2019年10月発売
おれは音楽の、お前は文学のひかりを浴びて、腐ろう。ゾンビになろう。なんとなく音大を中退した、ぼく。魔法のようなピアノを奏でる同級生。その彼女に、ぼくは恋をしている。才能と絶望と恋と友情をめぐる青春小説!
聖フランチェスコの死から四半世紀が過ぎ、アッシジに大聖堂が完成しつつあった1252年、ローマ近郊の修道院に届いた謎の聖遺物が次々に奇蹟を起こした。調査を命じられた若き修道士ベネディクトが、村の助祭ピエトロとアッシジへ向かうと聖者の遺体が墓所から消えていた。奇蹟と大聖堂の謎、聖者と信仰に迫る歴史ミステリ。
齢四〇を迎え未だ年収五〇万円。売れない脚本家の俺は、長年のプー太郎生活が災いしてか、自意識と被害妄想が膨れ上がるばかりで最近は仕事の依頼すらままならない。息子の太郎にもなめられがちだ。そんな、自らのゴミ化を妻のチカに悟られぬようにと愛情表現の一環として、毎晩セックスに勤しんでいたのだが、近頃は「ヤダ」という身も蓋もない一言で拒絶されるようになった。-そう、俺はチカの巨乳を半年近くも触らせてもらえてないのだ…。
様々な読み解きを誘う永遠の代表作。少女愛モティーフの原型となる中篇。夢想の少女を追い求めた男の欲望の果て。読み直すたびに新しい、20世紀文学に聳える金字塔。ナボコフ自身が翻訳したロシア語版との異同を注釈に付す完全増補版。
南北戦争前、アメリカ中西部で、ある男が庭に栗を植えた。四世代に亘り撮影しつづけた一本の栗の木の写真を、一族の末裔である芸術家が相続する。不遇を託っていた彼が出会ったのは、セックスとドラッグに溺れたあげくうっかり感電死し、たまたま蘇生した女子大生。自分が生き返ったのは「光の精霊」のおかげだと信じている彼女に導かれ、ともに西を目指す。そこには高さ百メートル近いレッドウッド(セコイア)が聳え、大陸最後の手つかずの森が、野蛮な開発の危機にさらされていたー。樹木同士のコミュニケーションを発見する聴覚障害の科学者、中国からの移民の父を自死で喪った女性技術者、撃墜され大木に救われた空軍兵士、筋金入りの動植物好きの心理学者…互いに見知らぬ人々が、巨木の「声」に召喚され、原始林を救う戦いに集結する。現代アメリカ文学の旗手パワーズによる最新巨篇。2019年ピュリッツァー賞受賞作。
初恋、それは身も心も砕くもの。母を亡くし、高見澤家で暮らすことになった少年に、三姉妹はそれぞれに心を奪われていく。プリズムのように輝き、胸を焼く記憶の欠片たち。現代最高の女性作家が紡ぎだす、芳醇な恋愛小説。
CBI最優秀児童図書賞などアイルランドのYA三賞受賞!「シンデレラ」「白雪姫」「人魚姫」「美女と野獣」「眠れる森の美女」など14のおとぎ話を再話した、血と陰謀、裏切りと魅惑の匂いが漂う短編集。
北朝鮮・寧辺の使用済み核燃料保管施設の貯蔵プール。その中で謎めいた生物が泳ぐ様が確認されたーそれは戦争によって文明という負のエントロピーを正のエントロピーに“清算”する際に誕生する、四次元高時空域座標の存在“戦争獣”。生態系ならぬ死態系に潜む死命の最優勢種である彼等は、最終・究極戦争に至る闘争を至上目的とする“異人”のみが操ることが出来るという。デビュー時の言葉「想像できないことを想像する」を体現せしめた書き下ろしSF巨編!
ネプチューンの三叉槍で刺されたような傷がある死体。30年前アダムスベルグの弟が恋人殺しの嫌疑で追われた事件も同じ手口だった。それ以前に五件、その後に二件同様の殺人があった。謎の多いこの事件で弟を失ったアダムスベルグは、彼の無実を証明すべく自らが犯人と確信する男を追い続けていた。アダムスベルグの人生を大きく変えた不可解な事件の驚愕の真相。CWA賞、813賞受賞の傑作!
ホーフハイム刑事警察署の管轄内で、犬の散歩中の女性が射殺された。80メートルの距離から正確に頭部を狙撃されたのだ。翌日、森に建つ邸宅で、女性が窓の外から頭を撃たれて死亡。数日後には若い男性が心臓を撃ち抜かれた。そして警察署に“仕置き人”からの死亡告知が届く。被害者たちの見えない繋がりと犯人の目的とは。刑事オリヴァーとピアが未曾有の連続狙撃殺人に挑む!
創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が集結、書き下ろし短編で競演。“宇宙編”には高山羽根子(第1回佳作)、酉島伝法(第2回正賞)、理山貞二(第3回正賞)、オキシタケヒコ(第3回優秀賞)、宮西建礼(第4回正賞)、宮澤伊織(第6回正賞)の6名の作品を収録する。2020年代の日本SF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家陣が贈る、オリジナルアンソロジー。
創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が集結、新作短編で競演。“時間編”には松崎有理(第1回正賞)、空木春宵(第2回佳作)、高島雄哉(第5回正賞)、門田充宏(第5回正賞)、石川宗生(第7回正賞)、久永実木彦(第8回正賞)、八島游舷(第9回正賞)の7名の作品を収録。2020年代の日本SF界を担う“東京創元社生まれ”の気鋭作家たちが贈る、オリジナルアンソロジー。
千葉の房総大学の新入生・藤村京は入学早々、友達づくりに乗り遅れ、愕然としていた。自らの“コミュ障”ぶりを嘆いていると、教室に高級な傘の忘れ物を発見する。他人と会話をするのが苦手な藤村は、推理だけで傘の持ち主を特定しようとするが!?セレクトショップの試着室から消える女子大生の謎、カラオケルームで起きた泥酔事件の真実…大学内外で起きる事件をひとつずつ解決していくにつれ、藤村の周りは少しずつ賑やかになっていってー。
人見知りで要領の悪い日和は、仕事場でも怒られてばかり。社長から気晴らしに旅へ出ることを勧められる。最初はひとり旅など無理だと尻込みしていたが、旅好きの同僚に後押しされ、日帰りができる熱海へ。神社を訪れ、出来立ての茹で卵の味に舌鼓を打ち、干物の味に感動!さらにそこには、思わぬ出会いが待っていた。ひとり旅の楽しさに気付いた日和は、佐原、仙台、金沢、福岡と遠くへ足を延ばしていくようになる。少しずつ成長していく日和の姿は、仕事にも影響し始めて、周りの目も少しずつ変わっていくー。
第二次世界大戦末期。ハンガリー大蔵省の役人のバログは、敵軍迫る首都から国有財産の退避を命じられ、ユダヤ人の没収財産を積んだ「黄金列車」の運行に携わることになる。混乱に乗じて財宝を狙う有象無象を相手に、文官の論理と交渉術で渡り合っていくバログ。過酷な日々の中、胸に去来するのはかつて青春を共にしたユダヤ人の友人、そして妻との出会いだった。輝くような思い出と、徐々に迫ってくる戦争の影。ヨーロッパを疾駆する列車のなか、現在と過去を行き来しながらバログはある決意を固めるー。
巨大ショッピングモール「スワン」で起きた無差別銃撃事件。死者21名を出した悲劇の渦中で、高校生のいずみは犯人と接しながら生き延びた。しかし、同じく事件に遭遇した同級生・小梢により、次に誰を殺すか、いずみの指名によって犯行が行われたという事実が週刊誌で暴露される。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに招待状が届く。集められたのは事件に巻き込まれ、生き残った5人の関係者。目的は事件の中のひとつの「死」の真相をあきらかにすること。その日、本当に起こったこととはなんだったのか?
禁断の書「根腐れ蜜柑」とは何か!?出奔した母を探し出すため、私は北国の漁師町へと向かった。そこは、動物の死骸があちらこちらに散逸し、生々しい匂いが一面に充満した町だった。犬猫の死骸だらけの窪地に落ち、奇妙な老人たちに助けられた私。彼らは、太古の昔に繁栄した種族の、魔術めいた技術が記された特殊な本を手に入れるために自分を助けたのだという。ようやく見つかった母は、血塗られた船を造っていた。私の恋人や妹たちは、母が造った船に次々と呑み込まれていきー。第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作。
バロウズの陰謀を潰すため、カジノ“ミスティ”を壊滅させたノエルと仲間たち。このカジノの爆発炎上には“被虐の魔女”ノエル・チェルクェッティ、“爆弾魔”フーゴ・ドレッセルとそれに与した大悪魔らテロリスト集団が関わったとされ、国は対テロ組織の派遣を決定する。一方散り散りに身を潜めていたノエルやカロン、オスカーらは合流し、次の一手を講じる。「記念式典でバロウズ市長を倒す」チャンスは一度きりしかない。襲撃に向けメンバーが着実に準備を進めていく中、ノエルはジリアンとの最後になるであろう対決に想いを馳せ、ジリアンもまた、弱りゆく体を引きずりながらノエルとの思い出の地を巡っていた。そして式典襲撃当日。「わたくしはバロウズを倒し、復讐を遂げる!そしてあなたも解放してみせる!」少女と少女の想いがぶつかり合う、最終決戦がついに始まるー!