2018年9月発売
咲季子は、フラワーアレンジメント教室を開くカリスマ主婦だ。俺はお前さえいればいいんだよー夫・道彦はそう言いながら、門限9時、男性との打合せを避けるといった厳格なルールで私を縛る。そんな歪んだ愛を振りかざす夫に疑問を持ちながらも愛していた。ある日、年下のデザイナー堂本と出逢うまでは…。自由を求めて、新たな一歩を踏み出す女性の光と闇を描く衝撃の長編サスペンス!
江戸の人材派遣業、口入屋。縁あってその女主人となったお藤だったが、武家相手の商売は行き詰まっていた。店を立て直すため、お藤が打って出た一世一代の大勝負は、周囲の反発を呼び、江戸を揺るがす事態に発展。さらに、かつての命の恩人によく似た男と出会い、心は揺れ…。商いは人で決まるー揺るぎない信条を掲げ、己と仲間を信じて人生を切り開くお藤の姿が胸を打つ、長編時代小説。
唯一の理解者だった小学校の同級生・吉住君を想いながら、孤独を抱えて生きる26歳の早季子。他人に恋愛感情が持てず、刹那的な関係を繰り返していたある日、吉住君と自分と同じ癖を持つ宮内の存在を知り、会いたいと思うが、彼はアイドルのファン活動で忙しいという。彼と話すため、地方ライブに同行することにした早季子だったが…。奇妙で愛しい出会いの物語。第37回すばる文学賞受賞作。
その戦闘機には死角が存在しない。脳に直接アクセスする電子装置を兵器に運用しようとする危険な野望。米空軍の暴走を阻止すべくチーム・ゼロのメンバーが再集結するが、作戦を実行できるのはあの男しかいない。日本で唯一の撃墜マークを持つパイロット、那須野治朗。人智を超えたシステムを相手に、伝説の戦闘機乗りは賭けに出る。脳科学の進化を四半世紀前に予見していた伝説の航空小説第3弾。
「ひとつしかできねぇ」不器用だが常に全力、そんな福島のツッパリ少年、草野点は高校でラグビーと出会う。上京し早稲田大学に入学した彼は、日本一を目標に掲げる伝統のクラブの一員となった。「グラウンドを一秒でも歩くな」それが早稲田。技術、体力、精神力。目指すべき高みは遠い。凄絶な練習の描写に、OBからレギュラー、補欠にも貫かれる早稲田ラグビーの本流が宿る。武骨な青春小説。
オリンピックを数年後に控えた、暑い夏。古い団地の一室で、多数の遺体が発見された。腐乱した遺体の中に自分の愛人を見つけた刑事は、彼女は自分の繋がりを隠すため、遺留品を持ち出す。2つめの犯行現場で目撃された犯人は、肌の異様に白い若い男。「スノーマン」と呼ばれる彼は、謎めいた美しさから話題を集めていくがー。この上なく残虐で、しかし哀しいサスペンスホラー。文庫書き下ろし。
攫われた我が子を探す僧とともに、土佐へと向かう獅子若たち「はぐれ馬借」一行。だが、背後からはかつての仇に率いられた凶賊が迫り、さらには義経より与えられた諸国往来自由の書を奪わんとする代官が立ちふさがる。一方、叡山領東坂本では、商人による米価吊り上げの奸計に地元馬借衆がついに牙を剥きー時代のうねりが力なき庶民を争いへと駆り立ててゆく。室町伝奇小説、緊迫の第2巻!
「ALLB」と記されたマニラフォルダーに包まれていたのは、フィッツジェラルドの最初の手書き原稿。匿名と思しきミスター・スミスに依頼され、難なく盗み出した泥棒探偵バーニイ・ローデンバー。第二の依頼もまたフィッツジェラルド絡みだった。そんな中、東92丁目で老婦人殺害事件が発生し、刑事のレイに呼び出されたバーニイが真相を追及する羽目にー。小粋な会話が心地いい円熟のシリーズ最終巻。
魔王。それがワシ、ガルトー・リューゼンの職業だ。妻と死別してからは、仕事一筋の毎日。今日も女勇者アンジェリカのパーティーを返り討ちにした。しかし、それがまさかあんなことになるとは…!結論から言う。ワシは女勇者の母、レイティアと再婚し、女勇者の義理の父となった。順風満帆な再婚生活を楽しみたいところなのだが…果たして、ワシは無事に温かい家庭を築けるのだろうかーいや、築いてみせる!むしろ、それが魔王であり父である者の使命だ!笑ってほっこりできる(?)異世界式アットホームコメディ開幕☆
「あたし、あんたみたいな女って大っ嫌い」だから、化けの皮を剥いでやりたかった。でも、こんなものが見たいんだったか…?専業主婦の母に育てられた、リケジョでバリキャリの志穂子。厳しい教師の母に育てられた、家庭に重点を置く杏梨。女としてのスタンスが異なる二人が。志穂子の兄と杏梨の結婚で突然交わった時、彼女たちは何を思い、動くのか?太宰賞受賞作家の新作。女性のリアルをえぐり出す!
あらゆる不幸を背負い込んだ二人の最凶女子が、この世のすべての理不尽に、マシンガンをぶっ放す!“青たんだらけのビルドゥングスロマン”、ついに解禁!!
青木啓太は、しまなみ海道の壮大な「橋」に心惹かれ、土木工学を学ぶため、家から遠く離れた北の大地にあるH大に入学する。自治寮に入り、大学紹介の活動、フィールドワークのサークルなど、友人たちと青春を謳歌している彼のもとに、母が失踪したと双子の弟、絢太から連絡が入る。あの、どこか抜けていて感受性豊かな母が、なぜ突然消えてしまったのか…。自然豊かな美しいキャンパスで大学三年生となった青年の成長と苦悩を描く。
明治六年東京、侍崩れの男・倉田恭介と、十歳の女の子・サキは、縁あって共に暮らしていた。ある日、大罪人だけを狙った連続殺人事件が起きる。まるで天誅を下したかのような犯行に、いつしか人々は、犯人を闇仏と呼んでいた。その闇仏が次に殺害予告をしたのは大渕伝兵衛だった。閻魔入道と呼ばれ、ありとあらゆる悪事を重ねてきた大渕を殺すことで、世直しの総仕上げにすると。大渕は自身を守らせるため、用心棒として倉田を雇うのだが…。
ネットでよく見る「霊感診断」。まず目を閉じ、深呼吸をする。目を閉じたまま自分の家の前にいるとイメージする。イメージの中で自宅の玄関から中に入り、中の窓をすべて開ける。一旦、玄関にもどる。もう一度中に入り、今度は開けた窓をすべて閉める。玄関にもどる。目を開ける。以上。簡単。ありきたり。こんなので霊感なんてわかるわけない。でも、わたしの家の中には血まみれの死体が何体も転がっていた…。新鋭全開、目眩くノンストップ・ホラー。
教師夫婦が謎の失踪を遂げた「川口事件」。ジャーナリストの杉山康平は、事件の翌年、容疑者の無罪が確定したことに疑いを抱き、取材を始める。辣腕弁護士の妨害に悩まされながら証言を集める杉山だったが、関係者の多くが、重要な部分で口を閉ざしてしまう。一体彼らは、誰を恐れ、何を隠しているのか?狡猾に隠蔽された真犯人の貌に肉薄する、執念のフェイク・ドキュメント。
今度こそ計画どおり静かに暮らそうとしたCIA秘密工作員フォーチュンの決意は、あっさりくじかれる。ハリウッドに行った元ミスコン女王パンジーが町に帰還したのだ。札つきのお騒がせ女と対面するなり、フォーチュンは大衝突をしてしまう。その後、パンジーが殺され、疑われたフォーチュンは地元婦人会の老婦人コンビと真犯人捜しに乗り出すが、そのせいで町には再び大混乱が!
高校生活も残りわずかとなった三年生の秋。姉への依存症を克服し新たな目標へと邁進する中葉悠介と、名探偵という能力をひた隠しにしながらも充実した生活を送る蜜柑花子。彼らを巡る四つの事件を、犯人(?)側の視点で描く。それぞれの出来事が繋がり、思わぬ事態が展開していく怒涛の二日間の最後に、蜜柑はどんな景色を見るのか?爽やかな読み味が魅力のシリーズ第二弾。
AIの独立に揺れるラドチ圏から、遠く離れた星系国家。有力政治家の娘イングレイは後継争いで大逆転を狙い、政敵の秘密を握る人物を脱獄させる。だが引き渡されたのは別人だった。進退窮まった彼女はなりすましをさせるという賭けに出るが、想定外の事態が次々重なり、ついには異星種族をも巻きこむ危機に…。ヒューゴー賞、星雲賞など計13冠“叛逆航路”ユニバース新作登場!
失踪した女「絵里奈」を取り巻く闇に、元刑事の探偵・鬼束が迫る!鬼束がかつて逮捕した男・牛沼が水死体で発見された。彼は亡くなる前日に、鬼束に依頼の電話をかけていたらしい。その内容とは、行方不明になっている娘・絵里奈を探してほしいというもの。鬼束は依頼人不在のまま、牛沼の遺品の写真をもとに、絵里奈の行方を追うことになるが…。彼が最後に目にした衝撃の結末とは?