2019年発売
太平洋戦争末期。日本の敗色が濃くなる中、東京から東北の田舎へ集団疎開した小学生たち。そのひとり、清子は疎開先で、リツという少女と出会う。「海」と「山」という、絶対相容れない宿命的な対立の出会いでもあったーー。 戦争という巨大で悲劇的な対立の世界で、この二人の少女たちも、長き呪縛の如き、お互いを忌み嫌いあう対立を繰り広げるのだが……. 「螺旋」プロジェクト、激動の昭和前期篇、ついに登場!
巧みに、軽妙に、時には、早すぎる死を予期したかのようにー翳りのなかにあって揺るぎなく美しい一九三〇年代の名品群。多彩な短篇小説とエッセイをセレクト。翻訳者・村上春樹の起点となった二篇も新しい訳で収録。
ーー怖がるなとは言わない。だが、恐怖を他人に感染させるな。 消防学校時代の担任教官が、たった一度だけ口にしたそんな言葉がいまでも忘れられない。(「白雲の敗北」より)。 ベストセラー『教場』『傍聞き』の短篇の名手が贈る、心震える9つのミステリ短篇。 人を救うことはできるのかーー 和佐見消防署消防官たちの9つの物語。 雨の翌日、消防司令の今垣は川べりを歩く女性と出会う(「石を拾う女」)。 新米の土屋と大杉は「無敗コンビ」だった(「白雲の敗北」)。 女性レスキュー隊員の志賀野が休暇中に火事を発見(「反省室」)。 西部分署副所長の吉国は殉職した息子のお別れ会で思い出を語るが……(「逆縁の午後」)ほか5篇
白パンと黒パン、干し草のベッド、ヤギのミルク、チーズ料理、フランクフルトへの旅、クララの病ー子供の頃に夢中になったアルプスの物語には、意外な真実が隠されていた。原作に潜む19世紀ヨーロッパの光と影を読み解く。
静かな町で衝撃的な事件が発生。大雨で増水した川を花嫁姿の若い女性の遺体が流されていったのだ。奇妙な事件にたちまち好奇心をくすぐられたアガサは、被害者の同僚女性らに聞き込みを開始。ところが揃いも揃って嫌な女ばかりで!?
少女の頃から両親の世話に明け暮れ、社交界に出る機会を逸して大人になってしまったアビー。きょうだいたちがなおも彼女を家事手伝いに使おうとするのに愕然として、自分で身を立てると決意する。隣家のロズウェル公爵の妹の家庭教師になるが、実は公爵とは、若き日に結婚を誓いあった仲だった。しかし彼はロンドンに居を移して放蕩の噂ばかりが聞こえるようになり、何年も会うことさえなかったのだが……
偶然始まった温かくてどこか噛み合わないご近所付き合い、その行方はーー。 芥川賞作家が描く新たな代表作! 住み心地のいい離れの一軒家で一人暮らしを続ける北川春子39歳。母屋に越してきた、夫を亡くしたばかりの63歳、青木ゆかり。裏手の家に暮らす現実的な今どきの新婚25歳、遠藤沙希。 年代も性格もまったく異なる3人の出会いから始まった、温かく、どこか嚙み合わない"ご近所付き合い"、その行方はーー。 女も男も、人からは見えない、そしてジャッジすることのできない問題を抱えている。年齢や、生きる環境、価値観など、さまざまな違いを乗り越えて、人と人はほんとうに分かり合えるのか? 現代を生きる大人たちに贈る必読の一冊。
フツーの小学六年生だった俺。“未来に夢を抱く”ことなんて諦めていた。あいつらと出会うまではージュンペイとヨータの秘密基地には、「ゴールデンラッキービートルの伝説」と名付けた廃車のワーゲンがある。ある日ヨータは、ジュンペイがウサギ殺しの犯人と疑うクラスメートの女子・ヒナが、そのビートルから何かを持ち出すのを目撃する。河原に向かったヒナがにしていたのは、挙銃だった…。少年少女の一瞬の友情を描く、希望にみちた青春小説。第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作、待望の文庫化!
新たな仲間・ユカリを加え、レベル上げをするためダンジョン周回を始めるセカンド一行。しかし、ボス戦でまさかの事態に……! さらに、セカンドが精霊召喚で超レアな精霊の大王・アンゴルモアを召喚してしまいーー
ノロアは呪いの装備の捜査機関に潜入し、子犬系女子リッカを相棒に情報収集をすることに。夜は仮面をかぶり呪いの装備を狩り続けていたが、やがて市民にもリッカにも憧れられるヒーローに祭り上げられてしまいーー?
異世界の料理人として評判が高まる栞に、王宮から晩餐会に料理を数品供して欲しいという依頼が舞い込む。当日、トラウマからろくに食事ができない隣国の王太子と出会った栞は、彼のためにある提案をして……!?
聖女デリリラさんの招きに応じた帰路、ゴブリンに襲われる獣人の双子を助けたナギたちは、予定を変更して獣人の村を訪れる。同胞を助けられたことを喜ぶリタとナギは、村中から感謝の意を示されることに!だが、子どもたちがリタが奴隷だと知ると怖がってしまったため、二人の信愛の証しを示すことになり…?村での聞き取りを経てナギがつきとめた犯人はー温厚な亜人同士を争わせようとする、魔物のふりをした人間!?
女子大生から大預言者に転生したけど生涯喪女。3度目の転生で公爵令嬢になって自由な生活が送れる! と喜んだのも束の間、前世の力も持ったままで……。えっ! バレたら一生独身が確定なんだけど!?
庶民の父と末端貴族の母の間に生まれた私・フィアラ。 幼い頃から家政婦扱いで、兄や妹より勉強しても進学させてもらえないーー 「ならこんな家、出ていってやる……!!」 怒りで思い出したのは、自分が転生者だということ。 王都を目指して旅する途中、ひとりの魔術師・ザクと出会う。 彼によると、私はこの世界では超レアな“浄化の力”を持っているらしい。 ならばその力、利用してやろうじゃない! ど庶民だったはずの私が巻き起こす、一発逆転ストーリー!
この世界でただ一人、スキルを持たず生まれたディッシュ。 “能無し(ゼロスキル)”だと街から追い出され、ふと気が付いた。 「山は食材の宝庫じゃないか!」 しかしあまりの空腹で、『不味い』が定評の魔獣すらおいしそうに見え……たまたま倒したスライムを一口パクリ。 「うっまああああい!!」 魔獣のおいしさの秘密を知ったディッシュは、ゼロスキルならではの料理を次々と作り出していく! するとフェンリルや聖霊、さらには巷で噂の姫騎士まで料理の虜になってしまい……!?
山岳界で“ヒマラヤに残る最後の課題”と言われる一つ、ローツェ南壁の冬季単独登攀を達成し、トップクライマー入りした奈良原和志はアマ・ダブラム西壁に挑んでいた。次の挑戦の武器になる新製品のテストも兼ねているためソロを封印、登山経験もあるスポンサー企業ノースリッジの若手技術者柏田を伴ってのものだった。難しい登山ではなかった。だが落石で柏田が死亡、和志も大怪我を負う。そこへ追い打ちをかけるネット上の誹謗中傷と柏田の両親からの訴訟。気力を失った和志に、登山の師であり、癌で余命宣告を受けたにも拘わらず献身的なサポートを続ける磯村賢一は、リハビリに付き合う中、あえて“課題”のもう一つ、「冬のK2」をぶつける…眼前にヒマラヤの高峰群が広がる圧倒的な臨場感で贈る、ここでしか味わえない傑作山岳小説!
ミッドウェイ海戦の大敗北により正規空母を多数失った帝国海軍。対する連合軍は海上航空勢力を半減した日本軍を見て、中部太平洋における商船破壊作戦を全方面で激化させた…。海上輸送路防衛こそ戦争遂行の一大事と捉える及川古志郎大将が「海上護衛総隊」構想に邁進。サイパンとシンガポールに警備府を設置し、ラバウルに近いカビエンにも基幹基地が設置される。改装飛行艇母艦『遠洋型』と零式単発複座飛行艇『襲天』が配備されたカビエン基地を舞台に、よろず請け負いが宿命の「よろず艦隊」の大奮戦が幕を開ける!
1814年、ロンドン。どしゃ降りの雨の夜、公爵家の次男ジョシュアの屋敷を伯爵令嬢チャリティがたったひとりで訪ねてきた。通常ありえないことだが、彼女はジョシュアの妹エミリーの親友で、妹がパーティを抜け出してろくでなしの貴族と駆落ちしたことを伝えに来てくれたのだ。チャリティはそのままこっそりパーティに戻る計画だったのだが、大雨のおかげでずぶ濡れのひどい恰好に。ジョシュアは放っておくこともできず、チャリティを家まで送った後に妹たちを追いかけた。なんとか駆落ちをくい止めることはできたが、伯爵令嬢が付添人もなしに屋敷に来たところを人に見られ、噂を立てられてしまう。チャリティの名誉を守り、かつ妹の醜聞が明るみに出るのを防ぐためには、ふたりが結婚するしかない。双方にとって望まぬ結婚と思われたが、実はチャリティにとってジョシュアは初恋の人だった。寝室では激しく愛し合うが、一歩部屋を出ると儀礼的な夫として自分を避け続けるジョシュアにチャリティは傷ついて…。やむを得ず始まった結婚生活の行方はー?エマ・ワイルズのロマンティック・ヒストリカル!!