2019年7月発売
東京都内各地で同時多発的に発生した放火殺人。被害者は全員十六歳で、同じ高校の一年生だった。犯人の狙いは、東京の結界を守護しているという五色不動の破壊なのか。辻曲彩音が現場を訪ねると、見え隠れする江戸の大火と遊女の影。明暦の大火を経た復興都市「江戸」の深い闇と鎮魂の歴史を明らかにする。
職人が寄席看板の名手となるまでを、愛用する“筆”が語る「ぞっこん」。湯屋の仕事が好きでたまらない少女の明け暮れを描いた「晴れ湯」。並外れた大食漢ゆえに離縁された女が、大喰い大会で大活躍する「福袋」。ほか、傑作ぞろいの短編集。どれを読んでも、泣ける、笑える、人が好きになる!舟橋聖一文学賞受賞作。
何をするにも妻を優先する浪人の孫次郎。ある日、窮地に陥った武士を助けたことから剣術指南役として召し抱えられることになるが…。孫次郎の告白と夫婦の真実を、哀切深く綴った表題作「おもかげ抄」ほか、本当の優しさとは何か?その問いに向き合う「かあちゃん」など、さまざまな家族、愛の姿を描く七篇。
宮下夏子は三十九歳の女性弁護士。子供ができない夫婦の離婚調停に携わっているうちに「卵子凍結」のことを知り、心が大きく揺さぶられる。結婚も出産もそのうちにするものだとぼんやり思っていたら、年齢制限があるというのだ…。妊娠と出産をめぐる七つの物語。いろんな選択といろんな正解がきっと見つかる。
歌人、仏教研究家でもあり、晩年は小説で大いに注目を集めた女性作家・岡本かの子。だがその創作過程は尋常ではなかった。人気漫画家・岡本一平の妻でありながら、二人の美男子に惚れこみ同居させていた。奇矯なこの共同生活から豊潤な芸術が生み出された。天衣無縫にして稀有なその生涯を描いた、評伝小説の傑作!
自身のアリバイ作りのために、誰かに“記憶”してもらう必要があった鯨井は、オープンカフェにいた総白髪の若い女性に声をかける。だが、その女性は一晩で記憶がリセットされる忘却探偵・掟上今日子だった。鯨井の目的は果たされるのか!?今日子さんが3つの謎を解く「忘却探偵シリーズ」第3巻、ついに刊行!
横丁の女児が次々と攫われた。花街の女衒が監禁しているらしい。口入れ屋で居候する剣の達人・彦十郎は、住人たちから助けを求められ、仲間とともに戦いを挑むことに。だが敵が雇った牢人の平松は、刀身を垂直に立てる独自の剣法で、裂帛の気合を発して彦十郎に斬り込む!大人気剣豪ミステリ。
警視庁捜査一課で活躍する桜庭和馬。部下に配属された、別嬪の新人刑事は京都の老舗探偵事務所に生まれた北条美雲、23歳。ドジで愛嬌のある天才肌。バディを組んだふたりが直面したのは、和馬の妻子が巻き込まれたバスジャック事件だった。連続ドラマ化で話題沸騰の人気シリーズ新展開!
「平壌放送の乱数表が複雑化している」米朝の苛烈なせめぎ合いで危うい変化が起きている。「同胞の協力関係を活かせ」という北朝鮮の世界規模の侵攻とどう戦うか。札幌、秋葉原、そしてシリコンバレー。一貫した哲学で他を圧する調査官・黒田純一が攻める!不透明ないまを生き抜くためのエンターテインメント。
不動産販売の営業マンだった黒葛原涼(つづらはら・すずむ)は、会社の倒産後、ひょんなことから東京の下町・町良(まちら)で、探偵事務所を開業。ハーバード大卒、犯罪マニアの押しかけ美女ネジ子さんを相棒に、町で起きた怪事件に挑む! 〈あらすじ〉 第1話 都電の町と鉄仮面 東京の下町・町良に移り住んだスズムはピカピカ光る鉄仮面が夜な夜な徘徊すると聞き…… 第2話 ネジ子さんが来た 神出鬼没の連続ひったくり犯“カマイタチ”を捕まえてほしいという依頼を受ける 第3話 セカイは知らんぷり 公園で虐待された野良猫を助けたスズムが調べを進めると、意外にも犯人は…… 第4話 守り神は失踪中 “信号揚げ”が名物、タツ子が営むてんぷら屋から大事な守り神が消えた 第5話 スキマ男のレモン 町のあちこちで空き缶と一緒に置かれたレモンが見つかった。それは怪しい暗号なのか? 第6話 まぼろし楽隊(ジンタ) 正式につづらはら探偵事務所を立ち上げたスズムは、いきなり謎の“怪人”から挑戦を受ける
神社の結婚披露宴会場で働く浜野、梶、倉地ー配膳スタッフとして日々披露宴の「茶番」を演じるうちに、神社の祀る神が明治日本の軍神であることを知り…。結婚、家族、日本という壮大な茶番を切り裂く圧巻の衝撃作!
試験的にAIロボットを導入した第七明和銀行。高田通り支店の庶務行員・多加賀主水は、AIに負けじと雑用をこなしていた。ところがある日、主水は友人の木村刑事に放火の疑いをかけられ、署に連行される。聞けば“高田町稲荷の遣い”を騙り、町内の嫌われ者の自宅に「天誅」と称して放火する輩が出没しているらしい。潔白を訴える主水は、町を脅かす巨悪と対峙する!テレビドラマ化された痛快銀行小説シリーズ第4弾。
暴力団排除条例の下、壊滅した旧鳴龍会の残党は困窮していた。ヤクザから足を洗っても世間の偏見からは免れられない。彼らの現状を憂慮した鳴海署の刑事佐脇は何とかしようと乗り出すが、旧鳴龍会を目の敵にして潰そうとする怪しげな警備会社の職員が、武装して乗り込んでくる。裏で糸を引いているのは誰か?やがて関西の巨大暴力団を巻き込んで、一大抗争が勃発する!
元女優の母、元叔父さんの父、反抗期の妹、そしてヒッチコック好きのぼく。訳ありそうに見えるけれど、ぼくら安井家は平穏で普通のはずだった。それなのにある夜、母が突然、ぼくらの知らない男の人を看とると宣言した瞬間、歯車が狂い始める。母の恩人だというその人に、ぼくは会いに行く決意をしたけれど…。揺れ動く家族と少年の心を瑞々しく描ききる、成長の物語。
突然失踪した経営者を追い、六本木のホストクラブへ単独潜入を試みた“悪女刑事”こと警視庁組対部の黒須路子。だが、客が店に放火し、ロケットランチャーがぶっ放されて、九死に一生、逃げ出した。自分を亡き者にしようとする上司の富沢を疑うが、やり方があまりに粗暴すぎる。そんななか伝説のやくざの帰還が伝えられて…。向かうところ敵なしの女刑事、大暴走!
京の淀藩常火消・野条弾馬は、己が目を疑った。大火の折に生まれ激甚な災禍をもたらす炎の旋風“緋鼬”が大坂の町を蹂躙していた。続発する緋鼬に、それを操る何者かの影を見た弾馬は、新庄藩火消頭取・松永源吾に協力を頼む。源吾は、天文学者でもある風読みの加持星十郎らを連れ大坂へ。しかし、ぼろ鳶組は、炎の怪物を眼前にすると大きな挫折を味わうことに…。長編時代小説、書下ろし。
義賊となるー薬料も満足に払えず、若くして逝った配下を看取り、明屋敷番伊賀者望月十郎太は心を決めた。困窮する伊賀者の生計を助けるため罪を重ねるも、次第に大胆になりゆく己を止められず、仲間をも手にかけてしまう。臨時廻り同心鷲津軍兵衛は、長い針状の得物“伊賀の縫い針”で屠られた亡骸を目にし、背景を探るが、黒装束に身を包む忍びの襲撃を受ける!
表向きは評判の髪結い。その裏稼業は、巧みな化粧で人を他人そっくりに仕立て上げ、機知と騙りで悪を退治する「替え玉屋」-お武家嫌いの町人慎三は、ある小藩の窮状を聞き、渋々腰を上げる。筆頭家老一派による米横流しの絡繰りを暴いて糾弾すべく、死んだはずの男の替え玉を国許に向かわせ…。慎三の仕掛ける二重三重の罠が悪を追いつめる、痛快時代小説!書下ろし。