2018年9月発売
東京でのめまぐるしすぎる生活に馴染めなかった高校生のひろは、祖母の暮らす京都・伏見の蓮見神社に引っ越すこととなった。 幼なじみで造り酒屋の息子・拓己とその家族に世話を焼かれながらの新しい暮らしは、ひろの心を優しく温かくほぐしていく。 昔、伏見で友達になった「しろ」とも嬉しい再会を果たしたひろは、拓己の家で、酒造りの要である井戸水に異変が起こっていることを知る。 井戸から水が溢れるなか、ひろの耳には、他の誰にも聞こえない不思議な声が届いていて…!? 京都伏見の小さな神社と造り酒屋を舞台にした、ほっこりじんわり、あやかし物語!
甘くてかわいいだけじゃない、人気作家が描くスパイスの効いた“おいしい"話。 全五編収録。 女性専用の人材派遣会社『クッキー&クリーム』に所属している“フレンド要員"である七実。 今日の依頼人は、大学四年生の村本香住。「高校時代の親友と久しぶりで会う感じで」というリクエストのもと、 人気のデザートブッフェに行くことになるが……。 青木祐子「レンタルフレンド 」 父が突然会社を辞めて、たい焼屋を始めてしまった。 開店当初こそ行列ができたが、最近はうまくいっていないのが、中学生である藍にもわかる。 父の脱サラのせいで転校せねばならず、クラスメイトのモギタカシは超絶ウザいちょっかいをかけてくるし、 イライラしながら帰り道にある神社に寄ると、そこで狐目の不思議な青年と出会い……? 阿部暁子「たぬきとキツネと恋のたい焼き」 二人姉妹のわたしの姉は、子どものころから面倒見がよくて、 万事そつがなくて、なかなかの美人で、ちょっと意地悪だ。 17歳になった今でも子ども扱いしてくるので頭にきて、叔母のところに泣きつきにいくと、 姉とわたしにまつわるある「秘密」の過去を教えてられてーー。 久賀理世「明日のおもひでフレンチトースト」 僕の人生は、ひとことで言えば双六だ。 そこにはスタートからゴールまで、あらかじめ決められたマスが並んでいる。 盤上の僕はただの駒。両親がふるサイコロの目に従って、 ゴールに向かって淡々と進んでいけばそれでいいーーそう本城宗一郎は思っていた。 だが、同級生の高瀬誠と親しくなるうちに……? 小湊悠貴「悪友と誓いのアラモード」 「僕と、あんみつを食べてくれないかと思ってね」。 白昼堂々、上等なスーツに身を包んだ見知らぬ紳士にナンパ(?)された俺。 なんだかんだと丸め込まれ、ビルの谷間にあるひなびた甘味処であんみつを食べることになるが……? 椹野道流 「おじさんと俺」
薔薇の庭に囲まれ、夫との「平穏」な毎日に充足していたカリスマ主婦・咲季子。ある日の年下男との運命的な出会い、そして恋の行く先は……。衝撃の結末が待ち受ける長編サスペンス。(解説/桜木紫乃)
江戸の人材派遣業、口入屋の女主人となったお藤。商いは人で決まる──その信条を胸に、行き詰まった店を立て直すため、仲間と共に前代未聞の大勝負に打って出る。感動の長編時代小説。(解説/中江有里)
小学生の同級生で「完璧な存在」だった吉住君を想い、誰のことも愛せないと孤独を感じている早季子。ある日、吉住君と共通点を持つ男性・宮内の存在を知り……。すばる文学賞受賞作。(解説/沢田史郎)
人間の脳に直接アクセスする超思考感応装置。それを軍事目的に利用せんとする米軍の危険な野望を阻止すべく、伝説のパイロット・那須野らが立ち上がる。航空小説の名作、堂々の復刊。(解説/中野信子)
「ひとつしかできねぇ」不器用だが常に全力、そんな福島のツッパリ少年、草野点は高校でラグビーと出会う。上京し早稲田大学に入学した彼は、日本一を目標に掲げる伝統のクラブの一員となった。「グラウンドを一秒でも歩くな」それが早稲田。技術、体力、精神力。目指すべき高みは遠い。凄絶な練習の描写に、OBからレギュラー、補欠にも貫かれる早稲田ラグビーの本流が宿る。武骨な青春小説。
都内で発生した大量殺人。幼い息子を殺された実日子は、目撃した犯人を「美しい」と思ってしまった自分を悔い──。この上なく残虐で哀しいサスペンスホラー。文庫書き下ろし。(解説/関口苑生)
勧進で集めた銭を携えた雲水たちと阿波国へ向かう獅子若たち「はぐれ馬借衆」。同じ頃、故郷の叡山領では、米価を極限まで吊り上げようという商人の奸計が…。室町伝奇時代小説第2弾!(解説三田主水)
四半世紀の時を経て書き続けられた、泥棒探偵バーニイ・ローデンバーシリーズの最終巻が遂に刊行! 相棒キャロリンとの小粋な会話や、愛猫ラッフルズ、悪徳警官レイも健在。最高の話題作。(解説/若竹七海)
「魔王が父親なんて認めないわ!」 魔王。それがワシ、ガルトー・リューゼンの職業だ。妻と死別してからは、仕事一筋の毎日。今日も女勇者アンジェリカのパーティーを返り討ちにした。しかし、それがまさかあんなことになるとは……! 結論から言う。ワシは女勇者の母、レイティアと再婚した。つまり、女勇者の義理の父となったのだ。順風満帆な再婚生活を楽しみたいところなのだが、事はそう簡単にいかないらしい。 「魔王のあんたが、勇者である私の父親になるとか、意味わからないでしょ!」 「落ち着け女勇者……たしかに、こういうことをなかなか受け入れられない年頃なのだと思うが」 「うっさい! 黙れ魔王!」 「あらあら〜ふたりとも仲良くしなきゃだめよ〜」 こんな調子なのである。正直不安しかない。果たして、無事に温かい家庭を築けるのだろうかーーいや、築いてみせる! むしろ、それが魔王であり父であるワシの使命だ! 「……いつかお前に『パパ』と呼ばせてやるからな! 魔王の名にかけて!」 「だから、そういうのやめろって言ってんのよ!!」 これは、のんびり勇者母、思春期勇者、子育て初心者魔王が織りなす新米家族の物語。異世界式アットホームコメディ開幕☆ 【編集担当からのおすすめ情報】 『物理的に孤立している俺の高校生活』や『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』の森田季節がガガガブックスに登場!『小説家になろう』でも話題の異世界式日常系アットホームコメディに要注目です!
津村記久子さん大絶賛! 「自分で選んだ人生を生きようともがく、対照的な二人の二十七歳。正確で精細に描かれた彼女たちの痛みと選択は、同じ壁の前でうつむく女の人たちの手を取るはずだ」 専業主婦の母に育てられた、リケジョでバリキャリの志穂子。 厳しい教師の母に育てられた、家庭に重点を置く典型的女子の杏梨。 女としてのスタンスが異なる二人が、志穂子の兄と杏梨の結婚交わった時、彼女たちは何を思い動くのか?
あらゆる不幸を背負い込んだ二人の最凶女子が、この世のすべての理不尽に、マシンガンをぶっ放す!“青たんだらけのビルドゥングスロマン”、ついに解禁!!
青木啓太は、しまなみ海道の壮大な「橋」に心惹かれ、土木工学を学ぶため、家から遠く離れた北の大地にあるH大に入学する。自治寮に入り、大学紹介の活動、フィールドワークのサークルなど、友人たちと青春を謳歌している彼のもとに、母が失踪したと双子の弟、絢太から連絡が入る。あの、どこか抜けていて感受性豊かな母が、なぜ突然消えてしまったのか…。自然豊かな美しいキャンパスで大学三年生となった青年の成長と苦悩を描く。
明治六年東京、侍崩れの男・倉田恭介と、十歳の女の子・サキは、縁あって共に暮らしていた。ある日、大罪人だけを狙った連続殺人事件が起きる。まるで天誅を下したかのような犯行に、いつしか人々は、犯人を闇仏と呼んでいた。その闇仏が次に殺害予告をしたのは大渕伝兵衛だった。閻魔入道と呼ばれ、ありとあらゆる悪事を重ねてきた大渕を殺すことで、世直しの総仕上げにすると。大渕は自身を守らせるため、用心棒として倉田を雇うのだが…。
ネットでよく見る「霊感診断」。まず目を閉じ、深呼吸をする。目を閉じたまま自分の家の前にいるとイメージする。イメージの中で自宅の玄関から中に入り、中の窓をすべて開ける。一旦、玄関にもどる。もう一度中に入り、今度は開けた窓をすべて閉める。玄関にもどる。目を開ける。以上。簡単。ありきたり。こんなので霊感なんてわかるわけない。でも、わたしの家の中には血まみれの死体が何体も転がっていた…。新鋭全開、目眩くノンストップ・ホラー。
教師夫婦が謎の失踪を遂げた「川口事件」。ジャーナリストの杉山康平は、事件の翌年、容疑者の無罪が確定したことに疑いを抱き、取材を始める。辣腕弁護士の妨害に悩まされながら証言を集める杉山だったが、関係者の多くが、重要な部分で口を閉ざしてしまう。一体彼らは、誰を恐れ、何を隠しているのか?狡猾に隠蔽された真犯人の貌に肉薄する、執念のフェイク・ドキュメント。
人骨騒ぎにケリをつけ、当初の計画どおり静かに暮らそうとした秘密工作員フォーチュンの決意を、一本の電話が打ち砕く。ハリウッドに行ったミスコン女王パンジーが町に戻ってきたのだ。元ミスコン女王という偽の経歴のせいで敵視されたフォーチュンは、町民の前でパンジーと大衝突をしてしまう。その翌日、パンジーが殺され、容疑者筆頭になったフォーチュンと婦人会コンビは、疑いを晴らすため動きだし……再び大騒動を巻き起こす!
高校生活も残りわずかとなった三年生の秋。姉への依存症を克服し新たな目標へと邁進する中葉悠介と、名探偵という能力をひた隠しにしながらも充実した生活を送る蜜柑花子。彼らを巡る四つの事件を、犯人(?)側の視点で描く。それぞれの出来事が繋がり、思わぬ事態が展開していく怒涛の二日間の最後に、蜜柑はどんな景色を見るのか?爽やかな読み味が魅力のシリーズ第二弾。