小説むすび | 2020年10月26日発売

2020年10月26日発売

きのうのオレンジきのうのオレンジ

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集英社

発売日

2020年10月26日 発売

「弱音を吐かない人は、いつだってひとりで闘っている」 がん宣告を受けた<彼>と、彼を支える<家族>の物語。 心揺さぶられる感動長編。 三十三歳の遼賀が受けた胃癌宣告。どうして自分が……涙が溢れてきて、恐怖で震えが止まらない。その時、郷里の岡山にいる弟の恭平から荷物が届く。入っていたのは、十五歳の頃、恭平と山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴。それを見た遼賀は思い出す。あの日のおれは、生きるために吹雪の中を進んでいったのだ。逃げ出したいなんて、一度たりとも思わなかったーー。 【著者略歴】 藤岡陽子(ふじおか・ようこ) 1971年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学留学。慈恵看護専門学校卒業。2006年「結い言」が、宮本輝氏選考の北日本文学賞の選奨を受ける。09年『いつまでも白い羽根』でデビュー。著書に『手のひらの音符』『晴れたらいいね』『おしょりん』『満天のゴール』『跳べ、暁!』などがある。現在は、京都の脳外科クリニックに勤めている。

バグダードのフランケンシュタインバグダードのフランケンシュタイン

<中東×ディストピア×SF小説> 連日自爆テロの続く2005年のバグダード。古物商ハーディーは町で拾ってきた遺体のパーツを縫い繋ぎ、一人分の遺体を作り上げた。しかし翌朝遺体は忽然と消え、代わりに奇怪な殺人事件が次々と起こるようになる。そして恐怖に慄くハーディーのもとへ、ある夜「彼」が現れた。自らの創造主を殺しにーー 不安と諦念、裏切りと奸計、喜びと哀しみ、すべてが混沌と化した街で、いったい何を正義と呼べるだろう? 国家と社会を痛烈に皮肉る、衝撃のエンタテインメント群像劇。 各国で数々の賞を受賞! アラブ小説国際賞受賞(アラビア語版原書) イマジネール大賞外国語部門受賞(フランス語版) キッチーズ賞 金の触手部門受賞(英語版) ブッカー国際賞最終候補(英語版) アーサー・C・クラーク賞最終候補(英語版) 【著者略歴】 アフマド・サアダーウィー イラクの小説家、詩人、脚本家、ドキュメンタリー映画監督。2009年、39歳以下の優れたアラビア語の作家39人を選出する「ベイルート39」に選ばれる。2014年に『バグダードのフランケンシュタイン』で、イラクの作家としてはじめてアラブ小説国際賞を受賞。本書は30か国で版権が取得され、英語版がブッカー国際賞およびアーサー・C・クラーク賞の最終候補となった。現在バグダード在住。 【訳者略歴】 柳谷あゆみ (やなぎや・あゆみ) 1972年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。公益財団法人東洋文庫研究員、上智大学アジア文化研究所共同研究員。アラビア語翻訳者、歌人。 歌集『ダマスカスへ行く 前・後・途中』にて第5回日本短歌協会賞を受賞。 訳書にザカリーヤー・ターミル『酸っぱいブドウ/はりねずみ』(白水社エクス・リブリス)、サマル・ヤズベク『無の国の門 引き裂かれた祖国シリアへの旅』(白水社)など。 【英語版タイトル】 FRANKENSTEIN IN BAGHDAD

小説 牡丹灯籠小説 牡丹灯籠

こいつらの誰からもつきまとわれたくない ---- 柳家喬太郎 『 貴方がまたいらしてくださらなければ、私はきっと、死んでしまいますよ 』 浪人の荻原新三郎は、旗本飯島平左衛門の娘、お露と知り合って惹かれあうが、会えない日々が続き、ついには、お露は恋焦がれ死に、女中のお米も亡くなってしまった。 それから夜ごと、新三郎のもとに通ってくるお米とお露の幽霊。 経と如来像、札を授けられた新三郎はお露から身を守れたかのように見えたが、下働きの伴蔵の手引きにより、新三郎はお露に取り殺されてしまう。 しかし、そこには複雑な因縁と企てがあったのだーー 【 怪談と仇討ちの物語を捕物帖として再構築するシリーズ第2弾! 】 第1弾の「真景累ヶ淵」に続く三遊亭円朝の代表的作品でもある「牡丹灯籠」を近代文学研究家で作家の大橋崇行が小説化。 「お岩の四谷怪談」「お菊の皿屋敷」「お露の牡丹灯籠」と三大怪談の一つに数えられる本作であるが、実は怪談として語られているのは、前半の一部を切り抜いたもの。 本来の姿は愛憎と、主君の仇討ちにいたる複雑に入り組む物語である。本書では「牡丹灯籠」全体を余すことなく小説化している。 実力派落語家の柳家喬太郎が監修。 ◆ 著者について 大橋崇行(おおはし たかゆき) 新潟県生まれ。作家、文芸評論家、東海学園大学人文学部准教授。20年に『遥かに届くきみの聲』にて第1回双葉社ルーキー大賞を受賞。 ほかに『司書のお仕事 お探しの本は何ですか?』(勉誠社)、『ライトノベルから見た少女/少年小説史』(笠間書院)、『言語と思想の言説』(笠間書院)、 『小説の生存戦略 ライトノベル・メディア・ジェンダー』(共編著、青弓社)など小説、評論など多数。 【 小説 古典落語 順次刊行予定 】  第1冊『小説 真景累ヶ淵』(奥山景布子/監修 古今亭菊之丞)  第2冊『小説 牡丹灯籠』(大橋崇行/監修 柳家喬太郎)   **本書  第3冊『小説 らくだ』(並木飛暁/監修 桂文治)  第4冊『小説 西海屋騒動』(谷津矢車/監修 柳亭左龍)  第5冊『小説 品川心中』(坂井希久子/監修 柳家喬太郎)

山の花環 小宇宙の光山の花環 小宇宙の光

低き丘でも高みに立たば、 下の者より見ゆるは道理、 われもみなより多く見ゆべしーー 幸せにして、また不幸なり。 イスラム教改宗者の討伐という歴史的事件を材に、民衆の「哀しき人間の運命」を綴った、セルビア「第二の聖書」と目される一大詩篇『山の花環』。宇宙創造、人間の堕落と魂の救済を詠う『小宇宙の光』。セルビア文学の金字塔となった、ニェゴシュを代表する二大叙事詩。 ……ニェゴシュの文学は、吟遊詩人の伝える伝承の「コソボ史観」に尽きるものではない。ニェゴシュの詩人としての偉大さは、そうした民族叙事詩の世界を乗り越えて、「哀しき人間(ひと)の運命(さだめ)」を追求したことにある。『小宇宙の光』では、その主題が形而上的なレベルで扱われているが、そこに現実世界で主教、君主、そして人間として苦悩するニェゴシュの魂を読むことができる。『山の花環』の登場人物たちはかなり理念化されているが、ダニロ主教の悩みや恐れは、ニェゴシュの心の深奥を映し出している。──「訳者解題」より

イェレナ、いない女 他十三篇イェレナ、いない女 他十三篇

目にするものはすべて詩であり、手に触れるものはすべて痛みである。 不正義、不条理に満ちた世界で人びとはいかに生きるか。 歴史に翻弄される民族を見つめ、人類の希望を「橋」の 詩学として語り続けたノーベル文学賞作家アンドリッチ── 「橋」、短編小説八篇、散文詩『エクス・ポント(黒海より)』 と「不安」、エッセイ三篇を収録した精選作品集。 歴史の不条理を、若きアンドリッチは身をもって体験した。第一次大戦中の思想犯としての獄中生活は、戦争という外的世界を凝視させると同時に、「幽閉された者」の精神的な内的世界へと作家を招き入れる。歴史と魂の問題は、作家の生涯を通じて、詩学を支える二本の柱となった。この詩学の魅力は、新現実主義と形而上主義の両面を持ちあわせ、見える世界と見えない世界を結び合わせる力にある。集団と自我、天と地、魂と肉体、異なる二つのものを引き裂くもの、繫ぎ合わせるものに、作家は光をあてる。アンドリッチの問いかけは、人はどう生きるべきかではなく、人々はどう生きるかという人類的な問題である。──「訳者解題」より

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