2019年5月発売
一九二〇年創刊の「新青年」は、江戸川乱歩をはじめ数多くの作家を輩出した名雑誌であり、初代編集長の森下雨村は日本の探偵小説の生みの親と称される。その雨村が作家として見出した小酒井不木も専門の医学研究に材をとった、すぐれた評論や小説を著し、現代ミステリーの源流となった。この両者の“遺産”ともいえる傑作長短編を収録した読み応え充分の一冊!
やっとのことで就職した「あやかしクリニック」は、亜月の守護霊・毘沙門天を目当てに訪れる患者も増えてきた。しかし、些細なことから刑事に怪しまれ、その目は薬剤師の西尾さんやあやかしたちの保育園にも向かってしまう。そんな折、始祖の妊婦さんの救急搬送から、江戸川町をも巻き込んだ都市型百鬼夜行が始まった!ついに毘沙門天・亜月の本領が発揮される!?
「はなまる造園」の仕事に慣れ始めた咲和。優しい朝倉の存在も大きくなる中、朝倉の友人・桑原を紹介される。やたらと距離の近い桑原に、警戒心を抱く咲和だったがー。またある日、咲和は、はなまる造園にかかってきたとある電話をすぐに切ってしまう。電話の相手は「斉藤」と名のる男性の声でー!?いみず野に、ちょっとしたざわめきが巻き起こる第二巻。
闇御庭番・菅沼外記は新潟湊を訪れ、薩摩藩の御納戸役が、豪商の北国屋へ一つの壺を手渡すのを目撃する。それは一国を滅ぼしかねない危険な「抜け荷」だった。その流通を阻止しようとする外記の前に、次々現れる敵。一方江戸では、老中・水野忠邦の進める強引な奢侈取締まりが、悲しい殺しを引き起こすー。手に汗握る騙し合いと悪党退治。痛快なシリーズ第三弾。
江戸で火事が多発した折、牢屋奉行に、その下手人を突き止められるとある男が申し出た。臨時廻り同心の山本市兵衛は、南町奉行、筒井の内与力、坂崎忠右衛門から、その男について廻って探索を行うよう命じられるのだがー。(表題作「赤猫」)珍しく窮地に追い込まれる市兵衛を罠や敵が待つ人気シリーズ第三弾。いつにもました迫力の剣戟と涙腺刺激の作品も入った傑作。
公儀武芸帖編纂所頭取の新宮鷹之介は支配役の若年寄・京極周防守に呼び出される。提案されたのは、なんと水術。数多の武芸に通暁する鷹之介も、この水術だけは…。とはいえ、調べを進めた鷹之介だったが、その前に暗雲が立ち込める。そして、新たに下された命とはー。人気急上昇のシリーズ、爽やかさ抜群の第四弾。
特急スーパー北斗で札幌に通う関口透は、車内で出会った鎌谷理佐子に興味をいだき、彼女を尾行した。その後、理佐子は行方不明になった。上京した関口は、浅草のお祭りで理佐子にそっくりの料亭“まつだいら”の娘、松平かえでにめぐりあった。しかし、松平かえでは毒殺され、十津川警部が捜査に乗り出したが、事件の背景には松平家にまつわる黒い野望が渦巻いている事を掴むが…!?
動物たちのささやきが、あなたには聴こえますか? 待望の新ヒロインが活躍する、〈イヴ・ダンカン〉関連作! わたしが動物の言葉を理解できることは、誰にも言ってはいけない。幼いマー ガレットは、父から絶え間なく虐げられ、その真実を知った。以来、家を飛び 出し、森の獣たちに見守られ成長した彼女だったが、悲劇は再び起きた。18歳 のとき、秘密が漏れ、彼女の力に目をつけたマフィアに拉致されたのだ。地獄 の日々から逃れて3年、平穏を手に入れたマーガレットの前に、謎の男ラシター が現れる。同じマフィアに囚われた恩人を助けるため、協力してほしいという。 冷徹で強引なやり口の一方、彼の官能的な瞳には抗いがたい魅力も宿り……。
イザベラがニューヨークを訪れたのには理由があった。それは、少女の頃からずっと好きだったセロンのそばにいるため。セロンはイザベラより10歳も年上の、ギリシア富豪一族次男。旧友だった互いの父親がともに亡きいま、イザベラにとってはいわば後見人の立場にある。もう昔みたいに子供扱いはされたくない…久しぶりの再会を前に、イザベラはわざと大人っぽい服を選び、成長した自分の姿にセロンがうろたえるのを見て満足した。だがその矢先、ある悲しい話を耳にするーセロンがもうすぐ、どこかの令嬢と婚約するという話を。
天涯孤独のクリスティは亡き養父母の思い出をたどるため、 二人がハネムーンを過ごしたパリの高級ホテルを訪れた。 自分が他の客に比べて見劣りする服装をしているのは確かだが、 それにしても従業員たちが彼女を見てうろたえる様子は不可解だ。 見回すと、貴族のような品と男らしさが漂う男性に目が留まる。 気づけば、まるで彼を知っているかのように強烈に惹きつけられ、 そばの女性に嫉妬すら覚える不思議な感覚にとらわれていた。 すると突然、彼が振り返って怒りも露わにクリスティを凝視した。 初めて会う人なのに、いったいなぜ私をそんな目で見るの?
最強&最嬌の父娘、楽しい冒険の日々を満喫 「ラビはどこだと聞いている!」 ダグラス不在のおり、ラビが攫われてしまう!! 犯人はかつての仲間だった勇者パーティの賢者? 「もう以前の俺ではない。娘のためなら、どんなことだってできる」 怒り心頭のダグラス、ついに本気で戦う時が!? そして賢者の思惑は? その他にも、ラビが魔法能力に覚醒したり、かわら版へ抗議に行ったり、 獣人の女性大工と家を建てたり、エルフの里に買い付けに行ったり、 ラビが林間学校に参加したり、ダグラスが騎士団長に任命されたりと、 仲良し父娘の日常は、騒がしくも楽しいイベントが盛りだくさん!! 「私、ずっとお父さんの傍にいられるよね……?」
金融会社社長が政界へ流す裏金11億円を、社長運転手の根津謙治が周到な計画の末、強奪する。事件への関与を疑われた謙治だが、アリバイ工作が奏功、逮捕に至らず、実業家として成功を収める。時効直前、かつての謙治の暴挙が綻びとして不穏な影を落とす。昭和の時代と風俗を克明に描く「戦後ノワール」巨編!
仙台藩下級藩士の婿養子だった玉虫左太夫は、学問を究めるため江戸に出奔した。昌平坂学問所の林復斎に認められ、仙台藩江戸藩邸の儒学者・大槻磐渓に邂逅する。世は、黒船騒動から安政の大獄の時代。蘭学を学ぼうとした左太夫は、日米修好通商条約のために渡米する外国奉行・新見豊前守の従者となる機会をつかむ。安政七年、咸臨丸の勝海舟を追うように、左太夫の乗った船は品川沖を旅立った。左太夫にアメリカはどう映ったのか?
アメリカの先進性と植民地の悲惨さを目に焼きつけて、世界周航から帰国した玉虫左太夫は、仙台藩士に戻り、西国の動向を探る。坂本龍馬、勝海舟、松平春嶽、久坂玄瑞らと会う。政変は続き、薩摩と会津が手を結んだかと思えば、薩摩は朝敵だった長州と組み直し、倒幕へと突き進んでいく。新政府軍優勢の中、佐幕派の多い奥州をひとつにまとめ、一気に近代化を進めようと玉虫左太夫は孤軍奮戦するのだが!? もうひとつの幕末維新史!
トラムに乗り合わせた“探偵”と殺人者。Gシリーズ転換点となる決定的一作。後期三部作、開幕!! 香港のトラムで起きた密室殺人と、果てしなく広がるバーチャル空間での光速の追跡劇。 天才を追い、天才に追い詰められる。 「そう。ここが私の世界だ」 香港で仕事をする島田文子のもとに男が現れた。島田が真賀田研究所にいた頃に起きた飛行機事故について質問があるという。その日、走るトラムの中で殺人が起き、死者の手に「χ」の文字が遺される。乗客として警察の捜査に応じた島田だったが、そこである交換条件を持ちかけられ……。Gシリーズ後期三部作開幕!
八年ぶりに現れた悪友は言ったーー。 「一億円、欲しくないか?」 桜宮市で実家の鉄工所に勤める平沼平介のもとに旧友の久光穣治が現れ、バブル期に桜宮水族館に設置された「黄金地球儀」を強奪しようという。ちょうどそのころ、市の管財課は黄金地球儀の警備システムの一部を平沼鉄工所に委託しようとしていたが、そこにはある企みがあった。市役所VS. 町工場、痛快コンゲーム!
刊行たちまち、出版界が騒然! 累計80万部突破!! ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 「週刊文春」ミステリーベスト10 2016年 国内部門第1位 第7回 山田風太郎賞受賞作 第14回 本屋大賞 第3位 第44回日本アカデミー賞12冠 映画原作 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 昭和最大の未解決事件の〈真相〉に挑む。 「これは、自分の声だ」 京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それはかつて、日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始めーー。 圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。
「最近仕事がうまくいかなくなってきた」「婚約者が自分の家族の話を避けている」「彼との婚前旅行のはずが一人旅になった」「結婚十五年。妻に別の男ができた」切実で誰にも起こりうる人生の重大事。あの一日の出会いが悩みや哀しみを軽やかなものにしてくれる。前を向いて生きていきたくなる心の栄養六編。
騙して、化けて、また、騙す。戦国の「化け札」=ジョーカー、真田昌幸。武田家滅亡後、織田、北条、上杉という大大名に囲まれながら、策謀をめぐらし、裏切りを繰り返して、天下をうかがう。昌幸の前に立ちはだかるのは、名将徳川家康と大軍勢。あまりに巨大な敵に、どう立ち向かうのか。生き残ることはできるのか。『誉れの赤』で新風を吹き込み、『決戦!関ヶ原』で名を上げた作者が、戦国随一の策士を描く書き下ろし長編。 外道、大いに結構。 俺は、天下を動かす札になる! 「表裏比興の者」--秀吉が評し、家康が最も畏れた男 武田家滅亡時、真田家は周囲に攻め込まれたら一瞬で消し飛ぶ運命であった。昌幸は、主家武田を見限り、北条に降ると見せかけて、織田信長につく。信長が横死すると、旧領回復を画策し、弟を人質に上杉景勝に従属するが、わずかひと月で北条に鞍替えするーー。戦乱を変幻自在に立ち回り、世を化かす昌幸の前に立ちはだかるのは、名将徳川家康と大軍勢、あまりにも巨大な敵に、どう立ち向かうのか。そして生き残ることはできるのかーー。 「やはり、この片田舎は天下に通じている!」 『誉れの赤』『決戦!関ヶ原』歴史小説界の切り札が、戦国の「化け札=ジョーカー」真田昌幸を描いた渾身の書き下ろし長編。