2019年1月12日発売
長野の冬は長く厳しい。インストラクターの賢二は、1台のエアコンで家中を暖められる「まほうの家」を購入する。ところが、その家に引っ越した直後から奇妙な現象が起こり始める。我が家を凝視したまま動かない友人の子ども。赤ん坊の瞳に映るおそろしい影。地下室で何かに捕まり泣き叫ぶ娘。想像を絶する恐怖の連鎖は、賢二の不倫相手など屋外へと波及し、ついに関係者が怪死を遂げる……。第13回小説現代長編新人賞受賞作。 狂気に迫りおおせた作品。--朝井まかて 最後の1ページ、ここまでやるか。--石田衣良 ここまでおぞましい作品に接したのは初めてだ。--伊集院 静 読みながら私も本気でおそろしくなった。--角田光代 情動の底の底にある不安感を刺激される。--花村萬月 選考委員、全員戦慄。 第13回小説現代長編新人賞受賞作。 長野の冬は長く厳しい。スポーツインストラクターの賢二は、一軒のモデルハウスに心を奪われる。「まほうの家」という売り文句がついたその家は、たった1台のエアコンで家中を同じ温度で暖めることができた。寒がりの妻と娘のためにも、真剣に購入を考え始める賢二だったが、実家のことが気にかかる。年老いた母と、引きこもりの兄。二人を古い実家に残し、新しい家を買っていいものか。意を決して母に相談するが、意外にもすんなり納得してくれた。 「いつも監視されているから、隠しておくのも大変なんだ」 わけがわからない兄の言動は気になるものの、賢二は家を建てる決心をする。 1年半後、新居は完成し、新しい家族も生まれた賢二は幸せの絶頂にいた。ところが、その家に引っ越した直後から奇妙な現象が起こり始める。我が家を凝視したまま動かない友人の子ども。赤ん坊の瞳に映るおそろしい影。地下室で何かに捕まり泣き叫ぶ娘ーー。想像を絶する恐怖の連鎖は、賢二の不倫相手など屋外へと波及していき、ついに関係者の一人が怪死を遂げる。 ひたひたと迫り来る悪夢が、賢二たち家族の心を蝕んでいく……。 圧倒的な恐怖で選考委員を驚愕させた、「イヤミス」を超える、世にもおぞましい「オゾミス」誕生! あたたかい家 リソウの家 まほうの家
土地も金も水も米もない、ないない尽くしの藤戸藩に、道具役(能役者)の長男として生まれた屋島剛は、幼くして母を亡くし、嫡子としての居場処も失った。以来、三つ齢上の友・岩船保の手を借りながら独修で能に励んできたが、保が切腹を命じられた。さらに、藩主が急死し、剛が身代わりとして立てられることに。そこには、保の言葉と、藩のある事情があったー。
束の間の平穏は去り、オルン村は元コンスル帝国軍人ライディネス率いる軍に再び包囲された。エンスとトゥーラは、エンスを追ってきた邪悪な化物に立ち向かうべく〈死者の谷〉に降り、戦線を離脱。エミラーダはある目的を胸にライディネス軍に寝返る。だが、事態はエミラーダの思惑を超えてとんでもない方向に動き出していた。この世に戻って来たエンスは事態を収拾し、魔女国の呪いを解くことができるのか。紐結びの魔道師三部作完結!
「未解決の謎か」--ある夜、ミス・マープルの家に集った客が口にしたその言葉がきっかけで、〈火曜の夜〉クラブが結成された。毎週火曜日の夜、ひとりが個人的に知っている謎を提示し、ほかの五人が推理を披露するのだ。凶器なき不可解な殺人「アシュタルテの祠」、動機と機会の奇妙な交錯「動機対機会」など傑作ぞろいの13 編。ミステリの女王クリスティの生んだ名探偵として、エルキュール・ポワロと双璧を成すミス・マープル。いまなお世代を超えて愛される名探偵が初めて読者の前に登場した短編集が、新訳でリニューアル!
文字のひとつひとつに色を感じる共感覚を持ち、写真家として大成功をおさめたゼバスティアン。だがある日、若い女性の誘拐・殺人容疑で逮捕されてしまう。捜査官に強要されて殺害を自供したゼバスティアンを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。緊迫感に満ち満ちた裁判で暴き区出される驚愕の真相とは。『犯罪』の著者が「罪とは何か」を問いかけた恐るべき問題作!
妖怪奉行所では烏天狗一族がお役目を一手に引き受けていた。飛黒はその筆頭で、奉行の月夜公の右腕だ。ある日飛黒が双子の息子、右京と左京を奉行所に連れてきた。双子も将来はお役目につく身、今のうちに見学させておこうというわけだ。大忙しの奉行所、だがその陰で月夜公の甥の津弓、妖怪の子預かり屋の弥助を巻き込むとんでもない事件が進行していた。大人気シリーズ第七弾。