2019年10月21日発売
職を失い、年老いた母を抱えて途方に暮れる男。一世を風靡しながら、転落した元アイドル。道ならぬ恋に落ちた、教師と元教え子。そして、極北の地で突如消息を絶った郵便配達員。彼らが逃げた先に、安住の地はあるのか。人生の断面を切り取る4つの物語。数多の賞を受賞する著者がライフワークとして挑む、傑作小説集第2弾。
新たな出会い。そして親友との再会。 フェリクスを倒した功績を認められ、騎士団への入団を推薦されたエリックとティナは王都へと向かう。 騎士団の寮生活が始まるなか、ふたりは新たな出会いを重ねていく。 騎士団の中でもその実力を認められていくエリックとティナ。 特にエリックは、騎士団最強とも謳われる副団長にすら、その実力を認められるほどだった。 そして騎士団での生活に馴染みはじめるなか、エリックが心の底から願う出会いーー前世での親友クリストとの再開が思いも寄らない形で成就する。 だが、親友との再会を喜ぶのも束の間、さらに驚く再会が待っていた。
血塗られた「末期の雫」編、決着の時ーー! 学園からリズが消えた。街中でエルフの失踪が相次ぐ中で起こったその事態と同時に、テオドールの周辺を謎めいたエルフの少女がつきまとい始める。まるで自分のことを監視しているかのような少女のことが気になったテオドールは、彼女と接触する。ピアナと名乗る気弱なエルフの少女の話だと、軍学校の入学試験を楽々突破したテオドールに憧れを抱いたらしい。少女のことが気に入ったテオドールは、彼女と一緒に楽しげな学園生活を送る一方、リズの居所を探す手掛かりがないか探り始める。 ピアナと共に行動していたテオドールは、やがて彼女の父親が高等魔法院に勤めていることを知る。高等魔法院にはエルフを差別する者が多い……。そこにエルフ失踪事件の謎を解く鍵があると感じたテオドールは、ピアナの父に接触を図るために彼女を籠絡してしまう。 事件の真相へと一歩近づいたテオドールだったが、事態は急変する。エルフの国の女王が、ミルディアナの街に極秘裏で来訪することになったのだ。女王に危機が迫れば、帝国とエルフの同盟関係が崩れてしまう。軍学校の一生徒にして、最強の魔王でもあるテオドールは事件解決に乗り出した。すべては一時の余興のためにーー!
北野武がラップ小説!? 漫談と小説が奇跡の融合!? オンリーワンよりもナンバーワンよりも大切なものがここにはある。 疲労もポン! これが「小説」の覚醒剤。現代日本の悩みを吹き飛ばす、小説家・北野武の圧倒的な才能が詰まった傑作「純、文学」作品集、ついに刊行!
『ハックルベリー・フィンの冒けん』てゆうホンヤク本をよんでない人はおれのこと知らない、とはかぎらなくて、そのまえに出たいろんなホンヤク本で知ってる人もおおぜいいるらしいんだけど、まあそのへんはどっちでもかまわない。『ハックルベリー・フィンの冒けん』はシバタ・モトユキさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはただしくホンヤクしてあるらしい。おれはニホンごよめないけど、ともだちのクマダカメキチがそういってた。ところどころゴヤクもあるけど、まあだいたいはただしくホンヤクしてあるとカメキチはいう。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはゴヤクするものだから。(本文より) こんな本ですーー あいさつ ハックルベリー・フィンによる紹介 この本について 編訳著者による紹介 I 『ハック・フィン』入門(構成・執筆 柴田元幸) 1. ハック・フィン』基本情報 ハックルベリー・フィンとは/マーク・トウェインとは/『ハックルベリー・フィンの冒けん』の構成/ 同時代の評価/文学的意義、後世への影響 『ハックルベリー・フィンの冒けん』の構成/同時代の評価/文学的意義、後世への影響 2.『ハックルベリー・フィンの冒けん』の英語 標準でない英語のあたたかさ/ハックが「語った」ものーーと同時に「書いた」もの 3. 『ハックルベリー・フィン』第1章徹底読解 対訳+詳注+〔さらにうるさいことを言えば〕 4. ハック英語辞典 adventureからtroubleまで 5. ハック名場面 厳しい自然/のどかな自然/ハックの葛藤/人間相手の冒険/ジムとハックの珍問答/哲学者ジム II 『ハック・フィン』をどう読むか 1. ハックはどう読まれてきたか T・S・エリオット/大江健三郎/トニ・モリスン/平石貴樹 2. 現代アメリカ作家が語る『ハック・フィン』 レアード・ハント/レベッカ・ブラウン/スティーヴ・エリクソン(書き下ろし) 3.『ハックルベリー・フィンの冒けん』書評 横尾忠則/池内紀/谷崎由依 III 『ハック・フィン』から生まれた新たな冒けん 1. ハックの末裔たち トウェイン自身による続篇/J・D・サリンジャー/ソール・ベロー/大江健三郎/ジョン・シーライ/ ラッセル・バンクス/ジョン・クリンチ/ノーマン・ロック/ロバート・クーヴァー/ カート・ヴォネガット 2. ノーマン・メイラー「ハック・フィン、百歳でなお生きて」 3. ジョン・キーン『リヴァーズ』 IV 『冒けん』に入らなかった冒けん 「ジムのユウレイばなし」 「筏のエピソード」 編著者あとがき
南カリフォルニア、チュラビスター“美しい景色”を意味する名にかかわらず犯罪の多発するこの町で警官を務めるノアは、巡回中、女性の遺体を発見した。女性がバーの従業員と判明したことから、バーを訪ねたノアは話を訊いたアプリルという女性に強く惹かれる。派手なメイクと髪形の下にある淋しげな表情が気になって仕方ない。一方のアプリルも、彼を気にかけながらも、ある理由から、自分がふさわしくない相手であることを自覚し…。様々な運命に翻弄される恋人たちの姿をホットに描く話題作!
老竜が棲むというランドウ山に「職奪の宝石」があるかもしれないと聞いたイチノジョウ。さっそく山へ向かうが、そのあと、シーナ三号に関する衝撃的な報告をピオニアから受ける。シーナ三号が稼働停止してしまう!?なんとかシーナ三号を修理できないか、方法を探るイチノジョウは、僅かな可能性に懸けて「賢者の石」の素材集めに動き出す。その先に強大な敵が待ち受けているとは知らずにー「小説家になろう」開催「ネット小説大賞」金賞受賞作、シリーズ第10巻!
アマゾン奥地でアメリカ人数人が、アマゾナス自由革命軍を名乗る兵士たちに捕らわれた。情報をキャッチしたアメリカ政府は特殊部隊ゴーストの出動を要請。しかし熟練の部隊はすでに別の任務に就いており、オールド・マンことミッチェル中佐は急造のゴーストチームを送り込むことを決断する。はじめてリーダーとなるノマドを筆頭に結成された4人のチームが向かうのは、支援はおろか通信さえろくにできないジャングルの中だ。ノマドとは旧知の仲のウィーバーはともかく、初顔合わせとなるホルトとミダスとの意思疎通はうまくいかず、チームはぎくしゃくしたまま任務に臨む。さらに人質救出を最優先とするはずが、アマゾナスの兵士に追われる村人を助けたことから事態は予想外への方向へと進んでゆくー。二転三転する状況下でゴーストたちは、いかなる決断を下すのか。
幼い頃からあやかしが見える、男子大学生の恭介。祖母からもらった『お守り』を母親に勝手に売られた。それを取り戻すため、北鎌倉にある骨董店『如月堂』に向かうことにー。そして、そこで浮世離れした店主代理の四季と出会う…。付喪神が引き起こす事件を解決していくあやかしダークファンタジー。
三ヶ月前、突然『人ではないもの』が見えるようになってしまった琴子。 外に出るたびにあやかしたちに驚かされ怯える日々が続き、とうとう家から出るのさえ怖くなり引き籠り生活になってしまった。 ある日買い物に出かけた先で出会った伊織の誘いで、あやかしと人間の共存を支援するシェアハウスで働くことに。 そこでの生活で琴子は、あやかしは恐ろしいだけの存在じゃないと知っていく…。 京都の上七軒にある不思議なシェアハウスを舞台に起こる人間とあやかしの温かな人情物語。 第一話 あやかしハロワにハローされまして 第二話 ひらり優しい桜と抜けない心の釘 第三話 想いと不思議と涙のわけ 第四話 闇を晴らして暁の空 第五話 美味しいも楽しいも嬉しいも一緒に
長崎から神戸、京都、箱根、東京、そして日光へ。 東洋文化への深い理解と、美しきもの、弱きものへの慈しみの眼差しを湛えた、ときに厳しくも温かい、五か月間の日本紀行。 写真70点収録! 春はいまだ寒い。樟はその艶のある葉を震わせている。その葉を摘み、われわれは樟脳の香を確かめる。細く美しいーー日本のーー笹は、けば立ち少し波うったような、すこぶる長いダチョウの羽のように、束になって地面に密生し、岩の上に飾り物のような姿を見せている。藤ーーオランダ語で「青い雨」--は、いまだ黙したままだ。一世紀の間、身をよじらせてきた幹は、さらに螺旋を描いて伸び、その枝を蔓棚や東屋の棚に蛇のように絡ませ、最初の一葉、またそれが花房となるのを待ちながら裸身を晒している。そして、身を切るような風の中、今年初めての桃の花は、紫色に、身震いする小枝の間で、まき散らされ吹き飛ばされるかのごとく、幽く寒さに震えている。(…)それから、たいてい傍らに庭石を飾りに添えた盆栽のある庭がある。そしてわれわれにお辞儀をする女性たちは艶やかな髪を結い上げ、干し物をしている。(本書より) 序章 中国 第一章 長崎 第二章 長崎から神戸、京都へ 第三章 日本史入門 第四章 御所 第五章 桜の季節 第六章 黄金のパビリオン 第七章 木々 第八章 城 第九章 寺院 第十章 入院 第十一章 民間信仰 第十二章 病床 第十三章 スポーツ 第十四章 横浜へ 第十五章 箱根 第十六章 雨の憂鬱 第十七章 東洋美術 第十八章 『不如帰』 第十九章 詩心 第二十章 東京 第二十一章 泉岳寺 第二十二章 日光へ 第二十三章 自然の美 第二十四章 東照宮と地蔵 第二十五章 慈悲の糸 第二十六章 能舞台 第二十七章 文字 第二十八章 不夜城 第二十九章 錦絵 第三十章 帰郷 訳者あとがき
叛逆的暴力と愛国的雄姿との転倒的ゆらぎ 正典作家・作品研究ではない、埋もれているテクストや、読み捨てられる類の大衆作家による多様な物語群から、アメリカ国家生成・独立建国以来、潜在しつづける矛盾と、体制に叛逆する精神を探るアメリカ文学・文化研究。 名もなき者たちの取るに足りない営為が、ナラティヴを成す 序章 自浄作用としての抵抗と犯罪の物語 第1章 売れる偉勲・憂うる遺訓ーーメイソン・ロック・ウィームズの『ワシントン伝』再考 第2章 アメリカン・イーグルとバード・ウーマンーー国璽決定プロセスと先住民ピースメダル「外交」 第3章 魔女の物語とインディアンーージョン・ニールの『レイチェル・ダイアー』とアメリカ文学の独立 第4章 詐欺師的独立宣言ーー『スティーヴン・バロウズ回想録』とシェイズ叛乱のパロディー 第5章 ナンシー・ランドルフ・モリスの幸福の追求ーー誘惑小説の実演転覆とジェファソン周辺の「幸福の館」 第6章 ウォーナー・マッケアリーの復讐ーー元奴隷と白人モルモン妻の奇妙なダブル・パッシングの一事例 第7章 帝都の物語ーーアンテベラムの都市犯罪小説と建国祖父の遺産継承 第8章 奴隷的不服従ーールイザ・メイ・オルコットのセンセーショナル・スリラー 第9章 そして誰もが黒くなったーーアリス・ランダルの『風は去っちまった』における再生の政治学 第10章 ツァラル島再ーーマット・ジョンソンの『ピム』におけるダーク・ピーターズの復権