2019年12月発売
小さな神社を抜けるとそこは大豪邸でしたー。ある雨の日、とある事情から家出をした女子高生・ルリを助けたのは、おんぼろ社の神様だった。おんぼろだと思っていた神社は、実は大豪邸に繋がっていて…。気づけばそのまま居候することになったルリの新たな同居人は、神様に、鳥に、梅に、鞠に、鯉?!頼りになるけどシャイでオトメンな神様と現代っ子な女子高生・ルリ、…と愉快な仲間たちが織りなすドタバタラブコメディ!
西洋列強に敗戦し、風前の灯となった崑崙国。皇帝の“不吉”な双子の妹である麗月は、ひょんなきっかけから敵国であるプロージャ帝国の大公・フリートヘルムと協力することに。料理の腕を買われた麗月は、伝説の“厨娘”として祖国の命運を賭けた食卓外交を繰り広げることになるのだったー。美形だけど嫌味なフリートヘルムとともに、麗月は祖国を救えるのか。市井育ちの公主が挑む前代未聞の美食外交、ここに開幕!
敗戦後、戦地から復員した画家・平泉貫一は、出征前と同じ人物なのか。似ても似つかぬ姿で帰ってきたものの、時をおかずして男は失踪してしまう。兵役中に嫁いだ妻、調査の依頼主、妾、画廊主、軍部の関係者たちー何人もの証言からあぶり出される真偽のねじれ。調査を依頼された私がたどり着いたのは、貫一が贋作を得意としていたという事実だった。
経産省キャリア官僚殺害事件の容疑者が冤罪を主張、その弁護人は特命係と因縁のあるあの女性弁護士だった。絡み合う事件の謎を解きほぐしてゆく「99%の女」、歪んだ正義感を持つ因縁の元相棒がロンドンで再び動き出す「倫敦からの刺客」、ある殺人事件のからくりを知った少年の思いに共鳴した“花の里”女将、幸子の覚悟と決断を描く「漂流少年」など6篇を収録。(連続ドラマ第17シーズンの第14話〜第20話を収録)
「俺の邪魔立てをする者は、何人たりとも容赦せぬ!」己が理想の国を目指し、天下布武に邁進する信長は、歯向かう者をことごとく葬り去っていく。その苛烈極まる戦いの中、光秀は信長に抗する自らの内なる声を聞く。その甘い響きは、やがて彼自身を蝕みはじめ…。
「信長様の酷薄、それほどであったか」四国を牛耳る長曾我部元親討伐の先手を待ち望む光秀だが、信長から下されたのは秀吉の後詰めに加え、丹波と坂本の領地替えだった。屈辱に震える中、信長が滞在する本能寺の守備が手薄だと知ったことで、揺らぐ気持ちは決意に変わる!
林ちひろは、中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく…。野間文芸新人賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされた著者の代表作。
深川で鍼灸師を営む染谷。「医は仁術」と心得て、朋友の漢方医・昭年とともに市井の人々を癒す。元辰巳芸者で気風のいい内儀の太郎にも支えられ、人助けに世直しにと奔走する日々を人情味あふれる筆致で綴る。現代の疲れた心にもじんわり効く長篇時代小説『たすけ鍼』待望の続編。
古都サンドミエシュのシナゴーグで見つかった女性の遺体。咽喉元を幾重にも切り裂かれ、体中の血を抜かれて不自然なほど真っ白になった議員の妻の無残な姿に、町の人々は「儀式殺人」だと騒然とする。独り身となり首都から赴任してきた傷心の検察官シャツキは、久しぶりの大きな事件に腕を鳴らすが、やがて第二の遺体が…。“欧州一ボヤく男”こと中年検察官シャツキが、凄惨で不気味な殺人事件の謎を追う!第三作『怒り』、第一作『もつれ』で日本のミステリーファンを驚かせた「ポーランドのルメートル」による怪作シリーズ、衝撃の第二作。
フルダ・ヘルマンスドッティル、六十四歳。女性警部として実直に職務に励むも“ガラスの天井”に出世を阻まれ、数カ月後に定年が迫っていた。ある朝、年下の上司から二週間後に後輩に席を明け渡すよう急に指示される。最後に未解決事件を担当させるよう進言したフルダは、ロシア人女性不審死事件の単独捜査を始めた。当初は難民申請が通らず自殺したとされていた彼女だったが、やがて売春組織の関与が見え始める。真実に迫るフルダを待ち受けていたのは、あまりにも悲劇的な運命だった。アイスランド・ミステリの気鋭、待望の新シリーズ。
女大家おはんの法華長屋に三人の若者が越してきた。男前の才蔵、浅黒い与市、下がり目の小六、室町一丁目の呉服商京屋専属の仕立屋だ。実はこの三人、大奥年寄今和泉と御目付神保中務が世情の安寧を願って江戸に放ったお広敷伊賀者。そして、京屋を買い取った旦那の又兵衛はお広敷番頭で、女人に目がないが、酸いも甘いも噛み分けた直心影流の達人だ。その京屋に、妙な男が紛れ込む。前の京屋の五番番頭で三木助というのだが、これがとんでもない男で…。江戸の長屋は恋あり、剣あり、笑いあり!これぞ著者最高の書き下ろし“大笑い時代小説”新シリーズ第1弾。
次男・重二郎を溺愛するあまり、なりふり構わぬ振舞いに出る実母・桜香院に腹心の江戸家老・黒岩監物が目を剥いた。北山藩の財政は、伊豆国諏久宇の飛び地に産する良質の天草から作る寒天収入に支えられていた。桜香院が跡目相続の御沙汰を得んと、幕府に飛び地返上を申し出たというのだ。城下の寒天問屋から多額の賄賂を手にしていた監物が黙って見ているわけがない。母の命が危うい。これまでの確執、母子の恩讐を越えて嫡男一郎太が立ち上がった。だが、それは北山藩を揺るがす大騒動の序章にすぎなかった。大好評「鬼一シリーズ」第5弾。
新米獣医師のコハルは、この春に大学の獣医学部を卒業したばかり。ところが田舎の祖父が営む診療所で働こうとした矢先、その頼りの祖父がまさかの急逝。悲しむ暇もなくたったひとりで診療所を再開することになったコハルのもとに、深夜、血まみれの急患がやってくる。それは人語を操る黒犬で、自分のことを「蒼灯」と名乗るのだった。翌朝、台所には当然のような顔で食事を作る青年・蒼灯の姿が。どうやらコハルの祖父は、妖怪の間では有名な存在だったらしい。それからというもの診療所には、一般の患畜にまじって彼ら人外の者たちがぞくぞく訪れて…?
あかねが就活に苦戦する中、夢科学研究所に「夢が売られている」という情報が。ネットフリマで『夢売り』なる人物が夢を販売しているようだ。興味を惹かれたフロイト教授は、実際に夢を買ってみようと提案。身分を隠してあかねが吉夢、フロイトが凶夢を購入するが、届いたのは予想を裏切る恐ろしいものだった。ネット上から忽然と姿を消す『夢売り』、夢に呑み込まれるあかね。一方、『人殺しの夢』を買った人物は、生々しい殺人の快楽に溺れていた。『夢売り』とは何者なのか?その意図は何なのか?フロイト教授の分析が冴えわたる、人気ミステリー第三弾!
突然、妖しい術を遣う美少年が江戸に現れた。彼は宗門改方からキリシタンを救うと、天草四郎の生まれ変わりを名乗ったという。時を同じくして、伊達政宗の命でローマ法王庁に派遣された支倉常長の孫・常信が、軍学者・沢村翔馬の塾に入門する。一方、公家の姫・由布の許には、父・飛鳥小路大納言からの文が届く。江戸に下向するので会いたいらしい。翔馬と由布の周りが騒がしくなる中、仙台藩を改易に追い込もうと、老中・松平信綱と腹臣・朽木誠一郎は、政宗直筆の「倒幕の密書」を手にすべく、陰謀を巡らせる。姫の守り人が正義の刃を揮う、シリーズ第二弾!
北海道釧路市の千代ノ浦海岸で男性の他殺死体が発見された。被害者は札幌市の元タクシー乗務員滝川信夫、八十歳。北海道警釧路方面本部刑事第一課の大門真由は、滝川の自宅で北原白秋の詩集『白金之獨樂』を発見する。滝川は、青森市出身。生涯独身で身寄りもなかった。「二人デ居タレドマダ淋シ、一人ニナツタラナホ淋シ、シンジツ二人ハ遣瀬ナシ、シンジツ一人ハ堪ヘガタシ」。捜査の道筋で真由は『白金之獨樂』収録の詩「他ト我」と、被害者の心境を重ね合わせるようになる。滝川が人生の最後に、恋心と悔いを加速させ縋ろうとした縁ー。
山奥のホテル『奥多摩荘』で、国会議員の七十歳の誕生日を祝い、後継者となる息子をお披露目するパーティが開かれる。招待された麗子は、執事の影山と会場に赴いた。賑やかな宴の最中、男性客が飲み物に毒を盛られて死亡する事件が発生。さらに長雨による土砂崩れで奥多摩荘に通じる山道は通行不能となり、客は会場に閉じ込められる。警視庁に栄転した風祭警部の登場で、元上司とまさかの再会を果たした麗子は、真相を究明すべく事件に挑むが!?著者が自選した傑作3編と、新章へとつながる書き下ろし新作『殺意のお飲み物をどうぞ』を収録した豪華ベスト版。
明治の後期に、沖縄の士族の家に生まれたツタ。父を早くに亡くし暮らしは貧しかったが、千紗子という新しい名前で身の裡を言葉に表すという、自分を解放する術を得る。教員生活、異国での結婚、愛する我が子との別れ、思いがけない恋愛…。さまざまな経験を経たツタは、やがて「作家として立つ」と誓った。昭和七年、婦人雑誌に投稿した短編小説が評価され掲載されるが、同郷の人々からの思わぬ激しい抗議に遭いー。沖縄史、女性史の片隅に眠る「幻の女流作家」の生涯に、直木賞作家が光を当てる傑作。
ロードバイクの世界へようこそ。日夏竜二は、大学進学のため上京した。通学に使うママチャリを買いに行った深大寺サイクルで、たまたま居合わせた客達に囲まれ、ロードバイクを試乗。ついには購入してしまった。そんなおせっかいなおじさんと練習を続け、初出場した草レースで入賞した竜二は、ロードレースの楽しさに目覚めていく。同い年で、自分よりも走れる御園圭と出会い、実業団レースに臨むことを決意する。日本初の自転車山岳レース小説『ヒルクライマー』著者による、初の本格ロードレース小説。