2018年発売
太平洋戦争の天王山・レイテ島での死闘を再現した戦記文学の金字塔。巻末に講演「『レイテ戦記』の意図」(昭和四四年)を付す。〈解説〉大江健三郎 (目次より) 第一巻 1 第十六師団 2 ゲリラ 3 マッカーサー 4 海軍 5 陸軍 6 上陸 7 第二十五軍 8 抵抗 9 海戦巻末付録 講演「『レイテ戦記』の意図」解説 大江健三郎(岩波書店版全集より再録)
隣同士の領地の屋敷で育ったアメリアとニック。いつしか抱くようになった淡い恋心。しかしニックは次男としての自信のなさから母の反対に抗えず、ロンドンを離れた。二年後に帰国し、彼はアメリアが他の男と婚約したことを知る。一方、足の不自由な姉を気づかいながら暮らすアメリアにも人知れぬ事情があった。再会し、かけがえのない存在だと気づいた二人が選んだ道はー新進気鋭の作家が描く、さわやかな王道ロマンス。
パンク歌手として世に蔓延る嘘や欺瞞と闘った日々も今は昔。40代半ばとなった吉永は、下請けコピーライターとして、養育費の支払いに四苦八苦する毎日だ。ある日、今や紅白歌合戦に出場するほど出世(堕落?)したかつての相棒から久々に電話がかかってきてーー。たとえ中年と呼ばれる歳になっても未熟さと決別できない、すべてのできそこないたちに送る、永遠の青春小説。
昭和30年代の名古屋の繁華街・大須。何でもありのごった煮の街で終戦直後に生まれた碧は母親と二人、つましくも幸せな日々を送っている。将来、映画監督になることを夢見て、アルバイト代で映画館に通う碧。そんなある日、一人の男が母娘の前に現れるーー。街を行き交う市電の優しい揺れに乗せて描く、少女のゆるやかな成長物語。
『ギヴァー』ファンのみなさま、長らくお待たせいたしました。シリーズ四部作の完結編(原題:SON)をお届けいたします。 物語は、ひとりの男児の誕生からはじまります。彼を産んだのは、14歳の少女クレア。12歳で〈出産母〉を任命された彼女の、これが初産でした。〈コミュニティ〉では、すべての新生児は厳重な管理下におかれ、やがて「適正な養親」の手にわたります。母子は産後すぐにひきはなされ、二度と会うことはできません。クレアも掟にしたがい、わが子をあきらめようとします。しかし、どうしてもあきらめきれません。とかくするうち、男児は「社会不適合」の烙印をおされ、処刑が確定します。 この赤ん坊がだれか、みなさますでにおわかりでしょう。そう、ジョナスの運命を変えたゲイブです。つまり本作は、ゲイブとその母の物語です。 もちろん、作者は寓話の達人ですから、それだけで話はおわりません。前作『メッセンジャー』の世界に暗い影をおとした〈トレード・マーケット〉の謎が、クレアたち母子をまきこみつつ、善と悪の最終決戦へと発展していきます。そこにジョナス、そして第二作の主人公キラ、前作で非業の死をとげたマティもからんできます。 そして、これもいつもどおり、スリリングな展開のあわいにいくつもの問いが埋めこまれています。まつろわぬ自然の象徴としての赤ん坊。代理出産やデザイナーベイビーをめぐる生命倫理の問題。当然視されている「取引」や「交換」という行為の陥穽。「力」「旅」「記憶」の意味……シリーズ全作にいえることですが、今回も思索と対話をうながす教養小説としての醍醐味に溢れています。 はたしてクレアとゲイブは、母子として再会することができるのか。それを阻もうとする邪悪な「力」に、ジョナスたちはどのように立ちむかうのか。現代の『オデュッセイア』ともいうべき壮大な物語の環が、おどろくべき仕方で、しずかに閉じてゆく瞬間をお見逃しなく。(しまづ・やよい)
『ニューヨークタイムズ』『USAトゥデイ』ベストセラー2冠!! 衝撃のデビュー作『Luckiest Girl Alive』がついに邦訳。 ≪あらすじ≫ ニューヨークの敏腕雑誌編集者アーニーは、上流階級出のエリート金融マンをフィアンセに持ち、華々しい生活を謳歌していた。しかし、彼女には暗い過去があった。高校生の時に彼女は、自らの尊厳を踏みにじられた凄惨な経験をしたのである。アーニーは、本当の自分を取り戻すために、自らを主人公としたドキュメンタリーへの出演を決意した。だが、アーニーの闘いは、過去の清算にだけあるのではなかった。今この瞬間にこそ、逃げてはいけない闘いがあった。 この作品は、一人の女性が挫折と悲しみと妥協を乗り越えて、一人の人間として立ち上がるまでを読者に追体験させる物語である。 著者プロフィール ジェシカノール コスモポリタン誌の上級編集者、SELF誌の編集者。フィラデルフィア郊外に生まれ育ち、ブリンマーのシップリー高校を卒業後、NYのホバートアンドウィリアムスミス大学を卒業した。現在は夫とともにニューヨーク市在住である。本書はデビュー作である。 訳者プロフィール 箸本すみれ 英米文学翻訳家。上智大学英文学科卒。主な訳書に『フラワーフェアリーズの日記』(大日本絵画)、『ファースト・ラブ』(主婦の友社)、『チェルノブイリから来た少年』(竹書房)などがある。
移植手術、安楽死、動物愛護…「生命」の現場を舞台にしたミステリー。意識不明の患者が病室から消えた!?(『優先順位』)。なぜ父はパーキンソン病を演じているのか(『詐病』)。母豚の胎内から全ての子豚が消えた謎(『命の天秤』)。真面目な学術調査団が犯した罪(『不正疑惑』)。この手術は希望か、それとも絶望かー(『究極の選択』)
突然の事故の挙げ句、人の能力数値=ステータスが見えるようになった相良光太郎。同時に頭の中に棲みついたひとりの少女、自称・天使ちゃんは、今日もせっせと神様からの指令を伝えてくる。そんな忙しくものんきな「中2にして厨二ライフ」も3か月が過ぎた頃、美少女転校生の出現と共に光太郎の運命は一変してしまった!彼女のステータスに隠された秘密、それが光太郎を悪夢のような事件に突き落とす!!第1回WEB投稿小説大賞受賞作(Bコース)
ブロードウェイで男たちを手玉に取りつづけてきた美しきマーガレット・オウデルが、密室で無残に殺害される。カナリアというあだ名のもと女優殺人事件の容疑者は、わずかに四人。矛盾だらけで不可解きわまりない犯罪に挑むのは、名探偵ファイロ・ヴァンス。彼は独創的な推理手法で、犯人を突き止めようとするが──。著者がその名声を確固たらしめたシリーズ第二弾、新訳で登場! 解説=三橋暁
北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルが生んだ名物刑事、クルト・ヴァランダー。そんな彼が初めて登場したのは『殺人者の顔』だが、本書はヴァランダーがまだ二十代でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」「裂け目」から、イースタ署に移ったばかりの頃に遭遇した事件「海辺の男」「写真家の死」を経て、『殺人者の顔』直前のエピソード「ピラミッド」に至る5つの短編を収録。若き日のヴァランダーの成長を描いた贅沢な短編集。
封印されし不死者の王、復活 「ブタクサ姫」として蔑まれていた過去を捨て、魔女の弟子として生きることを決めたジル。 厳しい修行の末、能力を開花されたジルは、皇帝の孫ルークとともに央部に留学し、超個性的な姫君たちや神童司祭との学園生活をスタートさせる。 そんな中、調査学習のために向かったいわくつきの湖畔。 謎の地下空間に落ちたジルは、調子外れの不思議なメイドと出会ってーー 佐崎一路のラブコメ&冒険ファンタジー第5弾!
魔王の町でありながら魔王が直接統治しないソドムの町。正体を伏せ、一商人として町の“連絡会”に参加するキアスは、ならず者が闊歩するせいで治安が悪化した町を立て直すため、ある作戦を立てることに。同じ頃、真大陸の王侯の頂点である天帝から、キアスに宛てた親書が届いた。キアスの存在が真大陸各国に変化をもたらし始めるなか、衝撃的な事件がキアスを襲うー!!「小説家になろう」発、「なろうコン大賞(現・ネット小説大賞)」受賞作、第9巻!
日本文藝家協会が毎年編んで読者に贈る年間傑作短編アンソロジー。2017年の1年間に文芸誌などの媒体に発表された全短編の中から17篇を厳選。ベテラン作家から新鋭作家まで、多彩な書き手による注目作、意欲作を選び出し、この一冊で2017年の日本文学を一望できる珠玉の短篇名作選。解説は沼野充義氏。 高橋弘希「踏切の向こう」 青山七恵「帰郷」 阿部千絵「散歩」 綿矢りさ「意識のリボン」 柴崎友香「公園へ行かないか? 火曜日に」 中原昌也「劣情の珍獣大集合」 青来有一「沈黙のなかの沈黙」 山尾悠子「親水性について」 星野智幸「世界大角力共和国杯」 丸山修身「頂上の一夜」 金原ひとみ「fishy」 津村記久子「サキの忘れ物」 牧田真有子「桟橋」 沼田真佑「廃屋の眺め」 佐藤洋二郎「瀞」 小山田浩子「蟹」 町田康「とりあえずこのままいこう」
ラーソン警部の目の前で、監視中のアパートが爆発した。猛火に襲われた人々を救うべく奮闘するも虚しく、建物は焼け落ちた。焼死者の中にはある事件の容疑者が。出動したはずの消防車はなぜこなかったのか?