2018年7月発売
鋭い直感とすぐれた決断力に定評がある弁護士・阿礼沙英子。でも、沖縄独特の方言と因習、ささやかな嘘や隠し事に、今日もやや苦戦中。彼女を尊敬してやまない、方言通訳担当の事務員・大城が、意外な人脈と行動力で、縺れたトラブルを解く手がかりを見つけ出す!
電車を乗り間違え、見知らぬ町に降り立った島本。部下の矢崎は「すぐに離れたほうがいいですよ。ここは漠市です」と訳のわからぬことを言う。しかし先を急ぐ島本は、漠市を通り抜け、取引先へ向かう。するとその後、次々と幸運が舞いこみだした。大きな仕事が決まったり、会社のマドンナに声をかけられたり…。上機嫌で家に帰れば、玄関の前に元カノののぞみが座りこんでいる。復縁かと喜んだ島本はのぞみを家に泊めるが、のぞみは一言もしゃべらず、精気もない。そして翌日、のぞみを家に残したまま出社した島本がバッタリ出会ったのは、本物ののぞみ。では、家にいるあの女は誰なのかー。いや、何なのかー。
巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず、一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展しー警察内から裏切りと揶揄される不破の運命は、そしてストーカー事件の思いもよらぬ真相とはー大阪地検一級検事・不破俊太郎。孤立上等、抜き身の刀、完全無欠の司法マシンが、大阪府警の暗部を暴く!
「親しき仲にもスキャンダル」を信条とし、取材対象者へ独特の感性で切り込み数々のスクープを抜きまくってきた伝説の週刊誌記者が、女性宅への不法侵入と窃盗の容疑で逮捕された。窃盗容疑は否認するなか、取り調べ中に語った「友を待つ」という一言の真意とはなんなのか?その言葉の意味と彼の行動の目的を調べ始めた後輩記者たちは、十年前のある官僚との因縁に原因があることに気づくー。
大学に犯罪学の講師として招かれたエラリーが、その日起きたばかりの殺人事件について三人の学生と推理を競う「アフリカ旅商人の冒険」を劈頭に、「一ペニー黒切手の冒険」「七匹の黒猫の冒険」「いかれたお茶会の冒険」など、多くの傑作を集めた巨匠クイーンの記念すべき第一短編集。名探偵による謎解きを満喫させる本格ミステリ全11編に加え、初刊時の序文を収録した完全版。
レマン湖のほとりに建つ館で育った血の繋がらない六人姉妹の次女アリーは、フルート奏者にして、ヨット選手。父が死んだという知らせを聞いたとき、アリーは最愛の人と共に、地中海の島に停泊中のヨット上にいた。だがアリーはその前日、父のヨットを目撃したばかりだったのだ。悲しみをこらえ、前に進もうとするアリーにさらなる悲劇が。世界的ベストセラー作家のシリーズ第二弾。
度重なる衝撃に打ちのめされたアリーは、父が遺した座標の示す、極北の地ノルウェーに向かった。父が最後に聴いていたグリーグの『ペール・ギュント』組曲、アリー宛てに遺されていたひとりの歌姫の伝記、すべてが彼女をベルゲンのグリーグ博物館へと導く。偉大な作曲家と歌姫の物語の謎が解けるとき、アリーの出生の秘密が明らかに!謎に満ちた姉妹の運命を描く傑作シリーズ。
公安vs教祖、待ち受ける衝撃のラスト!あなたを二度絶望させる究極のスパイサスペンス!警察庁公安秘密組織『十三階』。孤高の女刑事・黒江律子が地下鉄テロを起こした新興宗教団体をぶっ潰す!
99%の“消費者”と1%の“生産者”。平成よりちょっと先の世界。完全自動運転、ネコッポイド、警察ロボ、配達渡し鳥…いろんなことがオートの近未来、国民には厚生福祉省から生活基本金が支給されている。労働の必要はないけれど、職安の需要は、まだまだ健在。ヤクザみたいな風貌の職安経営者・大塚さん、女性事務員・目黒のもとに、仕事を求めて今日も妙なお客さんが現れるー。常識をくつがえす近未来お仕事小説。
人気テーマパーク『ユーロ・パラダイス』のパレードダンサー、「クロ」こと黒木田環和は、日本有数のミュージカル劇団で踊る目標を持ちつつ、日々の仕事に励んでいたが…。スタッフの加瀬夏海やダンサーの小沼真美子、トレーナーの生田目はるか、そして顔を合わせれば口喧嘩ばかりの衣装係、鈴木俊郎=「シロ」といった仲間とともに、パーク内で起こる様々な事件を、クロは解決できるのか!?「第3回お仕事小説コン」優秀賞受賞作。
あやかし達だって悩みながらも一生懸命生きています。初夏だと言うのにやたらと寒く、麻理の住む東京の田舎では雪が降るという異常気象にテレビは賑わっていた。そんな中、麻理と河野は置き薬のチェックで雪乃を訪問する。寒さに喜ぶ雪乃と、彼女の家に遊びに来ていた椿。山の麓では雪が積もっており、巨大な足跡のようなものがあった。もののけたちが、その原因を探っていくと…現代の都会で逞しく暮らす妖怪たちの物語、第二弾。
「群像」編集長を務めたのち作家に転身、泉鏡花賞を受賞、芥川賞の候補となり、2015年に逝去した辻章の著作集全6巻、第4巻刊行!「季刊・綜合文芸誌 ふぉとん」掲載全作品所収。
住宅街の中にある寂れた公園サンパーク。そこで浮浪者が殺された。元恋人への復讐を目論む鈴木真里、冷静な観察眼を持つ刑事竹内秋人、精神科病棟で友の帰りを待つ桃井沙奈。サンパークをのぞむ瑠璃色の古いアパートの一室を舞台に、それぞれの現在と過去がつながり、事件は思わぬ展開へ。
原爆が炸裂した朝、一組の若い男女が広島の街で愛し合っている。-文化混淆の街モントリオールを舞台にした日本女性と黒人男性との同棲生活。人種、エロス、そして死を鮮烈にスケッチする、俳句的ポエジー。破天荒な話題作を続々と発表し、アカデミー・フランセーズ会員にも選ばれたハイチ出身のケベック在住作家による邦訳最新刊。
警視庁公安総務課OBの廣瀬知剛は、病院に常駐し、モンスターペイシェント、院内暴力、セクハラ、暴力団関係者の来院…院内で起きる様々なトラブルの対処を一手に担う「院内刑事」。ある日、製薬会社から多額の賄賂を受け取っている医師が院内にいると聞く。ジェネリック医薬品の闇を追う廣瀬。すると、病院が北朝鮮からサイバー攻撃を受けー圧倒的リアリティでおくる新感覚刑事小説!
陣馬山で発見された白骨死体の傍らにはマトリョーシカが埋められていた。被害者は5年前、行方不明とされていた男だった。神奈川県警刑事・彦坂は、青ざめる。その男こそ、5年前、組織ぐるみで隠蔽した事件の関係者だったのだ。県警に激震が走るさなか、八王子で、第二の惨殺死体が発見される。現場には第一の事件との関連性を示すマトリョーシカが残されていた。事件そのものを隠したい神奈川県警と、反目し合う警視庁の捜査班。組織の論理がもたらす闇に、はぐれ刑事たちが誇りをかけて、合同捜査を始める。大藪春彦賞受賞第一作!