2019年9月19日発売
あなたに初めて会ったとき、それがわたしの人生が終わった瞬間だったーわたしはダク。11年前の夜、巨大なクルミのような形をした小型宇宙船が、町の海沿いにあった海軍基地に墜落した。それはやがて“物体E”と呼ばれるようになり、研究所に姿を変えた基地で秘密裏に研究されていた。わたしはそこの警備主任だった。そしてあの日、わたしの部下として新人警備班員のあなたが配属されてきた…驚愕のサスペンスSF!
不可解な連続殺人事件が東京を震撼させていた。青い電飾が遺体のそばに撒かれるという以外に接点はない。同じ頃、作家でブルーライト探偵社所長の草壁ユナに女友達の秋子から助けを求めるメールが届く。家族に確認するとユナと旅行中だというが、ユナに覚えはなかった。また、探偵社で依頼を受けた身辺調査が連続殺人と奇妙な繋がりを…数々の伏線が回収され、何度もだまされる、ミステリの快楽に満ちた本格サスペンス。
罪や不安を嗅ぎ取る能力を活かしスウェーデンの税関で働くティーナはある日、虫の孵化器を持った不思議な男と出会う。彼の秘密が明らかになるとき、ティーナが出会う新しい世界とは…映画原作である表題作のほか、『MORSE-モールスー』番外篇の「古い夢は葬って」、集合住宅に這い寄る恐怖を描く「坂の上のアパートメント」、高齢女性の明るくも悲しい犯罪譚「マイケン」など、現実と異界の境界を問う11の物語。
1945年、妹のローラは車ごと橋から転落して死んだ。あれは本当に事故だったのだろうか?年老い孤独に暮らす姉アイリスは、釦工業で財をなした町いちばんの名家だった家族の歴史と姉妹の来し方を振り返っていく…。ローラの手になる小説『昏き目の暗殺者』、次々と亡くなっていく親族たちの死亡記事、そして老女の回想が織りなすある一族の波瀾の歴史。稀代の物語作家が圧倒的想像力で描くブッカー賞、ハメット賞受賞作。
ローラの死後出版され、彼女を伝説の作家としてまつり上げることになった小説『昏き目の暗殺者』-人目を忍んで逢引を続ける男女と、惑星ザイクロンの王政転覆を企む貴族に雇われた盲目の暗殺者のふたつの物語に隠された秘密とは?蜘蛛の巣のように絡み合う現在、過去、そして物語。「昏き目の暗殺者」とはいったい誰を意味するのか?現代文学の数多の技法を駆使し、虚構の神殿を紡ぎあげるアトウッド文学の総決算。
零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる「ひとすじの光」、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する「時の扉」、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る「ムジカ・ムンダーナ」、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された「最後の不良」、CIA工作員が共産主義の消滅を企む「嘘と正典」の全6篇を収録。
ミモザの父・閑に一通の封筒が届いた。白い線で描かれた薔薇の絵のモノクロ写真が一枚入っていて、裏には「四月二十日。零時。王国にて。」とあった。病床の父は写真に激しく動揺し、捨てろと彼に命じる。その姿を見たミモザは春の夜、余命短い父のために指定された明石ビルに向かう。廃墟と化したビルの最上階には三人の男たちが待っていた。男たちは過去を語りはじめる。白墨の王国だったこのビルの哀しく凄まじい物語をー。
多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうかー。
30年前に起きた『北蓑辺郡連続幼女殺人事件』。逮捕された亀井戸健、伊与淳一は、死刑判決を受け収監されているが、亀井戸が喉頭癌のため獄死した。当時栃木県警捜査一課にいた星野誠司は、この事件には真犯人がいるのではとずっと思ってきた。刑事を引退した今、事件を調べ直したいと思った星野は、世論を動かすことが必要であると認識し、孫である大学生の旭とその友人・哲に協力を仰ぐ。“星野班”はSNSや動画投稿サイトを使い、“冤罪事件の真相解明をリアルタイムで見せる”という形で拡散することに成功。新たな証拠・証言を見つけ発信していくうち、「虎」と名乗る男から真犯人しか知り得ない情報を含んだ小包が届くー
小野宮楠生(33歳)は、ビルの清掃スタッフ・亀田礼子と元交際相手の山本若菜を殺害した容疑で逮捕・起訴されている。チャラい外見と「誰を殺そうと俺の自由だろ」という供述、逮捕時に笑顔でピースをするなどふざけた様子から「クズ男」と呼ばれ、彼を支援し続ける「クズ女」たちが現れるなど、話題に事欠かない。小野宮を担当する弁護士の宮原貴子は、調査を進めるうち彼が嘘をついているのではないか、という疑念を抱く。小野宮が幼少期に児童養護施設で過ごした宮城県M町へ赴き、彼と面識のあった宍戸真美という女性の存在をつかんだ宮原は、現在の真美に接触すれば小野宮の犯行動機が見えてくるのではと思ったが…クズ男はなぜ、快哉を叫びながら人を殺したのか。一気読み必至の心揺さぶる長編ミステリー。
「天才高校生作家誕生!」という触れ込みでデビューした榛名忍。第一作は二十万部も売れた。二〇二〇年のオリンピックが東京に決まった頃だ。だが、その後、大学生となった忍は思うような結果を残せず燻っていた。そんな折、学内のテレビで流れるリオ五輪ハイライト番組で、競歩の結果を目にする。独特な競技スタイルを不思議に思っていると、背後で男子学生が号泣していた。こいつは一体、なんなんだ!?その夜、忍は担当編集者から、次作は東京オリンピックに向けてスポーツ小説はどうか、と勧められ、思わず「競歩」と口にしてしまうー。青春のきらめきが迸る。スポーツ小説の新たな傑作がここに!
お屋敷街の麓にある新興住宅地に引っ越してきた中学3年生の凪。周辺は自然豊かで、大きな庭がある家も多いが、母親が大の虫嫌いのため、凪の家の庭はとても小さい。ある日、ひょんなことから、近所の豪邸に住む嘉世子と知り合いになった凪。嘉世子が、大好きなアイドル・ヒカルの祖母だと知り、なんとかヒカルに近づけないかと目論む。嘉世子の家に招かれ、まるで森のような広大な庭に圧倒されていると、なんとイモムシの世話を託されることに!ヒカルに近づく最短距離だと思い、しぶしぶ引き受けるが、いつの間にか不思議な愛らしさといじらしさに満ちたイモムシに魅了されてゆく。しかしそんな穏やかな日々に不穏な影が忍び寄り…。多感な少女の心の成長を描く、爽やかでほろ苦い青春ストーリー。
「俺の傍にいりゃ問題ない。おまえは俺が守るさ」極道である自分と共に生きるため、身の回りの付き合いを全て捨てた遙を愛しく思う柾鷹。遙を甘やかし愛する毎日だったが、知紘が誘拐されたことで一気に状況は緊迫する…!激昂する生野が駆けつけ知紘は無事救出される。一方、対立組織に麻取が潜入捜査をしているという情報が柾鷹の耳に入る。きな臭い人間模様はやがて遙も巻き込んで大騒動に…!!柾鷹は組を、遙を守り通せるか!?
獣人が支配する世界(しかも♂しかいない!)に少年の身体で転生したチカ。医学の知識をこの世界で生かしつつも、都合のいい薬が手に入りすぎることに疑問をもっていた。危険な森の深奥でようやくその秘密を知った矢先、チカはさらわれてしまう。激昂し駆けつけたダグラスとゲイルが目にしたものは…!?