2018年6月発売
ルポライターが殺された。彼の恋人は轢き逃げに遭う。そして横浜で発見された女性の白骨体。3つの事件を解く鍵は、殺されたルポライターの寝台急行「天の川」乗車ルポにあるはず。列車に乗った十津川警部は、ある齟齬を見出す…。かつて上野ー秋田間を結び、今はなき寝台急行に懐旧の思いを込めた新装版。
「墓荒らしに協力はできない。これは犯罪だ」-マジシャンのベリーは興行先で妊婦のこうこに墓を掘り起こす手伝いを求められて激しく抵抗。しかし墓穴から連れ出された老婆・ありさは日ごとに若返ってゆくのだった。時がさかしまに流れる街で、ペリーとこうこの関係は一体どうなってしまうのか?奇想天外で落涙必至の物語。
航空機メーカー四星工業の技術者・沢本由佳は、社の主力機TF-1の改修開発を提案する。それはかつて、社の先達たちが目指し、挫折した計画でもあった。実現には、防衛省との折衝や巨額の防衛予算の獲得など、課題が山積。社内の不正やライバル企業からの妨害も発覚する中、新型機は無事に、大空へと飛びたつことができるのか!?
美大に入学したての友親は、知り合った先輩の若菜と親交を深めるうちに、自らの中にある問題に向き合うことになる。一方、若菜も心に傷と秘密を抱えていて…。友親の前に現れた少女・恭子は何か知っているのか。かつての悲恋、家族との軋轢、才能への渇望と絶望ー若者の痛みとその再生を描く青春小説。
男も女も老いも若きも、様々な「情」を胸に抱き、それに振り回され生きていくー武士の、同輩への友情と許婚への断ち切れぬ愛情との葛藤を描く「落ち梅記」。亭主への、また父の娘に対する「情」の交錯がドラマに複雑さを与える表題作。同場所のシンデレラ物語が迎える残酷な結末「なんの花か薫る」。「情」の万華鏡とも言うべき一冊。
別れた恋人と食べるアツアツの葱やき、結婚する気のない男との一泊旅行で買った駅弁、恋の悩みを打ち明ける女友だちとつつく焼肉、浮気夫のために作るビフテキ…男女の仲に欠かせない「おいしい料理」と「恋」は表裏一体。すれ違いつつも寄り添おうとする男と女たちの、せつなくてかわいくて、ちょっとビターな9つの恋の物語。
江東区で立て籠もり事件が発生した。犯人は三年前まで特殊犯捜査係(SIT)に所属していた元警察官・西村國夫。膠着状態が続く中、葛木の携帯に西村から着信が。「この国の警察を自殺に追い込みたい。警察組織の浄化を要求する」と言う。いったい何が犯人を駆り立てるのか。警察組織の闇が暴かれ、正義が揺らいだとき、葛木のくだした勇気ある決断とは…。大人気シリーズ待望の文庫化!
工藤瑞恵は夫の借金返済のため、通いの家政婦をしていた。京都・修学院に佇む勤め先の原家に主はなく、前妻の子であるかおりと裕次、後妻の愛美と息子の祥が暮らしていた。仲は悪くないが、よそよそしさを感じる家族を繋いでいたのはかおりの明るさだった。だがある日、かおりが轢き逃げに遭い昏睡状態になってから、原家を次々と悲劇が襲う。ミステリーの名手が歪んだ人間心理を鋭く描く。
結婚式目前に婚約者から振られ、放心状態の雛子のもとに届いた手紙ーーそれは「失恋学校」の入学案内だった。全寮制で学費も安い……訝しく思いながらも入学を決意した雛子は、入学式前に泣きじゃくっていたエミリと美人の貴和子と同室になる。「今日の授業は、“思い出の品を捨てる”です」個性豊かな先生たちの奇想天外な授業やテスト。みんな無事に「失恋」できるのか。(解説:藤田香織)
『国史』が成らねば水戸藩は天下の笑いもの。一向に進まない編纂作業に業を煮やした前水戸藩主・徳川光圀公(実在)は、書物問屋の隠居に身をやつし、遅筆揃いの不届き執筆者どものもとへ原稿催促の旅に出た。お供は水戸彰考館の覚さん(実在)、介さん(実在)をはじめ、鬼机(デスク)のお吟など名編修者たち。まずは下田を訪れたご老公一行は、なにやら不可解な陰謀にぶち当たる!(痛快時代エンターテインメント)
たかがランチに3500円!?でもママ友の集まりには行ったほうがいいよね……。生協の配達員に恋する恵子。離婚を隠すシングルマザーの秋穂。スピリチュアルに傾倒する千鶴。若手俳優のおっかけにのめりこむ綾子。娘の受験に悩む由美。この街で、このタイミングで、子どもを産まなければ出会わなかった5人の女たち。幼稚園バスの送迎場所から「ママ友」たちの人生は交錯していくーー。(解説:榎本正樹)
常の如く斬り尽くせ。一人たりとも討ち漏らすな。将軍家斉公お抱えの隠密集団、相良忍群の殲滅を命ずる五十がらみの男は、かなりの家柄の大名らしい。そしてその男を父上と呼ぶ浪人姿の三十男ー蒼二郎は、いったんはそれを諌めるも、亡き母の仇こそ彼らであると聞かされ、“隠密狩り”を決意する。後日、洲崎の浜には、相良忍群、二十四体の骸が横たわっていた。剣豪小説の傑作!
花月庵蒼生と名乗り生花の宗匠として深川に暮らすのは世を忍ぶ仮の姿。実は時の白河藩主松平定信の隠し子である松平蒼二郎は、徳川の天下に仇為す者どもを闇に葬る人斬りを生業とする。宿縁で結ばれた元渡世人辰次、武家の美女澄江、医師丈之介の三人と共に巨悪を滅ぼす闇仕置を請け負う日々。そんなある日、鞍馬流奥義を極めた能役者の兄弟が蒼二郎を襲った。剣豪小説の傑作第二弾!
美しい母と二人、何不自由なく暮らしていた武田。その母が殺害された。謎の数字と、自らが本当の親ではないことを言い遺してー。自分が見てきた世界は何だったのか?自分は何者なのか?記憶喪失の女、自分を付け狙う怪しい影、実の母を殺した友人…無関係に見えた複数の謎の向こうに、武田はついに巨大な陰謀があることを知る!
健康器具会社で働く美菜子に企画部への異動辞令が下りた。6年越しの希望が叶い喜んだのも束の間、勤務先が畑とわかり、美菜子は「元カレと結婚しておけばよかった」と落胆を隠せない。しかも共に畑を運営する区の職員、河田は神経質で無愛想この上ない。二人は開園イベントの準備にとりかかるが…。都会の畑で始まる不器用な恋の行方。
追掛日菜子は舞台俳優・力士・総理大臣などを好きになっては、相手の情報を調べ上げ追っかけるストーキング体質。しかしなぜか好きになった相手は、殺人容疑をかけられたり脅迫されたりと、毎回事件に巻き込まれてしまう。今こそ、日菜子の本領発揮!次々と事件解決の糸口を見つけ出すがー。前代未聞、法律ギリギリアウト(?)の女子高生探偵、降臨。
「黒田左少将どのの猿楽の催しに貴公をお連れしたいのだが」。公儀目付役・稲生正英の言葉に多田文治郎は耳を疑った。家出娘の相談で稲生邸を訪れたのだが、その話が終わるや否や乞われたのは、大大名の催す祝儀能への同道。幽玄の舞台に胸躍らせる文治郎だったが、晴れの舞台で彼が見たものとはいったい…?瞠目の時代ミステリ、第二弾!
企業間に起きた問題を、秘密裏に解決する鶴谷康。そんな彼に、不動産大手の東和地所から土地売買を巡るトラブル処理の依頼が届く。東京五輪開催を前に、再開発事業を進める西新宿の二つの土地。その背景に、関西のある大物ヤクザの暗躍があった。政治家や警察官僚を巻き込んだ利権と癒着の巣窟を前に、命を狙われる鶴谷の運命は?シリーズ新章開幕。
女将のお滝が作る賄いの美味さに、小さな米問屋・熊野屋に居ついてしまった百地市郎太。ある日、大店に賊が押し入り大金を奪った上、主人から奉公人まで皆殺しにする事件が起きる。その店は熊野屋の大得意。ただの盗みか怨恨かー。義憤を感じた市郎太は事件解決のため動き出す。先祖伝来の鉄拳、煙幕、棒手裏剣で悪党成敗!最強義賊シリーズ第二弾。