2019年12月発売
蔦屋重三郎の法要の膳を出すことになった福田屋善四郎。この日に賭けた善四郎の料理は見事に座の賞賛を呼び、大田南畝、山東京伝ら時代の寵児と知己を得る。やがては料理の道で天下が取れるとの南畝の言葉通り「八百善」の名は高まっていく。文政に入り善四郎が著した『料理通』が大評判となる中、遂に店に将軍の御成を告げる使いがやってくる。
「わたしが実はマゾだったら、どうする?」。高潔なフラワーアーティストの妻・貴子から突然告げられ、SM愛好家・綿貫の家に連れていかれた竜平。「奥さんはこういう風にされたかったんだよね」。貴子の股間にきっちり食い込む真っ赤な二本のロープ。目の前で繰り広げられる妻の痴態に、竜平は怒り狂いながらも勃起していたー。圧倒的SM官能。
テニス同好会に所属する女子大生の吾妻さと子は、夏合宿のための宿探しをしていた。毎年使っていたホテルは他の予約で埋まってしまい、かつてはよく使っていた矢車荘を訪れる。霊感のあるさと子は到着した途端、嫌な気配を感じるが、その原因とは…。表題作「幽霊はテニスがお好き」など、赤川ミステリーの魅力が詰まった全六編を収録。
讃岐綾歌藩の若君・桃太郎、実は男として育てられた姫君である。町娘・桃香に変装し、深川で知人の婚礼に参列中、花婿が火付盗賊改方に捕縛された。厳しい拷問を受けているという。親しい岡っ引きと家臣の調べによると、将軍暗殺を企てる不穏な動きと関わりがあるらしい。陰謀を未然に防ぐべく、桃太郎君は“部屋子”の姿で単身大奥へ潜入するが…。
河童に関する逸話をもつ浅草・曹源寺裏手で診療所兼手習塾を営む美貌の町医者・斎藤涼水。「かっぱ先生」と呼ばれ、貧しい患者、孤児・片親など複雑な境遇の子供達に尽くしている。身寄りを喪くした十七歳の文月は図らずも、浪人・花房右近親子と住み込みで働くことに。塾で起こる不可思議な出来事、子供達や飼い猫との交流を通じ、文月の心はじんわりほぐされていき…。
飛騨の代官の息子・小野鉄太郎(後の山岡鉄舟)は父の死を機に、弟らとともに江戸に向うが、他家に養子になるための持参金三千両を狙った賊に襲撃を受ける。江戸では旧知の勝麟太郎(後の勝海舟)、山岡謙三郎(後の高橋泥舟)と再会、剣や槍の修行に励むが、謎の集団「コクトウグミ」と死闘を繰り広げることに。幕末三舟の若き日を描く時代活劇!
街角に突如現れる「櫃洗市一般苦情係」の職員、通称・腕貫探偵。その日彼のもとにやって来たのは一週間ほど前に亡くなったという女性の霊。彼女はベストセラー作家・越沼霞巳と名乗るが、その作家は50年前に亡くなっているはずだ。ならば50年前に死んだのは、いったい誰だったのかー?大人気・腕貫探偵シリーズ最新刊、待望の文庫化。
小さな宅配便会社に勤める独身中年・吉岡大吉は、配属変更で運転免許が必要になり、合宿免許へ行くことに。渋々出かけた大吉だったが、自動車学校では色白でおっとりした未亡人、クールビューティな美人教官、涙をぬぐう黒髪の人妻と出会う。教習車でのセクシーレッスン、真夜中の特別補習を経て、大吉は合格できるのか!?「ほっこり官能」の決定版!
すべての欲望は、京都の秘密の館で花開くー市長選挙間近の京都。美人ジャーナリスト・東院純子は、保守派のスキャンダルを探るため怪僧・秀建に接近するが、政財界の大物が集う秘密の館で身も心も裸にされてしまう。快楽、復讐、裏切り、支配ー人間のあらゆる欲と業を巻き込みながら、選挙戦は大波乱の結末に!読み出したら止められない“魔物”のような痛快エンターテインメント!
修道院から元夫が行方をくらましたことが判明した。もしかしたらアガサと離婚した理由も嘘だったのかも?すっかり男性というものに失望したアガサは、村に若い副牧師が赴任してきたというのに珍しく無関心でいた。いっぽうで天使のようなイケメンの副牧師を村の女性たちが放っておくわけがなく、日曜の教会は超満員に。そんな副牧師からじきじきにディナーへ招かれたアガサはすっかり自尊心をくすぐられ、いつもの調子を取り戻した。しかしお酒が進むにつれて、聖職者らしからぬ彼の腹黒さが見え隠れするように。そして翌朝、牧師館の書斎で彼が遺体となって発見され…!?
英国でただひとりの女性医師であるガレット・ギブソンは、下町の救貧院での診察の帰り道、たちの悪い男たちに付け狙われる。そのときスコットランド・ヤードの元刑事で現在は内務省の諜報員イーサン・ランサムが現れ、彼女を助けた。2年前に彼女がレディ・ヘレンと共に治安の悪い地区を訪れたときと同じように。ガレットの危機を察したように現れるランサムだが、なぜか彼女と深く関わろうとはしない。振舞いは謎めいていて、アイルランドの過激な民族主義勢力が起こしたとされる爆破事件に関わりがあるという噂もあった。真実を知りたいと願うガレットだが…。ヒストリカル・ロマンスの女王リサ・クレイパスの筆致がますます冴え渡る“レイヴネル家”シリーズ最新刊。
小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉ー。弓子が幼いころ、初めて活版印刷に触れた思い出。祖父が三日月堂を閉めるときの話…。本編で描かれなかった、三日月堂の「過去」が詰まった番外編。
アイドルグループ「marshmallow15」に奇妙な脅迫状が届いた。警護を引き受けたのは、メンバー・知織の父親で、警備会社を営む万屋大悟。愛する娘に近づく有象無象(と謎)を蹴散らすべく、職権を乱用しまくって犯人を追うが、脅迫状に隠されていた驚きの真相とはー!?
自分を呼ぶのに「私」も「あたし」もしっくりこない妙子が出会ったのは、一人称からフリーな夏実(「小桜妙子をどう呼べばいい」)。ほか、恋愛、友情、くされ縁…名前をつけるのは難しい、でもとても大切な、女同士の関係を描く23篇。読後に世界の景色が変わる1冊。
織田信正、通称帯刀。織田信長の庶子とされ、ごくわずかな史料にのみ名を残す彼は、一般的にはその存在を認められていない、“幻の長男”である。帯刀は、その知力と、母から与えられる謎の知識で、織田家の勢力拡大を後押しし、信長の上洛を“一年早めた”。そして朝倉家、仏教勢力との戦端が相次いで開かれる。彼は織田家に待ち受ける運命を変えられるのかー?
王都への冒険者大規模派遣のおかげでやや手薄なこのタイミングに、またもやスタンピードが発生!溢れ出したスライムの大群を自慢の障壁魔法で撃退するシャーロットだったが、その数がやけに多く…?一方、近隣の村から運び込まれた大量の魔物の山を前に、目を輝かせるのは解体担当のタチアナ。しかしその中に、大型で獰猛な魔物が潜んでいた!アーリズの町の冒険者ギルドで働くチートな受付嬢と、その仲間たちを描く物語、待望の第2弾!!
世界中に「迷宮」が出現し、魔物が人々を襲うようになった世界。魔物に対抗する「冒険者」に憧れた鏑木健吾は冒険者学園に入学するも、才能がなく、いわゆる落ちこぼれとなっていた。そんなある日、魔物の大量発生が起こり、健吾も避難誘導を行っていると、その最中に一人の美少女・実紅と出会う。彼女を守るために格上の魔物に立ち向かうものの、逆に魔法を使った実紅に救われる健吾。さらには振り返った実紅の笑顔に一目惚れした健吾は、あらゆる過程を吹っ飛ばしてプロポーズしてしまう。しかし、返答の代わりに実紅が語ったのは、彼女が背負う過酷な現実だった。その瞬間、健吾は新たな戦いを決意する!