2019年9月11日発売
日常は坦々と進んでいく。彼の大きな変化をのぞいてー。ある朝、目覚めると異常に気づく。俺は虫だ。巨大な甲虫になっている。だが、かまってはいられない。仕事に行かなくては。俺は家族を養わなくてはならないのだから…。実存主義的文学の先駆者であるカフカの代表作「変身」をまんが化。平凡な日常から逃げ出せない一市民におこった異常な変化を真剣に、時にコミカルに描き、実存とはなにかに迫る。
コーラルブルーの海に囲まれ、亜熱帯の緑深い森に包まれている“日本でいちばん天国に近い島”志手島。その島で世界最大級のカマキリが発見された。『びっくりな動物大図鑑』を執筆中のフリーライター・藤間は取材のため、現地へ向かう。だが、楽園とは別の姿が…。
いまから約1000年後、地球全土を支配下に収めた“単一国”では、食事から性行為まで、各人の行動はすべて“時間タブレット”により合理的に管理されている。その国家的偉業となる宇宙船“インテグラル”の建造技師д-503は、古代の風習に傾倒する女I-330に執拗に誘惑され…。
友と恋人に裏切られ、神にも絶望して故郷を捨てたサイラス・マーナーは、たどりついた村のはずれで、機を織って得た金貨を眺めるのを唯一の愉しみとする暮らしをしていた。そんな彼にふたたび襲いかかる災難…。精細な心理描写とドラマチックな展開が冴えるエリオットの代表作の一つ。
家族旅行先で、入水自殺を図ろうとした“AYA”を助けた爽香と明男。その背景には“官邸御用達”と名高い大物作家・郡山の影が…。人気アナウンサーの降板、でっち上げられた不倫疑惑、現総理に反発する人々への圧力ーすべてに郡山が関わっていると睨んだ爽香は、次第に事件の真相へ迫っていく!登場人物が読者と共に年齢を重ねる大人気シリーズ!
二十年前、ある事故をきっかけに恋人の雅子と別れた正春。母の危篤の知らせを受け、久しぶりに京都に降り立った正春は、思い出の松ヶ崎疎水を訪れ…。(表題作)おばあちゃんは詐欺師だった。おばあちゃんとの生活はずっと続くと思っていたけれど…。(第69回日本推理作家協会賞短編部門受賞「おばあちゃんといっしょ」)京都の名所が数多く登場する傑作ミステリ短編集。
中学三年生の緒方櫂は復讐心をたぎらせていた。従弟が上級生たちから凄絶ないじめに遭った末に意識不明の重体に。その妹も同じ連中に性的暴行を受けたのだ。自殺願望を持つ同級生・高橋文稀が櫂の復讐の相棒となることを承諾。二人は予行演習として、少年法に守られて罰せられない犯罪者たちを次々と襲い始める。エスカレートする制裁の果てに待つ衝撃の運命とは?
「不倫」「呪われた土地」「オカルト」…。埼玉県の山間部、熊代町で起こった一家六人殺傷事件。「週刊超真相」の編集者・佐久間は、事件を煽情的な記事に仕立て上げた。すると、編集部に一本の電話が。「本当のことが知りたい」。大怪我を負いながら唯一生き残った長女からの訴えだった。佐久間は、記者と共に現場に向かう!凶行の裏側に隠された驚愕の真相とは!?
ある冬の日曜日、推理作家・泉川ミカ江女史の許にかかって来た殺害予告の脅迫電話。誰の仕業か判らず仕事も手につかない。だが、恐怖と憤りを酒に紛らすうちに職業的好奇心が芽生え、女史は脅迫者についての考察を始めた…。純粋推理を実践した表題作のほか、古き良きパリの街を舞台にした中編など、ミステリーの粋を凝らした傑作全八編、すべてが文庫初収録!
三沢順子は、大学卒業後R新聞社に入り、資料調査部に配属された。記事や写真などを整備しておく縁の下の力持ち的な部署である。その日、ある人物の写真を求められ、すぐに渡したのだが、何と別人のものだった。このミスが波紋を呼び、上役が左遷される事態を招いてしまうがー。男たちの野望や策略を目の当たりにした、一人の女性の心情を描き出す傑作小説。
鮎川哲也が推理雑誌に発表した短編“死者を笞打て”に盗作の疑いがかかった!?十年ほど前に石本峯子なる作家が書いた“未完の手記”と内容が同じだと批評家から指摘を受けたのだ。早速、新聞社が取材に訪れ、出版社からは刊行中止の連絡があった。作家生命の危機にさらされた鮎川は、自ら真相究明に乗り出したが…。巨匠の異色作に加え、激レアな短編も併録!
東京地検特捜部の鬼検事が何者かに惨殺された。究明を依頼された、元刑事で私立探偵の見城豪は調査を始める。ある日、都内の高級住宅地・成城と白金、田園調布が『コヨーテ』と名乗るテロ集団に占拠された。見城の恋人も監禁され、焦る見城は恋人の救出を試みるが、テロ集団に捕まってしまう。見城の命運はー。甘く鮮烈なハードサスペンスシリーズ、震撼の第三弾。
クリニックはいつになく混んでいる。心理的なストレスが引き金になって身体に症状が現れた人が殺到しているのだ。予想外の状況に、テンゴ先生もパンク寸前。そんなときに現れたのは、幼なじみの嵩生兄ちゃん。そのストレートで強力なアタックに押され気味の亜月だったが、その存在に違和感を覚えてしまい…。ついにテンゴ先生が亜月への思いを語り出す!
「お武家さまは、和泉屋の者かえ」と経帷子に能面をつけた女に声をかけられた直後、勢四郎は鎖鎌を持った男に襲われた。巷を騒がす「幽霊女」だと言われ、件の和泉屋からその正体探しを依頼されるも、襲ってきた男とのかかわりも含め、なかなかつかめない。手がかりもないまま商売敵の店を当たり始めたところ、老舗の辻屋に不審なものを感じたのだがー!
数々の公儀の密命を果たしてきた旗本集団「影廻衆」。その影廻衆と将軍の寵臣を繋いできた連絡役の行平斗真が何者かに殺害された。影廻衆の一人で、斗真の盟友でもある高鳥三郎太は斗真の仇を追う。その後も襲われる影廻衆。三郎太たちを未曽有の窮地に追い込む敵の正体とは。そして、その狙いとはー。三郎太の怒りの剣が爆発する!シリーズ史上最高傑作の第三弾。
南町奉行・筒井和泉守の引きで南町奉行所に戻り、“隠密”となった沢村伝次郎は、町廻りの途中、何者かに襲われた。意識が戻った伝次郎の目の前には、見知らぬ男の死体が。町方から疑いをかけられた伝次郎は窮地に陥る。はたして伝次郎は、自らにかけられた疑いを晴らすことができるのか。そして、真の下手人とはー。ますます絶好調の人気シリーズ、衝撃の第三弾!
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と明智恭介は、曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子とペンション紫湛荘を訪れる。しかし想像だにしなかった事態に見舞われ、一同は籠城を余儀なくされた。緊張と混乱の夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。それは連続殺人の幕開けだった!奇想と謎解きの驚異の融合。衝撃のデビュー作!