2020年10月発売
絵師歌川国芳の弟子たちと二人の娘の物語 明治六(一八七三)年、歌川国芳の十三回忌の施主はただ一人の遺族で〈一勇斎芳女〉と名乗る国芳の次女。だが直前に行方知れずになったりして、どこかつかみ所のない女だ。 追善書画会に顔を揃えた落合芳幾、月岡芳年、河鍋暁斎、歌川芳藤、そして三遊亭圓朝などの弟子たちは、それぞれ新しい時代の生き方を懸命に模索していた。 そして、彼らの心の中には、いつも師匠の国芳がいる。中でも暁斎は、仮名垣魯文と絵新聞を始めると意気盛んだ。のちに日本の漫画雑誌の嚆矢となるこの雑誌は、その名も『日本地(ニッポンチ)』。 結局、弟子たちの生きざまを見届けたのは昭和まで生きたという芳女(お芳)だった。彼女も絵を描いているが、名を残した作品は今のところ三枚続きの錦絵があるだけだ。主に春画や刺青の下絵、皮絵などを描いていたらしい。彼女が最後まで守っていた国芳の遺品とは? そして国芳に終生愛されながら早世した長女の登鯉が、最後に選んだ人生の選択とは? 自身も日露戦争時に『日ポン地』なる雑誌を出していた新聞記者の鶯亭金升は、お芳から話を聞き出していくうちに、思いもかけない〈国芳の孫〉の存在を知る。 【編集担当からのおすすめ情報】 著者の「国芳一門浮世絵草紙」シリーズ(全五巻)は、幕末までの国芳と登鯉、弟子たちの物語でしたが、本書は明治以降の国芳とお芳、弟子たちの物語になっています。 二〇一八年刊行『がいなもん 松浦武四郎一代』で中山義秀文学賞と舟橋聖一文学賞を受賞した著者の受賞第一作になります。
時代は戦後へ。傷ついた人々を音楽で勇気づけたいと奮闘する夫婦の物語、ここに完結! 不遇の時代を乗り越え、作曲家として活躍する古山裕一と、そんな夫を明るく支える妻・音。時代は戦争へと突入し、裕一は、命を懸けて戦う人々を応援するために曲を作り続ける。終戦後、戦意高揚のために作った自分の曲が人々を戦争へと駆り立て、恩師や親しい人たちを失う結果になってしまったことに深く傷ついた裕一は、音楽から距離を置くようになる。やがて音や仲間たちとのふれあいを通じて、音楽の力を再発見した裕一は、復興に向かう人々の心を勇気づけようと、新しい時代の音楽を奏でていくーー。数々の応援歌やヒット歌謡曲を二人三脚で生み出した夫婦の物語がクライマックスを迎える!
才能があり華やかに生きる禅、才能がなく地道に生きる賢一。幼馴染でありながら対照的な2人は、それぞれ異なる人生を選び、次第に征遠になっていく。数年後、久しぶりの再会を果たした彼ら。しかしこの再会には驚くべき思惑が隠されていた。
期待されながら伸び悩んでいる若手刑事たちの元に、警視庁本部から送り込まれる謎の男、向井光太郎。捜査中のミスに悩む女性刑事、有名な俳優の取り調べに苦戦する刑事、尾行に失敗した刑事。彼らそれぞれに適切な助言を与えるその男は、なぜ刑事課ではなく人事二課の所属なのか?経験を積み成長し、所轄署から本部に戻り出会った三人は、向井との関わりを語り合い、その過去を探り始める。そんな彼の過去と、三人の刑事が取り組む女子大生殺害事件が交錯する。堂場瞬一が描く刑事たちの光と影。
引き裂かれた世界の寓話 トルコとの戦争へ出かけた若き子爵メダルドは敵の砲弾で吹き飛び、体をまっぷたつに引き裂かれるが、奇跡的に一命をとりとめ、右半身だけの体で領地に帰ってきた。しかし、その性格は以前とは一変していた。メダルドの通ったあとには半分に切り裂かれた果実や作物、動物たちがちらばり、彼の開く裁判ではどんなに軽い罪でもすべて絞首刑に処された。お城の年老いた乳母は言った。「帰ってきたメダルドは邪悪なほうの半分らしいね」。人々は半分になった子爵が領内に落とす暗い影に怯えた。ある日そこへもうひとりの子爵、良いほうの半分が帰ってきた……。人間存在の歴史的進化を寓話的に描いた三部作《我々の祖先》の第一作『まっぷたつの子爵』を清新な新訳で贈る。三部作執筆の経緯を作者自ら解説したエッセー「一九六〇年の覚書き」(本邦初訳)を併録。翻訳権取得。
公爵家の五男に生まれたクレストは、家族内で肩身が狭く、幼馴染の婚約者には奴隷のように扱われていた。そんなクレストは、鑑定の儀で『ガチャ』という「スキルを獲得できるスキル」を手に入れた。これで家族内での立場が改善されると思っていた。しかし、使い方が分からず嘘をついていると思われ、魔物が跋扈する森に追放されてしまったーー。追放された先で魔物を討伐した時『ガチャ』を使用するためのポイントが手に入っていることに気が付く。そこでポイントを貯めて回してみると、生活に便利なスキルや戦闘に使えるスキルなどを獲得することができた。クレストはそれらのスキルを使い自由で快適な生活を目指すことに…!
ズバ抜けた防御力を持つジークは魔物のヘイトを一身に集め、パーティーに貢献していた。しかし、攻撃重視のリーダーはジークの働きに気がつかず、追放を言い渡す。ジークが抜けた途端、クエストの失敗が続き……。一方のジークは王都の門番に就職。持前の防御力の高さで、瞬く間に分隊長に昇格。部下についた無防備な巨乳剣士、セクハラ好きの怪力女、ヤンデレ気質の弓使い、彼女らとともに周囲から絶大な信頼を集める存在に!「小説家になろう」発ハードボイルドファンタジー第一弾!
恋人、仲間、そして自らの能力まで奪われてしまったクロムは、『闇』の能力【固定ダメージ】を手に入れ、 かつて自分を追放した者たちへの復讐を着実に果たしていくーー。 だがクロムを陥れた張本人、勇者ユーノもまた恐るべき力を手に入れていたのだった。 先史より続く『闇』と『光』の激突が、再び始まろうとしていた!! すべてを失い、すべてを奪われた男の復讐譚ーーさあ無敵<リベンジ>の始まりだ!
最年少にして、最強の魔王として君臨したグレンは、人族との和平に成功し、ずっと夢だった庶民としての暮らしを始めることにした。そのために人間たちと魔族が共存する街を作り、自分もただの冒険者として、そこで暮らすことに決める。低級冒険者としての、何でも屋のような暮らしも、戦いに明け暮れたグレンには新鮮なことばかりだ。街の人々と交流することで、幸せを感じている。そんなグレンだが、もちろん庶民の常識なんてない。メイドとして仕えてくれたエルフのグラシアヌに、日常生活のことは頼りきりだった。エッチなご奉仕も大好きな彼女は、グレンに毎日、いろいろなことを教えてくれるのだ。人族のお姫様であり、最強の姫騎士として魔族にも知られたエルアナや、旅の仙人娘チェンシーが家に押しかけたハーレムで、グレンの日常はいつのまにか「普通の庶民」からは、やはり離れてしまったけれど…。楽しい毎日だから、世界を平和にしたことに悔いはない。のんびり庶民生活を満喫しつつ、大満足な日常を送っていたグレンだが、せっかくの両族友好を害する企みに触れ、魔王としての力をふるう時が!?アフターストーリー「グラシアヌ&チェンシーとの夜」「エルアナとの休日」。