2019年9月19日発売
19世紀末、ロンドン。画家のモデルをつとめるドリアンは、若さと美貌を映した自らの肖像画を見て、自分自身はいつまでも若々しく、年をとるのは絵のほうであってほしいと願うー。快楽に耽り悪行に手を染めながらも若さを保ちつづけるドリアンと、かれの魂そのままに次第に恐ろしい醜悪な姿に変貌する肖像画との対比を描く。
「彼女に恋していたから、彼は苦痛だった」-裕福な趣味人マリオルは心ならずもパリ社交界の女王ビュルヌ夫人に魅惑される。マリオルの繊細な愛情を喜びながらも、夫人がなにより愛するのは自らとその自由…。独立心旺盛な女と、女に振り回される男のずるさ、すれ違う心の機微を、死期の迫った文豪が陰影豊かに描く。
神田小柳町の裏店で暮らす、廻り髪結の姉・お松と妹・おれん。おれんは両替屋の手代になったばかりの弥吉から所帯を持とうと告げられる。だがある日、誤ってやくざ者を殺してしまった弥吉は、遠島を申しつけられる。哀しみに暮れながらも、帰りを待つと誓うおれん。しかし、なぜか姉妹にあやしい影がつきまといー。「おまえらは見なくていいものを見てしまった」そこへ助けに入ってきたのは、同じ髪結の郷太だった…。髪結姉妹の波瀾万丈な恋模様を描く人情時代小説
築30年の「大泰荘」で8人の大学生が共同生活を送っていた。ある朝、マッチョな男性住人が鍵のかかった自室において遺体で発見される。深夜には建物の玄関にチェーン錠がかけられるため、たとえ鍵を持っていても中には入れない二重の「密室」で誰が彼を殺したのか?住人の誰もが怪しく、誰にも動機が…。「7つの選択肢」から犯人を選んで下さい。先行読者投票の結果も収録!
女医・菜々子が、市民会館のステージに立つ患者をサポート!「赤黒あげて、白とらない」末期癌のお笑い芸人が、人生最後の演芸会を企画。「屋根まで飛んで」白血病の少年が、音楽発表会に出たくとハンストを。「転ばぬ先の、その先に」玩具メーカー社長が、歩行困難を押して壇上で挨拶を。「春歌う」演歌歌手のコンサート。招待客は全員75歳以上の後期高齢者で。「届けたい音がある」和太鼓サークルのメンバーは、慢性疾患持ちぞろい。「風呂出で詩へ寝る」アルコール依存症で悩む、市民合唱団の指導者は…。現役医師のリアル医療小説!
昭和・平成のミステリの技法をフル装備し、 乱歩デビュー前の大正時代半ばに転生して本格探偵小説を書いたら……。 そんな夢想が現実のものになったかのような極上の逸品。 この作者は、令和のミステリを支える 太い柱の一つになるだろう。 有栖川有栖 分厚い世界に緻密なロジック、第60回メフィスト賞受賞作 ☆☆☆ 謎が謎を呼ぶ怪死事件。元泥棒が導く真相に瞠目せよ。 和洋入り交じる大正の東京。 秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる 血液学研究の大家・村上博士が刺殺された。 不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、 鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、 遺族が解決を依頼したのが以前村上邸に盗みに入った元泥棒だったことーー。 頭脳明晰にして見目麗しく、厭世家の元泥棒・蓮野が見つけた 四人の容疑者の共通点は、“事件解決に熱心過ぎる”ことだったーー。
大手医薬品メーカーに仕掛けられたデモを鎮めるべく市民団体に潜入した西澤奈美。そこでリーダーから同志として紹介されたのは、恋人の雪江だった。新ヒロイン誕生!江戸川乱歩賞受賞作。
囚人に仏道を説く教誨師の顕真。ある日、拘置所で一人の死刑囚が目に留まる。それは、大学時代に顕真を雪山の遭難事故から救った、無二の親友・関根だった。人格者として知られていた友は、なぜ見ず知らずのカップルを殺めたのか。裁判記録に浮かび上がる不可解な証言をもとに、担当刑事と遺族に聞き込みをはじめた顕真。一方、友として、教誨師として、自分にできることとは何か。答えの見出せぬまま、再び関根と対峙することとなる。想像を絶する、事件の真相とは。そして、死刑執行直前、顕真が下した決断はー。人間の「業」を徹底的に描く、渾身のミステリ長編!
和田政権打倒を標榜する若者団体「コスモス」で活動する凛は、気付くと薄暗い部屋にいた。両手首を縛られ動けない。一方隣の部屋では、外国人排斥をうたう「AFPU」のメンバー大輝が目を覚ましていた。二人に直前の記憶はなく、眼前には横たわる死体。誰が、何のために、敵対する二人を密室に閉じ込めたのか?そして、この身元不明死体の正体は?真の民主主義とは何か?人は正しい道を選べるのか?日本はどこへ向かっているのか?
異能の絵師土佐光信は、将軍足利義政から人心を惑わす妖異の謎を解くよう命じられる。御所をさまよう血塗れの女、奇怪な呪詛屏風、影喰らい、笑い小鼓、人の悲しみから生まれた石…。果たして彼が見極めた化生の正体とは。人の言霊や将軍の願望を餌に、争乱の気配にほくそ笑む「鬼」とは。混沌を極める百鬼夜行の時代を描く傑作。
真打ち昇進を控えた二つ目・佃家花蔵が高座で「犬の目」を口演中、酔客に左眼を殴打され、廃業の危機に。佃家傳朝と梅蔵は長年の不仲を改め、弟弟子を援助することを誓うが、その直後、夜道で傳朝が命を狙われる。相次ぐ噺家受難の陰には思いもよらぬ真実が…。文庫書き下ろし。
元新選組副長・土方歳三は新政府軍の銃弾に斃れたーはずだった。頭部に被弾した土方を救った時枝ゆらは、敵軍の目をかいくぐり、米国へと密航する。だが意識を取り戻した土方は、記憶を失っていたのだった。全てを無くしたサムライは、果たしてどこへ向かうのか?海を、大地を駆けめぐる、壮大なる旅がここにはじまる。
密航者として追われる隼人(土方歳三の変名)とゆらは、西部の大地で離別してしまう。ゆらを探し旅をする隼人は、アリゾナの荒野で先住民の襲撃を受ける。一方、ゆらの前には彼女を追う悪徳保安官・ティルマンが現れ、絶体絶命の危機がー。運命に引き裂かれた二人は、生きて巡り会うことができるのか?巻末に逢坂剛×月村了衛対談を収録。
ある月の夜、十六歳の風谷小十郎は、山中の樹にもたれて嗚咽を漏らす奇妙な坊主と出会う。「いい眼だ。しかし、けだものの眼だ。おまえは、これから思い悩むことが多いだろう」-本願寺蓮如その人の言葉に導かれるように、若鹿の運命は動き出した。加賀の地に燃え広がる一向一揆の炎と、闘いに身を投じた小十郎の青春を描く血潮滾る歴史巨篇。
蓮如の吉崎退去、小十郎の恋、そして守護・政親の強権。戦場を覆い尽す念仏が、かつて共に闘った者たちを、別々の明日に追い立ててゆく。加賀の雪が、ふたたび血に染まる時が近づいていたー著者積年の構想がついに結実、加賀一向一揆を生きた男たちの雄叫びがこだまする感動巨篇、完結!
クロノフォシルとは、これまでの歴史においてペリー・ローダンが各地にのこしてきたポジティヴなプシオン・シュプールだった。これを無限アルマダが活性化することで、やがてはトリイクル9が本来のポジションにもどれるのだという。ローダンがそれを知って、無限アルマダ再組織のためM-82にのこる一方、アトランひきいる“ソル”は銀河系へ帰還の途につく。ところがその途中、タウレクが“シゼル”でやってきた…!