2020年10月発売
その虫眼鏡で覗くと、木や湖や雲から、擬態したいきものが現れる。自然豊かな村に隠された、美しい絵画のような謎。新種の謎、発見!ファーブル君と呼ばれる青年と、元美大生・遠野真亜梨。不思議な縁で出会った二人は、原因不明の数々の事件を解き明かしていくー。感動の連作短編ミステリ。
好きなチームといる喜び。 光輝くスタジアムの幸せ。 本屋大賞受賞作『一瞬の風になれ』の著者が描く どこまでも熱くて、かぎりなく純粋な、人生と応援の物語! 「愛すべきチームと愛すべき自分の人生。僕がいつも思っていることがこの本に一杯に溢れていました」 クレイジーケンバンド/小野瀬雅生 物静かな高校の先生。 予備校に通う女子高生。 家業の電気店を継いだ若者。 少年野球のピッチャー、洋食店のシェフーー 一見なんのつながりもない人たちを結んでいる、 強くてまっすぐな気持ち! 「何かのために見るんじゃない。見たいから見るんだ」 なにかを心から「好き」でいる、 すべての人へ贈る爽快な感動!
「信長公の首級は何処にある」囲碁名人の本因坊算砂は息が止まりかけた。慶長十二年師走、大坂の陣が勃発する七年ほど前の駿府城。すでに将軍職を嫡男の秀忠に譲り、今は大御所政治を敷いている徳川家康と対局している最中の出来事だった。心中深く見通すような眼光で睨んでくる家康に、沈黙するほかない算砂ー。が、家康の気迫が込められた、堅固な盤を打ち抜かんばかりの碁石の音が、算砂の“炎の記憶”を呼びさましたのであった。なんと算砂は、日海と名乗っていた若かりし頃、戦国の荒波に翻弄され、図らずも本能寺の変に触れていたのだ。いまだ見つからない織田信長の亡骸、依然と知れない明智光秀の肚の内。茶会や連歌の会、安土築城などに潜む数々の謎。いったいなにが謀反を引き起こしたのか?若き日の本因坊算砂が戦国人の間近で見た歴史の棋譜を描く!
完成しながらも発表されず、手許に残された「影に対して」。「理由が何であれ、母を裏切り見棄てた事実には変りはない」しかし『沈黙』『深い河』などの登場人物が、ついにキリストを棄てられなかったように、真に母を棄て、母と別れられる者などいないー。かつて暮した街を訪ね(「六日間の旅行」「初恋」)、破戒した神父を思い(「影法師」)、かくれキリシタンの里を歩きながら、(「母なるもの」)、失われた“母”と還るべき場所を求め、長い歳月をかけて執筆されて全七篇。
帰って来ない母を待ち、〈とわ〉は一人で生き延びる。光に守られて、前を向く。暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。「生きているって、すごいことなんだねぇ」。歌う鳥たち。草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。読み終えると、あたたかな空気が流れます。本屋大賞第2位『ライオンのおやつ』に続く、待望の長編小説。
琵琶湖近くの介護療養施設で、百歳の男が殺された。捜査で出会った男と女ー謎が広がり深まる中、刑事と容疑者だった二人は、離れられなくなっていく。一方、事件を取材する記者は、死亡した男の過去に興味を抱き旧満州を訪ねるが…。昭和から令和へ、日本人が心の底に堆積させた「原罪」を炙りだす、慟哭の長編ミステリ。
生唾なしには読めない! 美味しい食を分かち合うことの歓び。食べることはその土地と生きてゆくこと。舌を燃やし、思い出を焼きつくすほど辛い唐辛子、庶民のキャビアと呼ばれるサルデッラに腸詰サラミのンドゥイヤ……。南イタリア、カラブリア州出身の作家が、アルバレシュという特殊な言語と食文化を守ってきた郷土の絶品料理と、人生の節目における家族の記憶とを綴る自伝的短篇集。
その疫病は、女だけを眠りにつかせる。 そして町には男たちだけが残される。 女子刑務所のある小さな町、ドゥーリング。平穏な田舎町で凶悪事件が発生した。山間部の麻薬密売所を謎の女が襲撃、殺人を犯したのちに火を放ったのだ。女はほどなくして逮捕され、拘置のために刑務所に移送される。彼女の名はイーヴィ。世界を奇妙な疫病が襲いはじめたのはこの頃だった。 それは女たちだけに災いする「病」--ひとたび眠りにつくと、女たちは奇妙な繭状の物質に覆われ、目を覚まさなくなったのだ。繭を破って目覚めさせられた女たちは何かに憑かれたかのように暴力的な反応をみせることも判明する。世界中の女たちが睡魔に敗れるなか、謎の女イーヴィだけが眠りから逃れられているようだった。 静かな町にパニックの空気が満たされはじめる。睡魔にうち勝とうとする女たち。取り残され不安に蝕まれる男たち。やがて町にふりかかるカタストロフィは、まだ水平線の向こうにある! 巨匠スティーヴン・キングが、作家である息子オーウェンとコンビを組んで放った、圧倒的パンデミック・ホラー巨編。まさにキング印の物語の大波が、読者を巻き込んで怒濤をなす!
感染した女どもを焼き払え。 男たちがそう叫ぶ。 眠りについた女たちは「別の世界」で目をさます。そこは廃墟に様変わりしたドゥーリングの町。さまざまな事情を背負う受刑者、刑務所長、平凡な主婦だった者、あるいは妊婦。彼女たちは、それぞれにできることを担いながら、彼女たち以外に誰もいない世界で生き延びようとする。 残された男たちのあいだでは恐怖と不安がつのっていた。繭を破れば凶暴化する女たちへの恐怖。眠ってしまった女たちが二度と目覚めないのではないかという不安。伴侶や娘を失った者は絶望し、まだ眠っていない女たちは睡魔から逃げのびようと苦闘する。しかし女を憎悪する男たちは眠る女たちを焼殺しはじめた。一方、謎の女イーヴィを刑務所で匿う男たちは、彼女を守ることこそが事態の解決に導くと信じるが、そこへ急進派の男たちが武器弾薬で武装して、イーヴィを始末すべく迫りつつあった。 町はずれの森の中にそびえる巨木。この世ではない別の世界。女たちの死を悼むように舞う美しい蛾ーー奔放なイマジネーションが彩る物語は、壮絶なクライマックスへと突入する。 世界最強の作家父子の唯一無二のパワーを目撃せよ。
ベストセラー『想像ラジオ』から7年。言葉の力を知り抜く著者が世に問う、渾身の小説集! 【夢七日】交通事故に遭い、意識不明となった木村宙太。震災後、原発で働いていた君だが最愛の妻の呼びかけにも応じられない深い眠りの中にいる。二〇一九年十一月、私は君に、日々ささやきかける。--君よ、目覚めよ。 * 【夜を昼の國】一七一〇年、身分違いの悲恋で心中し、恋人・久松と共に「書かれた世界」に放り込まれてしまったお染。歌舞伎や浄瑠璃に脚色され、名誉を傷つけられてきた彼女は今また生き返り、ネットでの中傷に立ち向かおうとする。
祖母の様子を見てきてくれ。兄・洋一に頼まれ、久方ぶりに京都を訪れた弟・哲郎。再会も束の間、病院に担ぎ込まれた祖母・ゑいは、夢うつつの中で祖父・良一との出会いと別れ、そして戦前から戦後にかけて激動の時代を生き抜いた自らの半生を語り出すー。かつて「東洋のハリウッド」と謳われた映画の都を舞台に二つの時代が交錯し、一冊のアルバムと一本のフィルムの謎が鮮やかに解き明かされる、感動のデビュー作!第1回京都文学賞一般部門優秀賞受賞作。
世界350万部のベストセラーが新装版に 1940年初夏、ドイツ軍による首都陥落を目前に、パリの人々は大挙して南へと脱出した。その極限状態で露わとなる市井の人々の性を複線的かつ重層的に描いた第一部「六月の嵐」と、ドイツ占領下のブルゴーニュの田舎町を舞台に、留守を守る女たちと魅惑的な征服者たちの緊迫した危うい交流を描く第二部「ドルチェ」。動と静、都会と地方、対照的な枠組みの中で展開する珠玉の群像劇が、たがいに響き合い絡み合うー。 著者は1903年キエフ生まれ、ロシア革命後に一家でフランスに移住したユダヤ人。42年アウシュヴィッツで亡くなった。娘が形見として保管していたトランクには、小さな文字でびっしりと書き込まれた著者のノートが長い間眠っていた。連行の直前まで書き綴られたこの小説が60年以上の時を経て世に出るや、たちまち話題を集め、2004年にルノードー賞を受賞(創設以来初めての死後授賞)、フランスで75万部、全米で100万部、世界で350万部の売上げを記録した(2014年に映画化)。巻末に収められた約80ページに及ぶ著者のメモや書簡からは、この奇跡的な傑作のもう一つのドラマが生々しく立ち上がる。カバー写真は名匠ロベール・ドワノー。
「この町はとっくにひっくり返っている。みんなが気づいていないだけでな」 〈はじまりの町〉の初等科に通う少年・トゥーレ。ドレスの仕立てを仕事にする母は、「羽虫」と呼ばれる存在だ。誇り高い町の住人たちは、他所から来た人々を羽虫と蔑み、公然と差別している。町に20年ぶりに客船がやってきた日、歓迎の祭りに浮き立つ夜にそれは起こった。トゥーレ一家に向けて浴びせられた悪意。その代償のように引き起こされた「奇跡」。やがてトゥーレの母は誰にも告げずに姿を消した。 消えた母親の謎、町を蝕む悪意の連鎖、そして、迫りくる戦争の足音。 ドラマ「相棒」の人気脚本家が突きつける、現代日本人への予言の書。
その所業、人か、鬼かーー規格外の熱量を孕む小説野性時代新人賞受賞作! 江戸は文政年間。足を失い絶望の底にありながらも毒舌を吐く元役者と、彼の足がわりとなる心優しき鳥屋。この風変りなバディが、鬼の正体暴きに乗り出してーー。 「あたかも江戸時代をひらひらと自在に泳ぎまわりながら書いているような文章。こんなにぴちぴちした江戸時代、人生で初めて読んだのである。脱帽!!」(森見登美彦氏) 「早くもシリーズ化希望!」(辻村深月氏) 「作品の命というべきものが吹き込まれている」(冲方丁氏) と、選考委員全会一致の圧倒的評価。 傾奇者たちが芸の道に身をやつし命を燃やし尽くす苛烈な生きざまを圧倒的筆致であぶりだした破格のデビュー作!! ■「大傑作!!江戸という時代と場所、芝居の世界のバーチャル体験として見事」(ライター 吉田大助) ■「現代の戯作者としての力量を秘めている。とんでもない新人が登場したものだ。今年度ナンバーワンのベスト本である。」(評論家 菊池仁) ■「江戸の景色が浮かんでくるような文章のセンスは驚異的である。」(ミステリ評論家 千街晶之) ■「これで新人!?ぜひ豪華絢爛な舞台や映画で観たい!」(丸善本店・高頭佐和子) ■「取り憑いたら離れない「鬼気迫る」以上の物語。すっかり呑み込まれ、抜け殻状態。。」(ブックジャーナリスト 内田剛) ■「あまりに興奮して、体が乗っ取られたようになりました」(本の雑誌社・浜田公子) ■「アウトローな存在であり、かつ男女の性別からも逸脱している役者の生理や道徳観念を浮き彫りにしていく展開がスリリング。肚の坐った書き手だ」(書評家 杉江松恋) 時は文政、所は江戸。 鳥屋を営む藤九郎は稀代の女形として人気を誇った元役者の魚之助に呼び出され、中村座の座元の許へと向かう。 数日前『堂島連理柵』という新作台本の前読みを役者六人で車座でおこなった際、輪の真ん中に誰かの頭がごろぅり、転げ落ちてきたという。しかし役者の数は変わらず、鬼が誰かを食い殺して成り代わっているのは間違いない。二人は「鬼探し」の道行と洒落こむが、それは同時に、役者たちが芸の道をきわめるために鎬を削る地獄めぐりでもあった。 梨園の知られざる闇、血のにじむような努力や才能への渇望、葛藤を目の当たりにするうちに、藤九郎は、人と鬼の境目に深く思いを致すことになる。 芝居中、熱狂的な贔屓に襲われて足を失い、悪態をつきながら失意のうちに過ごす魚之助をなんとか舞台に戻してやりたい、その一念だった藤九郎だが、“傾奇者”たちの凄まじい執念を目の当たりにするうち、心も体も女形として生きてきた魚之助の人生や役者としての業と正面から向き合うことになりーー。 善悪、愛憎、男女、美醜、虚実、今昔ーーすべての境を溶かしこんだ狂おしくも愛おしい異形たちの相克。
世界一の美少女になるため、俺は紙おむつを穿くーー。 しがない会社員の狩野忍は世界最大のVR空間サブライム・スフィアで世界最高の美少女シノちゃんとなった。 VR世界で恋をした高級娼婦ツユソラに会うため、多額の金銭を必要とするシノは会社の先輩である斉木みやびと共に過激で残酷な動画配信を行うことで再生数と金を稼ぐことを画策する。 炎上を繰り返すことで再生数を増やし、まとまった金銭を手にしたシノはツユソラとの距離を縮めていくのだが、彼女を取り巻く陰謀に巻き込まれていきーー!?
迷宮都市ガレルにて念願の家馬車を作り、エイフやイサといった新たな仲間も得たクリス。永住できる場所を探しつつものんびりと旅を楽しもうと決めた一行は、エイフの発案で天空都市シエーロへとやってくる。巨大な樹々の上に作られたシエーロの街を観光しつつ冒険者として依頼をこなすクリスたちは偶然、エルフ族の青年マリウスとその幼馴染ナタリーに出会い仲良くなる。そしてナタリーがニホン組の青年からストーカー被害を受けているという話を聞いたクリスは、彼女を助けるために奔走するのだがーー!? 努力家少女のDIY異世界奮闘ファンタジー、待望の第2弾! 書き下ろし短編「精霊の加護」を収録!
タロットの秘密を求めてついに動き出すイレ皇子ー朱眼の青年アベルや学友たちと楽しくも忙しい学園生活を送っていた転生者の令嬢アリス。しかし最近、親友レティシアの様子が少しおかしい。彼女の実家に不穏な動きを感じたアリスたちは調査を開始し、それをきっかけに警備が厳重な教会に忍び込んであるアイテムを盗み出すことに…。一方、アリスを目の敵にするもう一人の転生者ガブリエラは、アリスとアベルに並々ならぬ関心を寄せるイレ皇子に接近していた…。恋より魔法!元アラサー女子の転生令嬢。