2018年7月発売
金の瞳に惑わされ、囚われた先は、 華麗な宮殿のハーレムだった。 王座を狙う父が王子ザキムを誘拐したと聞き、 ファラーはあわてて父のもとへ駆けつけた。 だが父は耳を貸さず、ザキムは食事を拒んでいるという。 このままでは父は死罪になってしまうわ! ファラーは一人、テントへ行き、彼に食べ物を与えた。 するとザキムは隙をついて縄を解くが早いか ファラーを馬に乗せ、王宮へと連れ去った。 ザキムが彼女を閉じ込めたのは、大理石の浴槽のある豪華な部屋。 ファラーは息をのんだ。「まさか……ここはハーレムなの?」 父の誤算で、傲岸不遜な王子にさらわれた無垢なヒロイン。ハーレムに囚われた彼女の純潔は、彼に奪われてしまうのでしょうか? R-3150『秘密の小さな姫君』の関連作です。
重い病気の母と妹との生活を支えるため、3つの仕事を掛け持ちするルビーが働く店にある晩、ハンサムで名高いギリシア大富豪アレスが現れた。そして容易になびかない彼女が珍しいのか、熱心に自宅に誘う。お金持ちの甘い言葉にだまされてはだめよ。でもアレスの低い声を聞いただけで体に電流が走り、ルビーは一夜だけと言い聞かせ、彼にバージンを捧げた…。やがて身ごもった彼女に、アレスはしかし言い放つ。「金なら出すが愛は与えられない」
妹亡きあと孤児となった甥を独力で育てているレイチェルは、困窮のすえ赤ん坊の伯父にあたる富豪ジョバンニに助けを求めた。手紙も電話や幾度となく無視され、進退きわまった彼女はベネチアのジョバンニ邸を訪れて使用人の手に赤ん坊を託し、あふれる涙をこらえながら豪壮な屋敷をあとにした。だがすぐに追ってきたジョバンニに腕をつかまれ、強引に唇を奪われて、レイチェルは驚きのあまり呼吸を忘れた。冷徹な実業家として名高い彼は、感情を交えず冷ややかに言った。「敵を見くびってはいけないな。君は僕と結婚するんだ」
甘い蜜月も、結婚も、愛も、 刹那の幻にすぎなかった……。 最愛の父の死に打ちひしがれていたリンジーは、五番街を彷徨うなか、 ギリシア富豪アントニオスと出会い、めくるめく恋に落ちた。 それが、悲劇の始まりだったーー夢のような蜜月を経て結婚し、 ギリシアでの新婚生活が始まったが、異国の花嫁を待っていたのは、 彼女を白眼視する冷たい家族と、慣れない上流社会の洗礼だった。 夫は仕事しか愛さず、孤独に耐えかねたリンジーは母国に逃げ帰った。 やがて、アントニオスが半年間の沈黙を破り、彼女を連れ戻しに来た。 「余命わずかな母のためギリシアに戻れ。これは夫としての命令だ」 わたしを愛しているから戻ってほしいわけではないのね……。 リンジーは失望しつつも、わずかな愛の残骸にすがり、要求をのんだ。 涙誘う愛の物語を紡ぎ続ける作家ケイト・ヒューイットの2部作〈新妻物語〉の第1話。リンジーが幸せなシンデレラでいられた時間はあまりに短いものでした。離婚を望むならギリシアへ戻ってこいと主張する夫ですが、彼女が本当に望むのは、彼の深い愛で……。
彼と赤ちゃんと一緒に生きていきたい。 でもそれは、願うのも愚かな夢物語……。 小さな小さな天使さん、お願い、早くパパを安心させて。 看護師ナディアは、生死の境をさまよう早産の双子に語りかけた。 双子の父親で医師のギデオンは、不眠不休の看護でもはや倒れる寸前だ。 今回の代理母出産を望んだ妻とは、すでに離婚が成立したらしい。 複雑な事情を抱えた彼を案じつつ、赤ちゃんたちの世話を焼くうち、 ナディアは3人を愛し始め、ずっとそばにいたいと願うようになる。 けれども彼女は、人に話したくないつらい過去を心に秘めていた。 十代のころ、実の父親によって悪党に売り飛ばされたのち、 そこでの生活に耐えかねて逃げ出し、今なお忍び暮らしているのだ。 父子との絆が深まるほど、身を引くべきだという切ない思いが増し……。 愛と切なさで読み手の胸を揺さぶるジョージー・メトカーフ。本作では、壮絶な人生を歩むナディアを主人公に、すべてを乗り越えた愛は何よりも強いと感じさせてくれる珠玉のロマンスを描きました。
ある日、テイトはしばらく音信不通の姉キャリーに突然呼び出された。ところが出向いた店に姉の姿はなく、女の赤ちゃんが残されていた。なんてことなの!また、わが子を置き去りにするなんて…。4年前、キャリーは大富豪のリンク・バランタインと婚約し、彼の息子を産んだものの、結婚式の直前に逃げ出したのだった。テイトは途方に暮れ、息子を引きとって育てているリンクに連絡した。そして赤ちゃんとともに彼の豪邸を訪れて事情を説明したところ、思いもかけなかった話を持ちかけられる。「僕の息子には今すぐナニーが必要だ。赤ん坊と一緒に面倒をみてくれ」子供を見捨てられないテイトは彼と同じ屋根の下で暮らすほかなく…。
1年前、信じていた人に裏切られて傷ついたニッキは、心の傷を癒やすためカリブ海の島へやってきた。浜辺で物思いに耽るニッキを、じっと見つめる男が一人ー先ほどホテルで会った、尊大な雰囲気漂う彼は、冷たい瞳で彼女を隅々まで見回すと、表情一つ変えずに立ち去った。いけない、彼の豹のような獰猛さと美しさに魅せられてしまいそう。ニッキは怖ろしさと同時に、ときめきにも似た感情に身を震わせた。だがほどなく、人も愛も信じられなくなっていた彼女は、その男、大実業家キャルことキャラウェイ・スティールの大人の色香と恋の魔術に溺れることになるのだった…。
ホープは18歳という若い身空で結婚したものの、 妻を顧みない薄情な夫に悩まされ、やがて離婚にいたった。 夫の浮気相手が親友だったことで、 二重苦を味わった彼女の心の支えになったのは、夫の弟ガイだった。 “ぼくは以前からきみを愛していた”というガイの言葉に接し、 その慰めにすがるように、ホープは彼を受け入れてしまった。 ふたりで虚空に愛を描いた、たった一度の週末……。 12年後、一人娘を育てるホープの前に、ガイが兄の死を告げに現れた。 故人の遺言で、彼女と娘はガイの瀟洒な館で暮らさねばならないという。 ホープは青ざめたーー娘の本当の父親はあなたなんて、今さら言えない! けなげなヒロインと大富豪の波瀾の恋を描く、“切ないシンデレラ”企画をお届けします。12年前、ガイとホープは一緒になる約束をしたはずだったのに、ボタンのかけ違いで互いに誤解したまま離れ離れになっていたのでした。胸打つ再会&シークレットベビー物語!
ニーヴは恩人である老富豪の形だけの妻となり、彼を看取った後、まだ十代の反抗的な娘の継母となった。だが世間は“金目当てに老人と結婚した悪女”と責めたてる。いわれなき悪評と娘の反発に憔悴していたニーヴは、ある吹雪の夜、ハンサムなイタリア人実業家、セヴェロ・コンスタンツァと出会う。二人は情熱に流されるまま熱いひとときを過ごすが、翌朝、ニーヴが世間を騒がせている悪名高い未亡人と知るや、セヴェロの表情が一変し、彼は冷たく去っていった。3カ月後、ニーヴは途方に暮れて泣いていた。彼女を金の亡者と信じたセヴェロの子を、身ごもったのだ。
ギリシア人大富豪の愛人となった母に連れられ、 ルイーズは少女のころからよくエーゲ海の小島にある邸宅を訪れた。 富豪の息子ディミトリは家庭を壊した彼女の母を憎み、 冴えない娘のルイーズにいたっては目もくれなかった。 彼の甘い言葉に誘われて身を捧げた、19歳のあの日までは。 喜びも束の間、あなたは復讐の道具にされたのよと母に教えられ、 ショックを受けたルイーズはお腹に宿った命にも気づかず、 一刻も早く島から逃げようとボートに飛び乗ったのだった。 7年後、ルイーズは重い病をわずらった母を助けるため、 二度と会いたくなかったディミトリのもとへと向かう……。 母のことを娼婦と蔑む悪魔のような男性、そして、少女のころから密かに想いを寄せていた初恋の人ーールイーズにとっては、ディミトリは時を経てもなお心をかき乱す大きな存在でした。
砂漠の国の王妃となった姉に代理母になってほしいと頼まれ、 クロエは国王夫妻の子アデンをひそかに出産した。 だがその直後に夫妻が事故死し、事情を知る者がいなくなる。 貧しい学生のクロエに子どもを育てる余裕などない。 途方に暮れながら必死に赤ん坊の世話をしているところへ、 代理母の契約書を発見したという亡き王の弟サイードが現れた。 「契約どおり、子どもは我が国に属する」 冷たく宣言する彼に、クロエは懇願した。 乳母でも召し使いでもいい、甥と一緒にいたいと。 まさかサイードの名目だけの妻にさせられるとは、思いもせず。 ロマンスの申し子メイシー・イエーツ。国のために感情を排し生きてきた冷酷なシークと、貧しくも懸命に幼い命を育てるヒロインが赤ん坊を巡って散らす火花はやがて恋の炎となり……。
灰色のロンドンから、愛と自由がきらめく、魅惑のパリへーー 放蕩貴族の手練手管と街の魔法が、堅物秘書を美しく花開かせて……。 秘書として慎み深く生きてきたインディアの最愛のおばが、たった一人で海外 旅行に出かけ、消息を絶った。いても立ってもおれず、彼女はおばの旅を斡旋 したと思しきデレク・ソーンダーズを訪ねる。放蕩者として悪名高いこの次期 伯爵は、責任をもっておばを連れ帰ると宣言したが、彼を信用できないインデ ィアは自らも捜索の旅に同行する決心をする。かくて二人は万博開催中の華や かなりしパリへ赴くが、花の都のめくるめく魔法と放蕩貴族の巧みなエスコー トに、堅い蕾のようだったインディアの心は、甘く優しくほどかれていき……。
その乙女を彼はとらえた。いつしか恋に落ちるとも知らずーー USAトゥデイベストセラー作家が紡ぐハイランド・ロマンス。 1727年スコットランド。雨降りしきるその日、カーライル一族の氏族長ダンカ ンは道に倒れていた女性を助けた。潤んだ金色の瞳にいかにも儚げな風貌には 見覚えがあった。彼女こそ一族の憎き宿敵、アバフォイル伯爵のひとり娘カト リオナだ。ひとまず私怨は脇に追いやって娘を介抱してやるが、まもなく、ど うやらカトリオナが事故か何かに遭っていっさいの記憶をなくしていることに 気づく。これは神が与えてくれたチャンスだーーダンカンは弱りきったカトリ オナを一族のもとへ連れ帰ることにした。伯爵に復讐するための人質として。
絡みつく母の情夫の魔の手から逃れるために、家を飛びだしたのは12歳のとき。路頭に迷った末、幼い弟を抱えて、あえぐように生きるしかなかったティピーだったが、苦痛と恐怖に満ちた少女時代のために極度の男性恐怖症にも陥っていた。だが、孤高の男キャッシュとの出逢いが運命を変える。何かに飢えたような暗い目をした彼に、同じ不幸の匂いを感じて、初めて人を愛する意味を知るティピー。しかし辛すぎる過去のせいで彼は誰も愛せない。ティピーが妊娠に気づいたのは残酷にも、キャッシュに愛と結婚を拒絶されたあとでー
考えた末に愛のない婚約を取り消そうと訪ねた屋敷で、 キンバリーは婚約者の兄ハリソンとはじめて出会った。 成功した実業家の彼は、家族にも恐れられる冷酷な人物だと聞く。 話のとおり、彼はキンバリーを財産目当てのあばずれと責め、 身持ちの悪さを証明してやる、と彼女の唇を荒々しく奪った! その瞬間、二人の間に電流が走ったーー人生を変えるほど強烈に。 キンバリーは動揺のあまり、つい彼の思うとおりの悪女を演じた。 妖艶に微笑んで、手切れ金の小切手を受け取ってしまったのだ。 2年後、今もその記憶に苛まれる彼女に運命の夜が訪れる……。
フランス語教師のダニエルは、空港待合室で搭乗を待っていた。事の発端は、南仏にいる女優志望のいとこからの懇願の電話。映画関係者の秘書になったが、言葉も通じず困っているという。助ける義理はないものの、憧れの地への誘いは断りきれなかった。空港で緊張していると、リーという男性から時間を訊かれた。彼の優雅な物腰と青い瞳に一瞬で魅せられ、返す言葉がもつれる。わたしの生徒だって、もっとましに振る舞えるはずよね…。自嘲ぎみに思いながら、やがて彼とは別々に飛行機に乗りこんだ。まさかニースで再会し、ひと夏を共に過ごすとは夢にも思わずに。
兄の人生から浮かび上がる戦争と家族の物語 ナチズムに疑いをもつことなく戦地に赴き、19歳で命を落とした兄。弟である著者が、残された日記や手紙から兄の人生を再構成しながら、「戦争」とは何か、「家族」とは何かを問いかける意欲作。 16歳年上の兄はヒトラーユーゲントの教育に染まり、武装親衛隊の「髑髏師団」に入隊、ウクライナで戦死した。戦後民主主義の教育を受けて育った第一世代である著者は、兄の遺した日記や手紙を読みながら、戦争の記憶をほとんどもたない自身の半生、両親や姉の人生を振り返る。そしてナチズムと国家による暴力、戦時下の小市民の生活について、短いテクストの集積で語りつつ、読む者に深い問いを投げかける。 わずかな手がかりをもとに、亡き兄の人生について考察する本書の書きぶりは、小説というよりも自伝、あるいはノンフィクションの手触りに近い。身近でありながらほとんど知ることのなかった肉親への情、戦争に向き合おうとすることの困難、葛藤が随所に表われ、日本の読者にも考えさせられるところが大きい。 著者は1940年生まれ。2003年に出版した自伝的な本書は、ドイツにおける記憶の文化とナチスについて社会的な議論を巻き起こした。
傑作小説の評伝 1862年4月4日に発売されるや、翌日午後にはパリで第1部上下巻6000部が完売。第2・3部の発売日には朝6時に早くも出版社の前の通りは人であふれ、行列の整理のために警察官が出動する騒ぎに。そして『レ・ミゼラブル』は世界各地でベストセラーとなる。本書はその執筆・出版の過程を縦糸に、小説の背景となる世界経済やユゴーの用いた技巧の考察から、翻訳のいきさつや意外な読まれ方、ミュージカル・映画などの受容までを横糸に織り上げた、いわば「小説の評伝」である。 この作品の背後には多くのものが隠れている。たとえば、マドレーヌ氏ことジャン・ヴァルジャンが模造黒ガラス玉でたちまち莫大な財産を手にした事情は、当時の世界史から推測できる。刊行当時、新聞にはこの作品に対して手厳しい批評がいくつも掲載されたが、マドレーヌ氏が財産を築いた方法にけちをつけたものはひとつもなかった。また、当時のパリの地理と作品中の地理との比較からはユゴーの政治的な心情が、ジャン・ヴァルジャンの囚人番号からは苦悩が透けて見える……。 おなじみの物語の違った顔が楽しめる一冊。
ロンドン中心部で死者千名を超える無差別テロが発生。首謀者は、数カ月前にワシントンDCで大規模な爆破テロを起こしたISISの大物テロリストだった。MI6から秘密裏に協力を要請されたイスラエル諜報機関のトップ、ガブリエルは、あるフランス人実業家とテロリストの接点に注目し、姿なき敵をあぶりだすため、南仏プロヴァンスでCIA、フランス当局を巻き込んだ合同作戦を始動させるー。