2018年8月31日発売
レオニーは青白い顔で、大富豪ホーク・シンクレアの再訪に息をのんだ。 ホークがレオニーの妹と自分の息子が交際していることに反対し、 手切れ金を払うと言いに家まで乗り込んできたのは9カ月前のこと。 彼女の顔色が優れないのは、傲慢な彼との望まぬ再会だけでなく、 先日の早産で体が弱っているのが原因だったーー そう、私は過ちを犯した。彼と初めて会ったあの日、たった一度だけ。 私たち姉妹を侮辱した男と、枕を交わしてしまっただなんて……。 この腕に抱いている小さな娘が彼の子とは、とても言えない。 しかし、鋭いまなざしでこちらを見すえるホークの目は、 赤ん坊が確かにシンクレア家の血を引いていることを見抜いていた! その年のベスト・ブックを厳選する企画より、言わずと知れたロマンス界の話巧者、キャロル・モーティマーの作品をお贈りします。1987年に発表された後、2007年に翻訳版が刊行され話題を呼びました。伝説のシークレットベビー&年の差ロマンスをご堪能あれ!
親友の恋人の城で開かれた仮装パーティで、リリーは巨万の富を持つスペイン侯爵、トリスタン・ロメロに出会った。抗い難い彼の魅力にとらわれ、城のはずれの塔で一夜をともにしたあと、それは単なる束の間の戯れだと冷たく宣告されてしまう。リリーは翌朝、彼が目を覚ます前に城をあとにした。ひと月半後、彼女は予想外の妊娠に気づく。この子はひとりで育てよう。でも、父親の愛を知らずに育った私と同じ思いは味あわせたくない…。妊娠を打ち明けたリリーのそんなささやかな願いを嘲けるように、トリスタンの冷たいブルーの瞳がリリーを射貫く。「認知をする条件は結婚ーいやなら子供との関わりは一切持たない」
リジーのもとに、ある日一通の手紙が届いた。 彼女が所有するアパートメントに問題が発生し、 現地まで来てほしい、さもないと裁判沙汰にするという。 差出人は大富豪イリオス・マノス。 リジーはなんとか旅費を工面し、彼の住むギリシアへ飛んだ。 金色の瞳と漆黒の髪を持つギリシア神話の英雄さながらの彼はしかし、 「詐欺師め!」とリジーをなじったのだ。 リジーは共同所有者にだまされ、莫大な借金を背負わされたと知る。 だがお金などまったくないと言う彼女に、イリオスは憤然と言った。 「では、その体で払ってもらおう。ぼくと結婚するんだ」 “ロマンスの女王”として不動の人気を誇り、2011年に惜しまれつつその短すぎる生涯を閉じた作家、P・ジョーダン。孤児として育ったヒロインは、真実の愛を見つけられるのでしょうか?
父の会社が乗っ取られ、困窮したライアは 友人である年上の伯爵の厚意で、形だけの結婚をした。 やがて亡き夫の遺産を相続したライアは舞踏会で 浅黒い肌の野性味溢れる豪腕実業家、ロアーク・ナバーラと出会う。 大胆不敵にも彼は、ダンスフロアの真ん中でライアの唇を貪欲に奪った。 「君が欲しい」彼女の体をしっかりと抱きしめ、ささやく。 ライアは心ならずもキスに溺れたーー誰あろうロアークこそが 父の会社を奪った張本人だと知るのは、バージンを捧げたあとだった。 1年半後、ライアは結婚式会場でロアークと再会。 娘のルビーが彼の子だと知られてしまい……。 名実ともにロマンスの新女王として、ハーレクイン・ロマンスのトップ作家の座に躍り出たジェニー・ルーカス。大人気のシークレットベビーがテーマの本作では、愛をくれないヒーローを愛したくないのに愛さずにいられないヒロインの切なさが胸に迫ります。
ティナはまだ、ニックの妻になったことを実感できずにいた。 彼の異母弟バシリ・レアンドロスさえ事故で亡くならなければ、 こんなおかしな事態にはならなかっただろう。 いま、ティナのおなかにはバシリの子がいる。その子に レアンドロスの姓を名乗らせ、安定した生活を与えるべきだと 強く説得され、大富豪ニックとの偽装結婚に踏み切ったのだ。 しかし、ティナはたちまち激しい後悔に苛まれ始める。 名目だけの妻なのに、どうして彼を愛してしまったんだろうと。 しかもティナには誰にも言えない、いとわしい“傷”があった。
12歳のとき、マーリンは父を亡くし、 大富豪スタンホープ一族に引き取られた。15歳のとき、 その子息ブレイズにキスをされて、愛し合うようになった。 そして17歳のとき、彼への想いは無残に打ち砕かれたのだ。 ブレイズのいとこに、泥棒の濡れ衣を着せられたうえに、 マーリンと関係があったと嘘をつかれ、 それがブレイズの逆鱗に触れた。ただの一言も信じてくれず、 執拗に苛まれる苦痛に耐えかねて、マーリンは彼から逃げ出した。 身ごもっているとブレイズに告げられないまま……。
ジュディ・ランハムーー映画スターの名前にぴったりね。 気ままな義姉のそのひとことが、すべての悲劇の始まりだった。 女優の義姉は、ジュディの名前を芸名にしてしまったのだ。 ある日、ジュディ宛に一通の手紙が届く。それは義姉への ギリシア人億万長者ビダスからのプロポーズの手紙だった。 理由なき求婚。義姉は彼に会ったことすらないという。 ところが、義姉の留守中に、ビダスがジュディを訪ねてきて、 応対したジュディを、自分のジュディと思い込んだ。そして…… ジュディは永遠に囚われた。彼が余命半年だとも知らずに。
ショーナは念願の社長秘書の仕事を手に入れた。給料も申し分ないうえに、住居まで提供されるというが、社長のマックスは鼻持ちならない色男で、こう警告したのだ。君の前任の秘書は僕に恋して仕事を失った、と。いくら雑誌で“結婚したい男性50人”に選ばれたとしても、私はこんなうぬぼれ屋になんか興味がないわ。そう思っていたショーナの自信は、だが、すぐに打ち砕かれた。提供される住居とは、会社の最上階の豪華なペントハウス。彼女はマックスと一つ屋根の下で暮らすことになったのだ。
二人が結婚しなければ、牧場を競売にかけるーー そうお互いのおじに遺言を残された、ジリアンとセオドア。 幼いころから知っているセオドアを慕ってはいたけれど、 ジリアンには彼との結婚を素直に喜べない事情があった。 彼女には、暴行されかけた過去があったのだ。しかも二度も。 一度目は15歳のときに。次は16歳のときに。 そのときのトラウマのせいで、どうしても男性を恐れてしまう。 しかも、犯人のひとりが出所し、過去を吹聴し始めたせいで、 セオドアにも白い目で見られている気がして……。
下半身不随だったデヴォンは、ある日、恐ろしい事実を知る。彼女の莫大な手術費用を捻出するため、父が横領したというのだ。父を救おうと、社長のグラントに慈悲を乞うも、彼は信じようとしない。どころか、デヴォンを放蕩娘と決めつけ、代償として、18歳の娘には酷すぎる愛人契約を申し付けた。「僕が飽きるまで、いいなりになるなら考えてもいい」とー。だが初めての夜、彼が一瞬、息をのんだのがわかった。傲慢な笑みを浮かべ、デヴォンの裸を月光に晒したグラントは、抉られたような深い手術傷を、彼女の腰に見つけたからだ。
文学好きの母の望みは“僕”が作家になること。幸せに満ちた少年時代に訪れた悲しい別れまでの日々が、言葉の力によって瑞々しく蘇るー。『失われた時を求めて』を換骨奪胎しつつ、人生と文学への愛を謳う。マルセル・プルースト賞受賞の現代フランス作家による小説、本邦初訳。
夢現ゆめうつつの母の声、囲炉裏端の昔話。心の奥深くへ「語り継ぐ力」とは。 語りの世界は地球上のあらゆる国に存在する。地形的な条件から似た文化が存在する日本とアイルランド。そんな二つの国を比較しながら、現在の『語り』の置かれている状況、『語り』の素材となる伝承文学、次の世代を育てる教育の果たす役割に焦点を当てながら総括的に展望する。 平成26年度から3年間にわたって科学研究費助成金を受け、語り部たちの声・教育現場の声・現地調査・アンケートをふくめ研究を重ねた。できるだけ多くの方に、この本が届き、語りやそれに付随する文化、伝統が守り続けられることを、願っている。 目次 第一部 論文と研究調査 1 アイルランドと日本の民間伝承 2 アイルランドと日本の異界に関する3つの民話・伝説 3 放浪の詩人の系譜 4 失われてなお生きる世界 5 昔話を語り聴くこと 第二部 アイルランドの作家の招聘イベント 6 コルマーン・オラハリーの招聘 7 エディ・レニハンとキース・レニハンの招聘 第三部 アンケート調査と伝承文学教育 8 アイルランドと日本の民話教育の実態と人々の意識(アンケート調査を含む) 9 コルマーン・オラハリーへのインタビュー 10 アンケートから見た日本の民話教育 11 日本とアイルランドの教育現場での試みの例 12 神話・民話を語り継ぐ 梗概 編集後記 注・参考文献・資料