2020年10月発売
明治維新の礎を築いた覚悟ある兄弟の生き方。仲間達を寺田屋で斬った喜八郎。英国人を生麦で斬った喜左衛門。己を捨て、分断する薩摩藩を島津久光の下に結束させ倒幕に導いた兄弟が、命を懸けて生きた軌跡を追う。
アッキー13歳。初恋の相手は同じクラスのひまり。母は精神科に入院中。「そうきょくせいしょうがい」っていったいどんな病気なんだろう。病名は少しカッコいい感じもするー。隔離室には変な人もいるけれど、いろんな人がいて、いいんじゃない?
「他の人を照らす」生き方をすること。派遣社員の由里香と課長の森山が、契約最終日に交わした約束。そこから、2人の挑戦の日々が始まった。紆余曲折を経て、高校を中退していた由里香。彼女が志したのは、難関の医療セラピスト。夢の実現、そしてその先へ向かって努力を重ねる由里香に伴走する森山の心には、忘れられない記憶があってー。
大学生の伊庭克彦は、参加したスキー選手権大会で競技中の事故により脊椎を損傷し、四肢麻痺となった。以前のように手を動かすことも、歩くこともできない現実を少しずつ受け入れていく克彦。ケースワーカーの勧めで「言語聴覚士」の研究生として学びはじめ、新たな目標や生きがいを見いだしていくー。
1998年、他愛なく合コンに興じていた若者たち。しかし彼らの人生は、世間を揺るがす渦に巻き込まれ大きく道を違えていく。日本というぬるま湯の中で、地下水脈のように蔓延る暗澹たる闇。その世界に引き寄せられた若者は、15年後、政財官の多くの人士を道連れに破滅へと突き進む。すべての謎は、「百年後の武蔵野」に収斂する。仮想・現代日本の30年を描く、深奥なる叙事詩。
宇宙の知識ゼロ!ド文系社長が「誰もやったことがない仕事をする!」という思いだけで、日本初の「宇宙商社」を作り、たった3年でNASAやJAXAと協業までしてしまった実話に基づいた小説。
幼馴染みテオバルトと付き合うことになったエミーリアは、占い師から残酷な未来を告げられる。彼は運命の人と出会い恋に落ち、エミーリアは彼女へ嫌がらせをしまくった挙句に振られるというのだ。彼の幸せを願うエミーリアは悪役に徹する決意をし、予言書通りに慣れない悪巧みに奮闘する。テオバルトはおかしなイタズラを始めた彼女に首を傾げつつ、昔エミーリアが人喰い妖精に襲われた経験から忍び寄る危険を感じて!?
人々から恐れられる闇魔法使い・ユースディアはこの世の何よりお金が大好き。そんな彼女のもとに、美貌の公爵閣下・アロイスが死の呪いを解いてくれとやってきた! けれど解呪は大きな危険を伴うもの。即座に断るけれど、呪いの発作に苦しむ彼のため、泣く泣く魔法の媒介にもなる紙幣(今月の生活費全部)を燃やし、応急処置を施すユースディア。そんな彼女を見てアロイスは叫ぶ。「大事なお金を失ってまで助けてくださったなんて! 結婚してください!」「は?」突然の求婚に警戒しつつも、彼の財産に目がくらみついつい承諾。確かにお金目当てだったはずなのに、何故か解呪も体の関係も求めず優しく愛情を注いでくるアロイスに、彼女の心にも不思議な感情が芽生え始めーー?
粉飾決算や株価が過大評価されている企業を探し出し、カラ売りを仕掛けて追及レポートを発表、株価が下がったところで買い戻して利益を上げる投資ファンドを「カラ売り屋」という。ニューヨークに本拠地を置くカラ売り専業投資ファンド、パンゲア&カンパニーは東京事務所を開設。パートナーの北川靖は「タイヤ・キッカー」のトニーと組んで、傘下のMS法人を使って病院買収に邁進する巨大医療グループ、架空売上げの疑いがあるシロアリ駆除会社、タックス・ヘイブンを悪用して怪しい絵画取引を行う総合商社絵画部とそれぞれ対決。窮地に追い込まれた相手は、何とか株価を吊り上げ、パンゲアを叩きつぶそうと画策するがーー。金融市場に蠢く男たちの息詰まる攻防戦の先に、気鋭の経済小説家が描いた日本経済の病巣とは!?
“洒落にならない化物でして。吸血鬼さえ、敵ではないほどの” 友人の食飼命日子に彼氏との仲違いを相談された阿良々木暦。 自身も戦場ヶ原ひたぎから別れを告げられたばかりだったーー謝罪の言葉と共に。 騒動は怪異の仕業だと推理した暦は、 裏面にして怪異のエキスパート・忍野扇のもとへ向かう。 これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異! 【収録作】おうぎライト/おうぎフライト
女として育てられ、現在は男として生きるイツキ、28歳。ある日、職場に過去を知られ、平穏な日々にさざなみが立ち始めた。私生活ではパートナー女性が出産への思いを口にする…。社会や家族と生身で向き合った先に、イツキは光を見出せるか。男とは、女とは、そして家族とはなんだろう…。「世間のフツー」を鋭く、軽やかに問い直す意欲作。
破天荒な陶芸家の祖父との交流と、26歳にして訪れた初恋に、笑って、笑って、少ししんみりして、そして心が温まる。 疾走感溢れる筆致でユーモラスに描く、鬼才・戌井昭人の真骨頂にして新境地を拓く、至極の長篇大衆小説。 *これぞ、生きてる実感!! 《高橋久美子/作家・作詞家》 *「カツ丼くだしゃい」とギターで唄う煙の少女。 《大森立嗣/映画監督》 *戌井昭人が多様性を描くとこーなる。最高の「ダメ」人間賛歌!! 《伊賀大介/スタイリスト》 *オイ! この壺、口が塞がってるし、おまけに底が抜けてるぞ! いい加減にしろ!! 《高城晶平/cero》 *何事もなかったかのように世界は大変容し人は寝首をかかれ動物たちは腹をかかえて笑う。 《湯浅 学/音楽評論家》 *壺の中身は……戌井さんのお父さんがいると思います。お父さんが入るような大きい壺かはさておき、とにかく中身はお父さんなのです。 《浅田政志/写真家》 *絶体絶命の危機に陥った勝田繁太郎は壺の中に逃げ込んでーー。ついに鬼才の手でハクション大魔王誕生秘話が明らかに! 《豊崎由美/書評家》 *彼のゴツゴツした手の印象から、採石場などの労働者に近いものを感じて、どうしてもテレビの『はたらくおじさん』を鑑賞している気分で接している人を見かけますが、それはぜんぜん間違っています!! 《中原昌也/作家》 ※上記の各コメントは、「タイトル」「あらすじ」「鉄割アルバトロスケットの舞台上の戌井昭人氏のイメージ」をヒントに、好き勝手にお寄せいただいたものです。本作がどのような物語であるかは、ぜひページをめくってお楽しみください。 《あらすじ》 数々の事業を立ち上げて財を成した曽祖父、高名な陶芸家として知られる祖父、考古学者で大学教授の父。そんな一家にして勝田繁太郎(26歳)は、趣味もなく、働く意欲もなく、恋人もいない、ただのんびり平穏な生活を過ごすことが楽しみな男だった。いつもピントがずれていて、人に気を遣えず、仕事でミスをくり返しても微塵も気にしないマイペースさゆえ、周囲からは疎まれていた。 しかし、祖父・繁松郎だけはそんな繁太郎の人間性を気に入り、ことのほか愛情を注いでいた。それは、繁太郎の陶芸の才覚を見出し、後を継がせたいと考えていたためでもあった。祖父はことあるごとに繁太郎の世話を焼き、興味を引き出そうと試みるものの、当の本人にはまるでその気がない。 そんなある日、祖父とともに銀座の高級クラブ「ギャランコロン」を訪れた繁太郎は、そこのホステス・ミナミに出会う。ミナミが繁太郎に好感を持っていることを察した祖父は、繁太郎とミナミをくっつけようと、繁太郎とミナミ、そして自分とクラブのチーフママであり愛人の蘭の4人で茅ヶ崎にある別荘へ旅行する計画を立てる。繁太郎以外の3人は楽しみに胸を膨らませるが、果たして祖父の思惑どおりに事態は進むのか? そして、繁太郎の成長のときは果たして訪れるのかーー。
つまらない筋書きを断固拒否する。 これはわたしの物語。わたしの人生。 駆け出し作家の律は、自分と瓜二つの亡き女性の伝記を書くことに。 だが辿り着いた真実によって、律は窮地に追い詰められていくーー。 予測不能のラストに向かって疾走する傑作長編 逃げ出そうとしたときにはもう遅かった。 新人賞を受賞したものの小説を一冊も刊行できていない律は、ファンを名乗る女性から姉の伝記執筆の依頼をうける。 だがその姉は亡くなっており、生前の姿形は律と瓜二つだったという。 取材を進めるうち明らかになる姉妹の確執、家族の秘密。 律が開けた扉は、パンドラの箱だったーー。
梟の居た森、山河(サンガ)村は、特殊な風習を長く受けついできました。 私の作品の内容に大きな影響を与えたのは、地理学者であり教育者松口常三郎先生の人生地理学……。世界の自然とそれに関わる人間の営みを、農業、漁業、工業などのテーマ別にとりあげ、人間生活の視点から記したものによるところが本の骨子となっております。 子供の教育は半日勉強、そして半日労働。あらゆることを身をもって体験することで、はじめて五体に血が流れる。サンガ村の人達が生きたように、子供はみなで育て、慈しんでゆく、そのような世界は夢のまた夢なのでしょうか。