2019年6月11日発売
江戸期戯作への耽溺と,新しい西洋小説への志向とで,明治前半期の文学状況を体現し,華々しくも旺盛な執筆活動によって文壇に一時代を築いた紅葉.「二人比丘尼色懺悔」「恋山賤」「心の闇」ほか,全六編を収録.
亀戸村の名主一家が惨殺された。囚獄・石出帯刀の密命を帯びて、獄を放たれた佐久間音次郎は悪党たちを探索する。ようやく油船・三國丸の船上に賊を追い詰めたが、そこに現れたのは、若侍浜西晋一郎だった。晋一郎は音次郎が妻子殺しの下手人と誤って刃にかけた元同僚のひとり息子だ。彼はわずかな手がかりをよすがに、父の敵を辛抱強く追ってきたのだった…。傑作時代剣戟第四弾!
倉敷市の山林で音楽教師・夏井康子の死体が発見された。遺書があったものの、手にしたフルートの持ち方が左右逆だったのだ!?五日後、康子の婚約者・戸川健介の溺死体が吉井川に浮かぶ。警察は後追い心中と断定するが、演奏会で津山市を訪れたヴァイオリニストの本沢千恵子は事件に不審を覚え、旧知の浅見光彦に相談する。恐ろしくも悲しい事件の序曲だった…。長篇旅情ミステリー。
日々増加し進化する犯罪。その凶悪化、複雑化に対応するべく、ある警察幹部から元公安の橋本に密命が下った。超法規的措置も辞さない特殊部隊を組織せよと。正義感ゆえに暴走し、窓際になっていた彼の元に集まったのは、元ハッカー、元死刑囚、元国税庁職員とそれぞれの分野に秀でているが、ひと癖もふた癖もあるヤツらばかり。危険でスリリングな痛快アクション・エンタテインメント!
農業高校を出たけれど、大沼村から飛び出て、東京で暮らすも挫折し、戻ってきた和也。彼はバイト先で知り合った農薬を使わない有機農業を始めたばかりの春菜を手伝うことになった。村では農業生産法人の部長で、東京から来た理保子が新しい農業を実行しようとしているが、従来の農作業が主流の村では反発する人も多く、ゆきづまりを感じていた。近代農業と有機農業、共存共栄への道とは?
売られた喧嘩は買わずにいられない静香。超面倒な性格で人を寄せ付けない彼女が結婚!?戸惑いながらも招待客たちは船上結婚式に参加した。幼なじみ、美容師、結婚相談所職員、警察官、花嫁衣装フェチー。新郎新婦の友人席についた彼らはそれぞれ複雑な想いを抱いていた。式が進行するにつれ、静香の「計画」が明らかに?予測不可能なウエディングミステリー。
仕事がしたい。なのに、あの男は“私の家”に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する…。苛立ちが募る女性作家のもとに、家事を手伝いたいと熱望する奇妙なファンレターが届く(表題作)。嫌いな女友達より、恋人を奪った女より、誰よりも憎いのは…夫かも。あなたが許せないのは誰ですか。第五十一回日本推理作家協会賞短篇部門候補作を含む極上ミステリー七篇。
歌は世につれ世は歌につれとはよく言われるが、 それは小説も同じこと。 とりわけエンターテインメント小説は 世相を強く反映するもの。 はたして平成最後の短篇ベストコレクションである 本書からはなにが見えてくるだろう。 小説への新しい兆しだろうか? それとも終末の予感? 大ベテランから気鋭までの 作品群の世界に浸りながら、 平成のエンターテインメント文学は 世を映す鏡だったろうかと黙考するのも一興。 読後感たっぷりのアンソロジー。 【収録作家】 青崎有吾 朝井リョウ 朝倉かすみ 朝倉宏景 小川哲 呉勝浩 小池真理子 小島環 佐藤究 嶋津輝 清水杜氏彦 高橋文樹 長岡弘樹 帚木蓬生 平山夢明 藤田宜永 皆川博子 米澤穂信
女児誘拐殺人の罪に問われ、懲役十五年の刑を受けた柏木喬は刑を終え出所後、“私は殺していない!”というホームページを立ち上げ、冤罪を主張。殺された古畑麗の母親、古畑聖子に向けて意味深長な呼びかけを掲載する。さらに自白に追い込んだ元刑事・村上の周辺に頻繁に姿を現す柏木。その意図はいったい…。予想外の展開、衝撃の真相!柏木は本当に無実なのか?
旗本八万騎一の美人を娶り、婿入りして勘定方の役務に邁進する笠井半蔵。実は算盤が大の苦手。代々のお役目に誇りを持つ妻・佐和の尻に敷かれはや十年、一向に算術の腕は上がらず辛い日々を送っている。ところが登城中の勘定奉行が刺客に襲われた窮地を、腕に覚えある天然理心流の剣で救った。これをきっかけに半蔵にある人物の陰の警固の命が下るのだった。時代剣戟シリーズ第一弾!
「先生、バスケ同好会の顧問になってください」。赴任した神津高校のキャプテン・磯辺からの思いがけない依頼に、陽一は久しぶりにバスケを教えられると胸が高鳴る。学校一の身体能力を誇る新海、卓越した観察眼を持つ神谷、シエラレオネからの留学生オマールらが加わり、現役T校バスケ部との練習試合に挑むが…。人気青春小説シリーズ第9弾。
突然、理由もなく嫁ぎ先から離縁された女流書家の岡島雪江は心機一転、筆法指南所(書道教室)を始める。しかし大酒飲みの師匠・巻菱湖や、かまびすしい弟子の武家娘たち、奥右筆の弟・新之丞に振り回される日々。そんなある日、元夫の章一郎が「ある事件」に巻き込まれたことを知りー。江戸時代に生きる「書家」とその師弟愛を描いた、感動作。
家業を嫁とその情夫に潰され行方知れずとなった兄・佐市郎を救うため、島抜けした丹次。まずは眼を悪くした兄を支えていた女中の小春を捜そうとするが行方はつかめない。しかし偶然手に入れた、懐かしい兄の絵に似た忘れ草の刷り物から丹次に光明が差す。一方で兄嫁・お滝の居所について思わぬ話が舞い込み…。急展開のシリーズ第三弾!
表の顔は大店の若旦那。裏の顔は公儀隠密。許嫁のため隠密を辞めたいと願う藤次郎は、塩の買付のため四国高松に向け出帆した。だが真の目的は蟄居先から失踪した元丹波領主・湯木の探索。海上で襲い来る刺客、湯木抹殺を目論む黒幕の存在、更に発覚した身内の裏切りー。持ち前の才気と伝来の必殺剣で窮地を脱せるか!?大人気シリーズ、堂々完結。
妻子持ちのしがない屋根葺き・彦次。その正体は、少しの金を頂く代わりに縁起物の絵を残す手口が市中で話題の怪盗「飛猿」。ある日発生した残虐な強盗殺人を、町方が飛猿の仕業と見立てたことから彼の怒りは頂点に。ただ一人彦次の裏の顔を知る老剣客・玄沢とともに、汚名をそそぐべく下手人探しを始めるのだが…。新シリーズ、堂々の開幕!
高校二年生の橙子はある日クラスメイトのヤマオからの推薦で、合唱コンクールのソロパートを任されることに。当初は反発したものの、練習を進めるにつれ周囲とも次第に打ち解けていく。友人たちは、橙子が時折口走る不思議な言い訳や理解のできない行動に首をかしげていたが、ある事件をきっかけに橙子の抱えていた秘密を知ることになりー。若く力強い魂を描き出した、胸がひりひりするような傑作青春小説。