2019年10月発売
サンズイ(汚職)事案担当の警視庁捜査二課刑事・園崎省吾は、ある大物政治家のあっせん収賄容疑を追及していた。鍵を握る秘書の大久保は、過去に準強制わいせつやストーカー規制法違反を疑われた札付きだった。司法取引を持ちかけられ、大久保と待ち合わせた園崎は、すっぽかされた上、同時刻に妻と息子が何者かに轢き逃げされた。園崎は大久保の関与を疑うが、逆に自らが重要参考人として呼び出され…。警察のなかにも敵がいた。園崎の孤独な戦いが始まったー!
マフィアの首領だった父と家族を殺され、日本に逃れたガルシア。死んだと囁かれる一方で、シチリアではガルシア帰国の噂は絶えない。怨敵のマイケルは、いまや政財界を表と裏から牛耳る大実業家だ。眼前でレイプされる最愛の妹を救えなかった元総合格闘家でフリージャーナリスト・長瀬は、シチリアで二人の因縁に巻き込まれる。そして氷の瞳を持つ女暗殺者・サリヤに遭遇。「ガルシアとマイケル、二人を殺す」-彼女は言う。だが、その前に立ちはだかるのは、マイケルの守護神で十八歳、最強の天才暗殺者ディアボロだった。ガルシアvs.マイケル、壮大なる復讐劇、決着!
1944年満州。馬賊の城塞に、関東軍の偵察機が突っ込んでくる。冷徹な首領、黄尚炎たちは、パイロットが絶世の美女であることに驚く。その女、吉永紅子は、子供たちを救出したいがために、荒くれ男たちのいるこの谷へ女一人で飛び込んできたという。尚炎は、この女は肝が据わっているのではなく、馬鹿なのだと呆れる。関東軍特務機関の黒磯国芳少佐は、吉永紅子が嫌いだ。甘粕正彦に可愛がられ、やりたい放題する紅子を憎いとさえ思っている。無茶で破天荒な女に翻弄される、馬賊の頭領と関東軍将校。一方、甘粕が隠匿する金塊を狙う輩たち。騙し騙され欲望が渦巻く、サスペンスフルな冒険譚。
バー“森へ抜ける道”を舞台に、繰り広げられる酒呑みトーク、懐かしいテレビや映画やタレントの話。東西の童話や昔話、お酒の蘊蓄に、未解決の謎めいた殺人事件の話。そして、桜川さんの鮮やかな推理。…これ全部、登場人物のひとりが書いた小説だったとしたら、どうしましょう?シリーズ完結直前、大団円は迎えられるのでしょうか!?大河ドラマに朝の連続テレビ小説にトレンディドラマと名推理。いつもどおりのようで、少し違う気がする第8弾!
社会学部一人気のない“上庭ゼミ”に入った松岡えみるは、上庭先生の学生相談室の補佐をすることに。サークル内の友人関係に悩んでいるえみるは、学生たちの人間関係の悩みに親身に耳を傾ける。上庭先生は評判とは違い社会学の知識をもって思いもよらぬ解釈をみせ、えみるはすっかり社会学の虜になるがー?!コミュ障で根暗な社会心理学講師と、おひとよしで責任感の強い女子大生コンビによる、人生相談室、開幕!
函館で有名な岩倉家の美人三姉妹の三女が行方不明になった。海岸で見つかった遺留品のそばに、血糊のついた鷹のブロンズ像。凶器と思われたこの置き物は、姉妹の家にあったものだった。祖父は家にある芭蕉の短冊額のことを思い出す。一つ家に 遊女も寝たり 萩と月。旅に病んで 夢は枯野を 駆け廻る。鷹ひとつ 見つけてうれし 伊良湖崎。米買ひに 雪の袋や 投頭巾。俳句に見立てた殺人事件なのか?三女の遺体が見つかっても、犯人の手掛かりは得られないまま、事件は新たな展開をみせるー。三女が行方不明になったときから、謎は始まった。
かつて“おたく”を命名し、“新人類の旗手”と呼ばれた。人気アイドルや国民的カメラマンらと、時代を並走した。フリーライター・中野秋夫。もうすぐ還暦で、自らの残り時間も見えてきた。人生の「秋」に差し掛かり、思い出すのは、昭和/平成の「青春」時代のことだ。自殺してしまった伝説のアイドル、“新人類”と呼ばれたあの時代、国民的美少女と迷デザイナー、入水した保守論壇のドン、そして、“おたく”誕生秘話ー。東京に生きる、クリエイター、若者、アイドル、浮遊人種…それぞれの青春、それぞれの人生を丹念に紡いだ渾身の私小説。
周囲を雪と氷に覆われた山。両親の車に乗っていた五歳の少女は、外に出て……次の瞬間消えていた。折しも降り始めた雪は吹雪となり、捜索を困難にした。三年の月日が虚しく過ぎ、みな少女は死んでしまったものと考えた。だがあきらめきれない両親は、行方不明の子ども専門の探偵ナオミに最後の望みを託した。生きていようが死んでいようが、必ず見つけ出す。深い森に閉ざされた山を相手に、“子ども見つけ屋”ナオミの戦いが始まる。
都会を走る移動図書館、愛称「本バスめぐりん」。乗り込むのは六十五歳の新人運転手テルさんと、図書館司書ウメちゃんの、年の差四十のでこぼこコンビだ。巡回先で二人と一台を待ち受けるのは、利用者とふしぎな謎の数々で……。棚に並んだ本の中に、あなたの好みの一冊がありますように。本でつながる想いをのせて、めぐりんは今日も走る。本屋、出版社などさまざまな「本の現場」を描く著者が贈る、ハートフル・ミステリ。
地球を離れて347年目の世代宇宙船《ノア》。巨大な船内では数万人以上の住民が超能力を駆使し、豊かで平穏な生活を営んでいた。だがその陰で、ミンチ状の死体が次々と密かに発見される。義務である出産を終えた都市計画官ハナは、上司を失った捜査官バレンズとともに能力を駆使して事件の真相を追い始める。新鋭が放つ傑作宇宙SF!
“ひき肉”事件の探索は次々と謎を呼ぶーー宇宙船《ノア》を建造し、インプラントや〈能力〉、プラステックやアンプなどの超技術を人類にもたらした異星種族の正体は? かつて地球で起きた災厄とは? そして、居住区の地下にある〈未観測地帯〉には何が存在するのか? 《ノア》ミッションの根幹に迫る謎を解いたとき、明らかになるものとは?
ミヒャエル・エンデが、父エトガー・エンデに捧げた代表作を、生誕90年の記念版として新訳で刊行する。夢の中の出来事のような謎めいた幻想譚30篇と、画家であった父エトガーの不思議な魅力に満ちた絵画とが、互いに響き合うようにして構成されている本書は、父と子の共同作業によって築かれた物語の「迷宮」である。 鏡のなかの鏡 内容 挿絵リスト 生誕九〇年記念版刊行に寄せて……………ロマン・ホッケ 訳者あとがき
綿柎開(わたのはなしべひらく)、水始涸(みずはじめてかるる)、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)--。 季節を表す言葉を鍵に、物語は膨らんでゆく。 十二人の作家の想像力で、旧暦「二十四節気七十二候」が現代の物語に生まれ変わった。 六世紀ごろに大陸から伝わり、改暦を重ねながら明治の初めまで用いられてきた旧暦。そこには春夏秋冬の四季に留まらない、さらにこまやかな季節が織り込まれている。 大暑や立秋、大寒といった季節の節目を表す二十四節気と、「地始凍」「熊蟄穴」など、動植物や空模様がそのまま季節の呼び名に採り入れられている七十二候。 古来伝わる“季節の名前”が現代の作家たちを刺激し、味わい豊かな掌篇に結晶した。 ー旧暦の魅力を知る解説つきー 西村賢太「乃東枯」 重松清「鷹乃学習」 町田康「大雨時行」 筒井康隆「蒙霧升降」 長野まゆみ「綿柎開」 柴崎友香「玄鳥去」 山下澄人「水始涸」 川上弘美「蟋蟀在戸」 藤野千夜「霎時施」 松浦寿輝「地始凍」 柳 美里「朔風払葉」 堀江敏幸「熊蟄穴」 白井明大「輪のようにめぐる季節のさなかで 二十四節気七十二候について」 西村賢太「乃東枯」 重松清「鷹乃学習」 町田康「大雨時行」 筒井康隆「蒙霧升降」 長野まゆみ「綿柎開」 柴崎友香「玄鳥去」 山下澄人「水始涸」 川上弘美「蟋蟀在戸」 藤野千夜「霎時施」 松浦寿輝「地始凍」 柳 美里「朔風払葉」 堀江敏幸「熊蟄穴」 白井明大「輪のようにめぐる季節のさなかで 二十四節気七十二候について」
島本さんの小説はいつも、自分は傷ついているのだと気づかせてくれる。--藤崎彩織 深い闇の果てに光を掴もうとする女性たちの、闘いと解放。直木賞作家の真骨頂! 性とお金と嘘と愛に塗れたこの世界を、私たちは生きている。 ミスコンで無遠慮に価値をつけられる私。お金のために愛人業をする私。夫とはセックスしたくない私。本当に愛する人とは結ばれない私ーー。 秘密を抱える神父・金井のもとを訪れる四人の女性。逃げ道のない女という性を抉るように描く、島本理生の到達点。 1 夜のまっただなか 2 サテライトの女たち 3 雪ト逃ゲル 4 静寂
「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで 彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにした武沢は、ふたたびペテンの世界に戻ることを決意。そしてかつての仲間ーーまひろ、やひろ、貫太郎らと再集結し、キョウを救うために「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが……。
遂に復讐の時が来たーー。 エレノアが殺したいほど憎んでいる幼なじみたちが見つかった。 彼らは仲間殺しが多発しているいわくつきの合同クエスト〈ゴレイアス砦侵攻戦〉に参加しているという。 エギルたちはハボリックから依頼された仲間殺しの犯人を捜すと共に、エレノアの復讐に協力すべく、合同クエストに参加することに。 しかし、本来協力関係にあるはずのギルドも、仲間殺しによって互いを疑うのが当たり前となっていた。 疑心暗鬼にまみれたギルド。 砦の攻略を目指すエギルたちが最奥部に近づいた時、いよいよ犯人が動き出した……。 一方、エレノアは待ち焦がれた幼なじみたちと再会する。 自らを奴隷商人に売った幼なじみへの復讐は果たされるのかーー。 エレノアの復讐の幕が上がる、激動の第2巻。
久坂浩一は、平穏な日々を願う、平凡な高校生。 エロ漫画家の姉の影響で、性的なことへの苦手意識がある以外は。 しかし浩一の高二の夏休みは、その想いとは真逆の方向へ突っ走ることになる。 ある日、幼馴染みの美亜がいきなり「彼氏のフリをしてほしい」と言い出し、 しかもエッチなことをかなりハードにしている設定でとお願いしてきた。 なんと、美亜は実はサキュバスで、なおかつエッチなことが苦手な落ちこぼれなのだとカミングアウトしてきたのだ! 流れで美亜の勤める喫茶店でバイトをすることになった浩一は、 「落ちこぼれサキュバスの調教役」になる!? 浩一にはサキュバスたちに必要なあの能力があって… 限界突破のエロラブコメ、開始!
必死に実力を隠しているのに、活躍を続け、栄達し続けるヘルメス。 姉のソーラと娼婦オルティアに振り回されつつも、絶対に本気を出さない主義を貫いていた。 だが、自衛のために剣を提げていただけで、気づくと国王の剣術指南役に任命されてしまう! 街で急襲してきた少女の攻撃を防ぐと、それは地上最強の生物・魔王カオリで、 「甥っ子ちゃん」と呼ばれて懐かれてしまう! 魔王軍との全面戦争に怯える国王から征魔大将軍に任じられると、あっという間に戦争を回避! 総理大臣相当の大公爵まで上り詰める!? 本気じゃないのに名声があがり続ける、慕われ惚れられ尊敬されまくる最強当主生活、第3幕!
ポーション売りの少年、シィルは小さな怪我や風邪に使う普通のポーションを販売していた。 しかし、実はそれがポーションではなくてどんな怪我、病気も癒す伝説の薬、エリクサーであるということは、シィル自身は知らなかった。 そして、いつもと変わらない毎日を送っていると息苦しそうに歩いてくる貴族の少女と出会う。 実は、その少女は薬師や医師、魔法使いに診てもらっても治せなかった難病を患っていたのだが、気休めに渡したシィルのポーションで完治してしまう。 それからただのポーション売りだったシィルの生活は知らずに治療した人の影響を受け、少しずつ変化していくーー。
ときは南北朝時代。 蝦夷管領、安藤又太郎季長の三男として生を受けた新九郎は、出羽の叛乱を鎮圧せよと命じられた。出陣を前に、叛乱について調査をした新九郎は、ことの首謀者が叔父の安藤五郎季久であることを突き止める。 天皇方と手を組み討幕を目論む父・季長。あくまで幕府方を標榜する叔父・季久。二人の間で揺れる新九郎だったが、やがて大きな時代の流れは押し寄せ、北朝と南朝に分かれて争いを続ける都と連動する形で、東北にも大規模な戦の影が迫る。 アイヌとの行き来、交易などにも着目し、当時の東北のひとびとがどのように考え、動いていたのかを新たな目線で読み解く。 鎌倉時代から南北朝時代にかけて、日本列島全体でどのような騒乱が起きていたのか、これまでの歴史解釈に大きな一石を投じる本格歴史小説。 【著者略歴】 安部龍太郎(あべ・りゅうたろう) 一九五五年福岡県黒木町(現八女市)生まれ。久留米高専卒。東京都大田区役所で図書館司書を務めながら小説家を志し、九〇年『血の日本史』でデビュー。二〇〇五年『天馬、翔ける』で第十一回中山義秀文学賞、一三年『等伯』で第一四八回直木賞を、一六年第五回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞を受賞。