のエネルギーを吸収し、パワーアップを遂げることに成功する。そんな彼の根城に次にやってきたのは、プライドの高い女聖騎士・リオン。彼女に対し、幸助はドッペルゲンガーのボックルを差し向けるが、ボックルはなんと、リオン自身の姿に変身し…?冴え渡るボックルの悪知恵と悪戯に、幸助も思わず抱腹絶倒!そしてダンジョンの奥深く、気高き女聖騎士の顔が、今日も恥辱に紅く染まっていく…。「小説家になろう」発、鬼畜魔王による大人気ダンジョン経営物語、第二弾!