2020年10月27日発売
舞台は戦後から高度成長期に沸く東京。たけし少年の初めての記憶から、オリンピックを経て、学生運動の気運高まる時代の中、新宿を彷徨っていた大学時代まで。突き刺さるノスタルジーと青春のモラトリアム…。人間の本質に迫る私小説!
忽然と姿を消した迷い猫、強制収容所に移送された人々、キリストのような風貌の路上生活者、90歳の誕生日を目前に亡くなった母…。ヨーロッパでもっとも古くもっとも大きい都市の場末で暮らす男が、火事現場で不思議な男女と出会う。すべての出来事が環のようにつながっていると語る作家と、魔法使いのようなやり方で「別の音楽」を奏でるピアニスト。やがて3人の奇妙な関係がはじまる。百年前の河の氾濫を通奏低音に、破局の徴に満ちた街で繰り広げられる、美しくも崇高なる消失の物語。
明治維新の礎を築いた覚悟ある兄弟の生き方。仲間達を寺田屋で斬った喜八郎。英国人を生麦で斬った喜左衛門。己を捨て、分断する薩摩藩を島津久光の下に結束させ倒幕に導いた兄弟が、命を懸けて生きた軌跡を追う。
アッキー13歳。初恋の相手は同じクラスのひまり。母は精神科に入院中。「そうきょくせいしょうがい」っていったいどんな病気なんだろう。病名は少しカッコいい感じもするー。隔離室には変な人もいるけれど、いろんな人がいて、いいんじゃない?
「他の人を照らす」生き方をすること。派遣社員の由里香と課長の森山が、契約最終日に交わした約束。そこから、2人の挑戦の日々が始まった。紆余曲折を経て、高校を中退していた由里香。彼女が志したのは、難関の医療セラピスト。夢の実現、そしてその先へ向かって努力を重ねる由里香に伴走する森山の心には、忘れられない記憶があってー。
大学生の伊庭克彦は、参加したスキー選手権大会で競技中の事故により脊椎を損傷し、四肢麻痺となった。以前のように手を動かすことも、歩くこともできない現実を少しずつ受け入れていく克彦。ケースワーカーの勧めで「言語聴覚士」の研究生として学びはじめ、新たな目標や生きがいを見いだしていくー。
1998年、他愛なく合コンに興じていた若者たち。しかし彼らの人生は、世間を揺るがす渦に巻き込まれ大きく道を違えていく。日本というぬるま湯の中で、地下水脈のように蔓延る暗澹たる闇。その世界に引き寄せられた若者は、15年後、政財官の多くの人士を道連れに破滅へと突き進む。すべての謎は、「百年後の武蔵野」に収斂する。仮想・現代日本の30年を描く、深奥なる叙事詩。
宇宙の知識ゼロ!ド文系社長が「誰もやったことがない仕事をする!」という思いだけで、日本初の「宇宙商社」を作り、たった3年でNASAやJAXAと協業までしてしまった実話に基づいた小説。
二学年上の幼馴染みテオバルトと付き合うことになったエミーリアは、占い師から残酷な未来を告げられる。彼は運命の人と出会い恋に落ち、エミーリアは彼女に嫌がらせをしまくった挙句に振られるというのだ。ショックを受けるが彼が幸せになるため悪役に徹する決意をし、予言書通りに慣れない悪巧みに奮闘する。テオバルトはおかしなイタズラを始めた彼女をなだめつつ、昔エミーリアが人喰い妖精に襲われた経験から、彼女に忍び寄る危険を感じて!?
お金大好きな闇魔法使いユースディアのもとに、美貌の公爵閣下アロイスが死の呪いを解いてくれとやってきた!?だが解呪は大きな危険を伴う。即座に断るものの、呪いの発作に苦しむ彼のため彼女は泣く泣く魔法の媒体にもなる紙幣(生活費全部)を燃やし応急処置を施した。その姿に感銘を受けたアロイスは叫ぶ。「結婚してください!」「は?」財産目当てに承諾したけれど、何故か解呪も体の関係も求めず愛を注ぐ彼にユースディアの心は揺れ始め…。