2019年3月29日発売
激動の昭和で、常に権力の中枢にいた稀代の政治家・岸信介が目指したものとは? これからの日本を語り合うための、歴史ドキュメント小説! 昭和8年(1933)。商工省・臨時産業合理局事務官の岸信介は、組織の枠を超えて活躍していた。 人当たりがよく、話もうまい。上司にも女にも気に入られる岸は、末は次官や大臣にもなるのではないか、と目されていた。 国家運営の根幹は経済であり、列強と対峙していくには武力ではなく経済力が必要だと説く岸は、関東軍が支配する満洲に乗り込み産業発展に邁進、日産コンツェルンの満洲移転という奇手の実現を図る。 が、戦争は泥沼化してゆきーー。 きな臭い時代にこそ、文官の役割は重大だ。 マルス(武の神)ではなく、ミネルヴァ(文の神)こそが先頭に立たねばならない。 上巻目次 第一章 男の嫉妬 第二章 真っ白なカンヴァス 第三章 渡満 第四章 大事には金がかかる 第五章 矛盾の大陸 第六章 官僚から政治家へ 第七章 政変、また政変 第八章 情け無用の闘い 第九章 リターン・マッチ 第十章 フラッシュとモーニング 第十一章 最後通牒 第十二章 戦争指導 第十三章 喧嘩師の血 第十四章 巣鴨プリズン
巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。店主の徳兵衛は、三十三年の働きに終止符を打ち、還暦を機に隠居生活に入った。人生を双六にたとえれば、隠居は「上がり」のようなもの。だがそのはずが、孫の千代太が隠居家を訪れたことで、予想外に忙しい日々が始まった!千代太が連れてくる数々の「厄介事」に、徳兵衛はてんてこまいの日々を送るが、思いのほか充実している自分を発見する…。果たして「第二の双六」の上がりとは?
巣鴨プリズンから生還し、政界に蘇った男の激闘ーー。 いまに連なる「昭和」に、何が起きたのか? 真の独立国家再建を目指した政治家・岸を通じて描く、渾身の歴史小説! A級戦犯容疑で投獄されたものの、不起訴処分で巣鴨プリズンから釈放された岸信介。 大国のエゴとエゴがぶつかり合う戦後世界において、岸は文人政治家として、日米安全保障条約の改定や、自主憲法の制定、二大政党制の実現を目指して動き出す。 だがそこには、途方もない困難が立ちはだかる。 アメリカの野望。マスメディアの批判。自宅まで押し寄せるデモ隊。党内外の争い。そして弟・佐藤栄作のもとで勢力を伸ばす田中角栄ーー。 昭和六十二年、満九十歳でこの世を去るまで政治の表裏に関わり、「昭和の妖怪」と呼ばれた男の波乱の生涯! 下巻 目次 第十五章 幽囚の日々 第十六章 鮪は巣鴨にかぎる 第十七章 主権回復 第十八章 大いなる挫折 第十九章 嘘も方便 第二十章 鳩山内閣誕生 第二十一章 両岸と呼ばれて 第二十二章 乃公出でずんば 第二十三章 宰相の座 第二十四章 躓き 第二十五章 昨日の敵 第二十六章 五月十九日 第二十七章 退陣 第二十八章 車夫馬丁の類 第二十九章 昭和の妖怪
ブラック企業を辞め、引きこもっていた青年・大倉多聞が借金のかたに見合いをさせられた相手は忍者だった!忍者一家・藤林家の面々に押し切られ、人助けの何でも屋「忍ビジネス」をはじめることに。許婚の女子高生・杏子の友達や、「立川デブ四天王」の一人・俊さんなど、町の人たちの悩みを解決していくなかで不思議と成長していく多聞。ある日、辞めた会社で、今でも元同僚が耐えていることを知った多聞は以前なら想像もできなかった行動に出る…。
徳川吉宗の時代ー。幕府に勤める旗本、井戸平左衛門は引退を控え、隠居生活を楽しみにしていた。隠居後の楽しみは諸国を回り、甘味を満喫すること。だが、隠居届けを出そうとしたその日、あろうことか町奉行の大岡忠相から異動を命じられることにー飢饉と悪政に喘ぐ、石見銀山の地に行って欲しいというのだ。自らの能力を誉められ、心が揺れる平左衛門。さらに、将軍が食するという“嘉祥菓子”を褒美にちらつかされたのが、とどめとなり、快諾してしまう。だが、江戸から四十二日の旅の果てにたどり着いた石見の土地は、想像を絶する悲惨な状況だったー。
ティンカー・ベルは、ネバーランドのピクシー・ホロウで暮らす、金もの修理の妖精。ある日、ティンクは修理用のだいじなハンマーをなくしてしまいました。ピーター・パンのところに、予備のハンマーを置きわすれているのですが、ウェンディの一件以来、ふたりは仲直りできていません。ハンマーがなければ、修理もうまくいかず、「ティンクは、才能をなくしてしまった。」とうわさされるように…。
ティンカー・ベルは、ネバーランドのピクシー・ホロウで暮らす、金もの修理の妖精。あるとき、フック船長の大砲が、ピクシー・ホロウめがけて飛んできて、ティンクの部屋を直撃し、ホーム・ツリーの中庭に着地しました。大砲の玉をなんとかしてかたづけたいのですが、さすがのティンクも、どうやって動かせばいいのか、ぴったりのアイディアがうかびません…。
絶対に残業しない主義の結衣だったが、とうとう管理職になってしまう。新人教育を任されたものの、個性的過ぎる若者たちに翻弄される毎日。そんな折、チームが参加することになったのは、差別的なCMが炎上中の企業のコンペだった。パワハラ、セクハラのはびこる前時代的な社風に、結衣は絶句するがー。定時の女王はホワイトな職場を守れるのか?
小説家としてデビューしたものの著書は一冊だけ、しかも絶版。そんな私が関西の巨大私立大学で創作を教えることになった。小説家としての先行きへの不安や夫との対立、動機も目的もさまざまな学生たち…執筆はますます行き詰まり、教え子たちも隘路へとはまり込んでいく。教師としての自身の経験を元に、小説と格闘する人々を描いた表題作の他、女性と世界との葛藤を浮き彫りにする作品集。
プラハの貧しいラビの家からサーカス団に飛び込み、ナチス政権下を生き抜いた老マジシャンと、ロサンジェルスの裕福なユダヤ人家庭に育ち、両親の離別に悩む少年。壊れた愛を魔法で取りもどしたいー夢見がちな少年の願いは、拗ね者のマジシャンの心をついに動かし、一族の命運を変えた戦時下の「奇跡」をも呼び覚ます。持ち込み原稿を断わられ続けること10年、スイスの名門ディオゲネス社から刊行されるや、たちまちベストセラーとなり、17ヵ国語に翻訳された話題のデビュー長篇。
その惑星では、かつて人間を滅ぼした異形の殺戮生物たちが、縄張りのような国を築いて暮らしていた。罪を犯して祖国を追われたマガンダラは、放浪の末に辿り着いた土地で、滅んだはずの“人間”たちによる壮大かつ恐ろしい企みを知る。それは惑星の運命を揺るがしかねないものだった。危機に立ち向かうため、マガンダラは異種族の道連れとともに、戻ったら即処刑と言い渡されている祖国への潜入を試みるー“異形の天才”待望の初長編。
ある雪の日の夕方、借金を苦にして自殺した両親の墓参りに向かうため、ハンク・ミッチェルは兄とその友人とともに町はずれの道を車で走っていた。途中ひょんなことから、彼らは小型飛行機の残骸とパイロットの死体に出くわす。そこには、440万ドルの現金が詰まった袋が隠されていた。何も危険がなく誰にも害が及ばないことを自らに納得させ、三人はその金を保管し、いずれ自分たちで分けるためのごくシンプルな計画をたてた。だがその時から、ハンクの悪夢ははじまっていたのだった。スティーヴン・キング絶賛の天性のストーリー・テラー、衝撃のデビュー作。