2019年12月発売
豊洲への市場移転を前に築地へ帰ってきたヤッさん。夫婦で蕎麦屋を開店したはずのタカオとミサキの間には溝が生じ、跡継ぎになるため苦労している卵焼き屋の香津子のもとには海外放浪帰りの青年がやってきた。ヤッさんと深い縁のオモニが営む韓国食堂にも忍び寄る影が。みんなのトラブルを解決できるのは、この男しかいない!
アラサーの池内胡雪は、大学の友人たちと起業したベンチャー企業で働き、多忙な毎日を送っている。不規則な生活のせいで食事はおろそかになり、社内も散らかり放題で殺伐とした雰囲気だ。そんな状況を改善しようと、社長の提案で会社に家政婦を雇うことに。やってきた家政婦の筧みのりは、無愛想だが完璧な家事を行い、いつも心がほっとする料理を振る舞ってくれる。筧の食事を通じて、胡雪たち社員はだんだんと自分の生活を見つめ直すが…。人生の酸いも甘いもとことん味わう滋味溢れる連作短編集。
昭和17年、第一航空艦隊はミッドウェー海戦により大型正規空母三隻を失った。戦力が半減した日本海軍は根本的な戦略変更に迫られ、空母に代わる航空基地を島嶼などに建設する「電撃設営隊」を新編。機械化した設営隊を高速船に乗せ、二ヶ月以内に完成させる任務を負った。そんな中、米太平洋艦隊はガ島周辺での日本海軍の動きを不審に思い、潜水艦バラクーダを偵察に向かわせたが、あえなく撃沈。基地建設が進んでいると考えたニミッツ司令官は特殊部隊を送り込み、日本軍のレーダー施設破壊を実施する。作戦成功の一報を手にしたニミッツは、空母サラトガから二〇機の戦爆連合を出撃させるのだが…。戦記シミュレーション・シリーズ。
第1回警察小説大賞、満場一致の受賞作! 「聞いてると思うけどさ。俺たちはごんぞうだから。無駄な仕事はしないから。張り切ってガタガタ騒いだりしないでね」 ごんぞうーー自主的窓際警官のこと。 神奈川県辻堂にある鳩裏交番は、自主的窓際警官、いわゆる“ごんぞう”ばかりが集まった交番で、緊急配備の連絡にさえ誰も反応しようとしない。県警幹部も扱いに手を焼く“ごんぞう”たちだが、「巡回」だけは大好きで、住民との世間話をきっかけに事件に首を突っ込んでゆく。そんな中、ホームレスばかりを狙った連続殺人事件が発生。“ごんぞう”たちは真相に辿り着くのだが……。 第1回警察小説大賞、選考委員満場一致の受賞作! 【編集担当からのおすすめ情報】 「アンチヒーロー的な主役が魅力。一番面白い作品になる可能性、すなわち伸び代がある書き手」--相場英雄氏 「いわゆる『ごんぞう』だけを集めた実験交番。この設定を上手く生かし、愉快で物悲しい人間味のあふれる警察小説に仕上がっている」--長岡弘樹氏 「読み進めれば読み進めるほど面白くなる。警察小説というテーマに、もっとも斬新な形でこたえた作品」--幾野克哉(小説誌「STORY BOX」編集長)
最後の退校希望者は、誰だ? 必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじき出すための篩。それが、警察学校だ。警察学校第百二期短期課程の教官を務める風間公親は、警官の資質なしと見なした生徒には、容赦なく退校を命じる鬼として知られていた。その風間に校長の久光が命じたのは、「退校者ゼロ」の模範教場を作ることだった。妊娠する女生徒も現れるなか、風間はミッションをクリアできるのか!? 累計70万部のベストセラー最新作! シリーズ初の長編! 【編集担当からのおすすめ情報】 本邦初の警察学校小説として大きな話題となり、 ベストセラーとなった『教場』。 フジテレビ開局60周年特別企画として、 木村拓哉主演でスペシャルドラマ化! 2020年新春放送予定。 『風間教場』は、「教場3」にあたるシリーズ最新作。
両親の愛を享受できなかった記憶に抗い続けるカウンセラーの宮沢橙子は、テニスインストラクターの夫と小学一年生の息子と、一見平穏な生活を送っている。しかし、自分よりも収入の低い夫に遠慮し、息子には時に怒りをぶつけてしまう橙子。その姿は、嫌悪していた父親そのものー。やがて病を発症した父親は再婚したが、彼から解放される日は来るのか、それとも、永遠に見えない支配と戦わなければならないのか。親子の愛憎を抉る長編小説。
30歳・ネット通販大手の倉庫で働く非正規の堅志と、スーパーでパートをする28歳の日菜子。二人はおたがいを守りあって生きていこうと決めた。だが、堅志に正社員登用の話がきたことをきっかけに、日々に少しずつ変化が訪れるー。
第二次珊瑚海海戦に勝利し、米機動部隊を撃滅した日本軍。大きく継戦能力を落とした米国に対し、日本政府は水面下で早期講和の交渉を進める。しかし米国はこれを拒否し、モレスビー近海の日本軍補給線への攻撃を続行した。敗勢の米国が隠し持つ切り札、それは英国艦隊の豪州派遣であった…。英国M部隊の最新鋭戦艦「キング・ジョージ五世」「デューク・オブ・ヨーク」。対するは歴戦の戦艦「金剛」「榛名」、そして連合艦隊旗艦「大和」。珊瑚海にて、開戦以来最大の艦隊戦が幕を開ける!
信仰に基づく理想的な社会の建設を目指して新天地に渡ったピューリタンたち。白人とインディアン、開拓者たちと滅びゆきし者の運命は激しく交錯する。新世代の若者たちとインディアンの人種を超えた絆、ロマンス、そして復讐劇…フェミニズムの文脈でも再評価著しい激動と葛藤の歴史ロマンス大河小説。
全世界のアリス・ファンの尊敬を集める批評家、数学者ガードナーの遺作にして、アリス・マニアの聖典が待望の初翻訳! 学魔・高山宏による翻訳でお届けする、伝説のアリスうんちく大全! 物語に付された、本文を凌駕する膨大な量の注、うんちく、トリビアの数々…そして、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の本文を完全新訳で収録! ・ルイス・キャロルの手紙や日記、歴史資料、学問的解釈などを駆使して付された注釈の数は、なんと300以上! ・これまで世界中の画家が描いてきた100枚以上の「アリス」挿絵を精選収録。 ・公刊された「アリス」からは削除された「かつらをかぶった雀蜂」挿話も復元収録! あなたの知らないアリスのすべてがこの一冊に
二人はともに裸一貫から金融ビジネスで一時代を築いた。それぞれの経営手法は社会から批判され、糾弾され続けた。融資を武器に会社を乗っ取り、担保を没収する手法は、江戸時代の昔から「悪徳高利貸し」として唾棄されてきた。それが日本人のメンタリティである。では、二人はなぜそれを承知で高利の街金ビジネスの世界に身を投じたのか。本書は、二人の怪物がいかにして頂点を極め、いかにして滑落していったかをノンフィクション・ノベルとして再構築したものである。
「怪と幽」第3号は、妖怪ブームに沸く台湾を特集。 ●特集 妖怪天国 台湾 【インタビュー】何敬堯「台湾の妖怪と、妖怪ムーブメント」 【紀行】村上健司「旅行のついでに立ち寄りたい 台湾の妖怪伝説地」 【インタビュー】瀟湘神、NL、小波「臺北地方異聞工作室とは?」 【怪談実話】瀟湘神「山の中に潜む恐怖 現代台湾魔神仔実話」 【寄稿】伊藤龍平「台湾と日本の「妖怪」、くらべてみれば…… 概念の伝播、付与されるアイデンティティ」 【寄稿】林巧「アジアのなかの台湾のお化け」 【復刻】日影丈吉「騒ぐ屍体」 【寄稿】東雅夫「華麗島に魅せられた文豪たち」 【インタビュー】曲辰「台湾における妖怪/怪談文芸事情」 【紀行】「日本と台湾の妖怪文化を繋ぐ 溪頭松林町妖怪村レポート」 【エッセイ】池澤春菜、伊藤潤二、椎名誠、東山彰良「妖しき華麗島」 ●小説 京極夏彦、有栖川有栖、近藤史恵、乙一、松村進吉 ●漫画 諸星大二郎、高橋葉介、押切蓮介 ●論考/エッセイ 荒俣宏、小松和彦、東雅夫、多田克己&村上健司、加門七海(新連載) ●グラビア しきみ、芳賀日出男、佐藤健寿、台湾妖怪紳士録、国際日本文化研究センター新所蔵画図、怪食巡礼 ●怪談実話 三輪チサ、吉田悠軌、小田イ輔 ●お化け友の会ひろば インタビュー 安達寛高 映画『シライサン』 インタビュー ホセ・サナルディ『南米妖怪図鑑』 対談 諸星大二郎×佐藤健寿『世界伝奇行』 寄稿 本城達也『昭和・平成オカルト研究読本』 レポート 宮本幸枝「不思議な宿」 etc……
大ヒット『異人館画廊』シリーズ、待望の第6弾!! 千景の元に 「僕が誰だかわかるかい? 僕たちは運命の糸で結ばれている。--もうすぐ僕は、絵を完成させる。見た人を不幸にする絵だ……」 と脅迫めいた手紙が届いた。 早速、調査に乗り出すキューブのメンバーたち。 プラチナミューズの矢神が関わる可能性も浮上し、謎は更に深まって……。 消えた図像術の研究者、有名な心霊スポット「切山荘」、四つの絵……点と点が線となり、やがて千景の過去へと繋がっていく。 誘われるように、自らの失った記憶に向き合おうとする千景を透磨は案じ、守ろうと二人の距離は近付いてーー!? 1 心霊スポット 2 消える絵 3 ストリートパフォーマンス 4 過去からの断片 5 四神と怪物 6 魔が集う夜に
横浜山手のホテル・猫番館で働くパン職人の紗良。 ここに勤めて早3か月、今日も“事情"を抱えたお客様がやって来るーー 長逗留して新作執筆中の人気小説家は、パンは食べないと言い出し…「黒猫とデニッシュ」、 ベル・スタッフの小夏が猫番館に就職したのは、スイートルームで過ごした贅沢な時間がきっかけで…「おひとりさまスイートルーム」、 特別ディナーをリクエストしたやり手の女性実業家は、パティシエの誠の元婚約者で…「赤い靴のセレナーデ」、 ウェディングパーティーのケーキセレモニーで、新郎新婦はそのサプライズ演出に…「薔薇園で祝宴を」 ーー噛みしめるのはパンのおいしさだけじゃない。おもてなしいっぱいのハートウォームストーリー第2弾!
あなたの傍にもいるかもしれないモンスタークレーマー。彼らが辿る結末とは…。 お客様にとって最良のパートナーを見つけられるよう、結婚相談所で「仲人」としての仕事を頑張る冴。だが自分のことを客観視できないお客様のなんと多いことか…。もう駄目かもしれない、と冴が追い込まれたある事件の顛末。 (第一話『うさぎと蜘蛛』) ベテランだからこそ悪質なクレームに対応することも多い、コールセンター業務が長い久美子。最近仕事の調子がいい理由には、心当たりがあって…。 (第二話『コールセンター』) 常連客の理不尽な要求に耐え、明らかに業務妨害の迷惑客におびえながらも、夢を諦めきれず深夜コンビニのバイトを続ける佳奈。そんな彼女の仕事場に現れた「しにがみさん」とは…? (第三話『神さま気どりの客はどこかでそっと死んでください』)
“猫の町"谷中にたたずむ“びんづめ専門カフェ"では、今日も英国人店主がとっておきのひと品をご用意しております。 谷中に住む女子大生の紬は、近所で“びんづめ専門カフェ"を営む英国人セドリックと知り合い、彼の義理の息子・武流の家庭教師として店に出入りすることに。 ある日、谷中商店街で「谷中七福猫」として観光客に人気の猫の置物が盗まれた。 同じ頃、武流の飼い猫がいなくなり、紬たちは商店街中を探し回る。 ようやく猫の居場所をつきとめたものの、猫を取り返す代わりに紬たちは「昔、外国人の奥様にごちそうになった甘い麦茶」を再現しなくてはならなくなった。 試行錯誤の末、セドリックが見つけた答えとは…!? 【谷中びんづめカフェ竹善シリーズ既刊・好評発売中】 人見知りでコミュ障の女子大生、紬は、唯一の趣味である手芸のために、日暮里繊維街に近い谷中でひとり暮らしをしている。 実家の母から送られてくる大量の野菜を持てあまし、こっそり捨てようとしたところを、通りすがりの英国人男性にとがめられ、彼の営む“びんづめ専門カフェ"に連行された。 そこで紬は、野菜たちが保存食として生まれ変わるのを見て感動し…!? 人付き合いの不器用な紬、セドリック、武流が織りなす、おいしい下町人情物語。
少女が弓を引く時、世界に新たな光が射す。武装した騎士が隊を組み、互いの兜につけられた命石を砕いて勝敗を競うーー 〈戦争〉にかわり〈戦闘競技会〉が、国々の命運を決するようになり三百年。 周りの少女たちのように剣や斧を使えず、「出来そこない」のニナは、騎士リヒトに弓の才能を見出され、リーリエ国騎士団の団員となった。 個性豊かな騎士団の面々とめまぐるしい日々を過ごす中、ニナは年に一度の祭典・西方地域杯へ参加することになり、そこで怪我の後遺症に苦しみながらも戦い続けようとする女騎士と出会う。 そうして迎えた初戦、リヒトは勝負を捨て、危機に瀕したニナを守る。 騎士として対等になりたいニナは、守られるばかりの自分に悩み…?