2018年発売
美しくも手癖の悪い水茶屋のおこん、惚れた男が泥棒と知り呆然とする小料理屋のお品、やくざな亭主に刺された料理茶屋の女中お糸、歌麿を陰で慕いながらも後妻に嫁ぐ弟子の千代。美人絵に描いた女たちも、愛弟子も、一見では分からない素顔を秘めていたー作家生活突入したのちに挑んだ野心的な連作集。
通訳捜査官の七崎隆一は、正義感から同職の義父の不正を告発、自殺に追い込んだことで、職場でも家庭でも居場所がない。歌舞伎町での殺人事件の捜査直後、息子の部屋で血まみれの衣服を発見した七崎は、息子が犯人である可能性に戦慄し、孤独な捜査を始めるが…。“正義”のあり方を問う警察ミステリー。
名だたる作家・評論家が吟味熟考し、厳選されたベスト本格ミステリ9編には9つの魅力的な謎と意外な結末があり、現代本格の無限の可能性が濃密に閉じ込められている。ドラマ・映画等ミステリ映像作品をガイドする傑作評論一編も収録。短時間で別世界に誘う圧倒的な読書体験を約束する短編アンソロジー。
1985年、渋谷。刑事の生沢宗太郎は代官山で起きた殺人事件の報を受ける。死体の額には“十字の傷”が付けられているのだという。20年前の連続殺人がなぜいま?生沢は犯人を追うがー。彼はなぜ殺すのか?半世紀という時の流れに潜む殺人者。「人が人を殺す」という問いに向き合い描く記念碑的巨編。
小舟町の芳古堂に奉公する栄二とさぶ。才気煥発な栄二と少し鈍いがまっすぐに生きるさぶ。ある日、栄二は身に覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。自棄になった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られるがー。生きることは苦しみか、希望か。市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。
「春月の雛を知って居るか」根岸肥前守に問われた内与力の隼新八郎。聞けば、いま江戸で流行りの人形師・春月の作った男雛を抱いて、二人の若い女が死んだという。新八郎は肥前守の命により探索にでるが…。春の宵に、恋に迷う男女を鮮やかに描いた表題作を含む、八篇を収録した傑作時代ミステリ、第六弾。
綾瀬千早は高校入学と同時に、競技かるた部を作ろうと奔走する。幼馴染の太一と仲間を集め、夏の全国大会に出場するためだ。強くなって、新と再会したい。幼い頃かるたを取り合った、新に寄せる千早の秘めた想いに気づきながらも、太一は千早を守り立てる。それぞれの青春を懸けた、一途な情熱の物語が幕開ける。
友人のイチローに誘われ、改築を繰り返した奇妙な家の赤い小屋を間借りすることになったわたし。家を増築する父親や女優の母親、個性派揃いの彼の家族たち。不思議な家で生活し、家族の過去が気になりだした頃、イチローから「たまに同じ一日が二度繰り返される」と打ち明けられ、日常がゆがみ始める…。
九十一歳の誕生日を前に、寂庵のベテランスタッフたちが一斉に辞めることになった。好きな仕事に専念してほしいとの心遣いから。出家以来四十年ぶりの革命で、最年少の秘書モナと二人の新しい生活に入る。「毎日が死に支度」と思い定めて、この小説の連載も開始した。人生の終焉に迷う全ての人に勧めたい感動の書。
無断欠勤が続く村瀬梓が勤めるコールセンターに営利誘拐の犯行電話が。身代金の要求額は一億円、輸送役は百人の警官。なぜ、村瀬の家族ではなく、会社に。なぜ、百人も必要なのか。警察と「関係者」たちは、犯人に翻弄されていくー。罪に期限はあるのか。乱歩賞作家が圧倒的な読み味で描く王道ミステリー。
もうかるたをやめる、新の頑なな態度に、千早は動揺を隠せない。そんな中、圧倒的な強さを誇る高校生かるたクイーン・詩暢の存在を知り、千早は闘志を激しく燃やす。しかし個人戦対策に夢中になるあまり、太一から厳しい言葉を浴びせられた。何のためにかるたをやるのか。それぞれの答を求め、誰もが悩みもがく。
元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、山岳部で苦楽をともにした同期だった。急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が東京から逃げてきている、という話を聞かされる。厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかないと言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきたー。
主婦の矢沢鶴子は、水引をつくる内職と息子の中学校のPTA活動で忙しい毎日だ。最近義母がハマっているロックミュージシャンのフジマサキに自分もハマり、日々癒されている。ある日、PTA会長が不倫スキャンダルで突如辞任、まさかの次期会長に推薦され、しがらみだらけのPTAの恐ろしい世界を身をもって体験することに…。持ち前のユーモアで難局を乗り切れるのか?!心の支えは、フジマサキのライブビューイングに行けること!フツーの主婦のおかしな日常を独特のユーモアと観察眼で描く、痛快作。
とある名門女子中学校。ある日、二年A組の担任・ススワタリが血相を変えて校長室に飛び込んできた。鍵のかかった教室で、生徒20人が死体で見つかったのだ。教頭のクサカベは学校に都合よく真相を偽装するため、警察よりも先に犯人を捕らえようと目論む。同級生20人を皆殺しにした犯人は誰なのか?事件は思いもよらない方向へ転がっていく。(少女教室)学園、ホラー、メタミス、エログロ、SF。少女20人の死をテーマに紡がれる、5つの本格ミステリ。
平安朝漢文学という大海より、釣り上げられた問題を5つの主題の下に配し、“平安朝漢文学と白詩圏の文学”“平安朝漢文学と中・晩唐文学”“詩と歌の交感”“菅原道真の文学活動”“幼学の世界と平安朝漢文学”。作品解読も含めその展開と面白さを追究した。
八八艦隊計画を進める日本は未曾有の経済危機に直面。日本海軍は熟慮の末、「陸奥」のブラジルへの売却を決定。それ以降、欧米各国にも軍艦の売却を打診する…。昭和15年10月、東京オリンピック開催中に3隻の米空母を飛び立った編隊が羽田空港を奇襲し、同時に横須賀軍港も空爆。日米は東京湾を炎の海に変える東京湾海戦に突入した。日本は空海一体で米太平洋艦隊を迎え撃ち、米戦艦4隻の撃破に成功、アメリカの野望を粉砕する。しかし、戦艦4隻を撃沈破されて大打撃を負った。戦力の再建を図る日本に北から新たなる脅威が迫る!
晴れてランク3冒険者へと昇格し、王立スパーダ神学校に入学したクロノ達。学生気分でやや浮かれるものの、次なる試練のモンスター『グリードゴア』を追って、イスキアへと向かう。しかし、そこで巻き込まれるのは、スパーダで暗躍する人攫いの盗賊団であった。書籍版だけの完全新規の外伝『アッシュ・トゥ・アッシュ』の続編、第2章も収録。新たな立場、異なる出会いを果たした仲間達と、クロノはアルザス防衛戦に臨む。
『フランケンシュタイン』出版の翌年、メアリー・シェリーが執筆したのは父と娘の近親相姦を描いた小説だった。娘に禁断の愛情を抱いた父、またそのような異常な愛を引き起こして父を追い詰めた罪悪感を抱く娘、その両者の激しい苦悶と悲劇が切々と綴られた本作は、その内容からゴドウィンが原稿を預かったまま返さず、1959年まで出版されなかった。『フランケンシュタイン』や『最後のひとり』に次いで読者を刺激し続けてきた、問題の多い作品の初邦訳。シェリーが友人の娘のために執筆し、その原稿が1997年に初めて見つかった児童文学的短編小説『モーリス』の本邦初訳も付す。
最強の“竜騎士”アクセルは、王家の依頼により勇者パーティーの一人として魔王を倒した。その後、なんの手違いか初級職“運び屋”へと転職することになったアクセル。心機一転、戦いから離れ、相棒である竜王のバーゼリアと共に運び屋の仕事をしつつ、世界を旅しようかと思っていたのだがーなぜか竜騎士だったころより、能力やスキルが強く、ギルドや街の人々、果ては勇者達からもますます頼られるようになっていて!?史上最強のビギナー運び屋と竜王の少女が最速で送る、トランスポーターファンタジー、ここに開幕!